NPOオンライン資料センター開発

近年、民間非営利セクターに関連する情報量は急激に増加しています。しかし、それらの情報は、必ずしも発信者（NPO）と受信者（研究者や市民など）の間で効果的に共有されていません。たとえば、NPOが学術的に優れた出版物を作成したとしても、財政難などの事情から普及範囲に限度があります。また、それらに興味をもつ研究者も、情報が氾濫するなかで必要な情報を的確に入手できない場合があります。本事業は、そうした現状を改善する一例を示すことを目的としています。そのために、非営利セクターが成熟し、情報量が豊富なインドで最大規模のネットワークをもつVoluntary Health Association of India（VHAI）を支援し、NPOが作成する地域開発分野の出版物や関連情報をウェブサイト上で効果的に共有するシステム「NPOオンライン資料センター（ORC）」の開発に取り組みました。
3年事業の最終年度である本年度は、前年度に作成されたORC試行版の試験運用の結果をもとに、掲載データの内容の改訂、サーチエンジンの導入、会員の拡充、その他システムの改善などを行いました。また、地方に拠点をおく会員団体を対象に、ORCの内容や活用方法を説明するためのワークショップをハリヤナ州とマディア・プラデーシュ州で開催しました。
一連の活動の結果、①ORCウェブサイト（www.（nposonline.net）、②ORCを利用するNPOや一般の人たちを対象とした『ORC利用マニュアル』、③過去3年間の活動の総括やORCの将来的な運営・拡充方針に関する提案などを盛り込んだ総括報告書『NPOオンライン資料センター事業：パイロットの総括と検証』といった成果物が作成されました。ORCには、現在約850団体が登録し、関連組織が作成する出版物に加え、開発分野に関する政府や国際機関の政策文書、NGOが実施する開発事業の成功事例、関連分野の会議やセミナーに関する情報、インドNGOのデータベースなどの情報が盛り込まれています。今後、出版物や報告書などを中心に、インドの民間非営利セクターに関する総括的な情報を提供するツールとして、内外の幅広い関係者から活用されることが期待されます。
なお、VHAIでは、SPFの助成終了後もシステムの運営を独自に維持していく予定です。ORCが効果的に活用されるために、引き続き会員団体に対して必要な能力強化を行う場を設けていくほか、ヒンズー語版のウェブサイトの作成も計画されています。