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一般事業 多元的価値観の共存に向けて~情報の共有と地球社会に向けての発信

2005年
事業

医薬品および生物資材に関する知的財産権問題

事業実施者 The Hastings Center(米国) 年数 2/2
形態 自主助成委託その他 事業費 15,338,435円
事業内容
医薬品開発・生命科学研究が日進月歩で進められるなか、研究開発における知的財産の権利化の動きが活発化しています。研究開発に多大な投資を行う民間企業にとって知的財産権の保護は重要な戦略の1つですが、対象となる製品や研究開発が扱う分野によっては、公共の利益を阻害する要因に転化する恐れや、倫理的な課題を引き起こす懸念も指摘されています。
本事業は、HIV/AIDS治療薬と幹細胞を事例として、知的財産権制度を法律、倫理、経済、科学技術など多様な観点から分析し、現行制度において発展途上国の医療普及の不平等を解消するしくみと、現行のパラダイム外において知的財産権に適合可能な新たなしくみを探り、具体的な提言として発信することを目的としています。
2004年度は、HIV/AIDS治療薬などの医薬品の発展途上国における普及と知的財産権の保護との関係性、遺伝子工学における特許化とその社会的影響などについて、事実関係や、他の研究機関で進められた議論の整理を行うために既存文献の調査を行いました。また05年2月には、知的財産権を専門とする法律学者、遺伝子工学を扱う企業関係者、研究成果の技術移転に携わる大学関係者、発展途上国での医薬品入手の問題にかかわるNPOなど、多様な分野から成る専門家19人が集まり、研究内容を深めるためのプロジェクト会議を開催しました。
05年度も引き続き文献収集・調査を行いました。また、05年7月と06年3月にプロジェクト会議を開催し、発展途上国でのHIV/AIDS治療薬普及、幹細胞研究における生物資材の特許化について、知的財産制度の課題と新たなしくみを検討するとともに、本事業の調査研究成果をまとめました。その結果、「医薬品製造に関する特許プール」「投資が行われにくい医薬品への特許インセンティブ付与」「人道的なライセンス付与」「公的部門と民間部門の協力によるパートナーシップ」などが提言されました。また、06年3月には、米国大学技術移転協会の総会で本事業の成果を報告しました。研究成果は、今後、助成先の刊行物やウェブサイトなどを通じて国内外に広く公開されるほか、調査研究の議論に参加した専門家5人による論文(「強制実施権をめぐるブラジルからの教訓」「インドの新特許制度」「TRIPS協定とアフリカの課題」など)が国際専門誌『国際バイオテクノロジー・ジャーナル』に掲載される予定です。

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