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一般事業 グローバリゼーションの功罪への挑戦~人口移動に関わる問題

2010年
事業

人口変動の新潮流への対処

事業実施者 笹川平和財団
ダイバーシティ研究所
年数 3/3
形態 自主助成委託その他 事業費 38,179,804円
事業内容
人口構成や労働市場の世界的な変化に伴い、外国人労働者受け入れについては、国際的に様々な議論が展開されている中、日本では世論や政策の合意形成がないままに、受入れの実態のみが先行している。本事業は、外国人労働者受け入れ問題に関する政策提言を目的に、日本およびアジア、欧州における外国人の受け入れと送り出しの状況や外国人労働者をめぐる諸問題を調査研究するものである。
実施計画
3年継続事業の3年目として以下の活動を行う。調査活動については、前年度までの成果を踏まえ、政策提言書の作成上必要な分析を補完することに主眼を置く。
  • 事業研究会の運営:
    事業・調査・研究の全体統括、政策提言書の作成に関連する活動を行う。 
  • 第1分科会(人口構成の変化と労働市場)の開催:
    日本国内の現地調査、数値データに基づくシミュレーション分析、専門家を招いた研究会の開催(分析作業および分科会運営業務を三菱総合研究所に委託予定)を行う。また、外国人労働者の分野別実態調査を補完的に実施し、問題を質的に分析する。
  • 第2分科会(高齢化と移住労働政策)の開催:
    欧州およびアジアで現地調査を実施し、研究会を開催する。 
  • 第3分科会(社会統合政策)の開催:
    日本国内の現地調査および多文化共生政策をめぐるステークフォルダー・ダイアログの実施し、研究会を開催する(実際の運営業務はダイバーシティ研究所へ委託)。 
  • 外国人労働者受入れ問題に関する資料集Ⅱ、資料集統合版および英語版の作成:   
  • 国際シンポジウムの開催(2010年12月を目処):
    欧州および国内の専門家を招へいし、研究成果に基づいた政策提言の初期的検討を行う。
  • 政策提言検討会議の開催(2011年2月を目処):
    アジア地域の政策立案者、日本国内の専門家を招へいし、政策提言書の草案を議論し、最終提言書を取りまとめる。 
  • 委員会、分科会の調整を図るための業務の実施
実施内容
・フランスの著名な人口統計学者であるエマニュエル・トッド氏を招聘し、国際シンポジウムを開催(12/3)
 本年度は事業の最終年度にあたるため、現在は政策提言に向けた諸作業が進行中です。その一環として、これまでの調査研究の成果を多くの方々と共有し、意見交換の結果を提言書に反映させるために、12月3日に国際シンポジウム「人口減少社会と移民政策-ヨーロッパの成功と失敗に学ぶ」を開催しました。
 シンポジウムは2部構成で、第1部はフランスの人口統計学・歴史人類学者のエマニュエル・トッド氏が「日本と移民―ヨーロッパの成功と失敗から得られるいくつかの教訓」をテーマに講演しました。
 第2部は、石弘之氏(東京農業大学教授)が政策提言に向けたSPF事業の趣旨を説明した後、以下の3つの研究チームが調査結果について発表し、トッド氏や参加者と意見交換を行いました。

1. 人口構成の変化と外国人労働者-シミュレーション分析を中心として
報告者:後藤純一氏(慶応義塾大学教授)&三菱総合研究所

2. 移民政策の国際比較-東アジアを中心に
報告者:安里和晃氏(京都大学准教授/SPF特別研究員)

3. 日本における多文化共生・社会統合-現状と課題
報告者:田村太郎氏(ダイバーシティ研究所代表理事)

 移民問題を家族構造の分析を起点に論じるトッド氏と、外国人労働者や移民政策の現状から分析する研究チームとの組み合わせは、一つの試みといえましたが、日本に関する議論にトッド氏の積極的な参加を得ることができ、有意義な意見交換の場となりました。
事業成果
本事業は、人口構成および労働力市場の変化に対処するため、外国人労働者の受け入れ国、送り出し国の事例や日本国内の外国人労働者の現状などを調査研究し、政策提言することを目的としています。3年計画事業として2008年度に開始し、事業を統括する事業委員会と3つのテーマの分科会(第1分科会:人口構成の変化と労働市場/第2分科会:高齢化と移住労働政策/第3分科会:社会統合政策)を設置し、調査研究活動を行いました。初年度は、外国人労働者の受け入れに関する国内外の制度や実情、国内の外国人労働者の状況、受け入れ先進地域や労働者送り出し国の現状の経緯や問題点の洗い出しを行いました。2年目にあたる昨年度は、前年の成果をもとに、継続して調査研究を実施しました。

最終年度となる本年度は、各分科会の調査結果を整理し、政策提言作成のための作業を実施しました。第1分科会では、一般均衡モデルを利用した移民受入れの影響シミュレーション分析を完了し、「笹川モデル」を完成させました。また、外国人労働者の分野別実態分析を行いました。第2分科会では、移民政策の国際比較分析の最終調整を行いました。第3分科会では、外国人受入れに関わるステークホルダー会議の結果分析を行いました。また、フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏を招いた国際シンポジウム「人口減少社会と移民政策―ヨーロッパの成功と失敗に学ぶ」を開催し、研究成果の検討を行いました。これらの作業を通じ「外国人労働者問題に関する提言」を作成し、2011年3月、提言内容の議論を目的とした「人口減少社会と日本の選択」シンポジウムを開催しました。

各年度の研究成果は、提言作成のための資料とする一方、「外国人労働者問題をめぐる資料集Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」、「外国人の就労をめぐる実態調査-事例集」、「始動する外国人材による看護・介護(教材仕様)」、「社会統合政策の課題と挑戦(日本語/英語版)」、『労働鎖国ニッポンの崩壊(ダイヤモンド社)』として出版し、社会の関心を喚起しました。
成果物
・「外国人労働者問題をめぐる資料集Ⅰ
・「外国人労働者問題をめぐる資料集Ⅱ
・「外国人労働者問題をめぐる資料集Ⅲ
・「外国人の就労をめぐる実態調査-事例集
・「始動する外国人材による看護・介護(教材仕様)」
・「社会統合政策の課題と挑戦(日本語/英語版)」
・『労働鎖国ニッポンの崩壊(ダイヤモンド社)

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