大陸棚限界委員会に対する各国の申請状況

アイルランドの申請

アイルランドの申請

2005年5月25日、アイルランドは、国連事務総長を通じ、大陸棚限界委員会に対して申請を提出しました。アイルランドが申請を提出したことが国連事務総長によって、全国連加盟国に通知され、申請のエグゼクティブ・サマリーが公表された後、デンマークとアイスランドがそれぞれ自国の見解を表明する文書を国連事務総長に提出しました。

  • デンマークの見解は、アイルランドの申請及び同国に対する大陸棚限界委員会の勧告が、デンマークが将来行う予定である大陸棚延長申請に対して、また、デンマーク領フェロー諸島とアイルランドとの間のハットン・ロッコール海域の大陸棚境界画定に対して影響を及ぼすものではない、というものです。
  • アイスランドの見解は、アイルランドの申請及び同国に対する大陸棚限界委員会の勧告が、将来アイスランドが行う予定であるハットン・ロッコール海域の大陸棚延長申請に対して、また、アイスランドとアイルランドとの間の大陸棚境界画定に対して影響を及ぼすものではない、というものです。

 

アイルランドのの申請のエグゼクティブ・サマリー及びそれぞれの国の文書は、大陸棚限界委員会の下記のページで見ることができます。

アイルランドと近隣諸国との帰属に争いがある地域については交渉が継続中であるため、帰属について争いのないポーキュパイン深海平原海域の大陸棚に関する部分申請をアイルランドは行いました。この点はアイルランドが提出したエグゼクティブ・サマリーの中で明示的に述べられており、国連事務総長より各国への通知の中でも述べられています。
2005年8月〜9月に開催された第16回大陸棚限界委員会の会期中に、アイルランド代表はプレゼンテーションを行い、アイルランドの申請を審査する小委員会が設置され、審査が開始されました。小委員会の検討の後、第19 回大陸棚限界委員会の会期中の2007 年4 月5 日に大陸棚限界委員会はアイルランドに対する勧告を行いました。勧告の要約版が、大陸棚限界委員会の上記ページに掲載されています。(なお、勧告の全文の公開については、下記*1を参照のこと。)

アイルランド政府の大陸棚延長プロジェクトを管轄しているノエル・デンプシー通信・海洋・天然資源大臣は2007年4月22日付プレス・リリースを発出し、勧告を受け取ったことによりアイルランドは申請を提出したポーキュパイン深海平原エリアにおいて200海里の外側に大陸棚の限界を設定することができる旨述べています。また、アイルランドの国土面積の80パーセントにあたる56,000平方キロメートルが延長大陸棚となると述べています。プレス・リリースはアイルランド通信・海洋・天然資源省の下記サイトで見ることができます。

なお、アイルランド政府大陸棚延長プロジェクトのウェブサイトにおいても、エグゼクティブ・サマリーが公表されています。

アイルランドは、大陸棚限界委員会の勧告に基づき大陸棚の限界を設定し、国連海洋法条約第76条9項にもとづき、2009年8月19日、海図と関連情報を国連事務総長に寄託しました。この海図と関連情報は、国連海事・海洋法課ウェブサイトの寄託海図のページに掲載されています。

*1

大陸棚限界委員会は、第26回会合(2010年8月-9月)において、国連事務総長に対し、国連海洋法条約第76条9項にもとづき沿岸国により寄託された大陸棚の外側の限界が恒常的に表示された海図及び関連する情報が適当に公表された場合には、その限界に関連すると委員会が考える勧告についても公表するよう、委員会手続規則第54条3項にもとづいて、要請しました。また、事務総長が勧告を公表する前に、勧告の中に、沿岸国が機密と考えるデータが含まれていないことを確認することに留意しました(CLCS/68, para.58)。
これを受けて、国連事務局海事・海洋法課は、第28回会合(2011年3月-4月)において、アイルランドに照会したところ、アイルランドの申請に対する勧告に機密データは含まれていないことが確認され、かつ、アイルランドは勧告全文の公開に異議を申し立てないと述べたので、 勧告全文を大陸棚限界委員会のサイトにおいて公開したと報告しました(CLCS/70, paras.60-61)。

なお、海洋政策研究財団では、2011年2月9日、アイルランドのピーター・クロッカー氏を招聘して、大陸棚セミナー「大陸棚延長と海洋政策―勧告に基づく限界設定の先例に学ぶ―」を開催し、アイルランドの申請の過程や勧告後の国内での対応について解説していただきました。

 

アイルランド周辺図

アイルランドの申請

出典:米国商務省海洋大気庁地球物理データセンター(NGDC)提供のETOPO2のデータ

TOPへ戻る