大陸棚限界委員会に対する各国の申請状況

ノルウェーの申請

ノルウェーの申請

2006年11月27日、ノルウェーは、国連事務総長を通じ、大陸棚限界委員会に対して申請を提出しました。ノルウェーが申請を提出したことが国連事務総長によって、全国連加盟国に通知され、申請のエグゼクティブ・サマリーが公表された後、デンマーク、アイスランド、ロシア及びスペインがそれぞれ自国の見解を表明する文書を国連事務総長に提出しました。

  • デンマークは、バナナホールの南部分に関し、大陸棚限界委員会が同海域につき審査することに異議はないことを確認すると共に、デンマーク及びフェロー諸島、アイスランド、ノルウェーによって2006年9月20日に署名された同海域の大陸棚画定合意書に従って大陸棚限界委員会が勧告を行うよう要請すると共に、デンマークが将来提出する大陸棚延長申請や、デンマークとノルウェーの2国間の大陸棚境界画定に影響を及ぼすことのないよう要請しました。また、デンマーク及びグリーンランドと、ノルウェーとの間の大陸棚境界画定協定によりカバーされる海域の大陸棚についても、同様の見解を示しました
  • アイスランドも、バナナホールの南部分に関し、上述の2006年9月20日署名の大陸棚画定合意書に基づき、同様の見解を示し、アイスランドが将来提出する大陸棚延長申請や、アイスランド・ノルウェー間の2国間の大陸棚境界画定に影響を及ぼさないよう要請しています。
  • ロシアは、ロシア・ノルウェー間の大陸棚境界画定に関する協議が継続中であることから、大陸棚限界委員会の行為は2国間の境界画定の問題に影響を及ぼすものではないと述べています。
  • スペインは、ノルウェー領スヴァールバル諸島周辺の大陸棚について、1920年のパリ協定に基づき、スペインが資源開発権を留保していることを述べています。

 

ノルウェーの申請のエグゼクティブ・サマリー及び各国の文書は、大陸棚限界委員会の以下のページで見ることができます。

ノルウェーの申請は、北極海の西ナンセン海盆バレンツ海のループホール及びノルウェー海のバナナホールの3海域のみについての部分申請であり、他の海域については後日申請を行うことをエグゼクティブ・サマリーの中で言及しています。

北極海の西ナンセン海盆海域は、ロシアからの200海里線、グリーンランドからの200海里線及びノルウェーからの200海里線によって囲まれたエリアです。
バレンツ海のループホール海域は、ノルウェーからの200海里線と、ロシアからの200海里線によって囲まれたエリアです。この海域については、ノルウェーの200海里を超えて延長できる大陸棚のエリアと、ロシアの200海里を超えて延長できる大陸棚のエリアが重複しています。
ノルウェーは、大陸棚限界委員会に提出したエグゼクティブ・サマリーの中で、この海域については、ノルウェーとロシアの交渉によって大陸棚境界画定が行われなければならないと述べています。この点は、ロシアが大陸棚限界委員会に申請を提出した際、同委員会は、この海域についてはノルウェーとの境界画定が行われる必要があると示唆していることを踏まえたものです。( 「ロシアの申請」参照。)(*1)(*2)(*3)

ノルウェー海のバナナホール海域は、ノルウェー領土(ノルウェー本土、スヴァールバル諸島及びヤンマイエン島)からの200海里線、デンマーク領フェロー諸島からの200海里線及びアイスランドからの200海里線によって囲まれたエリアです。
以上3つの海域が、具体的にどの位置にあるのかは、ノルウェーのエグゼクティブ・サマリーを見るとわかります。

また、ノルウェーのエグゼクティブ・サマリーは、ノルウェー外務省のホームページの中にある、ノルウェーの大陸棚延長申請に関する2006年11月27日付のプレス・リリースの下記ページにも掲載されています。

ノルウェーは、2007 年3 月〜4 月に開催された第19 回大陸棚限界委員会の会期中に、ノルウェーの 代表がプレゼンテーションを行い、申請の内容についての説明を行いました。ノルウェーの申請を審査する小委員会が設置され、審査が開始されました。
小委員会で検討された後、第23 回大陸棚限界委員会の会期中の2009 年3 月27 日に大陸棚限界委 員会はノルウェーに対する勧告を行いました。勧告の要約版が、大陸棚限界委員会の上記ページに掲載されています。

これを受け、ノルウェーのストーレ外務大臣は、2009 年4 月15日にノルウェー北部の大陸棚の範囲が決定した歴史的な出来事として、プレス声明を発表し、(1) 大陸棚限界委員会の勧告は、約235,000 平方キロメートルの海域において、ノルウェーに重要な権利と責任をもたらした、(2) 勧告は、ノルウェーに大陸棚の外側の限界の境界画定の根拠を定めた、と述べています。(ストーレ外務大臣のプレス声明は、以下のサイトで見ることができます。)

なお、ロシアやノルウェー等の北極海沿岸国の大陸棚延長の動向についての解説記事が、当財団が発行している「北極海季報第4号」(2010年3月発行)に掲載されていますので、そちらもご参照下さい。

(*1)2010年4月27日、ロシアのメドベージェフ大統領とノルウェーのストルテンベルグ首相がオスロで会談し、北極海及びバレンツ海において両国の主張が重複していた海域の海洋境界画定について基本合意したと発表しました。これに基づき、同日付で、ロシアのラブロフ外相とノルウェーのストーレ外相が共同声明(下記のノルウェー外務省サイトに掲載)を発表しました。共同声明では、両国間の係争海域についてほぼ等分されるよう境界線を引くこと、国連海洋法条約にもとづく大陸棚の外側の限界の設定について両国間で協力すること等が推奨されており、これにもとづいて、今後具体的に境界線を定める条約が結ばれることになりました。

(*2)2010年9月15日、ノルウェーのストーレ外相とロシアのラブロフ外相が、バレンツ海及び北極海における海洋境界画定及び協力に関する条約に署名しました。この条約により、バレンツ海及び北極海における大陸棚及び排他的経済水域について境界が画定されました。この条約は、両国の議会により承認されると発効します。条約文は、ノルウェー外務省サイトに掲載されています。

(*3)2011年6月7日、ノルウェーのストーレ外相とロシアのラブロフ外相が、バレンツ海及び北極海における海洋境界画定及び協力に関する条約の批准書を交換しました。規定に基づき、この条約は批准書の交換から一ヶ月後の7月7日に発効しました。批准書の交換に関するプレス・リリースが、ノルウェー外務省サイトに掲載されています。

 

ノルウェーの周辺図

ノルウェーの申請

出典: UNEP/GRIDアーレンダール、地図グラフィックス・ライブラリー、
「バレンツ地域 標高及び水深」
Barents Region, topography and bathmetry

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