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一般事業 豊かな社会の創造と民間非営利活動~民間非営利活動に関する調査研究

2005年
事業

グラントシステムにおける専任評価官の役割

事業実施者 桜美林大学総合研究開発機構(日本) 年数 3/3
形態 自主助成委託その他 事業費 4,971,686円
事業内容
我が国でも2003年度より、政府の競争的研究資金制度において、研究課題の選定や評価、フォローアップなどの実務を行う専門職として、プログラム・オフィサー(PO)の導入が決定されました。現在、日本学術振興会や科学技術振興機構を中心にPOの配置が進んでおり、これが日本におけるPOのプロトタイプとされる傾向にあります。しかし、一部の民間財団以外にPO制度に実績のない日本では、POの実際的な役割を示す先進事例が求められていると考えられます。民間非営利セクター全般をみても、非営利プロジェクトを支援する財団のPOの役割についての認知は低く、そのキャリア育成面でも体系的な研修制度がないのが実状です。
本事業では、資金配分、プロジェクト形成やコーディネーション機能といったPOの幅広い役割に注目し、助成制度とPOのケーススタディを対象に調査研究を進めました。その成果は、翻訳出版物『助成という仕事:社会変革におけるプログラム・オフィサーの役割』(2006年3月、明石書店刊)と『助成制度とプログラム・オフィサーの役割(仮)』(06年12月刊行予定、学陽書房刊)にまとめられました。
最終年度を迎えた本年度は、「プログラム・オフィサーの役割とは何か」と題し、米国フォード財団プロジェクト・コーディネーターのジャン・ジャフィ氏と全米科学財団東京事務所所長のユー・ジュンク氏を招いて国際シンポジウムを開催しました(05年12月10日、於東京)。助成プログラムの運営にかかわる民間財団や公益法人、企業のCSR(企業の社会的責任)担当者、研究者と大学関係者、およびNPOの関係者など、官民のさまざまなセクターから約70人が集まり、組織のミッションを具体化した助成案件を選ぶうえでのPOの権限や専門性について、政府と民間の違い、米国と日本の違いを踏まえながら議論がなされました。制度や組織、助成対象分野によって相違はあっても、たとえば、新しい分野の研究や社会的ニーズをプロジェクト化する際に、先駆性や将来性をどのように判断するかといった点で、抱える課題は共通であることがわかり、それぞれの試行錯誤の経験が共有されました。学問的専門性もさることながら、特定の分野を超えた知識や社会的な需要を長い目でみられることがPOの資質の1つとして認識され、こうした経験について、情報交換していく価値が見いだされました。

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