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一般事業 多元的価値観の共存に向けて~文明の諸問題に対する総合的理解の試み

2008年
事業

先進4か国の産学連携メカニズムに関する国際比較研究

事業実施者 The Council for Industry and Higher Education(産業高等教育評議会/英国) 年数 2/2
形態 自主助成委託その他 事業費 11,186,100円
事業内容
本事業の目的は、先進4 ヵ国(日本・米国・英国・カナダ)での産学連携の実態について調査し、今後の産学連携の制度設計に貢献することです。英国での調査は、助成先の産業高等教育評議会が実施し、英国以外の調査には、東京大学先端科学技術研究センター(日本)、リサーチ・トライアングル・インターナショナル(米国)、モンジオン・コンサルティング( カナダ)が協力機関として参加しました。本事業では企業側からみた産学連携の実態を把握するため、4 ヵ国合計で93社の企業(製造・サービス業など)に対して、共通の調査項目に基づいた聞き取り調査を実施しました。その分析結果は本事業2年目に調査対象各国で開催されたセミナーを通じて報告されました。その結果、産学連携が大学による発明の産業界への移転という単純な構図で実施されているのではなく、共同研究、特許ライセンス、インターン制度、コンサルティングといった多様な側面を持っていること、そして最も効果的な技術移転は、知識と技術を持つ学生が企業へ移動することなどが明らかになりました。また、特許ライセンスが大学の財源確保の手段として重要視され、大学側のライセンス条件が厳しいものになっており、それが逆にライセンスを困難にしています。こういった状況から英国では、特許ライセンスのハードルを下げるために国がモデル契約書を作成し、その使用を勧めていることが判明しました。
大学側の技術移転機関では、特許ライセンス件数が産学連携の成果指標として用いられる傾向にありますが、こうした指標だけでは産学連携の社会への貢献を測ることは不十分であることも指摘されました。
一方、4 ヵ国の比較分析結果では、日本の産学連携の形は他国に比べて共同研究が際立って多いこと、他の3 ヵ国では共同研究以外の形(インターンやコンサルティング)が多いことが分かりました。日本では企業が大学との共同研究のイニシアチブを取る傾向が見られますが、他の3 ヵ国では企業からだけではなく、大学からも企業への働きかけが多いことが判明しました。また、大学における発明に関する日米の法制度(バイドール法)は類似しているものの、その運用は日米で異なっていることも指摘されました。
本事業の調査研究結果は、2009年3月に米国サンディエゴで開催された大学・企業・政府関係者を集めた国際会議で報告されました。また、本事業と関連助成事業「技術革新制度における大学の役割とインパクト」との相乗効果を高めるため、同事業に関連するワークショップにおいても、本事業の比較分析結果が報告されました。今後「技術革新制度」事業と本事業の報告書は、政府・大学・産業界の関係者へ広く配布される予定です。

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