1978年4月12日~

中国漁船による領海侵入

1978年4月12日午前7時30分頃、海上保安庁第十一管区海上保安本部の巡視船「やえやま」は、魚釣島付近の海域に100隻前後の船団がいるのをレーダーで視認した。午前8時頃接近し確認したところ、いずれも100トン前後の底びき漁船で、マストに五星紅旗を掲げ、一部は船首に機銃を装備した中国漁船団であることが判明した。これら漁船群のうち約40隻は領海に侵入し、約60隻は領海線付近の領海外で漂泊又は、はいかい中であることを確認した。(Ref.1)

「やえやま」は、中国漁船に領海外退去を命ずるとともに、午前9時40分に領海内である魚釣島から327度10海里で漂泊中の1隻に対し、機動艇で立ち入り検査に向かったが、相手船は強く接舷を拒否した。付近の他の1隻も同様に拒否し、船橋外板にチョークで「ここは中国の領海であるから操業する権利を有する」という意味の中国語を書き、機銃のカバーを取り威嚇の姿勢を示した。(Ref.1)

中国漁船は、次第にその数を増してきたため、4月14日、第十一管区海上保安本部に警備実施本部を設置し、他管区が応援の巡視船を派遣して警戒にあたった。警備の増強とともに中国船団の姿勢は軟化し、4月18日に漁船群は漸次北西の方に移動をはじめ、同日午後2時15分には全船が領海外へ退去した。この間、領海侵犯した中国漁船は、延べ357隻に及んだ。(Ref.1)


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Ref.1 :海上保安庁第十一管区海上保安本部『第11管区海上保安本部10年のあゆみ』(1982年)p.50
(沖縄県立図書館所蔵)