大陸棚限界委員会に対する各国の申請状況

フランスの申請(2009年)

フランスの申請(2009年)

2009年2月5日、フランスは、国連事務総長を通じ、大陸棚限界委員会に対して申請を提出しました。フランスが申請を提出したことは国連事務総長によって、全国連加盟国に通知され、申請のエグゼクティブ・サマリーが公表されました。その後、オランダ及び日本が自国の見解を示す文書を提出しています。フランス単独での申請は、2007年のニューカレドニア及びフランス領ギアナに関する申請に続き、これで2件目です。

フランスはエグゼクティブ・サマリーの中で、以下の点を述べています。

  1. この申請は部分申請であり、フランスの他の大陸棚に関しては後の段階で提出する予定である。
  2. アンティル(French Antilles)の申請部分はカリブ海の沈み込み帯(subduction zone)の縁辺部に位置しており、この部分に関しては、バルバドスの大陸棚と重複する可能性があるが、バルバドスとの合意があるので、今回のフランスの申請を大陸棚限界委員会が審査することは妨げられない。
  3. ケルゲレン諸島(Kerguelen Islands)に関しては、いずれの国との紛争の主題ともなっていない。

また、フランスは、申請文書と共に提出した口上書において以下の点を述べています。

  1. 南極条約により与えられた南極の特別な法的及び政治的地位を考慮し、フランスは、南極に隣接する海域の大陸棚の限界が設定されていないことに注目する。これまで関係国は、南極地域の情報を提出するが大陸棚限界委員会に審査しないよう要請するか(*1)、または、南極地域を除く部分申請を行い、南極地域については国連海洋法条約附属書II第4条及び締約国会合の決定にもかかわらず後の段階で申請できる(*2)、とのいずれかの立場をとっている。
  2. フランスは今回、大陸棚限界委員会の規則に従い、南極に隣接するエリアの大陸棚を含まない部分申請を提出する。当該エリアについては、後の段階で提出されうる。

(*1) この立場をとって、南極エリアに関する情報を含めて申請を提出したのがオーストラリアである。(オーストラリアの申請参照。)

(*2) この立場をとっているのが、ニュージーランド及び英国である。(ニュージーランドの申請及びイギリスの申請(アセンション島)参照。)

オランダは、ニュージーランドの申請に関して自国が提出した口上書に言及し、南極条約において南極地域における領土主権・領土についての請求権が凍結されていることを確認した上で、この点がフランスの今回の申請にも同様に適用される旨を述べています。
日本は、南極条約において南極地域における領土主権・領土についての請求権は認められていないことを想起し、南極大陸に近接する海底及びその下に対するいかなる国家の権利も認めない旨を述べています。

フランスの申請のエグゼクティブ・サマリー及び口上書、並びにオランダが提出した口上書は、下記サイトで閲覧することができます。

2010年3月〜4月に開催された第25回大陸棚限界委員会において、フランスはプレゼンテーションを行いました。2010年8月~9月に開催された第26回大陸棚限界委員会において、フランスの申請を審査する小委員会が設置されました。

2012年3月~4月に開催された第29回大陸棚限界委員会における全体会合において、フランスの申請に対する勧告が採択されました。勧告の要約版が、大陸棚限界委員会の上記ページに掲載されています。

 

フランス領アンティルの周辺図

フランス領アンティルの周辺図

出典:米国商務省海洋大気庁地球物理センター(NGDC)提供のETOPO1 データ
Amante, C. and B. W. Eakins, ETOPO1 1 Arc-Minute Global Relief Model: Procedures, Data Sources and Analysis, National Geophysical Data Center, NESDIS, NOAA, U.S. Department of Commerce, Boulder, CO, August 2008.

 

ケルゲレン諸島の位置

ケルゲレン諸島の位置

出典:ウィキペディア日本語版サイト「ケルゲレン諸島」

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