紗万部港

紗万部港(しゃまんべこう)は、択捉島西海岸散布半島東岸のほぼ中央に位置している(Ref.1)。

沿岸一帯は玉石浜もしくは岩礁からなる。港の背後は海岸付近で高さ50~100mの断崖を形成している。紗万部港がある湾は、北側にクキドノ崎が突き出す形で形成された湾で、湾口付近の幅は約1,500m、奥行きは約550mである。港内には高さ42mの岩礁がそびえ立っている。湾内の水深は深く、海岸から沖合200m地点で水深10mに達する。また、後方は散布山の山麓にあたり、冬季に多い北西からの風の影響が非常に少ないため、湾内は比較的平穏で、択捉島の西海岸における避難港として利用された(Ref.2)。

港の北隅には、鱒鮭などの缶詰を製造する栖原(すはら)漁業株式会社の工場が存在し、漁期には150人の季節労働者を受け入れていた(Ref.2)。

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紗万部と散布山(紗那村散布山地区散布山)
写真提供:千島歯舞諸島居住者連盟

紗万部缶詰工場(Ref.3)
所在地 事業
栖原漁業株式会社 紗万別缶詰工場 紗那村大字別飛村字紗万部 鮭鱒など缶詰

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Ref.1:沖縄・北方対策庁『北方地域総合実態調査書(択捉島の部)』(1971年)p.34
Ref.2:沖縄・北方対策庁『北方地域総合実態調査書(択捉島の部)』(1971年)pp.115-116
Ref.3:沖縄・北方対策庁『北方地域総合実態調査書(択捉島の部)』(1971年)p.189