宝沼鉱山

宝沼鉱山は、泊山一菱内(いちひしない)カルデラの中央火口丘である宝沼(ほうしょう)火山の南側に位置する鉱山である。宝沼は深さ約15mで、湖底は比較的平たく、13個あると言われる硫黄湧出口は山側に多く存在した。宝沼はもともと爆裂火口で硫黄と温泉を湧出しており、宝沼鉱山はこの湖底から湧き出る溶融(ようゆう)硫黄を船上からバケツのようなもので汲み上げて採取していた。汲み上げた鉱石に含まれる硫黄分は平均55%だったが、中には80%含まれる良質なものもあった。鉱石は山の麓で精錬され、夏期の6カ月間の操業で年間350t生産した(Ref.1)。

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ポントウ沼硫黄鉱・湖底からバケツで汲みあげる(泊村東沸地区東沸)
写真提供:千島歯舞諸島居住者連盟

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Ref.1:北海道千島調査所編『千島調査書』領土復帰北方漁業対策本部, 1956年(昭和14-16年の調査)pp.94-95