動物

  • 2020年05月18日

陸棲動物
小笠原諸島は、陸と一度もつながったことがない海洋島であるため、極端な偏りのある生物集団が生息している。小笠原諸島に生息する陸棲動物は、海を渡ることができた祖先が、偶然によって移住を実現させたものといえる。自然分布する陸棲動物のうち、比較的移動能力が高い鳥類を除くと、哺乳類はオガサワラオオコウモリのみが唯一生息している。爬虫類はオガサワラトカゲとミナミトリシマヤモリの2種のみで、両生類にあっては皆無である。鳥類は飛行能力があるため、比較的移動能力が高いとされるが、本州から1,000km離れた小笠原諸島は容易に到達できる場所ではない。一方で、到達できた鳥類は島で独自の進化を遂げ、固有種あるいは固有亜種として定着している。陸鳥では4種の固有陸鳥が生息しいていたとされるが、現在はメグロ一種のみである(Ref.1,2)。

小笠原諸島はBirdLife Internationalの重要野鳥生息地域(IBA)に指定されているほか、小笠原群島が固有種メグロの生息地として、また、固有亜種で生息地域限定種であるアカガシラカラスバトの生息地として、BirdLife Internationalの固有鳥類生息地域(EBA)に指定されている(Ref.1,2)。

海棲動物
小笠原諸島の沿岸域では、魚類約1,000種、鯨類23種、腹足類約1,100種、造礁サンゴ約220類が報告されている。これらのうち、魚類は伊豆諸島などの北の地域よりも、マリアナ諸島など南の地域との共通性が高い。鯨類では、淡水で過ごす4種を除き、世界の海で生息している鯨類の約3割の種が、小笠原諸島の近海に生息している(Ref.1,2)。