1690(元禄3)年に長崎のオランダ商館に赴任したドイツ人医師のエルゲルベルト・ケンペルは、出島に2年間滞在し、その間に日本の情報を収集した。そして、帰国後に『日本誌』としてまとめ、その中に“無人島”について記述している。それによると、1675年頃(原文ママ)に八丈島から暴風で流された小舟が大きな島を発見したとされる。その島は、八丈島から300東方に位置し、人は住んでいなかったが果樹やアラク椰子の木々があり、新鮮な水が豊富にあったという。椰子の種類から、この島の位置は東というよりも日本の南方であると推測された。この島は、人が住んでいなかったことから “Buneshima(無人島)” あるいは”Island Bune(無人の島)”と呼ばれた(Ref.1)。
※ケンペルが日本人による無人島の発見をヨーロッパに紹介したことで、無人島の存在が国際的にも知られるようになった。なお、原文には漂着した年が1675年とされているが、ケンペルが出島に滞在した期間を考慮すると1670年の誤りであるとの指摘がある(参考1)。
Ref.1:Engelbert Kaempfer, The History of Japan, together with a description of the kingdom of Siam, 1690-1692,Glasgow: J. MacLehose and sons, 1906, Vol.1, pp.113-114.
参考資料
参考1:田中弘之『幕末の小笠原』中央公論社, 1997(中公新書)pp. 18-20
参考2:エンゲルベルト・ケンペル(今井正 訳)『日本誌』霞ヶ関出版, 1973, pp. 95-96
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