
アジアの事例から学ぶ、ジェンダー視点の起業家支援10年の教訓
過去10年で、アジアにおいて起業家支援が急速に拡大してきたが、女性主導の企業は依然として事業成長と資金調達の課題に直面している。笹川平和財団(SPF)とアスペン・ネットワーク・オブ・デベロップメント・アントレプレナーズ(ANDE)による本報告書では、ジェンダー視点を組み込んだアクセラレーター・プログラムが女性起業家に与える影響を検証する。
世界の運用資産の4 分の1 以上が、経済的持続可能性や環境的・社会的持続可能性を追求する環境・社会・ガバナンス(ESG)の要素を考慮した「サステナブル(持続可能な)」投資の手法で運用されている。個人投資家も機関投資家も、その資産状況を問わず、サステナブル投資の手法を資金計画や投資ポートフォリオに組み込むことへの関心を高めており、アセットマネジャーや国際金融機関もこ の手法を採用した関連サービスや金融商品を拡大している。
日本においてもサステナブル投資への関心が急速に高まり、サステナブル投資残高が急増している。しかし、こうした関心の高まりや投資残高の増加にもかかわらず、サステナブル投資を採用しているメインストリームの投資家やファイナンシャルアドバイザー、投資コンサルタントは日本ではまだ少数にとどまる。
インベストメント・インテグレーション・プロジェクト(TIIP)は笹川平和財団(SPF)と協力して、日本の金融界の一部の投資家たちがサステナブル投資を実務に組み込まない理由を検証し、日本 にサステナブル投資を普及させるために必要な打開策の提言をまとめた。また、他のアジア諸国(シンガポール、香港、中国)におけるサステナブル投資の障壁や機会も先行して特定した。こうした目 的を果たすため、日本のサステナブル投資関連の文献をレビューするとともに、50 人を超える専門家に日本の金融業界について話を聞いた。その結果、日本におけるサステナブル投資の普及を阻む主な障壁として、次のような課題を特定した。
・認知度:日本の金融界では、サステナブル投資に対する認知度がまだ低い。
・エビデンス:サステナブル投資に関する誤った認識が日本に広く浸透している。
・ツール:サステナブル投資を運用実務に組み込む方法を教える日本の金融界向けの実用的な資料が不足している。
・政策:行政機関や規制当局によるサステナブル投資支援の取り組みがばらばらに行われている。
これらの各課題の解決に向けて日本の金融界が取り得る一連の具体的な対応策がある。本アジェンダの「対応策の提言」で詳細を説明する。こうした対応策を実施する中で、世界第3 位の経済大国である日本はサステナブル投資の機運の高まりを生かし、投資家による社会的・環境的・経済的持続可能性の促進を後押しすることができる。
カテゴリー区分 | Report |
著者/編者 | インベストメント・インテグレーション・プロジェクト(TIIP) |
発行 | 2019.09 |
Contents |
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