産業-択捉島


・漁業
択捉島は主に鮭鱒の漁業で成り立っていた。
鮭・鱒(マス)等の主要な漁業においては、そのほとんどが会社や企業によって経営され、漁獲の処理は函館、根室および東北地方からの出稼ぎ労働者によって行われた。鱈(タラ)、昆布、その他の雑漁は島民による経営であった(Ref.1)。

鮭と鱒の漁獲高(単位は千貫)(Ref.1)
昭和14年 昭和15年 昭和16年
歯舞群島 0 0 94 128 36 204
色丹島 3 1 2 10 20 30
国後島 15 0 80 20 100 10
択捉島 269 1,800 223 870 550 1,470
四島合計 287 1,801 399 1,028 706 1,714

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鮭鱒の水揚げの様子・蕊取
写真提供:千島歯舞諸島居住者連盟

・林業
択捉島には膨大な国有林があり、林業も盛んだった。
森林を構成するのは、針葉樹のトドマツ、チシマカラマツ、広葉樹のガンビ、ナラ、ハンノキ、シラカバ、イタヤ、ナナカマド、シウリ等である。一般的に針葉樹・広葉樹ともに海岸の風衝地を除いては南部の内保(ないぼ)方面のものは生長、形質共に比較的良好で、用材として利用価値の高いものが多かった。北に行くに従って次第に樹種、蓄積量が減っていき、生長、形質ともに悪くとなり、中部の留別(るべつ)付近においては用材として利用できるものはわずかで、その大部分は薪炭材(しんたんざい)とされた。北部蕊取(しべとろ)地区においては、薪材としての利用価値にも乏しかった(Ref.1)。

・孵化事業
択捉島には、官営・民営による鮭鱒族の人工孵化事業場存在し、鮭・鱒の資源維持において非常に重要な地域であった(Ref.1)。

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紗那鮭鱒孵化場
写真提供:千島歯舞諸島居住者連盟

・鉱業
日本でも著名な鉱山として注目された茂世路(もよろ)鉱山の休山以来、ほとんど試掘されなかったが、主に硫黄、金銀、硫化鉄、鉄、砂鉄、珪砂、珪藻土等の存在が見込まれた(Ref.1)。

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茂世路・旧硫黄鉱精錬所
写真提供:千島歯舞諸島居住者連盟

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Ref.1:北海道総務部領土復帰北方漁業対策本部『戦前における歯舞・色丹・国後・択捉諸島の概況』(1958年)


インデックス
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