6. 環境

竹島の人間が居住する観点からの環境について、1906年(明治39年)の島根県の視察団による調査において、飲料水および生活状態に関する記録が残されている。

飲料水
飲料水に関しては、島内に飲料水はないが、西島(男島)に一ヶ所水だまりがあるとしている。ただし、海水と雨水が混合したもので、塩分が多く、飲料水には適さないとしている。東島(女島)の中腹には、土壌中を通過した雨水と思われる水が滴下するところがあるが、これも淡黄色を帯び、少しの塩分を含んでおり、飲料水としては不適当であると結論づけている。この水については、水質試験も行っている(下表)。したがって、竹島に出漁している漁業者は、飲料水のすべてを隠岐の島から輸送していると報告している。(Ref.1)

項目結果(‰)
有機質33.000以上(多量)
亜硝酸検出せず
格魯兒(塩素:Chlorine)960.300
石灰多量
硫酸中量
鐵(鉄)検出せず
安母尼亜(アンモニア)痕跡
苦土(酸化マグネシウム)微量
硝酸検出せず

生活状態
同報告には、東島(女島)の沿岸に狭小な砂礫の浜があり、夏期に漁撈活動の従事者が仮住まいする竹島漁猟合資会社の小屋が2棟あるとしている。漁舟はすべてこの砂礫上に引き揚げるが、風浪が激烈なときは往々にして破砕・流出することがあり、また、岩石崩壊による危険があるものの、それ以外に小屋を構える場所がないとしている。ともかく居住に必要なものが欠乏しており、従来より居住するものは居らず、ただ数年前から、海驢猟者や潜水器漁業者が鮑採集に寄航する程度であるとし、居住環境としては厳しいものがあることを述べている。 (Ref.1)


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Ref.1: 奥原碧雲『竹島及鬱陵島』(1907年)