返還後の農業

  • 2020年05月18日

亜熱帯性の気候を活かし、野菜や熱帯果樹、園芸作物の生産を主体としている。野菜類では、トマト、オクラ、ジャガイモ、スイカ等、果実類では、パッションフルーツ、マンゴー、レモン、バナナ、パパイヤ等が生産されてきた(Ref. 1,2)。

返還当初、父島では、東京市場向けのものよりも島内消費のものと観光者向けのものが生産の主体で、おみやげ物としてバナナの栽培が盛んであった。一方、母島では東京向けの移出を主体とし、戦前から続くカボチャの生産に重点が置かれた(Ref.2)。近年ではコーヒーの生産が徐々に増え、ジャム等の加工品の開発も行われるようになった。パッションフルーツやレモン、コーヒー等の主要品目は特産化され、島内消費だけでなく観光客への需要が高く、供給が追いついていない状況にある。他方、生産面積は高齢化や後継者不足によって横ばい状態にある(Ref.1)。

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Ref.1東京都小笠原支庁『管内概要』令和元年版p.79, pp.88-103
Ref.2:財団法人小笠原協会『小笠原諸島調査報告書=農業を中心として=』(1974年)pp.2-7