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一般事業 世界的政策課題:揺れる国民国家と新たなる世界秩序の構築に向けて~揺れる国民国家と新たなる地球社会

1999年
事業

文化と民族-アジアの民族共存メカニズム探求

事業実施者 笹川平和財団米国(SPF-USA)/米国 年数 6/6
形態 自主助成委託その他 事業費 8,083,216円
事業内容
本事業は、民族的多様性を受け入れながら紛争を予防し、共存を果たしてきたアジアの人々の民族関係および「共存の知恵」を、方法論的に研究するというものです。そしてその成果を、広く国際社会における平和の可能性追求に役立てることを目的としています。
研究対象国は、南アジア、東南アジアの9か国、事業に参加する研究者は「アジアにおける民族的多様性がどのように社会性を構成しているか」を直接理解している人々を中心に選ばれました。民族の共存はどのようにして成り立つのか、民族関係とはどのように成り立っているのか、といった大きなテーマを、本事業は3つの視点から研究しました。

  • メデイアが共存に果たす役割
  • 毎日の暮らしの中で、異民族、異言語、異宗教の隣人とどのように共存しているかという、慣習や伝統についての研究
  • 憲法から一村落の慣習法まで、さまざまなレベルにおいて法律が共存に果たす役割
①では、新聞、テレビなど主流の報道メディアには、民族関係をより平和的に建設する上で多くの可能性があることを証明しました。②では、アジアのコミュニティで伝えられてきた慣習や伝統は現在でも脈々と生きており、そこから学ぶべきことが数多くあることを提示しました。③については、社会的弱者の人権やその他の権利を守るさまざまな法律が存在すること、それらをより深く研究し活用することによって、共存を実現する可能性が高くなることなどが実証されました。こうした多角的な民族問題へのアプローチから得られた研究成果は、以下のことを示唆しています。

  • 共存にはさまざまな要素、形態があり、それらはつねにお互いの信用や調和に満ちたバラ色の関係とは限らない
  • 共存とは、実際的、現実的で緻密な計算に基づくものであると同時に、生存を賭けた戦略である
研究活動とともに、こうしたアジア人によるアジアの民族関係に関する研究を、世界的なレベルで発表する機会もつくってきました。国連人権委員会や最終会議の米国国会議事堂での成果発表などがそのいい例です。欧米の民族問題への見識が学会や国際的な議論の場で主流を占める中、本事業はアジアからの声を国際的な場へ運ぶことに大きく頁献しました。

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