紗那港

紗那港(しゃなこう)は、択捉島の西海岸にある紗那湾のほぼ中央に位置している(Ref.1)。

東側には高さ約30mの台場の鼻があり、崖が迫る海岸は転石浜である。港の南側一帯は砂浜となっており、その後ろ側には高さ約30mの小高い砂丘があり、ナタエバツケの鼻に至る障壁となっている。沖合約500m地点に八丁瀬と呼ばれる岩礁があり、付近の水深はわずか3mである。また沖合180m地点、台場の鼻の先は水深が大変深く、19mを越える箇所が存在する。湾内中央深所は海底が砂質だが、他は岩盤が露出している。港がオホーツク海に面するため、秋冬期の北西風を直接受けることになり、冬期の湾内は凍結する。港奥には紗那川(しゃなかわ)が流入している(Ref.1)。

択捉島の中心地であった紗那市街には、鮭・鱒漁場、蟹缶詰工場、官公署の出先機関、択捉水産会などが存在した(Ref.2)。

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紗那港 河口と立岩(紗那村紗那地区紗那)
写真提供:千島歯舞諸島居住者連盟

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紗那湾で水泳を楽しむ子供達(紗那村紗那地区紗那)
写真提供:千島歯舞諸島居住者連盟

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紗那港の流氷(紗那村紗那地区紗那)
写真提供:千島歯舞諸島居住者連盟

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台場より紗那市街を望む(紗那村紗那地区紗那)
写真提供:千島歯舞諸島居住者連盟

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紗那市街高台より(紗那村紗那地区紗那)
写真提供:千島歯舞諸島居住者連盟

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Ref.1:沖縄・北方対策庁『北方地域総合実態調査書(択捉島の部)』(1971年)pp.32-33
Ref.2:沖縄・北方対策庁『北方地域総合実態調査書(択捉島の部)』(1971年)p.18