「トランプ2.0のアメリカ」民主党編④
民主党流派の「内政」新分類学:「新世代」から「アバンダンス」まで
渡辺 将人
本編は「『トランプ2.0のアメリカ』民主党編③ 民主党を驚愕させた有権者調査:『労働者の党』か『エリートの党』か」に続くシリーズ4本目です。
「穏健」「リベラル」2分法の終焉:「名乗り」と「名指し」の政治学
アメリカは分断しているといわれる。しかし、見落としがちな点は、分断の本質は、保守とリベラルの二極化ではなく、両陣営内の分裂にあることだ。しかも、分裂が従来のように中道(穏健派)と両極(リベラル派あるいは保守派)という単純構造ではなくなっており、何をもって左派、右派とするのかで細分化が著しい。民主党内でいえば、「経済」と「文化」を巡りそれぞれ、中道(穏健)と左派が実に細かく割れている。アメリカの政治論議がどの類型に属した「リベラル」という言葉をいかなる含意で使用しているのか、実に分かりにくい。アメリカ政治に関する書籍の翻訳書を読んだ人から「何やら民主党系知識人の本らしく、トランプを批判しているが、民主党のことも激しく批判していて意味がわからなくなった」という相談をよく受けるのも頷ける。
どの国や地域でも「当事者」は自分の目線と感情からしかものを語れない。「自分はリベラル」「マムダニは社会主義」「オバマは保守」。何でもいいが、個人の何かの物差しで語っている。「エスタブリッシュメント」は共和党でも民主党でも自分自身では「エスタブリッシュメントです」と名乗らない。リバタリアンは名乗る場合に意味の違いがある。信仰や人種も、それが本人の政治思想に核心的影響を与えていることを当事者が認めないこともある。
蛸壺的社会のアメリカでは、同じアジア系でも同じカテゴリー内の他の民族グループのことですら何もわからない。南アジア系の中にも、華人系の中にも複雑な歴史と対立がある。文化が分断していて、カトリックの家族はシナゴーグとも無神論的な空間とも関わりは無くなるし、黒人でもラティーノでも「どの階層のどの州のアメリカか」で違う。「どう名乗るか」は極めて重要な指標だが、政治関係者でも一般市民でも、「アメリカ人」自身が政治スペクトラムの類型の中に冷静に自分を位置付けることはまずない(だからこそ部外者の外国人による地域研究の意味がある)。市民も初対面では無党派(インディペンデント)で誤魔化す。極左(急進左派)、極右(急進右派)も「ラベル」で、自分では名乗らないので、外から判断するしかない。政治関係者は「風」を読んで語り口を変える。民主党全体が左傾化している現在は、党内生存のために旧来の穏健派コンサルタントまで、猫も杓子も「リベラル」を名乗るので、化けの皮を剥ぐ意味で、ますますそれ以上の分類が重要になっている。無論、日本向けの報道では字数も秒数も限られ、わかりやすさが追求されるので「民主党支持者」「左派の活動家」以上の説明をしにくいが、アメリカの政治的書籍を理解するにはもう少し踏み込んだ解釈の補助線が必要になる。
ある特定の立場に位置付けられる著者が、何らかの含みをもって見えない「敵」を叩く。その「政治芸」の知的消費こそが、アメリカの「政治本」なのだが(厳密な意味で学術書ではない一般書市場における党派的書籍)、同時代の政治本の書き手はアメリカ人読者を想定している。ハリウッド映画と同じで一義的にアメリカ人向けに作られた商品を世界が勝手に翻訳を施して消費する。だが、書籍は純粋なエンタメとも異なる。普遍的価値がある小説や科学的な専門書とも違い、ローカル性の強い「政治本」は、適切な解説なしに摂取すると有害なこともある。「左派」「右派」の記述を無闇に読み手の国の政治に敷衍させて理解してしまうからだ。
穏健派・リベラル派の細分化としての「暫定4分類」
トランプ叩きと同時にそれ以上の熱量で進行する民主党内の「民主党批判」に関連する最近の重要書を手掛かりに本稿では、民主党内流派の再分類を試みる。「再」分類というのは、すでに「穏健派」を2分類、「リベラル派」を2分類に分割した「4分類」をこれまで筆者は2020年以降各所で提示してきたからだ1。以下の4分類である。
「穏健派A」財政均衡とビジネス重視のビル・クリントン派。
「穏健派B」人権や環境重視だが介入外交ではタカ派的な一面もある穏健派内左派(ヒラリー派)。
「伝統的リベラル派」労組、女性、黒人、利益団体などのリベラル連合。
「新世代左派」2010年代以降に躍進した「党外」グループ。
第1の集団「穏健派A」は、中道・穏健派ニューデモクラットである。彼らは1990年代以降のビル・クリントン派で自由貿易を好み、ハイテク産業やビジネス界とのつながりを重視する。バイデン政権で駐日大使に就任したラーム・エマニュエルもこの系譜に入る。クリントン政権期の財政均衡化、福祉改革、規制緩和など経済中道化の象徴的グループだが、イラク戦争への「賛成」加担とオバマ派の台頭で少数派に転落。ニューデモクラット屈指の資金集め力を代表し、正確な選挙予測で知られるサイモン・ローゼンバーグのNDNも2024年3月に解散した2。
第2の集団「穏健派B」は、中道・穏健派だがビジネス利益よりも人権や環境に比重のある穏健派内左派で主としてヒラリー派と呼ばれる集団である。シンクタンク「アメリカ進歩センター(CAP)」が拠点で、ヒラリーの腹心の一人ニーラ・タンデンが運営してきた。安全保障では「穏健派A」と差は小さいが、価値的外交を目指す(リベラル・ホーク)一方、アイデンティティ政治では左派的な特徴があり(ポリティカル・コレクトネスにも敏感)、後者では旧来のリベラル派とも一部重複する。
第3の集団が「伝統的リベラル派」で、労組、女性、人種マイノリティなど各種の利益団体に分派しているが、党派的な忠誠心が強く、民主党に自動的に投票するマシーンだった。黒人議員や黒人有権者も不満を抱えながら最終的には民主党政治家を支持してきた。かつては少数派だったが、2006年中間選挙民主党勝利以降、ナンシー・ペローシが下院議長、ハワード・ディーンが民主党全国委員会委員長と続々とリベラル派が党の「顔」になった。
そして第4の集団が、次の項目で見る「新世代左派」(プログレッシブ)である。2010年代以降に躍進している「党外」的な左派で、反オバマ政権運動としての「ウォール街を選挙せよ」運動に始まり、2016年以降はサンダース運動を介して民主党内に入り込んできた。
ちなみに第3集団の伝統的リベラルが自らをProgressiveと名乗るのは、Liberal という呼称をレーガン期の保守側に「負の記号」とされたことから「リベラルとは違う呼称で左派性を薄める」言い換えに過ぎなかったが、第4集団は骨の髄までProgressiveである。伝統的なイデオロギーをめぐる保守・リベラル対立では、穏健派かリベラル派、すなわち「第1・第2」集団か第3集団かの対立軸が党内分裂の大きな枠組みだった。ところが、MAGAの起源の1つであるティーパーティ運動、サンダース支持の源流の「ウォール街占拠せよ」運動以降、ポピュリスト性、反政党エスタブリッシュメント性を競う潮流が増し、「政党エリート」という点で穏健派もリベラル派もイデオロギーの濃淡にかかわらず、どれも既存政治家は「同じ穴の狢」となった。
従来の民主党のアウトリーチ戦略(集票戦略)は、伝統的な民主党支持基盤向けにデザインされていたため、第4集団の反政党エリート層をカバーする必要性が生まれた。しばらくの間、民主党の旧グループは、第4の勢力の存在を無視して影響力も否定していたが、最初に新世代の影響の拡大を看過できないと考え、懐柔策を考案したのはリベラル派だった。2020年大統領選挙におけるプログレッシブ・アウトリーチでは、従来の労働組合、女性団体という個別割りのアプローチを反省し、サンダース支持者を含めた草の根の幅広い活動家 を争点で分割せずにオンラインの会議に招く試みに努めたが、それを主導したのもリベラル派であった。穏健派にとってイデオロギー面でも距離があるサンダース派の「党外」勢力は切り捨てるべき極左にしか過ぎないが、リベラル派にとっては政策的には重複している部分も少なくないからだ。オンライン会議に招き、同じイベントを開始し、離反しないように党内に取り込もうと努力を重ねてきた。しかし、第4集団の「新世代」は第3集団の「旧リベラル」への同化を拒み、両者の緊張は増加した。
そうした中、「穏健」「リベラル」を平面で細分化するよりも、「経済」「文化」の軸で「左派」「中道」の態度別に分類し直す方が、党内の一致とすれ違いを把握する上で実態に合っている側面が増してきた。近年の民主党系の「政治本」の立場は、この方法でしか綺麗に分類できないからだ。
1「新世代左派」:「経済」左派、「文化」左派
筆者の独自分類をさらに修正した新部類のまず第1は、上記の暫定4派閥の第4集団でもある「新世代左派」である。
彼らは「運動」としてはBLM(ブラック・ライブズ・マター)、「選挙戦」としてはバーニー・サンダース支援を中心に、2010年代の中頃に勃興した。「ウォーク・レフト(woke left)」と呼ばれるが、woke(目覚め)とは社会正義や人種正義を訴える活動家の呼称で、「ラディカル」と同様に共和党や民主党の他グループからの中傷的含意もあり、「私はウォークです」とは言わないし、褒め言葉ではない。ニュートラルな呼び名が固定化しないので、筆者は日本語では暫定的に「新世代左派」として分類している(そのうち「新世代」ではなくなるので時限的)。源流は旧来の民主党「リベラル派」とサンダース的な「党外」の独立派の双方にあり、今までのリベラル派との違いは主に4点ある。
第1に、属性と争点の横断性である。 Barbara Ransby, Making All Black Lives Matter: Reimagining Freedom in the Twenty-First Century (University of California Press, 2018)(日本語翻訳版は『ブラック・ライブズ・マター運動:誕生の歴史』(藤永康政訳、彩流社、2022年))でバーバラ・ランズビーが指摘するように「ウォール街を占拠せよ」運動は白人中心の運動だった。だが、2012年以降「占拠運動」の白人活動家らは、水面下でBLM駆動やサンダースとウォーレンの大統領選出馬を支援した。いわば反経済格差運動とLGBTQ権利運動が反人種差別運動に合流した形だ。2020年選挙でサンダースをカリスマ的な黒人哲学者のコーネル・ウェストが支持したことも階級闘争と人種闘争との連帯の一里塚を印象づけた。
そこで見られるのは、若い黒人の文化的リベラル化である。従来の黒人層はキリスト教信仰では保守的で同性婚にも否定的だった。主な政治指導者も牧師だった。その点、BLM創設者の3名の黒人のうち2名がクィア(性的マイノリティの総称)を公言している世代の波は革命的だ。BLMは黒人運動でありながら単にレイシズムへの抵抗運動ではない、フェミニズムやセクシュアリティの解放も意図した重層的運動である。
第2に、政党への帰属意識の薄さだ。「伝統リベラル」は党派的な忠誠心と動員的投票行動が特徴で、黒人有権者も不満を抱えながらも民主党政治家を支持してきた。だが「新世代左派」は民主党を無条件に支持する旧世代に不満を持つ。党幹部への攻撃は手加減がない。2016年のサンダース運動も反民主党運動で、ヒラリー勝利阻止が目標だった。TPP反対では一致するトランプ台頭の幇助を問題視しない空気すらあった。
第3に、政党帰属意識が薄いことと一見矛盾するが、安易な第3政党化を好まない現実路線だ。消費者活動家ラルフ・ネーダーの緑の党の失敗に学んでいる。岩盤の二大政党制の中でアメリカを変えるには民主党の内部改革が現実的だという割り切りだ。自分たちを「リベラル」「進歩派」と呼び、「ラディカル」とは呼ばせない。「リベラル」の性格自体の更新と「リベラル」の乗っ取りを目指している。2020年大統領選挙の予備選でサンダースが善戦した後、本選で邪魔しないことを条件に、バイデン政権にリベラル政策を認めさせてきた路線もその延長にある。従来なら民主党の旧穏健派との「野合」を退け、第三軸として外から民主党候補を邪魔した。しかし女性マイノリティを副大統領候補とし、気候変動、LGBTQの権利、人種正義といった文化・社会政策を優先課題にしてもらえるなら、バイデン政権の誕生に手を貸すという、一定の現実路線だった。
第4に、文化争点としての「非介入路線」である。これはベトナム反戦運動で形成された「反戦リベラル」を部分的に受け継ぐ面もあるが、あくまで「文化争点」である。外交政策や「覇権後」の秩序論は射程外。「新世代左派」はローカル第一主義である。理論より実践、全体より地域で、足元の差別と戦う。トランプ流のアメリカファースト主義とは異なるが、外交よりも内政(足元)を重視する姿勢は共通し、「左派的孤立主義」とも揶揄される。ICEに逮捕される「非合法移民」擁護、ムスリムへの共感など多文化主義とも連関する、哲学として左派的な「理念」「文化」の発露である。これは国益重視の「孤立主義」とは異なる。アメリカの覇権性への嫌悪が顕著で介入を否定的に捉え、非西側の人権侵害にも厳しいナンシー・ペローシ的な旧来の人権外交の系譜とも性格が重ならない部分がある。
「新世代左派」内も一枚岩ではない。サンダースは次項②の「労働者派」に本来は近い。人種やジェンダーに無関係に貧困が最大の問題だと考える。アイデンティティ政治を軽視するわけではないが、優先は経済格差是正にある。他方、初期のAOC(オカシオ=コルテス)は女性マイノリティ4人組「スクワッド」(他のメンバーはムスリム、パレスチナ系、黒人)の一員として、「プエルトリコ系」「女性」のアイデンティティ政治が突出していた。経済では穏健的ですらあり、メディケア・フォ・オール(国民皆保険制度)では妥協なき完全な制度を目指すサンダースと衝突していた時期がある3。マムダニも拙稿(「『トランプ2.0のアメリカ』民主党編①」)で記したように、「社会主義」の経済左派の看板だけで勝利したわけではない。「ガザ」要因が小さくなかった。ニューヨーク金融界の献金筋やイスラエル支持派の支援を受けたクオモへの反感が予備選で運動のうねりを作りだしたからだ。見えない鍵のファクターはイスラエルだった。その意味でも「社会主義」「反貧困」だけでこの集団を理解し、「文化性」を軽視すると見誤る。
2「労働者派」:「経済」左派、「文化」中道
第2に「労働者派」である。この集団こそピュアに「反貧困」「労働者利益」を優先する流派で、同派を体現するJohn B. Judis and Ruy Teixeira, Where Have All the Democrats Gone?: The Soul of the Party in the Age of Extremes(Henry Holt and Co., 2023)の日本語翻訳版が今年3月、『アメリカ民主党 失敗の本質:「中間層・労働者」はなぜ「トランプ支持」に突き動かされたのか』(会田弘継解説・古川範和訳、東洋経済新報社、2026年)4として出版された。原書刊行は2023年。つまり、2024年大統領選挙の民主党敗北前だ。著者のジョン・ジュディスとルイ・テシーラの二人は重鎮のベテランの民主党系知識人で、民主党中枢の関係者がこの本の存在を知らないわけはない(ただ、忙しくて読めない、読まないことはある)。主要な論客の新刊やシンクタンクの提言が出ると、メモランダムで要旨が議会など政界中に出回るので、首席補佐官が重要だと判断したら絶対に政治家の耳には入る。大統領や陣営幹部も同様だ。つまり、この本の指摘に陣営上層部が耳を傾けられなかったこと自体に今の民主党の問題があるという意識で読むと、「今読む価値」がある。
同書は労働者の利益と再配分を重視する民主党の伝統的路線への回帰を訴える立場だ。民主党の戦略に長年助言をしてきた著者2人は、労働者層がトランプ氏を大統領に2回当選させた理由に立ち返り、民主党の迷走の手がかりを探る。クリントン政権以降の行き過ぎた規制緩和や経済の中道化に手厳しい。その原点は著者のジュディスとテシーラら自身が民主党の将来分析を見誤った反省に基づいている。彼らはブッシュ息子政権が始動したばかりの2002年に刊行したThe Emerging Democratic Majority(Scribner, 2004)で、新たな支持層の台頭で2010年までに民主党の優位体制が確立されると予言した。「新たな支持層」とは1:大学卒業の専門職、2:女性(特に、伝統的な専業主婦ではない、シングルや働く女性)、3:人種・移民マイノリティだった。彼らが民主党で中核的な票田になるとする予言は当たった。見逃したのはその一方で白人労働者の離反だった。ニューディール政策時代は労働者の政党だった民主党が「エリート」の政党になった。
因果関係を厳密に問えば、民主党の票田を高学歴で進歩的な人やマイノリティが席巻するようになったのは、民主党が必ずしも望んでそうしたからではなく、人種隔離政策をめぐり保守的な人種観を持つ民主党支持者の離反と共和党入りという南部における1960年代の「政党再編」、経済成長と大学進学率の上昇、グローバリゼーションと製造業の衰退などの外部要因が複雑に絡んでいる。しかし、いずれにせよ「新たな支持層」の方ばかり向いて労働者を軽視したツケが、「オバマ支持連合」の崩壊以降、回ってきていることへの著者らの反省の書でもある。
労働者寄りの再分配政策を求めているので、ジュディスやテシーラは「左派」「リベラル派」と紹介されることもあるが、注意点は、多様性や気候変動など「進歩的」政策には慎重で文化問題では中道的なことだ(気候変動は、日本では純粋に「エネルギー」「経済」のイシューだが、アメリカではいわゆる「意識高い」リベラルなライフスタイルの象徴であり「文化争点」でもある)。『アメリカ民主党 失敗の本質』では「文化的急進主義」と名づけている。同書の見出しを見るだけでも著者の立場がわかる。例えば「人種と急進主義」「移民問題:国境なき理想主義の代償」「性的創造論:生物学はどこへ消えた?」「アポカリプス・ナウ:気候大惨事という『信仰』」。つまり、彼ら「労働者左派」は「文化左派」を敵視する。「経済」では左派(再分配)でも、「文化」では中道(人種、移民、ジェンダー、気候変動の優先に批判的)で、「経済」と「文化」の両方ともに左派的な「新世代左派」と文化面で水と油だからだ。
ここで問題になるのは、経済と文化の両面で「左派」である「新世代左派」の優先順位問題だ。「経済的正義」による格差是正を重視しているマムダニ市長は「1% vs. 99%」のウォール街を占拠せよデモ以来のニューヨークの反大企業左派の精神を忠実に継承している。だが、「人種正義」など文化争点と優先付けをすることを迫られれば、「新世代左派」の究極の踏み絵は、「経済」ではなく「文化」にある。
2025年選挙に先立って2021年11月のバージニア州知事選での民主敗北で両者の争いが沸点に達した。当時、敗北した現職候補が中道派だったため、「ウォークが足を引っ張って中道や無党派層が逃げた。ウォークこそ民主党の問題」とビル・クリントン元側近の戦略家ジェームズ・カービルが新世代を攻撃した。AOCは当時Twitter(現・X)で次のように応戦した。「「ウォーク」が高齢者を中傷していると悪意に満ちた文句を言うが、実際にはカービルのような政治評論家が「ウォーク」という言葉を45歳未満の有権者を侮辱するために使っている。 彼ら(ウォーク)について民主党がこのような扱いをするのであれば若者投票率が下がるのも無理もない。私たちはみんなの力が必要なのに」。
アイデンティティ政治をめぐっては警察の暴力問題も厄介である。銃事件が深刻なアメリカで都市の治安維持は重要課題だが、それを担うアメリカの警察は黒人への差別的暴力の十字架を背負う組織でもある。人種正義か治安維持か。決して二項対立ではないはずだが、新世代左派の「警察予算削減」案は治安軽視の誤解を招いた。テシーラは当時CNNで「文化的にラディカルな問題、人種、ジェンダーに力を入れることで労働者票を失っている」という趣旨の発言で物議を醸した。黒人女性アンカーが「バイデン政権はインフラや経済にも注力している」と反論しても「犯罪の問題を保守プロパガンダと決めつけている」と治安対策不足を訴え、「私が民主党から出るのでない。民主党が私を捨てたのだ」と離党追随を煽りかねない党との決別まで匂わせた。このエピソードやテシーラのキャラクターを知っている者なら、文化左派をバッサリ切り捨てている彼の新刊の後半部分には驚かないが、「左派の本」だと思って読んだ日本の読者は、気候変動やジェンダーにあまりに冷淡な著者に非科学的で差別的という印象すら抱いたかもしれない。それほどまでにポリティカル・コレクトネスや「意識高い」高学歴派への労働者派の不満は鬱積している。
3「アバンダンス派」:「経済」中道、「文化」(?)
そして、エズラ・クラインとディレク・トンプソンが著書Ezra Klein and Derek Thompson, Abundance:How We Build a Better Future(Avid Reader Press / Simon & Schuster, 2025)(日本語翻訳版は『アバンダンス:『豊かな時代』を呼びさませ』(森川潤解説・土方奈美訳、NewsPicksパブリッシング、2025年))で提唱する新技術活用と規制緩和の新路線がある。経済成長とインフラの改善を重視して、供給力を増すことで「豊かさ」を実現する新しいリベラリズムの実践を主張している流派だ。政府機能の非効率性を住宅問題と気候変動を軸に検証する。彼らは経済的には中道なので、「新世代左派」「労働者派」と相容れない。新自由主義の焼き直しと揶揄され、ビル・クリントン派とヒラリー派を足した1990年代穏健派の亡霊とも批判される。規制緩和とテクノロジー万能主義的な「大きな政府」批判は「新世代左派」や「労働者左派」には共和党にしか見えないかもしれない。ただ、遅々として進まないカリフォルニア州の高速鉄道建設問題、住宅供給問題など政府の非効率性に民主党が鈍感であるとの指摘の切れ味は鋭い。シリコンバレーのテック業界との親和性もあり、ビル・クリントン系の旧穏健派「規制緩和」リベラルの性格は高学歴リバタリアン的な層にも部分的に求心力のウイングを伸ばしている。
著者の属人性、特にクライン個人の言論に支えられた流派で、現時点ではそれ以上の体系的な思想的、組織的な広がりはない。ただ、同書と彼のポッドキャストの影響は凄まじい。クラインが興味深いのは「ニューヨークタイムズ」でポッドキャストを拠点に活動する新型ジャーナリストであることだ。事件や政府の取材を経る伝統的な新聞記者ではなく、戦争記者でも、コラムニストでもなければ、動画に好んで出演するが、オールドメディア流のテレビ記者やアンカーでもない。ブロガーからコラムニストになり、Voxというネットメディアをベンチャーとして成功させた。民主党全国委員会委員長を務めた旧リベラル派のハワード・ディーンの選挙参加経験があり、民主党政治の土地勘はある。鳴物入りで「タイムズ」に参加したものの、主な仕事は「インタビュアー」だ。人選や質問を通して自分の言論を間接的にサブリミナルに展開する「インタビュー型コラムニスト」と言える。出演者とのやり取りの全てが言論の演出表現だ。今、こういう非伝統的なジャーナリストが増えており、シンクタンクでも、思想家でも、政治コンサルタントでもないジャーナリストがこの種の政治運動を主導すること自体、この流派の新規性を体現している。その意味で彼に親和性を感じていち早く翻訳権を取得した日本の版元が、アメリカ政治本の翻訳で馴染みがある版元ではなくNewsPicksパブリッシングだったのも偶然ではないかもしれない。クラインと日本のNewsPicksはメディア実践ではスタイルに類似性がある。
「アバンダンス」派は「経済」に関しては明確なメッセージがあるが、「文化」に関しては左派的な部分と中道的な部分が混在していて曖昧である。カリフォルニア・リベラルを自認し、ギャビン・ニューサム知事を支援するクラインは、気候変動、信仰の世俗性など進歩的な文化アジェンダでは本来は左である。だが、分極化の政治を乗り越える「中道」に美学を感じている彼は、「新世代左派」と対立して炎上事件を起こしている。フロントは2点で「人種」と「セクシュアリティ」である。「アバンダンス」派が、カリフォルニア「文化」左派と見せかけて、実のところは「文化」に無関心な「経済」流派であるという批判は黒人やトランスジェンダーの言論人、活動家の中に根強い。
例えば、保守言論人チャーリー・カークの暗殺事件で、クラインはカークについて「チャーリー・カークは正しい方法で政治を実践していた」というコラムを執筆した5。カークが意見を異にするリベラル側とも対話する姿勢で、大学キャンパスなどでの公開討論を好んでいたことを例にカークの「政治姿勢」(思想ではない)を評価する追悼だった。しかし、これが問題化した。クラインはタナハシ・コーツ等主要な黒人言論人たちの集中砲火を浴びたが、中でも辛辣だったジャーナリストのシャリ・ダンのクライン批判を引用する6。
南部のプランター階級から今日のテック業界の億万長者に至るまで、エリート層は支配を維持するために常に人種階層構造(racial hierarchy)を必要としてきた。彼らは、歴史家エドマンド・モーガンが「軽蔑の人種的スクリーン」と称したものを築き上げたが、この心理的障壁は、貧しい白人や労働者階級の白人に、富裕層こそが彼らを抑圧する者だと気づかせないようにしている。代わりに、彼らは黒人を競争相手と見なし、「上」にいることに安堵感を抱くよう教え込まれている。その力学こそが、真の「アメリカン・ドリーム」である。どれほど貧しく、社会から疎外されていようとも、黒人よりも優越感を感じることができる。それが「白さ」がもたらす遺産なのだ。エズラ・クラインや「バーニー・ブロス」(Bernie Bros:サンダース支持者の若者のこと)、そしてある種の白人リベラル派の問題点は、彼らがこの事実を直視しようとしないことだ。彼らは、アメリカの営みの全てを形成している「人種的軽蔑のスクリーン」を無視して、純粋に経済的議論をしたがる。この姿勢を改めない限り、私たちは決して誠実な経済的議論はできない。なぜなら、人種は常に経済問題の根底にある沈黙の基盤だからだ。
人種をめぐって右派と認定されていたカークへの同情的な態度に理解を示すことは「人種正義」的には、カークの命が失われた後でも許されない。連邦下院の追悼決議には黒人議連を中心に58の反対票が発生した。しかし、カークへの同情の是非から奇しくも浮き彫りになったのは、なぜ「新世代左派」にとって、貧困や経済だけを優先することが許されないかだ。言い換えれば、「文化」中道である「労働者派」が、なぜ「新世代」には論外なのかだ。彼らは経済問題もとどのつまりは人種差別構造にあると考えており、人種問題を度外視して、白人の労働者層を救おうとしたり弱者扱いする行為を敵視しているのである。驚くなかれ、上記引用にあるように「サンダース支持者の若者」(バーモント州を地盤にするサンダースの初期の支持者は白人ばかりだった7)まで「新世代左派」には敵である。だからこそサンダースは「新世代左派」に無理やり歩み寄り、AOCと全米キャラバンで「文化」左派を演出している。左派が「労働者」だけに特化できないのは、アメリカが背負う人種隔離の十字架に「公民権政党」として民主党が向き合ってきたからだ。安易にその看板は放棄できない。
また、もう1つの例として紹介したいのが、「セクシュアリティ」に関する炎上である。米議会唯一のトランスジェンダー議員であるサラ・マクブライド下院議員をゲストに招いたインタビューで起きた。番組でマクブライドは自身がトランスジェンダーでありながら「経済」重視の発言をした。
クライン:民主党に選んでほしいと思うような効果的争点(ウェッジ・イシュー)はありますか?
マクブライド議員:「主軸(main thing)」を見失わないことが大切だと思います。今のこの局面でメディケイドを守ることは、まさにその「主軸」です。
クライン:すべての人々のためだから。
マクブライド議員:すべての人々のためです(略)。文化戦争や、それに伴う分断を招く争点に傾倒すると、たとえそれが我々に有利であっても、民主党が国民の経済ニーズに関心がない政党だという認識を強めてしまいます。(略)有権者が「良い賃金と福利厚生を得て、家を持ち、アメリカン・ドリームを実現する能力」ではなく、人工妊娠中絶とLGBTQの問題を最優先課題だと考えている限り、選挙に勝つことはできません。今こそ、我々は党としての真の優先事項を再確認しなければなりません。それは、ますます手が出せず、手の届かなくなっている「アメリカン・ドリーム」を誰もが追求できるようにすることです。誰もが必要な医療を受けられ、家を購入でき、保育所の空きさえあれば家計の範囲内で託児できるようにすることです。LGBTQ問題や中絶問題をあまりに純粋に政治的に勝ち取るアプローチをとると、たとえそれらの問題について直接語っていなくても、それらが(政治的勝利の)「最低限の条件」であるという印象を与えます。その結果、有権者はそれらを「優先課題」だと解釈してしまいます。決して優先課題、あるいは政治資本や時間を費やす対象ではなく、むしろ医療や住宅の提供こそが重要であることを有権者に納得させる唯一の方法は、中絶やLGBTQについて民主党が色んな立場を包摂できると示すことです。8
マイノリティ問題については当該マイノリティしか発言しにくい。「部外者」の軽率な発言は、どんなに事実に基づいていても差別に聞こえてしまうからだ。トランスジェンダーの問題よりも、医療や経済の問題が重要だという発言は、マクブライド自身がトランスジェンダーだからできたことだった。ところが、「敵」は身内にいる。民主党のマイノリティ集団は同じ属性の政治家を「属性代弁者」として見なす。「1つのアメリカ」を目指して黒人だけのために働かないオバマを黒人議連が1期目に猛攻撃したのと同じだ。案の定、トランスジェンダー活動家でジャーナリストのエリン・リードの批判記事にあるように、マクブライド議員は集中砲火を浴びた9。彼女たちは「経済」か「トランス」かの二項対立に陥る議論を避け、この引用部のマクブライドの発言を直接批判したわけではないが、トランスの議員がトランスを最優先争点に掲げて闘わないのは「右傾化」に過ぎないとの批判が展開された。
このようにクレイン率いる「アバンダンス」派は、経済的に新自由主義(ネオリベ)路線で「人種」や「セクシュアリティ」に無頓着な「文化」欠如派だと「新世代左派」には目の敵にされている。だが、民主党各派の論客が「アバンダンス」派を接点に議論を戦わせ、質的に重要な発言がクライン周辺の「炎上」で露見するサイクルからも、「アバンダンス」の民主党改革の台風の目としての機能は無視できない。
政策実現、「結果」至上主義の「アバンダンス」
アメリカでの「アバンダンス」刊行から1年を経て4月末に「アバンダンス」総括のポットキャスト番組が放送された10。世間で「アバンダンス」が流行語的に浸透しても、政策成果が出ていなければ意味がないと反省する彼らはとことん「結果主義」である。短期成果の見込みが薄いのに理想に忠実な主張をし続ける流派とは、右でも左でも相容れない。「法案」可決とその法案で目指した政策の実現は同義ではなく、法案成立で安心すべきではないことなどは目から鱗の指摘である。
「豊かさ」の実現に目的を据える彼らは、その他の争点を全て「生産性」に収斂させる。移民問題もトランプが移民取り締まりを厳しくすることで、労働力不足でコストが高くなり建築インフラに影響を与えると考える。非合法移民の人権問題は主たる関心事ではない。イラン戦争も、石油依存から再生エネルギーへという「気候変動」を重視する彼らの持論に引き寄せる。ちなみに今回は深入りしないが、アバンダンス派には外交安保では「穏健派B」、つまり旧ヒラリー派的な「価値外交タカ派」が少なくない。共著者のディレク・トンプソンはイラン戦争の教訓をこのように単純化した。「我々が目の当たりにしたのは、全体主義的な神権政治体制が、ドローン兵器を用いてガスや石油の主要輸送路を支配し、それによって全世界の化石燃料のコストを押し上げ得るという現実だ」。
彼らが「ポピュリスト」と呼んで批判する「新世代左派」については、マムダニ市長に一定の評価を示す。住宅供給のスピード重視を認めたことを「アバンダンス」との融合と好意的に解釈した。ただ、「新世代派」「労働者派」からの「アバンダンスは企業寄り」との批判には激しく抵抗する。総括番組ではエリザベス・ウォーレンによる「(アバンダンスは)民主党を大企業に有利な方向に導くために多大な力を注いでいる富裕な寄付者や、企業寄りの民主党員たちのための合言葉」との攻撃に「多くの問題は企業由来ではない」と反論した。また、サンダースについても、政府は官僚主義で非効率的だ、と彼も認めているのに、短期的に政策の効果を高めることには目を向けないと批判している。
アバンダンス派はトランプ政権のDOGEも部分的に肯定する。政府機関の「破壊」の全てが良かったわけではないが、多くの制度や機関が無くなっても別の方法で物事が回ることを認識したという。アバンダンス派に近いピート・ブデジェッジを引用して、来るべき民主党政権がDOGE以前に時計の針を戻すのは馬鹿げているとし、DOGEをさらに改良する「プログレッシブ版DOGE」の理想まで説く。トランプとイーロン・マスクがDOGEで失敗したのは、法制化の丁寧な手続きを踏まなかったからだと述べ、政府の無駄を省くこと自体は肯定している。
「利益の民主政」「理念の民主政」:「アメリカ政治の壁」
| 経済 | 文化 | 旧分類 | |
|---|---|---|---|
| 新世代左派 | 左派(社会主義・反大企業) | 左派(アイデンティティ政治・人種正義・対外非介入) | リベラル派(人種的少数派、若年層、性的少数派、労働者層) |
| 労働者派 | 左派(ニューディール路線) | 中道(DEI批判、厳格な移民改革、気候変動軽視) | リベラル派(労組、労働者層)、南部穏健派(文化的保守派) |
| アバンダンス派 | 中道(規制緩和・新技術活用) | 左派〜混合(気候変動重視、アイデンティティ政治では炎上も) | 穏健派(ビル・クリントン派、ヒラリー派)、テック産業界、環境 |
これまで見てきた民主党3派を暫定的に分類すると上記のようになる。しかし実は、民主党内で起きているこれらの「経済」と「文化」の対立は、何も今急に指摘されている問題ではない。これをいち早く「利益」「理念」という言葉で表現していた日本のアメリカ研究者がいた。政治学者の砂田一郎である(彼の使った言葉は正確には「利益の民主政」「理念の民主政」)11。2014年に惜しくも物故した砂田の見取り図を敷衍して受け継いだ筆者は、労働者層が支持基盤の軸だった民主党の変質を追ってきた。
1960年代の公民権運動とベトナム反戦運動以降、活動家・知的産業従事者が増加し、民主党の文化的なリベラル化が深まった。だが、多文化主義的な運動は労働者層の家計争点とのズレも生んだ。反戦リベラル理念は、軍需産業で家族を養う労働者に受け入れられず、炭坑など化石燃料産業の労働者の利益と気候変動対策も両立しない。この民主党内の経済と文化をめぐる亀裂を筆者は「政治の壁」と名付け、白人労働者の離反によるトランプ台頭の可能性を指摘した(『アメリカ政治の壁』岩波新書2016年)。10年前のことだが、砂田一郎の問題意識は日本向けには早すぎた感もある。トランプの二度の勝利を経た今、機は熟した。『アメリカ民主党 失敗の本質』『アバンダンス』の2冊を手元に民主党内の分断の本質を今後更に考えてみたい。
なお、「経済」「文化」に加えて、民主党内流派の別の指標として「外交・安全保障」が存在する。外交安保政策に関して、内政アクターに焦点を絞った久保文明による2000年代末の分類では、民主党系は「左派・反戦派」「穏健派」「リベラル・ホーク」の3つに類型化されていた12。20年近くが経過した今、どのような組み換えが可能だろうか。別稿に譲りたい。
*次号は、共和党編①として、経年の共和党現地調査を基に「MAGA分裂」とされる現象の実態と背景を論じる。
(了)
- 例えば渡辺将人「民主主義をめぐる「トランプのジレンマ」」『アステイオン』94号(2021年5月) 189-201頁(本文に戻る)
- Ronald Brownstein, “Why This Democratic Strategist Walked Away”, The Atlantic, February 23, 2023, <https://www.theatlantic.com/ideas/archive/2023/02/democratic-strategist-simon-rosenberg-ndn-new-democratic-network/673182/>, accessed on May 1, 2026.(本文に戻る)
- Gregory Krieg, “Bernie Sanders distances himself from Ocasio-Cortez’s comments, says Medicare for All is ‘already a compromise’”, CNN, February 19, 2020, <https://edition.cnn.com/2020/02/18/politics/sanders-ocasio-cortez-compromise-medicare-for-all>, accessed on May 1, 2026.(本文に戻る)
- アメリカ政治思想に精通する会田弘継氏が的確な解説を巻末に収録している。(本文に戻る)
- Ezra Klein, “Charlie Kirk Was Practicing Politics the Right Way, New York Times, September 11, 2025, <https://www.nytimes.com/2025/09/11/opinion/charlie-kirk-assassination-fear-politics.html>, accessed on May 1, 2026.(本文に戻る)
- Shari Dunn, “The problem with Ezra Klein: There is no "right way" to debate my humanity and intelligence”, sharidunn.substack.com October 12, 2025, <https://sharidunn.substack.com/p/the-problem-with-ezra-klein>, accessed on May 1, 2026.(本文に戻る)
- サンダースの2015年の民主党予備選では1戦目のアイオワの事務所開きから筆者は立会い、キャラバンにも同行したが他州から集うボランティアも白人が中心だった。彼らのことを「Bernie Bros」と呼ぶ。ボランティアに黒人がいないわけではないのだが、人種問題よりも貧困や平和を重視する層が多く、かつてのラルフ・ネーダー支持層に類似している。そのためサンダースはサウスカロライナ州など黒人州で苦戦した。日本からは認識されにくいが、属性に関心がない「反貧困」一本槍のサンダースへの人種的少数派やアインデンティティ政治派らの不信感は根深い。 (本文に戻る)
- Ezra Klein, “Sarah McBride on Why the Left Lost on Trans Rights”, New York Times, June 17, 2025, <https://sharidunn.substack.com/p/the-problem-with-ezra-klein>, accessed on May 1, 2026.(本文に戻る)
- Erin Reed, “What Sarah McBride Gets Wrong”, Erin in the Morning, Jun 21, 2025, <https://www.erininthemorning.com/p/what-sarah-mcbride-gets-wrong>, accessed on May 1, 2026.(本文に戻る)
- Ezra Klein, “What Worries Me Most About ‘Abundance’”, The Ezra Klein Show (New Tork Times), April 28, 2026, <https://www.nytimes.com/2026/04/28/opinion/ezra-klein-podcast-thompson-dunkelman.html>, accessed on May 2, 2026.(本文に戻る)
- 砂田一郎「『理念の民主政』と『利益の民主政』―アメリカ政党対立の構図」(『武蔵野法学』第3号、2015年、49-102ページ.(本文に戻る)
- 久保文明編『アメリカ外交の諸潮流:リベラルから保守まで』(日本国際問題研究所、2007年)(本文に戻る)