漁業権

1901(明治34)年に旧漁業法が制定され(1910(明治43)年改正)、沿岸漁業は、定置漁業権、区画漁業権、特別漁業権、専用漁業権の免許によって管理された(Ref.1, 2)。北方領土周辺では、鮭や鱒の定置漁業を中心とした漁業が盛んにおこなわれ、第二次世界大戦終戦時までに専用漁業権が9件、定置漁業権が1,369件、特別漁業権が77件の旧漁業権が設定されていた(Ref.3)。
免許状には、漁業の種類や漁場の位置、漁獲物の種類などが記され、漁場図が添付されている(Ref.4)。択捉島では、択捉水産会によって漁場の位置や免許番号、沖出間数、沖出方位、漁業権者などが択捉島漁業権者名簿としてまとめられた(Ref.5)。
鮭や鱒などの定置漁業権は大半が世襲的に相続されており、新規で免許されたのは極めて少なかったが、やがて個人漁業者に免許された漁業権が売買されるようになり、函館出身の中小資本や海産問屋に掌握されるようになった。また、漁業権の賃貸借もかなり広く行われ、定置漁業権者の中には、自らは操業せず賃貸料で稼ぐものもいた(Ref. 6)。

表:漁業統括表(Ref. 3)

【国後島】
国後島





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専用漁業権
85 85 鮭定置



130 130 鱒定置
19 19 鰊定置
鮪定置
氷下魚定置
234 234
1 1 鮭特別





4 4 鱒特別
3 3 鰊特別
1 1 鯵特別
氷下魚定置
9 9
243 243 定置特別合計


【択捉島】
択捉島





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専用漁業権
331 84 126 121 鮭定置



740 220 243 277 鱒定置
鰊定置
7 7 鮪定置
氷下魚定置
1078 331 369 398
27 4 7 16 鮭特別





38 11 12 15 鱒特別
鰊特別
鯵特別
氷下魚定置
65 15 19 31
1143 326 388 429 定置特別合計


【歯舞群島】
歯舞諸島













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専用漁業権
6 1 3 1 1 鮭定置



鱒定置
鮪定置
51 20 18 8 5 氷下魚定置
57 21 21 9 6
1 1 鮭特別





鱒特別
鰊特別
鯵特別
氷下魚定置
1 1
58 21 22 9 6 定置特別合計


【色丹島】
色丹島





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専用漁業権
鮭定置



鱒定置
鮪定置
氷下魚定置
1 1
鮭特別





1 1 鱒特別
鰊特別
鯵特別
1 1 氷下魚定置
2 2
2 2 定置特別合計







駒井弥兵衛氏の定置漁業権免許状(Ref.4)
提供:駒井淳助氏(択捉島水産会)