第二次トランプ政権の政権運営と不法移民対策

西山 隆行
第二次トランプ政権が発足して一か月が経過したが、大統領令が頻発されていることが大きな注目を集めている。トランプ政権の発令した大統領令をまとめているCNNのサイトによれば、政権発足ちょうど一か月の2月20日朝8時45分の時点で、トランプは108の大統領令を発令しているという1。トランプ大統領は、自ら最重要課題と位置付けている不法移民問題についても、大統領令を発令している。そこで本論稿では、まず前半で不法移民問題を素材としてアメリカの大統領令の効果とその限界について考察し、後半で不法移民政策に関わる諸課題を検討してみることとしたい。
大統領令に基づく政策とその限界
大統領令を用いた政権運営について、日本では大統領の行動力と決断の速さを称賛する声もあるようだ2。
だが、大統領が大統領令を頻発していることは、必ずしもその政権運営がうまくいっていることを意味するのではない。なぜならば、大統領令が頻発されている状況は、大統領の強さではなく弱さを示している可能性があるからだ。
権力分立が厳格な米国では、行政部の長である大統領は連邦議会には議席を持っておらず、法案提出権もない。大統領が自ら望む政策を実現するためには、基本的には連邦議会にその内容の法律を通してもらうのが筋である。そして、米国の大統領令は基本的には行政部を律するためのものにすぎず、法律を代替するわけではない。中南米諸国などでは大統領令が既存の法律よりも優位することもあるが、米国の大統領令は、あくまでも既存の法律の枠内で、政権の政策実施の優先順位をつけたりするためのものである。したがって、法律上の根拠がないものについては効力を持たないし、連邦議会が対応する予算をつけなければ絵に描いた餅になってしまう。連邦裁判所が無効判決を出すことも多い。歴代の大統領に対するアドバイザーを務めていたハーバード大学教授のリチャード・ニュースタットは、大統領が持つべき最大の能力は政界関係者を説得する力だと指摘していたが、大統領令は大統領による説得が十分に機能しない場合に活用される傾向があるのである3。
2024年の選挙の結果、大統領職のみならず、連邦議会上下両院も共和党が押さえる統一政府(いわゆるトリプル・レッド)となったが、その議席配置は歴史的な僅差である。共和党は上院で100議席中53、下院は435議席中218議席しか持っておらず、ごく一部の議員が造反すれば法律が通らなくなる状態である。トランプの権力は政権発足直後がピークで、中間選挙に向けてどんどん低下していく可能性も高い。できるだけ多くのパフォーマンスをすることで自らに注目を集めて、レイムダックになる期間を遅らせようというのが、トランプの狙いなのだろう。
不法移民対策と大統領令
先ほど指摘したように、大統領令は既存の法規を前提にしたものであるが、大統領は実際には法律の限界すれすれを狙って大統領令を発動することも多い。トランプ政権に関しては、法律はおろか、伝統的な憲法解釈に反する内容を伴った大統領令を出すことも辞さないようである。例えば、1月20日の政権発足日にトランプ大統領は、米国に違法または一時的に滞在する母親と、米国籍や永住権を持たない父親の間に生まれた子どもについて、たとえ出生地が米国であっても米国籍取得を認めないとする大統領令に署名した。合衆国憲法修正第14条が国籍に関する出生地主義の原則を定めているため、両親が不法移民の場合であっても米国内で生まれた子どもは米国籍を持つというのがこれまでの一般的な解釈である。また、大統領令で憲法上の原則を無効化することはできないというのも一般的な理解である。
不法移民と合衆国憲法修正第14条の関係を扱った判例は連邦最高裁判所には存在しないため、新たな判例で不法移民の子どもへの国籍付与を否定することも理論的には可能だと指摘する論者は存在するが4、その場合でも改憲以外で出生地主義原則をやめるには、最低でも連邦議会の立法が必要で、大統領令だけでは不十分だと考えられている。
トランプは不法移民厳格取り締まりを主張しており、史上最大規模の強制送還をしていると述べているが、実は政権一期目に国外退去処分した数はオバマ政権の一期目の時の半分で、バイデン政権期の数とほぼ同じである。第二次政権が始まってから取り締まり数が急増したという報道もあるが、冷静に数字を見ると、民主党政権期にも同じくらいの数の拘束をした時期がある。不法移民の入国者数は勿論違うとはいえ、取り締まりという点ではトランプはさほどの功績を主張できない状態にある。
おそらくトランプは、自らが不法移民に対して厳格な立場をとっていると岩盤支持層にアピールすることを目的として当該大統領令を出しており、それが運よく認められれば好都合、認められなければディープステートとエリート批判の素材にすることを狙っているものと思われる。しかしこのような手法がとられることは一般的には想定されてこなかったといわざるを得ないだろう。先例のない手法に依拠するのはトランプ大統領の特徴であり、それが大統領の個性の表れなのは間違いないが、大統領の強さを示しているとは限らないことに留意する必要があるだろう。
不法移民の強制送還に伴う諸問題
とはいえ移民政策は、トランプが最も際立った特徴を示している政策の一つであることは間違いない。2016年大統領選挙に際してトランプは米墨国境地帯に壁を建設すると強調し、数百万人の不法移民を強制送還すると公約していた。2024年大統領選挙に際しても、ハイチからの不法移民がペットの猫を食べているという過激な発言をあえて行うなどして不法移民問題に世論の関心が向かうよう仕向け、就任初日に米墨国境を閉鎖し、上述したように史上最大の強制送還作戦を開始すると宣言した。
第二次政権における移民政策の担い手は、スティーヴン・ミラー、トム・ホーマン、クリスティ・ノームらである。ミラーは第一次トランプ政権期にイスラム教多数派の国からの渡航禁止や国境での家族の引き離し政策などに携わった人物である。「国境担当皇帝」とも呼ばれる元ICE(移民・関税執行局)局長代理のホーマンはミラーとともに、第一次トランプ政権で寛容度ゼロ政策を推進したことで知られている。ノームは、サウスダコタ州が南部国境と1500マイル離れているにもかかわらず州兵を米墨国境地帯に派遣しようとした前サウスダコタ州知事であり、第二次トランプ政権では国土安全保障省長官に任命された。いずれも強硬派であり、不法移民の国外退去処分を最優先で行うと主張している。
では、トランプが主張するように、米国内の全ての不法移民を国外退去することは可能なのだろうか?予算、ICE職員、拘留場所、移民裁判官や輸送機、受け入れ国の事情など様々な問題が絡んでいるが、以下ではいくつかの論点について検討しよう5。
(1)予算と法的な問題
まず予算については、現在米国内に居住していると推定される全ての不法移民全員を一度で退去処分にする作戦をもし敢行すれば、少なくとも3150億ドルかかるという試算がある(AICによる試算で、不法移民数は1300万人で推計している。しかし米国内に居住する不法移民の数を正確に推計するのは困難で、一般的には数の面ではPew Research Centerの推計に基づく1100万人とすることも多い)6。違法に滞在する不法移民の全てを国外退去させるべきというのはある意味では正論かもしれないが、不法移民対策にこれだけの予算がつけられるとは考えにくいことから、歴代の政権も退去処分をするための優先順位を付してきたという事情がある7。トランプは第一次政権中に国防総省の予算から100億ドルを流用して米墨国境地帯の壁建設費を賄おうとしたが、第二次政権でも同様に国防総省の資金を流用する可能性を検討しているとされる。いずれにせよ、共和党内の財政保守派、軍事的保守派からの反発も予想される。
不法移民の国外退去処分を実施するにあたっては、法的な問題もある。合法か否かを問わず、移民は移民裁判所の審理を受ける権利が認められているが、移民裁判所の判事の数は限られているし、審理には一定の時間がかかる。第一次トランプ政権は、コロナウイルスのパンデミックが拡大する中で感染拡大防止を正当化根拠にし、各種移民法に規定されている迅速退去措置に関する規定を拡大解釈して強制送還を試みたが、平時にそれが実現可能かには疑問が残る。また、トランプは1798年に定められた敵性外国人法を用いて、特定国出身の不法移民を即時に国外退去させる可能性があるとも発言している。同法は、侵略または略奪的侵入に従事していると指定された国の14歳以上の男性を逮捕し、即時国外追放することを認めているが、一般的な不法移民が同法に該当すると考える人は少ないだろう(ただし仮に同法が適用されて連邦最高裁判所の判断を仰ぐことになると、「侵略または略奪的侵入に従事している国」の定義を定める権限が大統領にあると解釈される可能性はある)。
(2)移民関税執行局(ICE)と地方政府
実務上の困難としては、移民関税執行局(ICE)の人的資源の不足という問題がある。ICEには移民案件を担当する職員が約5500人いる。そのうち、移民に対するサービスの提供業務を行っている人々を検挙や拘留、退去処分を行う部署に異動させる可能性を検討しているとされるが、それには時間を要する。仮にその全ての職員がそれら業務に携わっても一斉検挙に必要な人員が不足するのは明らかである。
ICEによる職場襲撃や路上逮捕は、通常数週間に及ぶ計画と地元警察との調整を必要とするとされるが、「聖域」政策を採用する地方政府がそれらに協力するとは考えにくい。そもそも、連邦最高裁判所の判例では、移民の出入国管理に関する権限は連邦政府のみが持つとされているため、州や地方政府が不法移民の取り締まりに関与する誘因は乏しい8。第二次トランプ政権になって以降、聖域都市として知られていたニューヨーク市のエリック・アダムス市長がトランプ政権に協力して不法移民の取り締まりを実施したが、これはアダムス市長の収賄事件とも関連した、相当特殊な例だと考えられている9。
(3)不法移民をどこに拘留するか?
他にも、国外退去処分には様々な現実的な制約が存在する。国外退去処分を実施するには、帰国手配が完了するまで不法移民を拘留する必要がある。現在、ICEは約4万床の収容能力を確保しているとされるが、それ以上の収容能力を確保するのは容易でない。地方政府の刑務所を活用するのは一案だが、聖域政策を採用している地方政府は協力しない可能性が高い。民間の拘置請負業者の活用にも限界がある。
そこでトランプ政権は軍事基地の利用も検討しているが、既存の軍事基地での収容を行う上では、現実的には様々な問題が存在する。例えば、バイデン政権が約10万人のアフガニスタン難民を救出し、再定住させる取り組みの一環として、一時的に軍事基地に避難させたことがあるが(2021年の「アライズ・ウェルカム」作戦)、その際にアフガニスタン人が収容された基地内の宿舎はICEの拘留基準を満たしておらず、刑務所のようなセキュリティも提供していなかった10。ミラーやホーマンは、テントやキャンプを使って拘留スペースを増やすことを提案しているが、それは上記の基準を満たしそうにない。
そこでトランプは、一部の不法移民をキューバのグアンタナモ基地に存在する収容所に移送する方針を示している。1月29日には2期目の最初の立法上の成果として不法移民者拘禁法案を成立させ、逮捕した不法移民者をグアンタナモに実際に移送した。グアンタナモの収容所は、2001年の9.11テロ事件を受けて外国人過激派を収容するため2002年に設立されたもので、その運営はかねてより批判の対象となってきた。トランプはグアンタナモでの収容所の増設も指示している。
強制退去処分を行うため必要な輸送手段も不足している。ICEは約135名の強制送還者を乗せることができるチャーター機を12機ほど所有しているが、チャーター会社は余剰の航空機をあまり持っていないとされる。トランプとその側近は軍用機を使って不足分を補う方針で、その運用は既に一部展開されているが、不法移民を輸送すれば緊急事態に対応できなくなることもあり、国防総省は移民法執行に関与することに消極的である。
(4)強制送還者を受け入れる国はあるか?
強制退去を実施するためには、不法移民の出身国に受け入れの準備をさせる必要がある。グアテマラやホンジュラスなどは協力的な姿勢を示しているとされるが、ベネズエラ、ニカラグア、中国は、ICEの強制退去便の受け入れを制限または拒否している。第一次トランプ政権は、強制送還者の受け入れを強制するため、査証の差し止めなどの外交圧力をかけたが、第二次政権でも同様の試みがなされるだろう。
外交圧力をかける試みが成功したとされるのが、コロンビアの事例である。トランプ政権は犯罪歴のある不法移民を、軍用機を用いてコロンビアに強制送還しようとしたが、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領がその受け入れを拒否した。それに対してトランプ政権は、コロンビアからの輸入品すべてに25%の関税を課すと発表した。またトランプは自身のソーシャル・メディアで、コロンビア政府の職員および協力者や支持者に対する渡航禁止と即時の査証取り消しを宣言した。これに対し、コロンビアも対抗関税を課すと発表し、対立が激化するとも予想されたが、最終的にはコロンビア政府は軍用機で運ばれてきた不法移民の受け入れを発表した11。
米国とコロンビアの軍事力・経済力の差が歴然としている以上、コロンビアが妥協するより他なかったものと思われるが、コロンビアとしては苦渋の決断だろう。報道では、当初不法移民を強制「送還」しようとしたにもかかわらずコロンビアが受け入れを拒否したとされているが、受け入れ国からすれば、「送還」されてきた人々が本当に自国民なのかという疑念が存在するはずである。コヨーテと呼ばれる密入国斡旋人は「強制送還を避けるために出身国が特定できる書類は持つな」と密入国希望者に指示することが多いとされ、不法移民の送還先は不法移民の自己申告に基づく場合が多いと推測される。中南米から米国への不法移民に注目が集まっているが、よりマシな環境を求めて中南米諸国間で違法に越境する人も実は多く存在する。コロンビアからすれば「この機会を利用してコロンビアに違法に入国しようとする他国出身者がいるのではないか?」との疑念を捨てることはできず、強制「送還」と言われても安易に受け入れたくなかったのは当然だろう。
いずれにせよ、国力の差を前提とし、関税率を取引の素材として、米国が他国に圧力をかける事例は今後も増える可能性がある。
なお、このような状況を逆に利用しているのがエルサルバドルである。エルサルバドルは、1980年代に起きた政府と左翼ゲリラの間の内戦から逃れて多くの国民が米国に脱出し、90年代にはその多くが母国に強制送還された。だが、米国滞在中にロサンゼルスなどで若者たちが結成したギャング団がエルサルバドルの治安を悪化させ、一時期は世界で最も治安の悪い国の一つと言われることもあった。そのため、他国への越境希望者は中南米諸国の中でも多かった。2019年に就任したナジブ・ブケレ大統領が取り締まりを進め、ギャングが駆逐されて治安が落ち着いてきたとされるものの(人口10万人あたりの殺人件数は51件だったのが、2023年は2.4件に減少した)、その取り締まりや刑務所の状況は人権を全く無視したものだと批判されることも多い12。
そのブケレがマルコ・ルビオ国務長官に対し、米国の危険な犯罪者をエルサルバドル内で収監する(刑務所制度の一部をアウトソーシングする機会を提供する)ことを提案し、ルビオが「世界中で最も異例(extraordinary)な移住協定」だとして謝意を示している。このような措置が果たして米国の法律上問題がないかは不明であるが、強権的な指導者を有する財政難に苦しむ国家が米国に対して同様の取引を持ち掛ける事例も増える可能性があるかもしれない。
むすびにかえて
本稿の前半で記したように、第二次トランプ政権の基盤は必ずしも強くないため、トランプ大統領は議会の協力を得ずに大統領権限を用いて岩盤支持層にアピールできる政策を追求している。とはいえ、米国の大統領令は何でもできる万能の方策ではなく、本稿で記した不法移民対策のように様々な現実的な問題が残っている。
コロンビアやエルサルバドルのようなケースに力を得てトランプが、国内で議会対策をするよりは、国力の差に基づいて外国に圧力をかける方が容易だと判断することも増える可能性がある。大統領としての遺産を作ることを目指すトランプがどのような策を採っていくか、今後の政権運営に注目する必要がある。
(了)
- Curt Merrill and Amy O’Kruk,“Tracking Trump’s executive actions,” CNN, <https://edition.cnn.com/politics/tracking-trump-executive-orders-actions-dg/index.html>,(accessed on March 10, 2025)(本文に戻る)
- Yahoo!のコメント欄を見れば、そのような指摘が数多くなされている。(本文に戻る)
- トランプはニューヨークの渋滞税を政権が取り消したのを受けて、自身のソーシャル・メディアに「渋滞税は死んだ。マンハッタン、そしてニューヨークが救われた。王様万歳!」と投稿し、自身を国王に見立てた。そしてホワイトハウスも、タイム誌の表紙に似せたデザインで、王冠をかぶったトランプのイラストをXに投稿した。トランプは連邦裁判所の判決に従わないことを仄めかすなど、建国者たちが定めた権力分立の原則に反する発言をとり続けているが、トランプ政権が大統領職をどのように変えようとしているかに注目する必要があるだろう。(本文に戻る)
- 合衆国憲法修正第14条をめぐって、1884年のElk v. Wilkins判決では、先住民部族に属する者は合衆国管轄下になく、米国内生まれでも市民権は自動的には認められないとの判決が出されたことがある。これについては当初から強い批判もあり、1924年のインディアン市民権法(Indian Citizenship Act)で先住民に米国籍が付与された。そのため、同判決は実質的な意味を失ったが、連邦最高裁が同判決を撤回したわけではないため、同判決はいまだ効力を持っているという議論がありうる。この判決は合衆国憲法修正第14条の規定が無制約で誰にでも適用可能というわけではないことを示している。親が不法移民である子どもへの合衆国憲法修正第14条の適用を扱った判例がないため、不法移民の子どもに対する出生地主義原則の適用を否定することが可能な可能性もあるというのである。
仮に出生地主義に基づく国籍付与をやめた場合には、様々な課題が発生すると予想できる。仮に出生地主義が否定された場合、不法移民状態である親が出産や出産前に病院を訪れた場合に病院に通報義務が生じるのか?米国籍を持たない親から生まれる子どもは年間約15万人いるとされているが、そのうちどれくらいの人が無国籍者になるのか?彼らは米国籍を持たない以上undocumented aliensになるのか?その場合、どこの国に強制送還されることになるのか?されない場合にはどうなるのか?そして、強制送還されたとして、彼らを受け入れる国はあるのか?などである。現在、テキサス州のアボット知事は不法移民が親として病院を訪れた場合にその記録をとるよう命じているとされるが、この動きなどとも連動して、様々な問題が発生する可能性があるだろう。(本文に戻る) - 本稿における以下の議論は、『海外事情』所収の拙稿の情報をアップデートしたものである。詳細な出典等については、西山隆行「第二次トランプ政権の移民政策」『海外事情』2025年1・2月号を参照のこと。(本文に戻る)
- American Immigration Council, “Mass Deportation: Devastating Costs to America, Its Budget and Economy,” October 2, 2024, <https://www.americanimmigrationcouncil.org/research/mass-deportation>, (accessed on March 10, 2025) ; Cf., Passel, Jeffrey S., & Jens Manuel Krogstad, “What we know about unauthorized immigrants living in the U.S.,” Pew Research Center, July 22, 2024, <https://www.pewresearch.org/short-reads/2024/07/22/what-we-know-about-unauthorized-immigrants-living-in-the-us/>, (accessed on March 10, 2025) (本文に戻る)
- 歴代政権が優先してきたのは、移民法違反を除く犯罪歴を持つ不法移民の送還である。移民関税執行局によれば、有罪判決を受けるか刑事告発を受けている不法移民の数は約67万人だという。(本文に戻る)
- 聖域都市については、西山隆行『<犯罪大国アメリカ>のいま―分断する社会と銃・薬物・移民』(弘文堂、2021年)、第6章。(本文に戻る)
- アダムス市長は、市内に設置されているトルコ共和国の領事館の移転に際し便宜を図った見返りに接待を受けたとして、外国人による収賄の容疑がかけられていた。それに対し、トランプ大統領は、市長がこれまで拒んでいた不法移民摘発に協力すれば収賄容疑の起訴を取り下げると提案し、市長がこの条件を受諾したとされている。住民の4分の3が民主党支持者でリベラルだとされているニューヨーク市において、黒人で民主党に属する市長がこのような決断をした背景には、テキサス州のアボット知事らが南部に多く存在した不法移民(正確には合法的な難民申請者)を大都市に移送し、都市での体感治安が悪化していたことなどがある。とはいえ、このようなディールがなされるのは、やはり相当特殊な事情だといわざるを得ないだろう。なお、アダムスの収賄事件の担当判事は、大統領とのディールは成立していないので公益の立場から審理を進めるとし、当面は起訴の取り消しを認めないとしている。南部諸州が大都市に不法移民などを移送したことの政治的影響については、西山隆行「移民問題に新展開?民主党系市長・州知事の反発とウクライナ問題」笹川平和財団アメリカ現状モニターNo.150(2024年1月18日)。(本文に戻る)
- トランプ支持者の中には、バイデン政権がアフガニスタンの人々を呼び込んだのと同様の方法で、逆に人々を送り出すこともできると主張する人もいる。だが自発的に避難した人々を救出したプログラムとは異なり、強制退去処分の取り組みは国を離れたくない人々を対象としているし、移民擁護団体や弁護士からの反対に直面する点が異なっている。(本文に戻る)
- コロンビアのペトロ大統領はかねてよりトランプ大統領の移民政策や環境政策に批判的だとされていた。米国に流入するコカインの相当部分がコロンビアに由来するとされており(ただしフロリダ沖での警備が増強されて以降はメキシコ経由で流入するようになった)、その際にはコロンビア国内のギャング団が暗躍していると指摘されている。(本文に戻る)
- エルサルバドルの政権による取り締まりについては、ヒューマンライツウォッチなども強く批判している。Human Rights Watch, “El Salvador Events of 2023,”World Report 2024,<https://www.hrw.org/world-report/2024/country-chapters/el-salvador>, (accessed on March 10, 2025) (本文に戻る)