大陸棚限界委員会に対する各国の申請状況

オーストラリアの申請

オーストラリアの申請

2004年11月15日、オーストラリアは、国連事務総長を通じ、大陸棚限界委員会に対して申請を提出しました。オーストラリアの申請は、9つの地域と南極地域(オーストラリアが領有権を主張している南極地域)に関するものです。南極地域の申請に関して、オーストラリアは、申請文書のエグゼクティブ・サマリーに添付されている文書において、以下の点を述べています。

南極に関しては、南極条約及び国連海洋法条約により共有されている原則と目的を想起した上で、また、南極条約に基づく南極の特別な法的・政治的地域を考慮した上で、南極地域の大陸棚に関し限界延長申請を行うかどうかは、各国に委ねられている。申請する場合、(1) 大陸棚限界委員会によって一定期間審査されないが南極地域の申請を行うか、または(2) 南極地域の大陸棚を含まない形で部分申請を行い、後の段階で南極地域の申請を行うかであり、(2)の場合は国連海洋法条約附属書II第4条及び締約国会合の決定により定められている提出期限があるにもかかわらず、申請することができると考える。 オーストラリアは、この2つの選択肢のうち前者をとり、申請文書中に南極地域の大陸棚に関する情報を含めるが、委員会が一定期間いかなる行動もとらないよう要請する。

* この(2)の立場をとったのが、ニュージーランド及びイギリスです。(「ニュージーランドの申請」及び「イギリスの申請」参照。)

オーストラリアが申請を提出したことが国連事務総長によって、全国連加盟国に通知され、申請のエグゼクティブ・サマリーが公表された後、米国、ロシア、日本、東ティモール、フランス、オランダ、ドイツ及びインドがそれぞれ自国の見解を表明する文書を国連事務総長に提出しました。

  • 米国、ロシア、日本、オランダ、ドイツ及びインドの見解は、オーストラリアの申請には南極近辺の大陸棚部分が含まれているが、南極条約第4条において南極地域における領土主権・領土についての請求権が凍結されていることを確認するとともに、当該大陸棚部分について大陸棚限界委員会がいかなる行動もとらないよう求めることをオーストラリア自身が要請していることに留意するというものでした。
  • 他方、東ティモールの見解は、オーストラリアの申請が、自国とオーストラリアとの海洋境界画定に影響を及ぼさないことを確認するというものであり、フランスの見解は、ケルゲレン海台ニューカレドニア地域に関するオーストラリアの申請に関し、自国とオーストラリアとの大陸棚境界画定に影響を及ぼさないことを確認するものでした。

 

オーストラリアの申請のエグゼクティブ・サマリー及び各国の文書は、大陸棚限界委員会の下記のページで見ることができます。

2005年3月~4月に開催された第15回大陸棚限界委員会の会期中に、オーストラリア代表が申請内容についてのプレゼンテーションを行い、大陸棚限界委員会はオーストラリアの申請を審査する小委員会を設置し、審査を開始しました。小委員会の検討の後、第21 回大陸棚限界委員会の会期中の2008年4月9日に大陸棚限界委員会はオーストラリアに対する勧告を行いました。勧告の要約版が、大陸棚限界委員会の上記ページに掲載されています。

オーストラリア政府は2008年4月21日に記者会見を行い、勧告を歓迎する旨述べるとともに、勧告によって延長することができる海域について説明を行いました。ファーガソンFerguson)資源・エネルギー大臣が声明を発表するとともに、会見を開き、勧告を歓迎すると述べました。ファーガソン大臣は、以下の点を声明で述べています(オーストラリア資源・エネルギー省のメディア・リリースのページに掲載)。

  1. 追加的な250万平方キロメートルの海底に対するオーストラリアの管轄権を確認した大陸棚限界委員会の判断を歓迎する。
  2. 大陸棚限界委員会の判断は、9つの海域におけるオーストラリアの大陸棚の外側の限界の位置、及び200海里を超える大陸棚の大部分に対するオーストラリアの権利を確認している。
  3. 大陸棚限界委員会の判断が意味するのは、オーストラリアは今や250万平方キロメートルの新たな大陸棚に対する管轄権を有している、ということである。この面積はフランス国土の約5倍、ドイツ国土の約7倍、ニュージーランド国土の約10倍に相当する。これにより、オーストラリアは、大陸棚上に存在する、または大陸棚の海底下に存在する、石油資源、ガス資源及び生物資源(薬への利用が可能な微生物等)といったものへの権利を得たのである。
  4. 大陸棚限界委員会の判断は、オーストラリアの沖合にある潜在的資源に対する大きな後押しであるとともに、海底にある海洋環境を保全する我々の能力に対する大きな後押しでもある。
  5. オーストラリア政府は、大陸棚限界委員会の勧告に基づき、オーストラリアの大陸棚の外側の限界を公布する(proclaim)ための行動を早急に取るだろう。
  6. 大陸棚限界委員会への申請を準備した、オーストラリア地球科学局、外務貿易省及び司法省の15年間以上に及ぶ努力を賞賛する。

 

また、オーストラリアの申請に際して中心的役割を果たしたオーストラリア地球科学局(Geoscience Australia)のホームページには、大陸棚限界委員会の勧告によって認められた延長大陸棚の部分を示す下記の地図が掲載されています。さらに、延長大陸棚の範囲を示す、より詳細な地図(Australia’s Maritime Jurisdiction Map)も発表されています。

なお、インドネシアは、大陸棚限界委員会の勧告に対して、2009年8月7日付で国連事務総長宛口上書を提出しており、その中で、勧告に含まれているアルゴ海域の大陸棚の限界のうちの一点が、インドネシア・オーストラリア間の1997年条約で規定されている一点と一致しているが、同条約は未発効であるため、国連海洋法条約第76条10項にもとづき、勧告に含まれている同点は法的効果を有しない旨述べています。
インドネシアの口上書は、上記の大陸棚限界委員会のページに掲載されています。

オーストラリアは、大陸棚限界委員会の勧告に基づき大陸棚の限界を設定し、国連海洋法条約第76条9項にもとづき、海図と関連情報を国連事務総長に寄託しました。この海図と関連情報は、国連海事・海洋法課ウェブサイトの寄託海図のページに掲載されています。(このページに、オーストラリアは2012年11月2日に海図と関連情報を寄託した旨の国連事務総長発の通知文書が掲載されています。)

ロシアの申請 大陸棚限界委員会の勧告によって認められた延長大陸棚部分を指しています。
ロシアの申請

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