択捉島の水産会社
2020年05月18日
択捉島周辺海域では鮭鱒を中心とした定置網漁業が盛んに行われていた。択捉島には水産加工会社が15社存在し、鮭鱒漁業のほか、鱈漁業や蟹漁業、捕鯨業などがあった。鮭鱒漁業会社の大半は、函館の中小漁業者による経営であった。昭和17年には、漁業関連事業を行っていた事業者が統合され、鮭鱒漁業権は択捉漁業株式会社が独占した(Ref.1)。
昭和12年の水産製品の生産額は、総額3,058,000円で、乾製品、塩蔵品、缶詰製品、油脂製品などに加工された。昆布や鱈などの乾物類の加工は手作業で行われたが、天然乾燥による加工であったため、干場や納屋など簡単な設備と人手があれば作業が可能で、家族労働を中心に数名の手伝い人を使用する程度であった。一方、缶詰生産は漁業から独立した企業体によって生産された。択捉島では明治12年ころから鮭鱒の缶詰製造が始まったといわれている(Ref. 2)。
表:水産会社一覧(昭和15年調)(Ref. 1)
設立年月日 | 資本金額 (千円) |
資本系統 | 主たる事業の種類 | 本社所在地・主たる事業地 | |
日本水産株式会社 | 昭和12年6月5日 | 93,000 | 日本産業株式会社 | 捕鯨業及び缶詰業 | 東京都 択捉島・色丹島 |
豊洋漁業株式会社 | 昭和13年1月31日 | 100 | 日本産業株式会社 | 目抜魚漁業 | 函館市 択捉島・色丹島 |
千島開発株式会社 | 昭和15年5月25日 | 200 | 漁業及び鉱業 | 根室町 択捉島 |
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東択捉漁業株式会社 | 昭和11年2月6日 | 500 | 鮭鱒蟹漁業及び缶詰業 | 函館市 択捉島 |
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合資会社角伝商会 | 昭和6年2月6日 | 350 | 日本産業株式会社 | 鮭鱒鮪漁業 | 函館市 択捉島 |
栖原漁業株式会社 | 昭和6年10月15日 | 850 | 鮭鱒漁業及び缶詰業 | 函館市 択捉島 |
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択捉水産株式会社 | 昭和2年5月6日 | 600 | 株式会社林兼商店 | 鮭鱒漁業及び缶詰業 | 函館市 択捉島 |
鎌重漁業合資会社 | 昭和7年12月5日 | 80 | 鮭鱒漁業 | 函館市 択捉島 |
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合資会社イ印商会 | 大正15年3月15日 | 250 | 鮭鱒漁業 | 函館市 択捉島 |
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東邦水産株式会社 | 昭和3年12月22日 | 1,000 | 鮭鱒鱈漁業及び缶詰業 | 函館市 択捉島 |
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田端漁業合資会社 | 大正15年 | 100 | 鮭鱒漁業 | 函館市 択捉島・色丹島 |
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興北産業合名会社 | 昭和13年8月 | 100 | 蟹漁業及び缶詰業 | 根室町 択捉島 |
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遠洋捕鯨株式会社 | 昭和5年8月28日 | 300 | 株式会社林兼商店 | 捕鯨業 | 東京市 択捉島 |
極洋捕鯨株式会社 | 昭和12年9月3日 | 2,000 | 捕鯨業 | 東京市 択捉島 |
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北海捕獣株式会社 | 昭和13年4月6日 | 50 | 北海道酪農組合連合会 | 海獣漁業 | 札幌市 択捉島 |

鱒定置網の網起こしの様子(昭和14年)
提供:駒井淳助氏(択捉島水産会)


鱒漁獲加工の状況
建物の前に積まれた荷は塩蔵された鱒
荷一山が約600束(1束=20~25尾)
択捉島蘂取村(1927年(昭和2年)
提供:駒井淳助氏(択捉島水産会)


船着き場の様子
水揚げされた魚は、ベルトコンベアによって工場内に運ばれた。Motor Roomと書かれた建物があり、電力が使われていたことがうかがえる。
提供:高野宏康氏






缶詰加工の様子
専用の機械を用いて加工されていた。
提供:高野宏康氏
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