研究員紹介
上席フェロー
兼原 敦子Atsuko Kanehara
専門・関心分野
国際法秩序
研究テーマ
日本の海洋政策を、国際法の視点から研究する。主権国家の責務として、日本の外交支柱である法の支配の実現をはかり、平和的な解決を希求しつつ、国際秩序に適合しない一方的行為による現状変更に対抗することを、東シナ海などを想定して検討する。
略歴
| 1982年3月 | 東京大学法学部卒業 |
| 1982年4月 - 1985年3月31日 | 東京大学法学部助手 |
| 1989年4月1日 - 1992年3月31日 | 帝京大学法学部（講師、助教授） |
| 1993年4月1日 - 2010年3月31日 | 立教大学（助教授、教授) |
| 2010年4月1日 - 2024年3月31日 | 上智大学法学部教授 |
| 2024年1月1日 - | キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹 |
| 2024年4月1日 - | 笹川平和財団上席フェロー |
論文
| 論文名 | 発行日 |
|---|---|
| 自衛隊法80条と統制要領下での海上保安庁の任務遂行における安全確保 （有斐閣『ジュリスト』No.1593 72-77頁） |
2023年2月 |
| 『海洋大国』『海洋立国』の国家戦略ー洋上風力発電に係る海洋空間計画 （J2TOP 15-18頁） |
2023年3月 |
| 海洋基本計画の主柱及び主要施策の提言ー第4期海洋基本計画とそれを超えてー （『海洋政策研究』17号 1-16頁） |
2023年2月 |
| 第4期海洋基本計画にむけてー総合海洋政策本部参与会議の機能 （OPRI Perspectives 『海の論考』 No. 25） |
2022年 |
| 領海警備に係る法整備の提言 （『上智法學論集』65巻4号 11-57頁） |
2022年 |
| 領域問題における主張の『法的』『非法的』構成 （『上智法學論集』65巻3号 1-55頁） |
2022年 |
| 国家責任法 （東信堂『国際法』（第5版） 369-399頁、（第4版） 360-385頁、（第3版） 349-378頁、（第2版） 321-346頁、（初版） 297-322頁） |
2022年（第5版） 2019年（第4版） 2016年（第3版） 2013年（第2版） 2011年（初版） |
| 海洋法からみた『パンデミック国際法』―寄港国措置を中心に （信山社『国際法秩序とグローバル経済（間宮勇先生追悼）』 67-95頁） |
2021年 |
| 『条約の解釈又は適用に関する紛争』条項の考察 （信山社『国際関係と法の支配（小和田恆国際司法裁判所裁判官退任記念）』 245-273頁） |
2021年 |
| 個別化への対応としての国際法の一般化 （東信堂『現代国際法の潮流Ⅰ（総論、法源・条約、機構・経済、海洋、南極・宇宙）』 24-57頁） |
2020年 |
| 裁判管轄権と適用法の関係―国連海洋法条約における司法裁判および仲裁裁判 （信山社『実証の国際法学の継承（安藤仁介先生追悼）』 543-582頁） |
2019年 |
| 非国家実体の国際有害行為に対する国家責任法の対応 （有斐閣『国際法のダイナミズム（小寺彰先生追悼論文集）』） |
2019年 |
| 南シナ海仲裁判断（本案）にみる国際法の妥当性の論理 （『国際問題』659号 25-36頁） |
2017年 |
| 排他的経済水域の沿岸国の権利―アークティック・サンライズ号事件を素材として （『上智法學論集』60巻3・4号 223-272頁） |
2017年 |
| ITLOS 大法廷が勧告的意見を出す管轄権の根拠 （東信堂『21世紀の国際法と海洋法の課題』 438-477頁） |
2016年 |
| 国際義務の履行基盤としての領域 （東信堂『現代国際法の思想と構造Ｉ（歴史、国家、機構、条約、人権）』 74-98頁） |
2012年 |
| 国家責任条文第一部にみる法典化の方法論の批判的考察 （信山社『変革期の国際法委員会（山田中正大使傘寿記念）』 139-166頁） |
2010年 |
| 国家責任法 （有斐閣『講義国際法』（第2版） 207-237頁、（初版） 195-223頁） |
2010年（第2版） 2004年 （初版） |
| 執行手続における特別事情―実体的基盤と手続的基盤からみた追跡権の展開 （三省堂『海上保安法制―海洋法と国内法の交錯』 199-227頁） |
2009年 |
| 200海里を越える大陸棚の限界設定をめぐる一考察 （東信堂『海洋境界画定の国際法』 103-132頁） |
2008年 |
| 現代公海漁業規制における旗国主義の存立根拠 （『立教法学』75号 23-66頁） |
2008年 |
| 行為帰属論の展開にみる国家責任法の動向 （『立教法学』74号 1-42頁） |
2007年 |
| 国際義務の履行を『確保する』義務による国際規律の実現 （『立教法学』70号 235-294頁） |
2006年 |
| 国際環境紛争における法益の『国家』性 （信山社『国際紛争の多様化と法的処理 （栗山尚一先生・山田中正先生古稀記念論集）』 313-342頁） |
2006年 |
| 国家責任 （有斐閣『国際法キーワード』（第2版） 93-114頁、（初版） 87-108頁） |
2006年 （第2版） 1997年 （初版） |
| 追跡権の根拠としての『沿岸国管轄権の実効的行使』 （海上保安協会『各国における海上保安法制の比較研究』 11-31頁） |
2005年 |
| 追跡権をめぐる最近の動向 （海上保安協会『各国における海上保安法制の比較研究』 11-28頁） |
2004年 |
| 環境保護に関する国家の権利と責任 （三省堂『日本と国際法の100年（第6巻）開発と環境』 28-55頁） |
2002年 |
| 法実証主義の国家責任法論の基本原理再考 （『立教法学』59号 159-204頁） |
2001年 |
| 航行利益と執行措置 （海上保安協会『海上保安国際紛争事例の研究』第2号 1-24頁） |
2001年 |
| 国家責任法の『一般原則性』の意義と限界 （『立教法学』55号 128-171頁） |
2000年 |
| 訴訟参加の要件としての『影響を受ける』法的利益 （『立教法学』50号 141-185頁） |
1998年 |
| 国際違法行為責任における過失の機能 （『国際法外交雑誌』96巻6号 1-46頁） |
1998年 |
| 領域使用の管理責任原則における領域主権の相対化 （勁草書房『（山本草二先生古稀記念）国家管轄権―国際法と国内法―』 179-207頁） |
1998年 |
| 国家責任法における『一般利益』概念適用の限界 （『国際法外交雑誌』94巻4号 1-50頁） |
1995年 |
| 地球環境保護における損害予防の法理 （『国際法外交雑誌』93巻3・4号 160-203頁） |
1994年 |
| 現代の慣習国際法における『慣行』概念の一考察 （『国際法外交雑誌』88巻1号 6-37頁） |
1989年 |
| 大陸棚の境界画定における衡平の原則―慣習国際法の形成過程の視点に基づいて（1）（2）（3・完） （『国家学会雑誌』101巻7・8号 493-559頁、9・10号 601-648頁、11・12号 766-821頁） |
1988年 |
出版物
| 出版物名 | 出版社 | 発行日 |
|---|---|---|
| 柳原正治・森川幸一・兼原敦子編 プラクティス国際法講義（第4版） | 信山社 | 2023年1月17日 |
| 柳原正治・兼原敦子編 国際法からみた領土と日本 | 東京大学出版会 | 2022年3月31日 |
| 森川幸一・兼原敦子・酒井啓旦・西村弓編 国際法判例百選（第3版） | 有斐閣 | 2021年9月30日 |
| 柳原正治・森川幸一・兼原敦子・濱田太郎編 国際法秩序とグローバル経済（間宮勇先生追悼） | 信山社 | 2021年9月29日 |
| 柳原正治・森川幸一・兼原敦子編 プラクティス国際法講義（第3版） | 信山社 | 2017年4月12日 |
| 山本草二著、兼原敦子・森田章夫編 国際行政法の存立基盤 | 有斐閣 | 2016年9月9日 |
| 柳原正治・森川幸一・兼原敦子編 プラクティス国際法講義（第2版） | 信山社 | 2014年4月15日 |
| 柳原正治・森川幸一・兼原敦子編 プラクティス国際法講義（初版） | 信山社 | 2010年4月5日 |
国際訴訟
- 1999年～2000年 ミナミマグロ事件(International Tribunal for the Law of the Sea and Arbitral Tribunal, 国際海洋法裁判所及び仲裁裁判)」における日本政府弁護人
- 2010年～2014年 「南極海捕鯨事件（International Court of Justice,国際司法裁判所）」における日本政府顧問
主な学会・社会活動
国際
- NATO 法律委員会主催有識者会議（2023年4月～現在）
（Member of the Informal Expert Meeting Organized by the NATO Legal Committee） - アメリカ国際法学会会員
（Member of the American Society of International Law） - (UN) IMO国際海事法研究所執行理事(2022年より4期目、1期は2年間))
（Member of the Governing Board of (UN) IMO International Maritime Law Institute） - アジア国際法年鑑の国別編者（Brill, 2021年出版）
(National Editor of Japan for Encyclopedia of Public International Law in Asia, Brill, 2021) - 国際法協会：海底ケーブル・パイプライン委員会委員（2018年～現在）
(International Law Association, Member of the Committee on Submarine Cables and Pipelines） - 国際法協会：基線委員会委員（2008年～2018年）
(International law Association, Member of the Committee on Baseline) - 国際法協会:大陸棚外側限界の法律問題に関する委員会委員
（International Law Association, Member of the Committee for the Legal Issues on Outer Continental Shelf） - 国際環境法年鑑国別報告書（1998年～2006年）
（Country Reporter of Japan for the Yearbook of International Environmental Law） - 国際法委員会日本委員の補佐（1994年））
（Assistant for the Japanese Member of the International Law Commission of UN, upon request by Foreign Ministry of Japan）
海外での教育経験
- ハーグアカデミーでの講義
A Special Course of Lectures as Lecturer at The Hague Academy of International Law in The Hague, The Netherlands, entitled “The Reassessment of Acts of the State in the Law of State Responsibility – A Proposal of an Integrative Theoretical Framework of the Law of State Responsibility to Effectively Cope with the Internationally Harmful Acts of Non-State Actors”
＊講義に基づく論文が、2019年に出版された。論文タイトルは、講義タイトルと同じ, Recueil des cours, Vol. 399 (2019), pp. 19-266 - International Maritime Organization, International Maritime Law Institute, Malta, as Visiting Scholar (2007-2011, 2018-present)
- Lectures on Japan’s Ocean Policy on Maritime Security and the Free and Open Indo-Pacific Strategy, Requested by Ministry of Foreign Affairs of Japan, India, Bangladesh, and Sri Lanka (2018)
- Katholieke Universteit Leuven, Faculty of Arts, Japanese Studies, Belgium, as Visiting Scholar (2007)
海外研究
- March 2017 - May 2017, Visiting Scholar at Georgetown University Law Center, USA
- January 2009 - March 2009, Visiting Scholar at the Netherlands Institute for the Law of the Sea, The Netherlands
- March 2008, Visiting Scholar at Leiden University, Faculty of Arts, Japanese Studies, The Netherlands
- March 2007 - April 2007, Visiting Scholar at Katholieke Universiteit Leuven, Faculty of Arts, Japanese Studies, Belgium
- September 1995 - July 1997, Visiting Scholar at Harvard Law School
国内
- 「国際法学会」
国際法学会代表理事（2020年7月～2022年7月）
理事（2000年～2022年） - 「国際法協会日本支部」
理事（2009年～現在）
ダイジェスト委員会委員長（2007年～2023） - 国の委員等
- 文科省：南極外部有識者会議委員（2017年～2020年、2023年～現在）
- 海上保安庁：海上保安庁政策アドヴァイザ－（2017年～現在）
- 海上保安庁：海上保安庁法執行研究会委員（2000年～現在）
- 総合海洋政策推進事務局長私的懇談会委員（2022年10月～2023年1月）
- 総合海洋政策本部参与（首相任命）（2016年～2022年）
- 法務省：新司法試験考査委員（2006年～2015年）
- その他
- 一般社団法人内外情勢調査会講師（2022年～現在）
- 日本海事センター：IMO法律問題委員会委員（2007年～現在）
- 一般財団法人運輸総合研究所理事（2020年～現在）
- 公益財団法人笹川平和財団評議員(2019年～2023年)
- 公益財団法人ニッポンドットコム評議員（2022年～現在）
- 日本エネルギー法研究所企画委員（2020年～現在）
テレビ講義
- JICAおよび放送大学の共同プロジェクト『続・日本の近代化』「第10章 日本と国際法」（2020年8月）
受賞
- 安達峰一郎記念賞（1989年）
2024年7月1日現在