尖閣諸島の気象(気候区分・気象状況)


気候区分
ケッペンの気候区分では、熱帯雨林気候(Af)に区分される。(Ref.1)
日本国内の気候区分(関口武)では、南西諸島気候区に区分される。(Ref.2)

気象庁の府県予報区では「八重山地方」に属している。 高温多湿の亜熱帯海洋性気候であり、年平均気温が23℃を超える。年降水量は2000㎜を超え、東京都と比較すると500㎜程度多い。夏(7~9月)は、太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多く、真夏日と熱帯夜が続く。台風による降水量が多いため台風の接近が少ないと渇水になることもある。冬は大陸高気圧が張り出して北からの季節風が吹き、小雨の降る肌寒い日が多くなる。(Ref.3)

魚釣島・南小島・北小島の風・気流の推定(1979)
沖縄開発庁が1979年に行った尖閣諸島の利用開発可能性調査によれば、自然条件等の調査において、魚釣島及び南小島・北小島の年間の風向・風速及び気流の推定が行われている。尖閣諸島に比較的近接した宮古諸島、八重山諸島に設置されている気象庁管下の気象官署における既往資料、および長年の資料から得られた月別の平均海面気圧分布図から地衡風を求め、これらを総合して風・気流の推定を行っている。結果、尖閣諸島の一般的な風の特性を代表しているのは、宮古島における風であると推定している。しかし、宮古島と比較して尖閣諸島は面積が小さく、地形勾配が大きいため、違いが大きく表れる可能性があることから、比較的小島で地形の急峻な与那国島の風の特性を加味し、各月ごとの魚釣島の推定地表風速、推定風向頻度表、推定風配図を作成している。(Ref.4)
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出典(上・中・下): 沖縄開発庁『尖閣諸島調査報告書(利用開発可能性調査編)』(1980年)

尖閣諸島近海の波浪の推定(1979)
沖縄開発庁が1979年に行った尖閣諸島の利用開発可能性調査によれば、自然条件等の調査において、尖閣諸島周辺海域の波浪の推定が行われている。この推定は異常気象時の天気図を用いて風と波浪を水産する有義波法の波浪計算で得られた結果を用い、当該海域において異常気象時の気象・海象状況を把握することを目的としている。結果、尖閣諸島近海においては中心気圧930hPa(MB)未満の台風が最も危険な進路である南西側近傍を通過した場合、16mの有義波高(周期17秒, 波向・東より)が見込まれるとしている。同様に、季節風の付記だしによる高波高は最も強い冬型の時で、6~7mの有義波高(周期8~10秒、波向・北より)が見込まれるとしている。また、波向別の最高波高値などを示している。(Ref.4)
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出典: 沖縄開発庁『尖閣諸島調査報告書(利用開発可能性調査編)』(1980年)


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Ref.1 :Institute for Veterinary Public Healthホームページ(World Maps of Köppen-Geiger climate classification)
→http://koeppen-geiger.vu-wien.ac.at/

Ref.2 :国土地理院ホームページ
→http://www.gsi.go.jp/atlas/archive/j-atlas-d_2j_10.pdf

Ref.3 :気象庁石垣島気象台ホームページ(八重山の気象業務:2011年)
→http://www.jma-net.go.jp/ishigaki/kishougyoumu/kishougyoumu.pdf

Ref.4 :沖縄開発庁『尖閣列島調査報告書(利用開発可能性調査編)』(1980年)


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