大陸棚限界委員会に対する各国の申請状況

バルバドスの申請(2008年, 2011年)

バルバドスの申請

2008年5月8日、バルバドスは、国連事務総長を通じ、大陸棚限界委員会に対して申請を提出しました。バルバドスが申請を提出したことは国連事務総長によって、全国連加盟国に通知され、申請のエグゼクティブ・サマリーが公表されました。その後、スリナム、トリニダード・トバゴ及びベネズエラがそれぞれ自国の見解を表明する文書を国連事務総長に提出しました。

バルバドスは、エグゼクティブ・サマリーの中で、近隣諸国に関し、申請海域のうち北部海域においてはフランス(*1)と、南部海域においてはガイアナ及びスリナムと、それぞれ、互いに沿岸200海里を超える海域において延長大陸棚が重複する海域があるが、いずれの国とも、バルバドスの申請を大陸棚限界委員会が審査することについて異議を申し立てないことにつき合意している旨述べています。また、トリニダード・トバゴとの間では、国連海洋法条約に基づいて設置された仲裁裁判所によって2006年4月に両国間の海域の境界画定が行われた旨述べています(*2)

  • スリナムは、2008年8月6日付のスリナム外相発国連事務総長宛の口上書において、スリナムは、バルバドスの申請及び大陸棚限界委員会の勧告は、スリナムが将来行う大陸棚延長申請及び近隣諸国との海洋境界画定に影響を及ぼすものではない旨述べています。
  • トリニダード・トバゴは、2008年8月11日付のトリニダード・トバゴ代表部発国連事務総長宛の口上書において、(1) バルバドスはエグゼクティブ・サマリーの中で、仲裁裁判所が行った裁定の効果について言及しているが、それはバルバドスのみの意見であり、トリニダード・トバゴの意見ではない、(2) トリニダード・トバゴは大陸棚延長申請を行うことを検討中であり、申請予定エリアには、バルバドスが提出した申請エリアと重複する部分があるため、バルバドスの申請を大陸棚限界委員会が審査することに反対はしないが、トリニダード・トバゴの申請を提出する権利をはじめとする国連海洋法条約に基づく全ての権利を留保する旨述べています。
  • ベネズエラは、2008年9月12日付のベネズエラの外務大臣発国連事務総長宛の口上書において、ベネズエラが国連海洋法条約加盟国でないにもかかわらず、慣習国際法に基づき、バルバドスのエグゼクティブ・サマリーの中で「南部海域」と言われている地域の大陸棚に対してベネズエラは権利を有するのであり、大陸棚限界委員会の行動がベネズエラと大西洋近隣諸国との間の境界画定に影響を及してはならない旨述べています。

 

バルバドスの申請のエグゼクティブ・サマリー、スリナム、トリニダード・トバゴ及びベネズエラからの口上書はいずれも、次のサイトで閲覧することができます。

2008年8月~9月に開催された第22回大陸棚限界委員会の会期中に、バルバドスの代表がプレゼンテーションを行い、申請の内容についての説明を行いました。2009 年3 月~4 月に開催された第23回大陸棚限界委員会の会期中に申請を審査する小委員会が設置され、審査が開始されました。

小委員会で検討された後、第25回大陸棚限界委員会の会期中の2010年4月15日に大陸棚限界委員会はバルバドスに対する勧告を行いました。勧告の要約版が、大陸棚限界委員会の上記ページに掲載されています。

(*1) バルバドスの西側には、セントビンセント・グレナディーン、セント・ルシア、マルティニーク(フランス領)があります。

(*2) バルバドス対トリニダード・トバゴ海域画定仲裁裁判所判決文は、常設仲裁裁判所(PCA)のホームページの中に掲載されています。

2011年7月26日、バルバドスは国連事務総長を通じ、大陸棚限界委員会に対して、改定した申請(revised submission)を提出しました。バルバドスが改定した申請を提出したことは、国連事務総長によって全国連加盟国に通知され、改定した申請のエグゼクティブ・サマリーが公表されました。

バルバドスは、改定した申請のエグゼクティブ・サマリーの中で、次のように述べています。
「大陸棚限界委員会から勧告を受け取った後、バルバドスは大陸縁辺部の外縁のうち一点について更なる検討を行い、委員会と意見のやりとりを行った後、委員会から『本件を扱うのに最も適切な方法は改定した申請を提出することである』と助言する旨の書簡(2011年4月21日付)を受け取った。したがって、この書簡にもとづいて、バルバドスは改定した申請を提出する。」

改定した申請は、次のサイトで閲覧することができます。

バルバドスは、2011年8月~9月に開催された第28回大陸棚限界委員会の会期中に、バルバドス代表がプレゼンテーションを行い、改定した申請の内容についての説明を行い、この申請を審査する小委員会が設置され、審査が開始されました。

小委員会で検討された後、第29回大陸棚限界委員会の会期中の2012年4月13日に大陸棚限界委員会はバルバドスに対する勧告を行いました。勧告の要約版が、大陸棚限界委員会の下記ページに掲載されています。

バルバドスの周辺図

バルバドスの申請

出典:米国商務省海洋大気庁地球物理データセンター(NGDC)提供のETOPO1 データ
Amante, C. and B. W. Eakins, ETOPO1 1 Arc-Minute Global Relief Model: Procedures, Data Sources and Analysis, National Geophysical Data Center, NESDIS, NOAA, U.S. Department of Commerce, Boulder, CO, August 2008.

 

(参考) バルバドス対トリニダード・トバゴ海域画定事件において仲裁裁判所が画定した境界線を示した地図

バルバドスの申請

出典: 仲裁裁判所判決文に掲載されているMap V

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