本調査は、ミャンマーの女性起業家が直面する問題を明確にし、政策提言を行うために、笹川平和財団と国際労働機関(ILO)が協働して実施しました。ILOのWomen’s Entrepreneurship Development (WED)評価方法論に基づき、女性起業家の支援を推進するために必要な6つの条件
1.ジェンダーに配慮した法設備と執行制度
2.効果的な政治的リーダーシップとWED推進のための調整機能
3.ジェンダーに配慮した金融サービスへのアクセス
4.ジェンダーに配慮したビジネス開発支援
5.市場とテクノロジーへのアクセス
6.女性起業家の政策対話への参加
のレビューにより評価付けを行っています。
近年、ミャンマーにおいて、社会的および経済的分野における女性の役割は、ますます重要になっています。ミャンマーは過去5年間で急速に経済成長を経験しましたが、未だに多くの女性は、文化的、財政的、組織的、政治的及び社会的制約のために、正式な労働市場への参入ができていません。ミャンマーは、女性の起業を支援し、職場における男女平等を促進することで、「ジェンダー配当」の恩恵を受ける大きな可能性を秘めています。
本調査は、文献レビュー、23団体とのインタビュー、18人の女性起業家が参加した3回のフォーカス・グループ・ディスカッションの実施、208人の女性起業家との対面アンケート調査の結果をもとに分析を行っています。本調査結果を受け、必要なリソースや支援へのアクセスの増加等、女性起業家が事業を立ち上げ、発展させていくために主要な課題を洗いだし、政策提言を行っています。上記調査による予備調査結果は、ステークホルダー会議を実施し、現地の女性起業家により検証の過程を経ています。
本調査により、ミャンマーにおいて最も進んでいるWED条件は「ジェンダーに配慮した法設備と執行制度」であり、最も遅れているWED条件は「効果的な政治的リーダーシップとWED推進のための調整機能」、「ジェンダーに配慮した金融サービスへのアクセス」及び「市場とテクノロジーへのアクセス」であることが明確になりました。
女性の起業を通じた女性の経済的エンパワーメントの促進は、2017年以来の笹川平和財団の活動の重点課題であり、本調査結果は、現地のニーズを反映したプロジェクトを実施するために実践的なガイダンスを提供します。