缶詰会社の設立

国後島の水産物のうち、タラバガニ、ハナサキガニ、ホッキ、ホタテ貝、エビなどは缶詰に加工されていた。泊(とまり)、東沸(とうふつ)、キナシリ、作万別(さくまんべつ)、中ノ古丹(なかのこたん)、古釜布(ふるかまっぷ)、チタルベウス、キナカイ、オキツウスなどの各地に多くの缶詰製造工場があったが、昭和13年8月、北海道庁の斡旋で、根室湾および根室から釧路間のタラバガニ漁業と同缶詰業とを合わせて、資本金500万円の蟹缶詰合同株式会社が創立された。同年12月には、根室湾にあったハナサキガニ漁業と同缶詰業を合わせて、資本金130万円の花咲蟹合同漁業株式会社を創立した。さらに昭和14年12月には、この両社を合併して資本金630万円の蟹缶詰合同株式会社が設立され、根室近海カニ漁業および同缶詰業が統一された。また昭和14年12月には、根室近海貝類缶詰業が合同し、昭和15年4月より事業を開始した(Ref.1)。

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国後島泊村東沸にあった缶詰工場の作業場(昭和9年当時)
写真提供:千島歯舞諸島居住者連盟

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Ref.1:北海道千島調査所編『千島調査書』領土復帰北方漁業対策本部, 1956年(昭和14-16年の調査)p.108ページ