1989年
事業
地域の国際化プログラム
事業実施者 | 地方NGO,第1セクター等7団体 | 年数 | 1/10 |
形態 | 自主助成委託その他 | 事業費 | 37,971,844円 |
事業目的
全国各地で地域の国際化を目指す動きが活発化しているが,真に地域の自立的なイニシアチブと長期的な地域づくりの構想に根ざした国際化活動は少ない。本事業の目的は,地域の民間団体が,実施する産業,文化,技術の振興及び福祉の向上のための事業について,その国際的活動を支援することにある。支援対象となる活動は,諸外国との人材交流,海外調査,国際会議の開催,海外研修等と幅広いが,支援を受ける団体は創意を活かして自らの地域の個性の発現につながる国際化を企図することが要求される。地域の国際化のモデル的活動の実施が本事業の目指すところである。
実施事項
昭和63年度に選定した次の7つの地方民間団体に対し助成を行った。
- (財)盛岡市民福祉バンク「盛岡福祉バンク開発協力」事業
盛岡市民を中心とする資源回収及び中古品の再生販売の活動を多数の心身障害者も交えて実施してきた団体が,東南アジアの救貧援護活動にリサイクル製品の提供と中古品再生技術の供与を通して係わっていこうという新しい試みの支援。フィリピンのマニラ市にある福祉団体に対して,リサイクル救護物資を財団の善意輸送事業の一環として送ったほか,同団体の青年リーダー6名を盛岡に招き,2ヶ月間中古品の回収と再生に関する技術研修をさせた。また,この事業は将来的にマニラで実施団体と同様の活動を行う団体を育てようとの試みであるため,実施団体担当者と上記福祉団体関係者の協議が盛岡と現地で持たれた。 - 伝統的工芸品国際化研究会「地域伝統工芸品の海外紹介」事業
消費者の嗜好の変化,近代技術による代替品の生産等の影響と後継者難とで伝統的工芸品産業の存立基盤が近い将来危うくなると感じ,海外の伝統的工芸品理解者との結びつきによって保守的な体質の同産業に新風を吹き込もうと研究している約30の伝統的工芸品業者のグループが,英文による伝統的工芸品の海外紹介資料をまとめる作業を実施することに対する支援を行った。伝統的工芸品に関して専門的な知識を有する者と伝統的工芸品業者から成る委員会が中心となり,日本の代表的な伝統的工芸品100種を選び,個別の紹介資料を作成した上で,外国人の伝統的工芸品研究者に依頼して,伝統的工芸品と地域社会の関係を構成する幾つかの側面について説明する資料を加えて,一冊の報告書にまとめた。この報告書は,近い将来,海外の日本伝統的工芸品愛好家・研究者・大学・美術館による活用を念頭に出版される予定である。 - 札幌国際交流プラザ「国際文化会議札幌大会準備」事業
市民参加の国際交流コンベンションの実施で独特の「札幌方式」を展開してきた第3セクターNGOが,平成2年度に開催を予定している国際音楽文化都市をテーマとする国際会議の成功を期して開く準備会合に対する支援を行った。平成2年度の会議は,国際チューバ協会(本部:米国)を北海道ユーフォニアムチューバ協会との協力をもとに,日頃余り注目されない楽器,チューバを主要なテーマとして開くもので,その準備会合に海外専門家2名(国際チューバ協会会長を含む)を招聘し,準備階段の各ステップと地元市民の支援の拡大を図る方策について検討した。 - (社)北海道開発問題研究調査会「十勝圏の国際化に関する調査研究」事業
十勝圏の農工産業複合化と農村アメニティーの創造を目標とする北海道庁の十勝圏開発構想の展開を背景として,これと補完的な国際情報ネットワークを構築するための農・商・工連合の民間イニシアチブを起こす地元研究機関の調査活動を支援した。主要な事業内容は,農工産業複合化に必要な国際情報収集ネットワークのコンセプトを確立するための国内外での調査と,それに係っていく人材の育成方法も含めて事業の基本計画を策定することであった。その実施に当っては,農・商・工連合の研究委員会を設立し,国内専門家のヒアリング,海外調査を通して資料を収集し,報告書を作成した。研究調査作業は,次年度に継続する。 - 鳥取県智頭町活性化プロジェクト集団「地域林業の国際化による活性化」事業
日本国内の林業に基盤をおく山間町村の多くは,過疎化に加えて輸入外材への依存の進行による経済の脆弱化と二重の打撃を被っているが,その中で鳥取県智頭町では地元青年グループが地場の林業における付加価値を高める方策を海外に学ぶ試みを展開している。本事業では,林業国カナダからログ・ハウス建築技術をコミュニティー・ベースで導入する活動を支援した。具体的には,智頭町の林業家2名のカナダにおけるログ・ビルダー研修への派遣,カナダ人ログビルダーの招聘による講習会の開催及び国内各地の有志者70名とのログハウス共同建築作業の実施等の活動を行った。この事業を実施した結果,コミュニティー・ベースでログ・ハウス供給事業を検討する機運が高まっただけでなく,地元に長期滞在したカナダ人ログビルダーが高等学校教師であったことから,高校生の相互交流,国内他地域から参加した人々と新たな地域間交流等,副次的な地域活性化効果があり,次年度以降自立的に活動を継続していく契機となった。 - 国際東アジア研究センター設立推進本部「東アジア地域開発研究」事業
北九州市が米国ペンシルヴァニア大学の協力を得て,平成元年度中に設立する予定であった国際東アジア研究センター(平成2年1月1日に文部省認可の財団法人として正式に発足)の予備的な研究調査活動を支援した。主要な活動は,東アジア及び欧米の関連研究機関とのネットワークを構築すること及び同研究センター発足後の最初の研究事業の一つである環黄海経済圏の研究プロジェクトの準備を進めることであった。この事業の実施については,北九州市と東京にそれぞれ研究委員会を設け,作業を分担するとともに,合同委員会を開いて,長期的な研究活動の基本方針を検討した。 - (財)からいも交流財団「九州・アジア農村地域交流」事業
南九州を中心とする農村地域とアジア諸国の農村地域との間の技術協力ネットワークを確立し,新たな民際交流を起こす事業を支援した。具体的な活動としては,このネットワークを設立するための海外調査の実施(対象国:タイ,フィリピン,スリランカ,ネパール),フィリピン農村青年3名の地元における技術研修のための受け入れ,これら研修生を交えた農村ワークショップを行った。この事業が契機となって,実施団体を軸とする民際交流は多様な展開を見せ,九州とアジアの農村青年の連帯を強める企画が幾つか作られ,次年度以降実施されることとなった。
一般事業 地域の国際化 に属する事業
- 外国青年招致に伴う特別研修
- 地域の国際化プログラム
- 地域の国際化プログラム―国際福祉リサイクル・ネットワークの形成
- 地域の国際化プログラム―伝統産業若手後継者国際化
- 地域の国際化プログラム―十勝圏国際情報ネットワークシステム構築
- 地域の国際化プログラム―東アジア地域開発に関する国際学術交流
- 地域の国際化プログラム―山間過疎地問題の国際研究・研修ネットワーク
- 地域の国際化プログラム―民際協力ネットワーク実践プロジェクト
- 地方空港国際化の推進
- 地域の国際化プログラム
- 地域の国際化プログラム―地域の国際化と地方新聞が果たす役割
- 外国青年招致に伴う特別研修
- 国際会議誘致の促進
- 地域の国際化プログラム―国際福祉リサイクル・ネットワークの形成
- 日本文献の翻訳
- 日本理解促進エクスチェンジ
- 開発政策フォーラム
- SPFラウンド・テーブル
- 地方の国際化のための基礎調査
- 帰国子女の外国語保持