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一般事業 平和と安全への努力~非伝統的安全保障

2013年
事業

難民受入政策の調査と提言

事業実施者 笹川平和財団 年数 3/3
形態 自主助成委託その他 事業費 22,674,011円
事業概要
世界では、いま、この瞬間にも民族対立や地域紛争等により住む土地を追われ難民となる人が多く発生しています。

アジア太平洋地域には、世界の難民人口1,050万人のうち34%が暮らすと言われており、アジアの難民問題にはアジア自らが取り組むことが求められるようになっています。そのような状況の中、日本政府は2010年度から第三国定住による難民受入れのパイロット事業を開始しました。アジア初の取り組みとして国内外からの期待が高まっています。

笹川平和財団では、この第三国定住パイロット事業を今後の日本の難民受入れの試金石となる重要なものと捉え、難民受入の基本的理念や制度設計、定住支援のあり方を検討することを目的に、2011年度に本事業を立ち上げました。事業では、これまで国内外での調査研究、主要なステークホルダーによる円卓会議、専門家を招いてのシンポジウム等を行ってきました。

事業の最終年度となる本年度は、調査結果や主要な関係者との協議を踏まえ、第三国定住のよりよい制度設計や定住支援のあり方について提言を行っていきます。
事業活動
1.これまでの調査研究活動(2011年度~2013年度)
(1)アジア諸国の難民の置かれた状況に関する調査
 難民研究フォーラムアジア太平洋難民の権利ネットワークの協力を得て、アジアにおける難民の暮らしや、彼らのニーズ等を把握するため、国内外の文献調査や、マレーシア、タイ、ネパール、インドの都市部に暮らす難民へのインタビューを実施しました。

【調査報告書:『Urban Refugees in Asia Pacific: Resiliency and Coping Strategies』】

(2)我が国のインドシナ難民の受入れの経験に関する調査
 日本は、1970年代以降インドシナ半島からの難民を受け入れた経験を有しています。日本における定住の状況と課題を把握することが重要と考え、神奈川、兵庫、大阪、静岡などのインドシナ難民の集住地域で、アンケートとインタビューを行いました。なお、本調査では英国内務省による難民の社会統合の指標を活用することで、包括的な分析を目指しました。

(3)第三国定住パイロット事業における地方レベルの経験と課題の整理
 今後の第三国定住事業のあり方を検討するうえで、既に難民を受け入れた地域の経験から学ぶことが重要です。そこで、三重県鈴鹿市や埼玉県三郷市などの自治体や主要な関係者の協力を得て、現状の把握と課題の整理を行いました。さらに、今後の難民受入れに関心を持つ地域の関係者も加わり、地域の受入れ体制を整えていくための方策を検討しました。

(4)北欧における難民受入れ政策の調査
 北欧諸国は、移民国家の成り立ちを持たない中で、人道に基づき第二次世界大戦後、難民受入に積極的に取り組んできました。同じく移民国家ではない日本の難民受入を検討する上で、北欧の経験から多くの示唆を得られると考え、スウェーデン、デンマーク、ノルウェーの難民受入政策の考え方やスキームに関する文献調査・現地調査(調査チームがのべ3回訪問)を行いました。

2.主要なステークホルダーによる「難民受入円卓会議」
 これまで日本では、難民受入に取り組むステークホルダーが集まって、第三国定住や難民受入のあり方を率直に議論できる場はありませんでした。そこで、本事業では、地方自治体や雇用主、政府、国際機関、NGO、研究者らが一堂に会する「難民受入円卓会議」をこれまで4回にわたって開催してきました。会議では、難民受入における地域社会の役割や、諸外国の経験から日本への示唆、定住支援プログラムのあり方などをテーマに活発に議論が行われています。

3.難民受入れに関するシンポジウム
 諸外国の専門家を招き、難民受入政策の理念や実践を日本の関係者に共有してもらうことを目的に、シンポジウム(シンポジウムの詳細はこちら:2011年度2012年度)を開催しました。国内の政府機関や国際機関、自治体、NGOの関係者を交え、日本の難民受入れを考える機会としていただきました。

4.難民に関する動画制作
 難民問題全般や日本に暮らす難民のことをより多くの方々に伝えたいと考え、難民ナウ!の協力により動画制作を進めています。本事業の取り組みの紹介に加え、「学生とつくる動画プロジェクト」では、東北から関西まで全国で難民支援に関わる学生団体との協働により動画を制作しました。

5.提言活動:よりよい第三国定住難民の受入れに向けて
 国内外の調査結果や円卓会議の議論等を踏まえ、よりよい第三国定住難民の受入れに向けた提言を検討しています。10月15日(火)の中間提言ワークショップでは、調査結果と提言の中間とりまとめを発表し、専門家や実務家、広く一般の参加者との討議を行いました。
 
<「難民受入円卓会議」の様子>

<「難民受入円卓会議」の様子>

 
<北欧調査:職業訓練施設の視察の様子>

<北欧調査:職業訓練施設の視察の様子>

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