第15巻1号では、世界各地で次々に勃発する海洋と島嶼の問題を、幅広い視点で取り上げている。
論説は2本を掲載。『トランプ政権下のグリーンランド買収企図を巡る内外情勢分析』では、世界の安全保障に重要な立ち位置であるグリーンランドと、その米国による買収問題を世界情勢に通暁する著者が分析・考察している。将来の選択肢として米国との「自由連合」(Free Association)を、また、日本・グリーンランド協力の一環として氷床下の大規模天然食料・医療品保管庫建設構想を提言している。
『実務的デカップリング-2025年の日露関係』では、少しずつ日本に対し外交的圧力を強めているロシアとの間にある北方領土問題、ロシア産エネルギーの問題への対処方法を論じ、最終的には日露のデカップリングを目指し、日本の外交・経済資源は、インド太平洋秩序を共に支える力と意志を持つ国々に再分配すべきであると論じている。
インサイトは3本を掲載。
『仲裁裁定9年目の南シナ海-中国に対するフィリピンの2つの革新的対応措置を中心に-』では、2016年7月、南シナ海仲裁裁判所においてフィリピンがほぼ全面勝訴したにもかかわらず、中国は裁定をあらゆる意味で受け入れないと表明し、9年目の今も南シナ海で妨害行為や威圧的行動を続けている。フィリピンが中国に対抗するために始めたのが「積極的透明化キャンペーン」であり、本論ではその内容や評価、また日本との関係について論じている。
『「ブルー・エコノミー」の認知度拡大に伴う今後の課題』では、外交・安全保障の文脈で提唱された「ブルー・エコノミー」という概念は、流行語のようになって拡大解釈され、主に自然環境・経済の観点からのみ語られるようになってしまっているが、著者はアフリカや中南米の例を挙げて、本来の「ブルー・エコノミー」について具体的に論じている。
『歴史的観点から台湾の地政学的・経済的・文化の地位を考える』では、台湾について、歴史的な観点から東アジアでの立ち位置について考察し、軍事衝突・IT通信機器・米国でのロビー活動・投資の4点において台湾には強みがあり、独立を貫けると論じている。
コラムでは『竹島問題啓発パネル展「出張竹島資料室in浜田」について』を掲載した。「竹島資料室」は島根県が2007年に竹島問題の啓発を目的として開設した。以来、竹島関係資料収集、研究会活動などを続け大きな成果を上げている。本稿では同資料室の啓発活動の具体例を取り上げ、特に島根県水産試験場の竹島周辺調査の歴史を解説している。
詳細
島嶼研究ジャーナル第15巻1号 (2025年11月30日)

本体1000円+税
発 行 所 島嶼資料センター
印刷・販売 りんや出版株式会社
『島嶼研究ジャーナル』は、資料に基づく専門家の学術的な論文を集めた「論説」、国際会議等の国際社会の場で議論された日本の島嶼に関わる問題情報を紹介する「インサイト」、島嶼に関わる問題を理解するための読み物「コラム」の3コンテンツから構成され、島嶼に関する問題の本質を斯界の専門家によりわかりやすく解説しています。オンライン書店でお買い求めいただけます。
りんや出版株式会社 contact@rin-p.co.jp(メールにて販売受付)

日本の島嶼領土
尖閣諸島・竹島・北方領土
パンフレット

- 簡潔にまとめました
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インフォ・ライブラリーは、尖閣諸島、竹島、北方領土(択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島)が歴史的にも国際法的にも日本の領土であることを分かり易く紹介しています。これらの日本の島嶼領土の法的地位、地理、歴史的経緯などの正確な理解に是非お役立てください。
ダウンロード(PDF: 7MB)




尖閣諸島 Facts&Figures
2014年12月29日更新

(古賀花子氏提供 那覇市歴史博物館蔵)
尖閣諸島は、日本政府が現地調査を行い、無人島であるだけでなく清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重に確認した上で、1895年1月14日、現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行い、正式に日本の領土に編入されました。この行為は、国際法上、正当に領有権を取得するためのやり方に合致しています(先占の法理)。
尖閣諸島Facts & Figures(F&F)は、尖閣諸島に関する精確な事実関係を明らかにし、同島が歴史的にも一貫して日本の領土であることを理解するため、公文書、現地調査報告書などの「事実情報」を掲載しています。
竹島 Facts&Figures
2014年12月29日更新

出典:大阪朝日新聞(1934年撮影)
竹島は、1905年1月、日本政府の閣議決定により「竹島」と命名され、「隠岐島司ノ所管」になりました。この閣議決定により、日本は竹島を領有する意思を再確認し、島根県は竹島を官有地台帳に登録しています。それ以降日本は、竹島を平穏かつ継続して実効的に支配してきました。
竹島Facts & Figures(F&F)は、竹島に関する精確な事実関係を明らかにするため、および同島が歴史的事実に照らしても、国際法上も明らかに日本固有の領土であることを理解するため、公文書や調査報告書などの「事実情報」を掲載しています。
北方領土 Facts&Figures
2014年12月29日更新

択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島からなる北方領土は、これまで一度も他国の領土となったことがない、日本固有の領土です。第二次世界大戦終了後、ソ連は、北方領土のすべてを占領し、法的根拠なしに一方的に自国領土に編入し、北方領土の居住していた全ての日本人(約1万7千人)を強制的に日本本土に引き揚げさせました。
北方領土Facts & Figuresは、北方領土に関連する歴史的経緯や地理的環境を紹介するために、国際的文書、公文書、調査報告書などの「事実情報」を掲載しています。また掲載している写真は、往時の人々の暮らしぶりを浮かび上がらせています。
小笠原諸島 Facts&Figures
2014年12月29日更新

(所蔵:国立公文書館)
小笠原諸島は、小笠原群島(聟島列島、父島列島、母島列島)、火山(硫黄)列島、沖ノ鳥島、南鳥島及び周辺の小島(西之島、孀婦(そうふ)岩など)で構成されます。 1876(明治9年)に、小笠原島の日本統治が各国に通知され、日本の領有権が確定しました。第二次世界大戦後、一時米国の施政権下に置かれましたが、1968年に日本の施政権下に復帰しました。
小笠原諸島Facts & Figures(F&F)は、小笠原諸島に関連する歴史的経緯や人々の暮らしを紹介するため、公文書や調査報告書などの「事実情報」を掲載しています。
沖ノ鳥島 Facts&Figures
2014年12月29日更新

沖ノ鳥島は、1789年にイギリス船によって発見され、船長の名にちなみダーグラス・リーフと呼ばれていた。1922年と1925年に日本海軍により測量が行われ、どの国にも領有されていないことを確認したのち、1931年、沖ノ鳥島という名称で日本の領土に編入された。第二次世界大戦後、米国の施政下に置かれていましたが、1968年、日本の施政権下に復帰しました。沖ノ鳥島は、日本の国土面積(38万km²)を上回る40万km²の排他的経済水域を有しており、国土保全上きわめて重要な島です。
沖ノ鳥島Facts & Figures(F&F)では、この島の発見、日本の領土への編入、その後の保全措置等に関する記事を掲載しています。











