現在、ウクライナ、パレスチナ、スーダンなどで軍事衝突が起こり、世界各地で深刻な人道危機が発生しているが、これらの事態を収束する目処が立っていない。それは、これまで構築してきた国連を中心としたグローバルシステムを支える基盤が揺らぎ、課題に対処できなくなったからである。それでは、どうすればこの課題を克服することができるのか?本稿では、紛争と人道危機についての現状について言及した上で、グローバルシステムが抱える課題を具体的に明らかにし、その原因と解決策について論じる。

1. 止められなくなった紛争と人道危機

 現在、国家や武装勢力による攻撃、戦闘を制止できず、クーデターの発生も止められなくなっている。図1が示すように、2010年代半ば以降、紛争の数は増加傾向にあり、2020年以降は紛争犠牲者数も増加傾向にある。これは膠着状態となった紛争の犠牲者数が増大していることが原因である[1]。ロシアのウクライナ攻撃やミャンマーでの少数民族等への攻撃は2年が経ち、スーダンの軍事衝突は11ヶ月が経過、イスラエルのガザ攻撃は5ヶ月が経過するが、いずれも止められずにいる。また、マリ、ブルキナファソ、ニジェールではクーデターが発生したが、国際社会は現状を見守るのみである。現在の国際社会は、「武力による支配」を抑止できなくなっている。

図1:紛争の数と犠牲者数の推移

出典:Anna Marie Obermeier and Siri Aas Rustad, “Conflict Trends: Global Overview, 1946-2022,” Peace Research Institute Oslo (PRIO),June 7, 2023, p.9.

 また、紛争を止められなくなったことに伴い、世界各地で深刻な人道危機が発生し、多くの人々が生死の際に立たされている。UNHCRによれば、図2の通り、2023年6月末時点で「避難を余儀なくされた人々」は1.1億人を超え過去最大になった[2]。現在の国際社会は、増大する人道危機を解決することができずにいる。

図2:避難を余儀なくされた人々の推移(2009年-2023年上半期まで)

出典:“Mid-Year Trends 2023,” UNHCR, October 23, 2023, p.9.

2. 機能不全に陥ったグローバルシステム

 このような事態に対し、国際社会が解決策を見出すことができずにいることは、まさにグローバルシステムが有効に作用しなくなったと言うことができるだろう。こうした「行き詰まり」を、グテーレス国連事務総長は「無秩序の時代(Age of Chaos)」と表現し危機感を露わにしている[3]。この「グローバルシステムの機能不全」について、ここでは4つの「機能不全」として具体的に検討する。

(1)国連安保理の機能不全

 安保理は、常任理事国により拒否権発動が多用され、迅速に決議をまとめられなくなった[4]。イスラエルのガザ攻撃の停止決議案は、何度も廃案となり、決議が成立したのは、攻撃開始後5ヶ月以上が経過した2024年3月25日である。しかし、依然として同決議後もイスラエルによるガザ攻撃は続いている[5]。

(2)国連PKOの機能不全

 国連PKOは平和維持機能を果たせなくなっており、マリ、スーダン、コンゴ民主共和国では、現地情勢が改善しない中、国連PKOないし国連政治ミッションが、受入国政府から撤収を迫られ、任務を終了する事態となっている。

(3)国際司法システムの機能不全[6]

 国連人権高等弁務官は2024年2月、イスラエル・パレスチナで行われている紛争では夥しい国際法違反が行われているとして、国際刑事裁判所(ICC)および国際司法裁判所(ICJ)等の国際司法メカニズムに付託されるべきとの見解を発表した[7]。同年1月のICJでの審理では、南アフリカによる「イスラエルのガザ攻撃はジェノサイド(大量殺戮)条約違反である」との提訴に対し、見解を示すには至らず、「人道支援物資のガザでの輸送を保障すること」等の暫定措置命令が出されるに留まった[8]。しかし、これも遵守されず、ICJは3月28日、改めてこれらの措置を講ずるよう追加指示を発出した[9]。一方、個人の戦争犯罪や人道に対する罪を裁くICCは、イスラエル・パレスチナ紛争に関して、今のところ動く気配はない。

(4) 人道援助システムの機能不全

 人道援助は予算が不足し[10]、支援ニーズが拡大する中、規模縮小を迫られる事態となっている。また紛争当事者の妨害により人道援助が阻まれ、人道援助関係者が攻撃対象となる事態が増えている。スーダンでは、世界最大規模の800万人以上が避難民となり[11]、2024年6月までに700万人が壊滅的なレベルの飢餓に直面する可能性があるが[12]、有効な人道支援ができていない。未曾有の人道危機が発生する中、人道援助システムがニーズに応えられなくなっている。

3. 機能不全化の原因は何か?

(1) 普遍的価値や国際システムを支える基盤の脆弱化

 現在、人道主義、人権規範などの普遍的価値が形骸化し、国連などの国際システムを擁護する意思が希薄になっている。これまで、人道主義や人権規範は、絶対的な価値として西側諸国を筆頭に国際社会で強く支持されてきた。また国連をはじめとする国際システムも、国家間では処理できない問題を解決する普遍的な国際機関として、信頼を集め、その判断には一定の規範力があった。そのため、これらの価値、国際システムに背く行動を取ることは、どの国、勢力も相当の覚悟が必要であった。ところが現在、暴力的過激主義をはじめ、「武力による支配」により正統性の保持を厭わない勢力が実効支配する風潮が生まれている。他方で、これまでこれらの価値の守護者であった西側諸国に対しても、イスラエルのパレスチナ攻撃への対応については、「ダブルスタンダード」と非難される状況に陥っている。多くの西側諸国は、ICJの暫定措置命令を履行しないイスラエルに対し、ウクライナ問題では取っていた口座凍結などの経済制裁措置、武器禁輸措置を取るに至っていない[13]。安保理でのイスラエル停戦決議について、米国の政府高官は、「安保理決議には拘束力が無い」とも発言している[14]。これは今以上に安保理の規範力を損なうものである。

 普遍的価値や国際システムを支える意思の希薄化の背景として、各国、とりわけ西側諸国内での「国内世論の右傾化」に着目する必要がある。多くの西側諸国では、国内経済の低迷、格差の拡大により、政府に不満を持つ国民が増加している。また、難民、移民の増加を受け、難民、移民等に対する排他的な考えやポピュリズムが台頭している。コミュニケーションツールとしてSNSが存在感を高めているが、SNSのアルゴリズムが、同じ考え方を持つ人々同士を結びつけ、社会の分断を招いている。その結果、国内世論は、国際問題より国内問題解決を優先する声が強くなり、人道主義や人権規範の擁護、あるいは国連など国際社会システムの維持を支持する声は低下している。このような国内環境が、各国に国際社会の課題に積極的に関与する意思を削ぐ要因となっている。イスラエルのチャンネル12が2024年1月最終週に実施した世論調査では、「イスラエル人の拘束者が解放されるまでガザへの人道支援のエントリーは止めるべき」との意見は72%に上っており、これがイスラエル政府に強硬姿勢を継続する誘因となっている[15]。このイスラエルのポジションに対し、イスラエルの有力なパトロンである米国自身が、クライアントであるイスラエルの行動に振り回されるジレンマに陥っている[16]。

(2)紛争環境の変化と課題に対応できなくなった国連PKO

 紛争を取り巻く環境の変化として、まず国際社会の主要国間の関係、および紛争のメインアクターが変容し、従来の紛争解決システムが有効に作用しなくなったことが挙げられる。過去を振り返ると、1980年代末に冷戦が終了し、90年代は米国を中心に西側諸国が主導する国際秩序が構築された。2001年の米国同時多発テロ前後からイスラム過激派など暴力的過激主義が影響力を及ぼすようになり、近年ではロシア、中国と西側諸国間の緊張関係が顕著になってきた。またBRICSをはじめ、中進国が経済成長を遂げ、西側諸国の経済力低迷と引き換えにこれらの国々が存在感を増すようになっている。一方、紛争局面では、従来は国家間の対立が紛争や緊張関係発生の主要因であったが、ワグネルなどの民間軍事会社の動向や、武器や資金の流通ネットワーク形成とともに、暴力的過激主義などの武装勢力の台頭が顕著になり、紛争の主要アクターとなっている。国際社会、紛争局面の主要ステイクホルダーが相対化、多層化し、様々な利害関係が生じたことにより、国際社会として統一行動を取ることができず、紛争への介入や調停で足並みを揃えることが難しくなっている。

 ロシアとウクライナの紛争は、西側諸国とロシアとの対立が背景にあり、拮抗状態が続いている。西アフリカでは、旧宗主国フランスの影響力低下、ワグネルの影響力拡大ととともに暴力的過激主義が伸張し、一方でクーデターの発生が連鎖的に広がり、解決の方途が見いだせなくなっている。スーダンでは、国軍と準軍組織RSFの対立の下、国内の諸勢力、周辺国が様々な利害関係から関与しており、解決の糸口が見いだせていない。ソマリアやイエメンでは、長年内戦状態が続いているが、国際社会からの有力な介入がない状態が継続している。

 このような紛争を取り巻く環境の変化に、国連PKOが対応できなくなっている。暴力的過激主義の伸張とともに、武装勢力によるゲリラ的な戦闘が増えているが、戦闘形態の変化に国連PKOが応えられなくなっている[17]。また、従来は、政府と反政府組織による正統性(legitimacy)を巡る争いが多く、国連PKOが攻撃対象になることは少なかったが、昨今の紛争では正統性より、「武力による支配」が優先され、正統性が重要な価値として認識されなくなっている。その結果、国連PKOが攻撃のターゲットとなるケースが増えている。

 さらに、国連PKOが効力を発揮する条件として、受入国内および国際社会による強力なバックアップ、特に停戦達成後の国作りに向けた政治的意思と国作りの具体化が必要であるが、この支援の欠如が、国連PKOの機能を弱める要因となっている[18]。国連PKOが目指すのは、停戦と安定の回復であるが、安定後に新たな政治体制での国家の運営、社会サービスの改善が実現できない限り、紛争当事者や人々の「安定」を持続させるインセンティブは働かない。この実現には、国内外の主要アクターによる政治的な介入と調整が不可欠だが、これが希薄になっている[19]。

 国連PKOは、マンデート形成過程で様々な業務が国連加盟各国から要望され、多岐にわたる業務を行う「マンデートのクリスマスツリー化」[20]が要求される反面、必要な予算は充当されず、明確な優先順位と行動計画が定まらないまま展開することが多い。このような状況下で、国連PKOは成果が見えにくくなり、またクーデターの増加、国家の権威主義化に伴い、国連のプレゼンスを好まない受入国政府から早期撤収を迫られる事態が増えているのである。

4.いかにして解決するか?

 今の世界情勢は決して好ましいものではない。紛争が継続・拡大し、人道危機が増え、住むところを追われた人々の数は減少のめどが立っていない。新たな避難民が、受入社会を不安定にし、排他的な行動が増加している[21]。しかも、これらの事態に対応する国際システムが有効に機能していない。このままでは負のスパイラルが続くだけであり、このスパイラルを変える行動が必要である。いかにしてこの課題を解決するか?

(1)普遍的価値を擁護する枠組み作り

 まず失墜した普遍的価値を擁護する枠組み作りが必要である。そのためには「Awarenessの喚起」、すなわち紛争や人道危機に対する人々の無関心を解消することが必要である。SNSの主流化による社会の分断を克服し、世界の重要な課題を人々に伝達し、好ましい世論形成ができる環境作りが求められている。メディア関係者が果たす報道の役割が重要である。また紛争や人道危機の原因分析、解決策の提示など、各地の紛争、人道危機に関わる人々や研究者による分析・発信の強化が必要である。併せて重要なのが各国での「排他主義の解消」である。各国内での格差の解消、社会的弱者への保護、支援を強化し、誰もが幸せに生活できる社会作りが必要である。このような取り組みが他者を排除するのではなく、寛容に包摂する機運を高めるであろう。

(2)国際社会のパワーシフトに対応した枠組みの構築

 国際社会のパワーシフトに対応した枠組みの構築が求められる。90年代と異なり、現在、西側諸国とロシア、中国との緊張関係が顕著になっている。この緊張関係が、国際システムの機能不全化の主要因である。分裂する西側諸国と中国、ロシア間での対話の促進、信頼関係の醸成が必要であり、協調・共存体制構築の方途を探る必要がある。

 加えてグローバルサウスとの対話、連携強化が必要である。現在の西側諸国にかつてあったパワーは存在しない[22]。西側諸国は、対等な立場でグローバルサウスと対話し、好ましい国際社会作りをしていく必要がある[23]。上述したように、西側諸国は、中東やアフリカの問題への対応が「ダブルスタンダード」であるとしてグローバルサウスから批判を受けることが増えている[24]。イスラエルのガザ攻撃では、中東諸国が仲介努力を続けており、ICJでのイスラエルの提訴は南アフリカが行っている。グローバルサウスの声、意見を冷静に聞くことが必要である。

(3)時代にマッチした国際システムの再構築

 現在の機能不全を解消するため,国際社会のシステムの再構築が必要である。この一つが、安保理改革である。安保理改革に関しては、理事国の数や、常任・非常任の別など、様々な議論が行われているが、拒否権の取り扱いについて結論に達することが難しい状況が続いている[25]。また、国連PKOの制度改革も必要である。ゲリラ的な戦闘をおこなう暴力的過激主義への対応、優先順位・目的の明瞭化と行動評価の徹底が必要である。 さらに、国連をはじめとした国際システムを規範力のあるものとして支持する政治的な「意思」が不可欠である。国連などの国際システムが規範力を持つには、各国がこれらのシステムを絶対的なものとして信奉する「神話」が必要であり、この「神話」は支える人々の「意思」が無ければ維持できない[26]。国連などの国際システムが機能するためには、安保理常任理事国やその他の先進国が率先して、このシステムを擁護していく強い「意思」が不可欠である。

4. 終わりに:2024年への期待を込めて

 2024年は、少なくとも64カ国、世界人口の49%が住む国で選挙が実施される[27]。多くの人々に取って、中東、アフリカなどで発生している紛争や人道危機は、あまりに遠く、自らとは関係が無いと感じるかもしれない。しかし、各人が、好ましい国際社会のシステム構築を願い、投票行動につながれば、その声を代弁するリーダーが各国で誕生する。そのような各国代表が集まれば、望ましい国際社会システムの構築も夢ではない。各人の思いは世界とつながっており、各人の行動が世界を変える。

 2024年9月、多国間主義への信頼回復を目的として「未来サミット(Future of the Summit)」が国連で開催される[28]。その成果に大いに期待したい。

 ※本稿は、2024年3月31日時点の情報に基づき作成された。本稿で示された見解は筆者個人のものであり、筆者の所属組織の公式見解ではない。

(2024/04/09)

*こちらの論考は英語版でもお読みいただけます。
Dysfunctional Global System: How to overcome the crisis of peacebuilding and humanitarian assistance?

脚注

  1. 1 Anna Marie Obermeier and Siri Aas Rustad, “Conflict Trends: Global Overview, 1946-2022,” Peace Research Institute Oslo (PRIO),June 7, 2023, p.9.
    PRIOの紛争データは、2022年までが最新であるが、2023年以降発生したスーダンでの戦闘およびイスラエルのパレスチナ攻撃等の要因により、2023年も紛争犠牲者数は増加するものと考えられる。
  2. 2 UNHCR, “Mid-Year Trends 2023,” October 23, 2023, p.9.
  3. 3 United Nations, “Peace is UN’s taison d’etre: Guterres,” February 7, 2024.
  4. 4 International Peace Institute and Institute for Economics and Peace, “Multilateralism index: Pilot report,” September 2022, p.15
  5. 5 Robert Barron, “What does the U.N. ceasefire resolution mean for the Israel-Gaza war?”, United States Institute of Peace, March 26, 2024.
  6. 6 Erin McCandless, “Israel, ICJ and the movement for a principled and just world order,” Aljazeera, February 28, 2024.
  7. 7 Samara Baboolal, “UN report calls for accountability for violations of international law in Israel and Palestine,” Jurist, February 25, 2024.
  8. 8 Areesha Lodhi, “What has the ICJ ordered Israel to do on Gaza war, and what’s next?”, Aljazeera, January 26, 2024.
  9. 9 Ewelina U. Ochab, “South Africa v. Israel: ICJ orders additional provisional measures,” Forbes, March 28, 2024.
  10. 10 United Nations, “UN relief chief calls for overhaul in humanitarian assistance delivery,” UN News, March 18, 2024.
  11. 11 IOM, “DTM Sudan- Monthly displacement overview March 2024,” March 28, 2024, p.1.
  12. 12 Sudan War Monitor, “Sudan’s descent into famine,” February 12, 2024.
  13. 13 Chandana Seshadri, “Western Sanctions on Russia and the Global South’s stance,” RUSI, November 23, 2023; Amnesty International, “16 leading humanitarian and human rights organizations call to stop arms transfers to Israel, Palestinian armed groups,” January24, 2024.
  14. 14 “Will the UN ceasefire resolution stop Israel’s war on Gaza?” Al Jazeera, 26 March 26, 2024.
  15. 15 Richard Hardigan, “Polls show broad support in Israel for Gaza’s destruction and starvation,” Truthout, February 10, 2024.
  16. 16 この原因については、スティーヴン・ウォルトが以下の論文で詳述している。
    Stephen M. Walt, “The United States has less leverage over Israel than you think,” Foreign Policy, March 21, 2024.
  17. 17 Timo Smit, “Multilateral peace operations and the challenges of terrorism and violent extremism,” SIPRI, November 2017.
  18. 18 Security Council Report, “UN Transitions in a fractured multilateral environment,” December 8, 2023, p. 20.
  19. 19 セドリック・デ・コーニングは“Stabilization Dilemma”と呼び、PKOが成功するためには「政治プロジェクト(political project)」と「一貫性と責任を伴った政治的,物質的な支援(coherent and accountable political and material support)」が必要と指摘している。Cedric de Coning, “How not to do UN Peacekeeping,” Global Governance: A review of Multilateralism and International Organizations, Volume 29 Issue 2, Brill, June 8, 2023, pp. 152-167.
  20. 20 Kseniya Oksamytna and Magnus Lundgren, “Decorating the “Christmas Tree”,” in “Global Governance: A review if Multilateralism and International Organization,” Volume 27, Issue 2, June 9, 2021, pp.226-250.
  21. 21 難民や国内避難民の流入が受入先コミュニティにポジティブな影響をもたらす事例はあり、このような成功事例を増やす取り組みや研究が行われている。しかし、このような成功事例が主流化するまでには至っていない。Alexander Betts et al, “Refugee economies: Forced displacement and development,” Refugee Studies Center, Oxford University, November 18, 2016.
  22. 22 Kishore Mahbubani, “Measuring the power of the Global South,” Chatham House, February 2, 2024; International Peace Institute and Institute for Economics and Peace, op.cit., p.11.
  23. 23 Nathalie Tocci, “Multilateralism is broken,” Politico, October 10, 2023.
  24. 24 Andrea Rizzi, “The West’s perceived double standards in Gaza widen the gap with the Global South,” El Pais, November 29, 2023.
  25. 25 United Nations, “Question of veto central to General Assembly’s debate on Security Council reform, with speakers urging its limited use as ‘weapon of hatred and war’,” November 17, 2023.
  26. 26 Orfeo Fioretos and Jonas Tallberg,“Politics and theory of global governance,” International Theory, Vol.13, No.1, March 2021, p.105.
  27. 27 Koh Ewe, “The Ultimate Election Year: All the elections around the world in 2024,” Times, December 28, 2023.
  28. 28 United Nations, “At Davos Forum, Secretary-General warns of global norms collapsing, highlights need to rebuild trust, reform governance,” January 17, 2024.