国後島の昆布採取

国後島の東海岸に位置する植内や白糠泊等では昆布が採取されていた。昆布は、根室半島や歯舞群島産と同種のナガコンブで、年による豊凶はあるものの比較的安定した漁業として、漁民のほぼ全員が従事していたとされる。採取された昆布は、そのまま海岸で干されていた(Ref.1)。

昆布の漁獲高は、歯舞群島に次いで北方四島で2番目に多く、昭和15年には10,170,000貫(4万トン弱)を記録した(Ref.2)。

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白糠泊海岸の昆布干し(留夜別村白糠泊地区白糠泊) 
写真提供:千島歯舞諸島居住者連盟

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植内の昆布干し風景(留夜別村植内地区植内)
写真提供:千島歯舞諸島居住者連盟

昆布の漁獲高(単位:千貫)(Ref.2)
昭和14年 昭和15年 昭和16年
歯舞群島 34,744 40,168 24,425
色丹島 530 736 100
国後島 6,300 10,170 1,870
択捉島 1,500 1,880 1,538
四島合計 43,074 52,954 27.933


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Ref.1伊藤久雄「昭和初年における国後・択捉島及び色丹島の水産業」『北海道地理』 41号 (1968年) pp.1-8
Ref.2:北海道総務部領土復帰北方漁業対策本部『戦前における歯舞・色丹・国後・択捉諸島の概況』(1958年)p.35