北東アジアにおける大国間競争の展開 ―中ロの戦略的連携に対峙する「機軸国家日本」―

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永田 伸吾,金沢大学人間社会研究域客員研究員

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1.はじめに

 2010年代後期から顕在化した「大国間競争」は、現行国際秩序をめぐる米国主導の現状維持勢力と中ロを機軸とする現状変更勢力との相克と捉えることができる[1]。そして、こうした国際秩序をめぐる戦いにおいて、各国は自国の生存や繁栄の追求のための大戦略を必要とする。川崎剛は、大戦略には「国際秩序戦」、「戦略目的と手段」、「〔地政学的文脈での〕団体戦」の3つの前提が存在すると指摘する[2]。そして、日本の外交ビジョンである「自由で開かれたインド太平洋(Free and Open Indo-Pacific: FOIP)」は、それらを包摂した大戦略と捉えることができる[3]
 他方、中ロを機軸とした現状変更勢力による連携が進む北東アジアの安全保障環境は厳しさを増している。日本海は、元々ロシアや北朝鮮という現状変更勢力と米国の前方展開拠点である日本が対峙する地理的空間であったが、2012年から中ロ両軍が合同演習や共同パトロールを実施することで、両国が日米に軍事的連携を誇示する地理的空間となった。また、北朝鮮は、国連安全保障理事会決議に基づく制裁にもかかわらず、2021年1月の「国防5カ年計画」に基づき日本周辺で弾道ミサイル、巡航ミサイル、極超音速兵器等の発射実験を常態化している。さらに2022年2月24日のロシアによるウクライナへの進攻を契機に中ロ間およびロ朝間の連携が深化することで、東シナ海と日本海を包含する北東アジアは、大国間競争の最前線と化している。
 こうした中ロの日本周辺海空域での軍事的連携とその大国間競争への含意については、2023年から本格的に研究が始まっている。まず、飯田将史は、2023年までの中ロの軍事的連携の詳細を分析している[4]。また、関根大助は、古典地政学の文脈から日本の安全保障への影響を検討している[5]。そして、河上康博は、日本海における中国軍の「新常態(new normal)化戦略」と、それへの日本の対応を論じている[6]。さらに、新アメリカ安全保障センター(Center for a New American Security: CNAS)のジェイコブ・ストークス(Jacob Stokes)らは、東アジアにおける中ロの連携を「協商(entente)」と位置づけ、その影響に関する研究の中で日本周辺での状況も分析している[7]
 この内、河上康博は、ロシアとの軍事的連携を含む日本海における中国軍の「新常態化戦略」への日本の対応への提言として、「日本自身の防衛体制の強化」、「日米共同の抑止力・対処力の強化」という従来の日本の防衛安全保障の在り方に加え、「同志国等との連携」の3点を挙げている[8]。これについては、後述するように「国家安全保障戦略」や『令和6年版防衛白書』の記述内容からも、日本は同盟国(米国)に加え国際秩序の現状維持で一致する同志国と連携することで、中ロ等による現状変更の試みに対応しようとしていることが窺える。
 さらに、吉田圭秀統合幕僚長も2024年7月2日付『毎日新聞』のインタビュー記事において「力による現状変更の試みを続ける中国・北朝鮮・ロシアと接する我が国は、その最前線に位置する」とし、「〔米国や〕自由や民主主義の価値観を共有する同志国との連携が『極めて増えていく』」との見解を述べることで、こうした方針を裏付けている[9]。実際、2010年代後期以降、日本はFOIPを唱道し、それに賛同する同志国の軍隊と日本国内や周辺海空域で中国、ロシア、北朝鮮への牽制を意図した共同訓練を活発に行っている[10]。そして2024年には、こうした日本を機軸とする同志国との連携がこれまでにない規模で実現することとなった。このように、日本はFOIPに基づきインド太平洋における「機軸国家」としての役割を追求しながら[11]、日本海を中心に繰り広げられる北東アジアにおける大国間競争においても、同志国と連携することで当該地域における現状維持勢力の機軸国家としての地位を確立してきたといえる。
 本稿はこうした東シナ海や日本海を包含した北東アジアにおける大国間競争の展開において、中ロの戦略的連携に対峙する日本が、どのように当該地域における現状維持勢力の機軸国家としての地位を確立してきたのかを、「同志国等との連携」に注目することで明らかにする。その上で、2025年以降の同志国との連携の在り方の展望と課題についても検討する。以下、次章(第2章)では、中ロの戦略的連携について、日本周辺での軍事的連携および両国の政治的連携に注目して概観する。第3章では、「国家安全保障戦略」における中ロの戦略的連携に対する日本の認識を確認した上で、中ロの戦略的連携が日本の平和と安全にもたらす影響について、古典地政学と中ロを機軸とした現状変更勢力の連携の観点から検討する。第4章では、本稿における「同志国」の定義を『令和6年版防衛白書』等を手掛かりに確定した上で、2007年3月から2022年2月のロシアによるウクライナへの進攻までの期間において、日本がどのように同志国との連携を深化させたのかを、主に対中牽制の観点から概観する。第5章では、ロシアのウクライナへの進攻から2025年1月までの日本と同志国の連携を概観することで、日本が北東アジアにおける現状維持勢力の機軸国家の地位を確立したことを明らかにする。第6章では、日本が2025年以降の北東アジアにおける大国間競争に対応する上での展望と課題について多面的に検討する。
 

2.中ロの戦略的連携

2-1.日本周辺での中ロの軍事的連携[12]

 中ロ海軍は、2012年から2022年まで(2018年と2020年を除き)、「海上協力」と呼ばれる合同演習を11回実施している。同演習は地中海・黒海、南シナ海、バルト海等でも実施されたように両国の軍事的連携をグローバルに誇示することを目的とした軍事演習であった。但し、第2回のウラジオストク沖をはじめ、4回が日本海やオホーツク海等日本周辺海域で実施された。とくに、2021年10月に日本海で実施された「海上協力2021」の終了後、両国艦艇は津軽海峡を通過して日本周辺海域を航行する「海上共同パトロール」を初めて実施した。「海上共同パトロール」は2022年9月に第2回が実施され、中ロの年次軍事協力計画に基づき2023年7月に中国人民解放軍北部戦区が日本海で行った中ロ合同演習「北部・連合2023」終了後に開始された第3回「海上共同パトロール」では、両国艦隊はベーリング海や日本近海の太平洋を経て東シナ海を航行した[13]
 日本周辺空域での中ロ空軍の連携も進んでいる。2016年1月末には中国空軍のY-9情報収集機とY-8早期警戒機が対馬海峡を経てロシアの沿海州方面に飛行した。これは中国空軍機による初の日本海進出とされる。さらに、2019年7月には中国空軍のH-6戦略爆撃機とロシア航空宇宙軍のTu-95戦略爆撃機が日本海や東シナ海等日本周辺空域で「共同空中戦略パトロール」を実施した。「共同空中戦略パトロール」は戦略爆撃機を中心に、時に早期警戒管制機、戦闘機、空中給油機、哨戒機、電子戦機等を伴いながら、2024年11月まで9回実施されている(2024年11月29日/30日のパトロールを1回と数える)[14]
 2024年に入ると中ロ海軍の連携は加速する。2024年7月には第4回「海上共同パトロール」を日本近海から南シナ海で実施後、両海軍は広東省湛江付近の海空域で合同演習「海上協力2024」を実施した。また、両海軍は9月9日から日本海やオホーツク海で合同演習「北部・連合2024」を実施した。特筆すべきは、同演習が、ロシアが9月10日から16日まで実施した大規模海軍演習「オケアン(太洋)2024」と連動していたことである。「オケアン」演習は1970年と1975年にソ連が多数の艦艇・航空機を動員してグローバルな規模で実施した史上最大規模の海軍演習である[15]。約50年振りに復活した「オケアン2024」は、大西洋と太平洋に加え地中海、バルト海、カスピ海を舞台に、400隻以上の水上戦闘艦と潜水艦、125機の航空機とヘリコプター、7,500の兵器システム、そして9万人を動員して実施された[16]。「オケアン2024」には、中国から巡洋艦、駆逐艦、フリゲート、補給艦が各1隻、航空機15機が参加した[17]。中国艦隊は「北部・連合2024」終了後、9月下旬からロシア艦隊と第5回「海上共同パトロール」を開始し、その一環として10月初旬には北西太平洋で対潜水艦戦の訓練を実施した[18]。また、10月14日に中国人民解放軍東部戦区が台湾周辺で行った「連合利剣2024B」演習に合わせて宮古海峡を通過した中ロ「海上共同パトロール」部隊は東シナ海に向けて航行した。さらに10月22日にはロシア海軍の補給艦と「海上共同パトロール」に参加した2隻のウダロイⅠ級駆逐艦が対馬海峡を日本海に向けて航行しているのが確認されるなど、ロシア艦艇は約1カ月にわたり日本周辺を航行した[19]。さらに同日午前と午後には、ロシア航空宇宙軍のTu-95戦略爆撃機と戦闘機2機が日本海上空を飛行した[20]
 この間の2024年9月23日に、3度にわたり礼文島北方の日本領空を侵犯したロシア海軍のIL-38哨戒機に対し、航空自衛隊北部方面隊の戦闘機が初めてフレア発射という異例の警告を実施した。林正芳官房長官は9月23日午後の記者会見で、官邸に「ロシア機による領空侵犯事案に関する情報連絡室」を設置して関係省庁で連携して対応をしていることを明らかにし[21]、翌24日午前の記者会見ではロシア軍機の意図について断定は避けつつも「中ロ共同演習と関連している可能性も考えられる」と述べた[22]。8月26日には、長崎県男女群島付近において中国軍機(Y-9情報収集機)による初の日本領空侵犯が確認されており、それから間もないロシア軍機による中ロ合同演習と関連したと想定される異例の領空侵犯は、日本周辺空域が中ロの軍事的連携の舞台と化している現状を示す事案となった。
 他方、2024年10月14日から15日にかけて北京を訪れたロシアのアンドレイ・ベロウソフ(Andrey  Belousov)国防相は、董軍国防相と張又侠国家中央軍事委員会副主席とそれぞれ会談した。ベロウソフ国防相は張副主席との会談で「近年の中ロ関係は最高のレベルに達している」とし、さらに対独・対日戦勝80周年にあたる2025年に向けて多くの分野で実務的協力を強化すると述べた[23]
 それでは、中ロはそれぞれどのような意図でこうした軍事的連携を深めているのであろうか。飯田将史は、中国側の意図について、①実戦経験豊富なロシア軍との共同訓練等を通じた作戦能力の向上、②米国とその同盟・パートナー国との競争で優位に立つこと、の2点を指摘する[24]。また、ロシア側の意図については、①パートナーとして重視、②米軍にインド太平洋への関与強化を促すことで欧州でのプレゼンスを低下させること、の2点を指摘する[25]
 また、ジェイコブ・ストークスらは、中ロにとって日本周辺海空域での軍事的連携は日本の反応を測定する「探り(probing)」であると同時に、とくに「共同空中戦略パトロール」は日本への牽制を目的とした「シグナリング(signaling)」の手段であると指摘する[26]。例えば、2022年5月の第4回「共同空中戦略パトロール」は、東京で開催された日米豪印4カ国戦略対話(Quadrilateral Security Dialogue: Quad)首脳会合に合わせたものであり、2023年12月の第7回「共同空中戦略パトロール」は、日英伊共同戦闘機開発計画「グローバル戦闘航空プログラム(Global Combat Air Programme: GCAP)」の政府間組織「GCAP International Organization: GIGO」設立条約署名のために東京で開催された日英伊防衛相会合に合わせたものとしている[27]
 現下のインド太平洋や欧州をめぐる国際安全保障環境に鑑みれば、中ロが軍事的連携を誇示しやすい日本周辺海空域において、今後、両国の連携は質量両面で活発化することが予想される。また、中ロの軍事的連携には日本が現状維持勢力の中で地位を高めることに対する牽制としての側面があるとの指摘は、中ロへの外交・防衛政策上の対応を考える上で重要であろう。
 他方、中ロの日本周辺における連携は正規軍間にとどまらず、法執行機関(準軍事組織)間でも進んでいる。2023年4月に、ロシア連邦保安庁(Federal Security Service of the Russian Federation: FSB)国境警備局と中国海警局はロシア西部の都市ムルマンスクで了解覚書に署名した[28]。2024年4月にはウラジオストクで両者の実務者協議を実施し[29]、さらに9月16日から20日まで「北部・連合2024」と並行し、ウラジオストクのピョートル大帝湾付近で2隻の中国海警局巡視船と2隻のロシア国境警備局巡視船が合同演習を実施した[30]。9月下旬には北太平洋で合同演習・パトロールを実施の後、両国巡視船は北極海に到達した。これは、中国海警局の舟艇にとって初の北極海への展開であった[31]。他方、2024年6月6日には海上保安庁、米国沿岸警備隊、韓国海洋警察庁が丹後半島北方沖の日本海で初の合同捜索訓練を実施した[32]。このように、日本海は、正規軍から法執行機関の位相にわたり現状変更国と現状維持勢力が対峙する地政学的断層と化している。
 

2-2.中ロの政治的連携

 ロシアのウラジミール・プーチン(Vladimir Putin)大統領と中国の習近平国家主席は、2013年以来40回以上会談することで親密さをアピールしている。ウクライナ戦争直前の2022年2月4日の北京での会談では「新時代の国際関係とグローバルな持続的発展に関する共同声明」を発表し、2023年3月21日のモスクワでの会談では「新時代の全面的戦略協力パートナーシップの深化に関する共同声明」を発表した[33]。益尾知佐子は、2つの共同声明を比較した上で、2023年の共同声明を、中ロが米国をはじめとする西側諸国を「主要敵」と位置づけ、それらに長期的に対峙するための事実上の「同盟」の宣言と見做している[34]
 2024年5月7日に5期目の大統領職に就任したプーチン大統領は、初の外遊先に中国を選んだ。5月16日から17日にかけて北京を訪問したプーチン大統領は、同年10月の中ロ国交樹立75周年に向け、習主席と両国の包括的戦略パートナーシップ強化の共同声明に署名した[35]。7月3日から4日にかけてカザフスタンのアスタナで開催された第24回上海協力機構(Shanghai Cooperation Organization: SCO)首脳会議と並行して実施された中ロ首脳会談でも、両者は国交樹立75周年に向けて協力を継続することを強調し、さらにプーチン大統領は「世界情勢におけるロシアと中国の協力は、国際場裏における主要な安定要因として役立っており、私たちはそれのさらなる強化を継続する」として両国の政治的連携を強調した[36]。2024年10月2日に、両者は中ロ国交樹立75周年を記念し相互に祝電を送り、多極世界の構築に向けて協力することを確認した[37]。また、翌10月3日には、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相(Sergey Lavrov)が、政府発行新聞『ロシースカヤ・ガゼータ』に寄稿した「ロシアと中国:時間によって築かれたパートナーシップと友情」と題する論文の中で、両国が協力して米国や北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization: NATO)に対抗する必要性を強調し、さらに東アジアについては「朝鮮半島情勢、南シナ海、東シナ海を含む重要な地域課題について緊密な連携を維持している」と論及した[38]。そして、対独・対日戦勝80周年にあたる2025年が「ロシアと中国の長年の友好関係におけるもうひとつの重要な節目になると確信している」と締めくくった[39]
 2024年10月22日から24日にかけて、ロシア西部タタールスタン共和国の首都カザンでプーチン大統領を議長とする第16回BRICS首脳会議が開催された。当初の5カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)からイランを含む9カ国に加盟国を拡大しての初の開催であり、さらに新設したパートナー国制度によって13カ国が参加した(2025年1月1日に正式加盟)。共同宣言ではグローバル・サウスの国々を取り込んだ多国間主義に基づく世界秩序の強化が謳われるなど[40]、プーチン大統領は、米国主導の国際秩序への新たな選択肢としてのBRICSを誇示することに成功した。会議と並行して10月22日に実施された中ロ首脳会談では、プーチン大統領と習主席はお互いを「古き親友」と呼び、また国交樹立75周年を祝うなど改めて両者の連携を誇示した[41]。7月のSCO首脳会議に続き、両者は中ロを機軸とする国家連合の存在感を誇示すると同時に個人的親密さをアピールすることで、現状維持勢力との対峙姿勢を政治レベルでも鮮明にした。
 

3.「国家安全保障戦略」にみる中ロの戦略的連携とその含意

 2022年2月のロシアによるウクライナへの進攻以降、中ロの軍事的連携が一層強化されたことを受け、2022年8月の『令和4年版防衛白書』では当該事項に関するコラムが設けられた[42]。さらに日本政府は2022年12月に改訂した「国家安全保障戦略」の中で、日本が「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している」ことを自認し、その要因を日本周辺における中国、ロシア、北朝鮮の安全保障動向に求めた[43]。実際、2013年に初めて策定された「国家安全保障戦略」では、安全保障動向を注目する国として北朝鮮と中国を挙げていたが、2022年に改訂された「国家安全保障戦略」では中国と北朝鮮の順位が入れ替わり、ロシアが3番目に加わった。
 筆頭に挙げた中国の動向については、以下のように日本周辺海空域におけるロシアとの連携に警鐘を鳴らした。
 我が国の尖閣諸島周辺における領海侵入や領空侵犯を含め、東シナ海、南シナ海等における海空域において、力による一方的な現状変更の試みを強化し、日本海、太平洋等でも、我が国の安全保障に影響を及ぼす軍事活動を拡大・活発化させている。さらに、中国は、ロシアとの戦略的な連携を強化し、国際秩序への挑戦を試みている〔下線引用者〕[44]
 そして、こうした中国の動向について「我が国の平和と安全及び国際社会の平和と安定を確保し、法の支配に基づく国際秩序を強化する上で、これまでにない最大の戦略的な挑戦であり、我が国の総合的な国力と同盟国・同志国等との連携により対応すべきものである〔下線引用者〕」と締めくくることで[45]、河上康博が提言する「日本自身の防衛体制の強化」、「日米共同の抑止力・対処力の強化」、「同志国等との連携」の3点から対応することの必要性を示唆した。
 ロシアの動向については、以下のように日本周辺での軍事動向と中国との戦略的連携に懸念を抱いていることを明示した。
 さらに、ロシアは、中国との間で、戦略的な連携を強化してきている。特に、近年は、我が国周辺での中露両国の艦艇による共同航行や爆撃機による共同飛行等の共同演習・訓練を継続的に実施するなど、軍事面での連携が強化されている。
ロシアの対外的な活動、軍事動向等は、今回のウクライナ侵略等によって、国際秩序の根幹を揺るがし、欧州方面においては安全保障上の最も重大かつ直接の脅威と受け止められている。また、我が国を含むインド太平洋地域におけるロシアの対外的な活動、軍事動向等は、中国との戦略的な連携と相まって、安全保障上の強い懸念である〔下線引用者〕[46]
 このように、「国家安全保障戦略」における「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境」との認識は、従来の北朝鮮の核・ミサイル開発に加え、日本周辺海空域における中ロの軍事動向と両国の戦略的連携によってもたらされていることが窺える。
 それでは、こうした中ロの戦略的連携は具体的に日本の平和と安全にどのような影響を与えるであろうか。関根大助は古典地政学の観点から、「大陸国家」と「海洋国家」が戦争をする場合、海洋国家が勝利を収めるには、敵対する大陸国家と対立関係にある大陸国家との同盟が不可欠であることを指摘する[47]。しかし、現実の北東アジアでは、強力な大陸国家である中ロが連携し、加えて核保有国である北朝鮮が存在することで、それらと対峙せざるを得ない日本の安全保障環境は「海洋国家の歴史の中でも前古未曾有の危機的なものになる」と警鐘をならす[48]
 さらに、こうした現状変更国の戦略的連携はグローバル・レベルで無視できないインパクトを与える可能性も指摘されている。アンドレア・ケンドール=テイラー(Andrea Kendall-Taylor)とリチャード・フォンテーヌ(Richard Fontaine)は『フォーリン・アフェアーズ』2024年5/6月号掲載論文「動乱の枢軸(Axis of Upheaval)」において、中ロがSCOやBRICS等を活用しつつ、イランや北朝鮮と連携することで米国主導の現行国際秩序に深刻な影響を与える可能性を指摘する[49]。また、これらの国々の地政学的優位性として、国境や沿岸を共有していることで、米国の妨害から安全な形で貿易・輸送ネットワークを構築できることを指摘する[50]。実際、こうした地理的条件が中国、イラン、北朝鮮の3カ国が物資、武器・弾薬、兵員をロシアに送ることを可能にし、そのウクライナへの進攻を支援するという構図が成立している。さらに同論文は、将来は、ロシアの軍事産業基盤が中国の戦争努力を支える役割を担う可能性も指摘する[51]。これらの指摘は、関根大助の云う大陸国家間の連携が海洋国家の安全保障環境に与える影響に照らし合わせれば示唆的である。さらに、同論文の「歴史的に競争する秩序は、特に地理的継ぎ目において紛争を招いてきた」との記述は[52]、日本海を挟んで中国、ロシア、北朝鮮と対峙する日本がそうした紛争の当事者になりうる可能性を示唆している。
 

4 同志国と連携する日本

4-1.本稿における同志国

 上述のように「国家安全保障戦略」では、中国の動向に対し「同盟国・同志国等との連携により対応すべきもの」とした。しかし、2023年6月6日の松野博一官房長官と林正芳外相の記者会見によれば、ある外交課題において目的を共有する国を指すとしつつも、日本政府としての「同志国(like-minded countries)」の確立した定義は存在しない[53]。他方、2024年8月の『令和6年版防衛白書』では、「国家防衛戦略における第一の目標は、同盟国・同志国等と連携し、力による一方的な現状変更を許容しない安全保障環境を創出していくことである」とし[54]、さらに同志国との連携強化のために「部隊間協力円滑化協定(Reciprocal Access Agreement: RAA)」「物品役務相互提供協定(Acquisition and Cross-Servicing Agreement: ACSA)」「防衛装備品・技術移転協定」等の制度的枠組みを整備する方針が謳われている[55]。通常、防衛装備品・技術移転協定、ACSA、RAAの順で協定を締結することで、日本は米国以外との国との防衛協力・交流を段階的に深化させてきた。
 この内、第2段階のACSAとは共同訓練等における自衛隊と外国軍間での物資や役務の相互提供手続きを定めた協定であり、第3段階のRAAとは訪問部隊地位協定である。2024年12月の時点で、米国を除く第1段階の防衛装備品・技術移転協定の締約・署名国は15カ国である。また、米国を除くACSA締約・署名国は7カ国(豪州、英国、フランス、カナダ、インド、ドイツとは発効、イタリアとは署名)であり、フィリピンとは協議中である。そして、RAA締約・署名国は3カ国(豪州・英国とは発効、フィリピンとは署名)であり、フランスとは協議中である。
 防衛装備品・技術移転協定、ACSA、RAAの全ての締約国であり「準同盟国」に喩えられる豪州と英国は「筆頭同志国」といえよう。フランスとドイツはそれぞれ2018年と2020年にFOIPと価値観を共有するインド太平洋戦略を策定し、2020年代に入ると日本への艦艇や航空機の展開を活発化させている。イタリアは2022年12月に発表された日英伊戦闘機共同開発計画「GCAP」のメンバーであり、2023年以降は戦闘機部隊や艦船の派遣をとおして日本との防衛安全保障協力を深化させている。
 他方、日比RAAは自衛隊のフィリピン展開に重きを置いたものと想定され、北東アジアにおける中ロの軍事的連携に対する意味合いは薄いと考えらえる。また、インドは日米豪とQuadを構成するものの、SCOやBRICS等、中ロを機軸とする国家連合のメンバーでもあり、ロシアのウクライナへの進攻に対しては中立的な姿勢を示している。
 そうしたことから、北東アジアにおける中ロの軍事的連携に対する日本の対応を「同志国等との連携」に注目して検討するという本稿の目的に鑑みれば、本稿が分析対象とする同志国は、価値や中ロの戦略的連携への脅威認識を共有する豪州や欧州諸国に限定する。以下、本章では日本にとって「筆頭同志国」である豪州と英国との連携を概観の後、フランス、ドイツ、イタリアとの連携を概観する。
 

4-2.豪州、英国との「準同盟」

 こうした同志国との連携は、2007年3月に安倍晋三首相と豪州のジョン・ハワード(John Howard)首相との間で署名された「安全保障協力に関する日豪共同宣言」に遡る。その後、両国での政権交代にもかかわらず日豪安全保障協力は追求され、2010年5月に両国は日豪ACSAに署名した(2013年1月発効)。これは日本にとって米国以外の国との初のACSAの締結であった。また2012年12月に発足した第2次安倍政権は2014年7月に日豪防衛装備品・技術移転協定に署名した。そして2015年12月には、安倍首相とマルコム・ターンブル(Malcolm Turnbull)首相との共同声明「特別な戦略的パートナーシップの次なる歩み:アジア、太平洋、そしてその先へ」が発出された。さらに2015年9月に日本で成立した平和安全法制を受け、両国は2017年1月に新日豪ACSAに署名した(2017年9月発効)。政権交代を経ても日豪両国で安全保障協力が追求された背景には、中国の南シナ海や東シナ海における力による現状変更の試みが顕在化する一方、共通の同盟国である米国の影響力が相対的に低下していることへの懸念があった[56]。こうした背景から、両国間の安全保障協力の目的も「法の支配」など「ルールに基づく国際秩序」の維持・強化に収斂されることになった[57]
 他方、2012年4月に、民主党政権の野田佳彦首相は英国のデイビッド・キャメロン(David Cameron)首相と「日英両国首相による共同声明:世界の繁栄と安全保障を先導する戦略的パートナーシップ」に署名した。英国は2010年9月のヴェトナムとの戦略パートナーシップ締結を嚆矢に、後に「インド太平洋傾斜(Indo-Pacific tilt)」と概念化されるインド太平洋政策に着手していた[58]。そうした背景から「日英共同声明」の署名は「インド太平洋傾斜」における「日英準同盟」の幕開けを宣言するものであった。同年12月に発足した第2次安倍政権も野田政権の日英安全保障協力を継承し、2013年7月に日英防衛装備品・技術移転協定に署名した。これは日本にとって米国以外の国との初の同協定の締結であった。さらに両国は2017年1月に日英ACSAに署名し(2017年8月発効)、また同年8月には安倍首相とテリーザ・メイ(Theresa May)首相が「安全保障協力に関する日英共同宣言」に署名することで、両国は「ルールに基づく国際秩序」の維持・強化に向けて協働する姿勢を示した[59]
 こうした流れの中で、2016年11月には航空自衛隊三沢基地(青森県)で日英戦闘機部隊の共同訓練「ガーディアン・ノース(Guardian North)16」が実施された。これは航空自衛隊にとって日本国内での米国以外の外国空軍との初の共同訓練であった。また、2019年9月から10月にかけて航空自衛隊千歳基地(北海道)で初の日豪戦闘機部隊の共同訓練「武士道ガーディアン(Bushido Guardian)19」が実施された。こうした日本国内での航空自衛隊と同志国空軍との共同訓練は、2020年以降の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の世界的拡大に伴い一時中断されるが、2022年以降、参加国を拡大し中ロの軍事的連携への日本の対応を示すことになる[60]
 

4-3.朝鮮国連軍地位協定を介した同志国との連携

 経済的機会の追求から対中関係を重視していた欧州諸国は、習主席が2013年に巨大経済圏構想「一帯一路」を提唱しはじめたころから、中国に対する警戒感を抱き始めた[61]。例えば、英国は2015年10月にキャメロン首相が習主席を国賓として招き「英中黄金時代」を演出する一方で、1971年に設立した英連邦5カ国(英、豪、ニュージーランド、マレーシア、シンガポール)の防衛協力枠組みである5カ国防衛取極(Five Power Defence Arrangements: FPDA)の強化に加え、2021年に実現する空母打撃群のインド太平洋展開の検討にも着手していた[62]
 この間、2016年8月に、安倍首相は第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)でFOIPの原型となるアイデアを発表した。FOIP誕生の背景には「一帯一路」構想など中国の経済的・軍事的台頭への警戒感があった。以後、FOIPは修正を加えながらも、価値の共有を基盤に同志国等と連携しながら「法の支配」など「ルールに基づく国際秩序」の維持・強化を実現する日本の大戦略として洗練されていく[63]。このように、2010年代後期の段階では日本はロシアと深刻な対立関係に陥っていなかったとはいえ、ロシアと対峙し中国を警戒する欧州諸国と、FOIPを唱道する日本が連携する条件が整い始めていた。こうした背景もあり、第2次安倍政権下でパートナーと位置づけられた欧州は日本外交において「主流化(mainstreaming)」していく[64]
 そして2017年頃から、欧州諸国は対中牽制を意図したインド太平洋への軍事的プレゼンスを本格化させた。2018年4月以降、国連安全保障理事会が2006年から2017年に採択した11本の対北朝鮮制裁決議の内、とくに2017年9月の第2375号(核実験に対して)と12月の第2397号(大陸間弾道ミサイル発射に対して)に基づき、米国や同志国の艦艇や航空機が日本周辺海域で、北朝鮮籍船舶による洋上での違法な物資積み替え行為である「瀬取り」の警戒監視活動に取り組んでいる。同志国がこれらの活動において活用しているのが朝鮮国連軍地位協定(以下、国連軍地位協定)である[65]。国連軍地位協定は朝鮮戦争の休戦後に、日本に国連軍後方指令部が設置されたことに伴い、1954年2月に朝鮮国連軍参加国と日本の12カ国が署名した協定である(同年6月発効)[66]。最終的に国連軍11カ国は同協定を根拠に、キャンプ座間、横須賀、佐世保、横田、嘉手納、普天間、ホワイトビーチ等7カ所の在日米軍施設を使用することができる[67]。英仏豪加等締約国はこうした枠組みのもと、米軍の指揮下で日本周辺海域での「瀬取り」警戒監視活動に取り組んでいる。さらに警戒監視活動に参加する締約国の艦艇は、米軍との協議の上、しばしば台湾海峡を航行するなど、国連軍地位協定は対中牽制活動にも利用されている[68]
 そうした中で、日英は国連軍地位協定を利用して連携を強めた。2016年6月の国民投票で欧州連合(European Union: EU)離脱を選択した英国は、2021年3月に外交安全保障文書「競争時代におけるグローバル・ブリテン:安全保障、防衛、開発および外交政策の統合レビュー(以下、「統合レビュー」)」を策定した。その中で「インド太平洋傾斜」政策をEU離脱後の対外構想「グローバル・ブリテン」の中軸に据えるとともに、中国をロシアと並び「体制的競争者(systemic competitor)」と位置付けた[69]。また2018年4月には、英国は「インド太平洋傾斜」の一環として国連軍地位協定を根拠にフリゲート「サザーランド(HMS Sutherland)」を在日米軍横須賀基地に寄港させ対北朝鮮制裁活動に参加させた。2019年3月2日には、海上自衛隊補給艦「おうみ」が英海軍フリゲート「モントローズ(HMS Montrose)」と連携して、北朝鮮籍船舶「セビョル(SAEBYOL)号」による「瀬取り」の確認に成功し[70]、英海軍も「強固な防衛協力を強調するもの」としてこれを宣伝した[71]
 さらに英国は「インド太平洋傾斜」を行動で示すべく、5月下旬に、新空母「クイーン・エリザベス(HMS Queen Elizabeth)」を旗艦とする空母打撃群(CSG21)をインド太平洋に派遣した。CSG21は同年12月に英海軍ポーツマス基地に帰港するまで、40カ国を訪問し70回の共同訓練を実施したが、その主な目的は対中牽制と日本との連携の誇示であった[72]。中国の警告があったものの7月下旬にCSG21は南シナ海に到達し、9月初旬には主に国連軍地位協定を根拠に在日米軍横須賀基地および佐世保基地に寄港した[73]。そして「クイーン・エリザベス」の視察に訪れた岸信夫防衛相は艦上での記者会見の中で、「わが国周辺において、演習や訓練も含めて中国及びロシアの活動が活発化をしています。引き続き、こうした動向については注視をしていきたいと考えています」と述べ[74]、CSG21の日本寄港実現の背景に中ロの軍事的連携への警戒感があることを示唆した。9月中旬には、CSG21を構成するフリゲート「リッチモンド(HMS Richmond)」が東シナ海を含む日本周辺で北朝鮮籍船舶による「瀬取り」警戒監視活動を行った後[75]、27日に台湾海峡を航行した。英国艦艇の台湾海峡航行が確認されたのはこれが初めてのことであった[76]。このように、日本は対北朝鮮国連安保理制裁決議と国連軍地位協定を介して同志国との連携を強めることで、北東アジアにおける現状維持勢力の機軸国家としての機能を担うことになった。
 

4-4.フランス、ドイツ、イタリアのインド太平洋戦略

 インド太平洋の広範囲に海外領土を持つフランスは、既に2000年代から将来的な中国の台頭が国際環境に大きな変動をもたらす可能性を見据えていた[77]。2018年5月の豪州でのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領の演説に基づき、9月に外務省が「フランスのインド太平洋戦略」を策定した(2022年2月に更新)[78]。また、それに先立つ7月に、フランス空軍は「ペガーズ(PEGASE)」というインド太平洋地域への戦闘機部隊(支援機を含む)による戦力投射ミッションを初めて実施した[79]。こうした中で、フランスは日本との防衛安全保障協力を深化させていく。まず、両国は2015年3月に防衛装備品・技術移転協定に署名し(2016年12月発効)、2018年7月に日仏ACSAに署名した(2019年6月発効)。また、2019年5月には、スマトラ島沖西方のインド洋でフランス海軍主催の日仏米豪合同演習「ラ・ペルーズ(La Pérouse)」を初めて実施した[80]
 フランスはインド太平洋戦略において英独とも連携した。2018年6月に、英国際戦略研究所(International Institute for Strategic Studies: IISS)主催で毎年シンガポールのシャングリラホテルで開催される第17回「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」において、フロランス・パルリ(Florence Parly)軍事相が、英国と共同で「航行の自由作戦」を南シナ海で実施することを表明するとともに、2017年中に少なくとも5隻のフランス艦艇が南シナ海を航行し、その際、ドイツのオブザーバーが搭乗していたことを明らかにした[81]
 このように、ドイツではインド太平洋の国際海洋法秩序への関心が高く、2017年には艦艇派遣計画も非公式に検討されていた[82]。そうした背景もあり、2020年9月に「インド太平洋ガイドライン」を策定した(日本語版あり)[83]。これは欧州主要国の中でフランスに次ぐ「インド太平洋戦略」の成文化であった。そしてドイツ海軍は2021年8月から2022年2月にかけてフリゲート「バイエルン(Bayern)」をインド太平洋に派遣した。「バイエルン」は9月下旬にインド洋東方で海上自衛隊令和3年度インド太平洋派遣(IPD21)部隊の護衛艦「かが」および「むらさめ」と共同訓練を実施の後[84]、11月初旬に東京国際クルーズターミナルに寄港した。これは19年振りのドイツ艦艇の日本寄港であった。「バイエルン」は日本出航後、国連安保理決議に基づき11月中旬に東シナ海を含む日本周辺海域で、ドイツ艦艇として初めて北朝鮮籍船舶による「瀬取り」の警戒監視活動に参加した[85]
 2013年に、国連軍地位協定締約国であるイタリアは一時脱退した司令部に復帰し、また同年10月には、アデン湾や紅海に面するインド太平洋の要衝であるジブチ共和国に独自の軍事基地(「アマデオ・ギエ(Amedeo Guillet)」軍事支援基地)を設置した[86]。このように静かにではあるが、イタリアは「経済」、「安全保障」、「規範」の観点からドイツより早くインド太平洋への関与に着手していた[87]。例えば、ドイツがインド太平洋への艦艇派遣の非公式な検討に着手した2017年に、既にイタリア海軍は、海軍外交、航行の自由、防衛能力構築を目的に、新型対潜フリゲート「カラビニエーレ(ITS Carabiniere)」を6カ月にわたり東南アジア諸国や豪州等インド太平洋の14カ国に派遣し共同訓練を実施した[88]。さらに同年5月に日本とイタリアは防衛装備品・技術移転協定に署名した(2019年4月発効)。他方、政権交代によってイタリアは2019年3月にG7メンバーで初めて中国の「一帯一路」構想に署名するなど対中シフトを見せた。しかし、武漢を発生源とする2020年のCovid-19の世界的拡大に対する中国の不誠実な対応は、イタリアのみならず欧州諸国に対中認識とインド太平洋戦略の再考をもたらした。2021年4月にEU理事会が採択した「インド太平洋における協力のためのEU戦略」を基に、2021年9月にEU全体の戦略として採択された「共同コミュニケーション」を受け、イタリアは2022年1月に、「EUのインド太平洋戦略へのイタリアの貢献」と題する文書を発出した[89]

5.現状維持勢力の機軸国家としての日本

5-1.ウクライナ戦争以降の展開

 2022年1月6日、岸田文雄首相と豪州のスコット・モリソン(Scott Morrison)首相はテレビ形式で実施した年次首脳会談で日豪RAAに署名した。これは日本にとって初のRAAの署名であった。また、同年10月22日に豪州を訪問した岸田首相とアンソニー・アルバニージー(Anthony Albanese)首相が、2007年3月の共同宣言に代わる新たな「安全保障協力に関する日豪共同宣言」に署名した[90]
 この間、2022年2月に、ロシアがウクライナへの進攻を開始した。このような眼前の危機にもかかわらず、欧州諸国はインド太平洋への軍事的関与を積極化していく。英国は、ロシアのウクライナ進攻を受け、2021年3月に策定したばかりの「統合レビュー」の見直しに着手した。そして2023年3月に策定した「2023年の統合レビュー刷新:より競争的で不安定な世界への対応(以下、「統合レビュー刷新」)」の中で、国際秩序は中国による「時代を定義づける挑戦(epoch-defining challenge)」に晒され[91]、さらに「インド太平洋における緊張は増大の一途を辿り、そこで紛争が起こった場合、その世界的影響はウクライナにおける紛争以上の影響をもたらす」として[92]、ロシアよりも中国を長期的脅威と認識していることを示唆した。
 また、「統合レビュー」はEU離脱後の英国の対外構想「グローバル・ブリテン」を成文化したものであったが、「統合レビュー刷新」では「グローバル・ブリテン」にかわり、新たに「大西洋・太平洋連携(Atlantic-Pacific links)」という概念が導入された[93]。その上で、「グローバル・ブリテン」の中軸とされた「インド太平洋傾斜」政策を「英国の国際政策の恒久的支柱」と再定義した[94]。そして重要なのは「インド太平洋における英国のアプローチの中核的教義は、多くの地域パートナーが共有する自由で開かれたインド太平洋のビジョンを支持することである〔下線引用者〕」と明記したことであった[95]。「統合レビュー」では論及がなかったFOIPであるが、「統合レビュー刷新」の中では、英国の「インド太平洋傾斜」政策を実現する上で域内パートナー国と連携するための外交理念と位置づけられたのである。
 日本との連携も加速された。2023年1月の日英RAA署名(2023年10月発効)に続き、2023年5月にG7広島サミットに出席のため訪日したリシ・スナク(Rishi Sunak)首相は岸田首相と「強化された日英のグローバルな戦略的パートナーシップに関する広島アコード」を発出した。これは科学技術や経済安全保障など包括的な協力関係についての合意文書であったが、そこでは両国関係を「『自由で開かれたインド太平洋(FOIP)』のビジョンにコミットする、アジア及び欧州における相互の最も緊密な安全保障上のパートナー」と位置づけるとともに、CSG21に続く「将来〔引用者注:2025年〕の英空母打撃群のインド太平洋への派遣」等による防衛安全保障協力の強化についても明記された[96]
 ドイツも日本との連携を一層重視した。2021年12月に就任したオラフ・ショルツ(Olaf Scholz)首相が初のアジアの訪問先として選んだのが日本であった。その背景には、2022年のG7議長国であるドイツが6月のサミットを前に、アジアで唯一のメンバーである日本とロシアのウクライナ進攻について意見交換をすることで連携を強める意図があった[97]。また、ドイツが対中警戒を強める中で、訪日回数よりも訪中回数が多かったアンゲラ・メルケル(Angela Merke)前首相の路線からの軌道修正との見方も存在した[98]。2022年4月28日の日独首脳会談の際、岸田首相は「アジア初の訪問国として日本を選んだことを緊密な日独関係の表れとして歓迎する」と述べ、またFOIP実現に向けて両国が緊密に連携していくことを確認した[99]。さらにドイツ空軍は、2022年8月から10月にかけて、6機のユーロファイターを中核とする戦闘機部隊の迅速なインド太平洋展開の実証を目的とした、初の長距離戦力投射ミッション「ラピッド・パシフィック(Rapid Pacific)2022」を実施した。この一環として、9月に任務部隊の一部が航空自衛隊百里基地(茨城県)に展開し航空自衛隊と共同訓練を実施した。これはドイツ空軍戦闘機部隊の初の日本への飛来であった[100]
 フランス航空宇宙軍(2020年9月に空軍から改称)は、2018年に初めて実施して以来、Covid-19の世界的拡大によって中断していた、ラファール戦闘機を中核とする任務部隊のインド太平洋への戦力投射ミッション「ペガーズ」を2022年8月から9月にかけて「ペガーズ2022」として再開した。翌2023年6月から8月にかけて実施した「ペガーズ2023」では、任務部隊の一部が7月に航空自衛隊新田原基地(宮崎県)に展開し航空自衛隊と共同訓練を実施した。これはフランス軍戦闘機部隊の初の日本への飛来であった[101]。また、任務部隊の一部がフランス軍戦闘機部隊として初めて韓国に展開した際、フランスを非難することが稀な北朝鮮がこれに抗議した。「ペガーズ2023」の北東アジアへの展開の背景に、北朝鮮の核・ミサイル開発への牽制の意図があったことを示唆するエピソードといえよう[102]
 2022年12月に、日英伊は次世代戦闘機共同開発計画「GCAP」起ち上げの共同首脳声明を発表した。同計画は2035年の実用化に向けて航空自衛隊のF-2戦闘機と英伊のユーロファイターの後継機を開発するもので、日本にとっては米国以外の国との初の戦闘機の共同開発計画でもある。この計画の基盤には、英伊両国との防衛装備品・技術移転協定があることは論を俟たない。2023年3月には、東京で初の日英伊防衛相会談が開催され、6月にはイタリア海軍の新鋭哨戒艦「フランチェスコ・モロジーニ(ITS Francesco Morosini)」が海上自衛隊横須賀基地に寄港した。これはイタリア海軍艦艇の初の日本寄港であった。さらに8月上旬には、イタリア空軍がF-35A戦闘機を中核とする任務部隊を航空自衛隊小松基地(石川県)に展開し航空自衛隊と共同訓練を実施した。これはイタリア空軍戦闘機部隊の初の日本飛来であるとともに、航空自衛隊にとっては米軍以外の外国軍のF-35との初の国内基地での共同訓練でもあった。日本海では、7月中旬に中ロ海軍が合同演習「北部・連合2023」を実施し、終了後は第3回「海上共同パトロール」を開始していた。そうした時期に航空自衛隊が「日本海側唯一の戦闘機基地」である小松基地で欧州の同志国軍との共同訓練を実施したことの意義は重要であろう。このように、日本にとってイタリアは2022年末から2023年夏までに同志国としての存在感を急速に高めていった[103]
 日本はRAAの発効によって豪州や英国との連携を強めていく。2023年8月13日に発効した日豪RAAは、航空自衛隊が8月25日から30日まで実施したF-35Aの米豪機動展開訓練と8月23日から9月15日まで航空自衛隊小松基地で実施した日豪共同訓練「武士道ガーディアン23」に初適用された。「武士道ガーディアン」の実施は2019年以来2度目で、豪州から6機のF-35Aが参加し、航空自衛隊からは26機のF-15、F-2、F-35Aが参加する大規模な共同訓練となった。この間、8月24日に北朝鮮が軍事偵察衛星「万郷里1号」を搭載したロケット「千里馬1号」の打ち上げに失敗している。「武士道ガーディアン23」は、そうした北朝鮮の動向も見据えた同志国間の連携でもあった[104]。日英間では2023年11月中下旬に群馬県の相馬原演習場等で実施された陸上自衛隊と英陸軍の4回目の島嶼防衛実動共同訓練「ヴィジラント・アイルズ(Vigilant Isles)23」が、2023年10月15日に発効した日英RAAの初の適用事例となった。「ヴィジラント・アイルズ」は2018年に初めて開催され、2019年に実施された2回目の「ヴィジラント・アイルズ19」以外、日本国内で実施されている。2022年に実施された3回目の「ヴィジラント・アイルズ22」から航空自衛隊のF-2戦闘機の支援による統合火力誘導が取り入れられるなど[105]、より中国の動向を想定した実践的な島嶼防衛実働訓練になった。そして5回目となる「ヴィジラント・アイルズ24」は、2025年1月15日から26日まで大分県の日出生台演習場を中心に、陸上自衛隊から700人、英陸軍から100人が参加するこれまでにない規模で実施される予定である[106]
 日本と同志国の政治的連携に関しては、2023年のG7議長国の役割が挙げられる。安倍政権は国際的なアジェンダ設定において中ロに抵抗しながら自由民主主義国がリーダーシップを発揮する場としてG7を重視していた[107]。岸田政権もこうした路線を継承し、2023年5月19日から21日にかけて開催されたG7広島サミットでは、開催初日にロシアによる核威嚇への非難の意を込めたG7首脳夫妻による広島平和記念公園原爆死没者慰霊碑への献花・植樹と、首脳による平和記念資料館訪問を実現した。また、同日「ウクライナに関するG7首脳声明」を発出するとともに、20日発出の首脳コミュニケでは各国が協働し「自由で開かれたインド太平洋を支持し、力又は威圧による一方的な現状変更の試みに反対する」という文言を盛り込むことで[108]、日本はG7議長国として、FOIPを基盤に中ロの力による現状変更に対する自由民主主義国間の結束を内外に示すことに成功した。
 

5-2.2024年以降の連携の深化

 このように、2023年には、日本は同志国との連携を深めることで北東アジアにおける現状維持勢力の機軸国家としての役割を強めていった。さらに翌2024年1月29日に、日独はACSAに署名した(同年7月12日発効)。また5月2日にフランスを訪問した岸田首相はマクロン大統領と日仏RAAの交渉開始に合意し[109]、G7サミット参加のため6月中旬に訪問したイタリアではジョルジャ・メローニ(Giorgia Meloni)首相と懇談した際に日伊ACSAの交渉を開始することで合意した(同年11月25日署名)[110]。このように2024年に入ると、同志国との連携を支える制度的枠組みの整備の対象国も拡大していった。
 そして、2024年には、防衛省・統合幕僚監部ウェブサイト上に「欧州各国のインド太平洋地域への関与強化と自衛隊の連携」という特設ページが設けられたように[111]、欧州の同志国との連携がこれまでにないレベルで促進された。まず、欧州諸国のインド太平洋への関与をこれまでになく印象付けたのが、2024年6月下旬から8月中旬にかけて実施された、ドイツ空軍、フランス航空宇宙軍、スペイン航空宇宙軍の合同大規模展開ミッション「パシフィック・スカイズ(Pacific Skies)24」であった。同ミッションは、インド太平洋地域で実施される5つの多国間合同演習への参加と地域のパートナー国との連携を目的とし、日本で実施の日独空軍種共同訓練「ニッポン・スカイズ(Nippon Skies)24」もそうした演習の1つと位置づけられた。「パシフィック・スカイズ24」の特筆すべき点は、これまで各国ごとに数機から10数機/約100人から300人規模で実施された空軍種によるインド太平洋展開を3カ国合同で行うことで、最大48機/1800人という空前の規模で実施したことであった[112]
 北米を経由した任務部隊は日独ACSA発効から1週間後の7月19日から25日まで日本国内で航空自衛隊や在日米軍と共同訓練を実施した。航空自衛隊千歳基地では7月19日から20日まで日独西共同訓練を実施した。航空自衛隊から4機のF-15戦闘機が、独西部隊からは12機のユーロファイターが参加した[113]。また、同期間、航空自衛隊百里基地では日仏共同訓練が実施され、航空自衛隊から2機のF-2戦闘機が、フランス側からは4機のラファール戦闘機が参加した[114]。その後、千歳基地では日独共同訓練「ニッポン・スカイズ24」が実施され、航空自衛隊からは4機のF-15戦闘機が、ドイツ側からは3機のユーロファイターが参加した[115]
 こうした日本と同志国の連携はロシアを刺激した。訓練に先立つ6月28日に、ロシア外務省は日本大使館に対し、極東ロシアに近い北海道での航空自衛隊とNATO加盟国である独西部隊との共同訓練の実施は受け入れ難いと抗議した[116]。「パシフィック・スカイズ24」はNATOの枠組みで実施されたわけではないが、ロシアにとっては日本とNATOの連携による牽制行動と映ったのであろう。こうしたロシアの反応を見る限り、日本は北東アジアにおける現状維持勢力の機軸国家としての役割を果たしていると評価できよう。
  他方、イタリア空軍は6月30日から独自のインド太平洋展開オペレーション「インドパシフィック・ジャンプ(Indopacific Jump)2024」を実施した[117]。8月6日から8日まで、部隊は航空自衛隊三沢基地で日伊共同訓練「ライジング・サン(Rising Sun)24」を実施した。航空自衛隊からは4機のF-35Aが参加し、イタリア側からは4機のF-35Aと2機のユーロファイターが参加した。また、在日米軍も参加した[118]。イタリア空軍は西側標準機としてNATO諸国や日本でも導入が進んでいるF-35Aや他国の派遣部隊にはないG550早期警戒機等、高価値アセットを2年連続で日本に展開することで、他の欧州諸国よりも日本との連携を意識した部隊編成を行っている。
 また、8月下旬には、欧州諸国海軍の艦艇が時を同じく日本に寄港した。まず、8月20日に、新鋭フリゲート「バーデン=ヴュルテンベルク(Baden-Württemberg)」と補給艦「フランクフルト・アム・マイン(Frankfurt am Main)」から構成されるドイツ海軍の2024年インド太平洋派遣(IPD24)部隊が東京国際クルーズターミナルに寄港した。さらに8月22日には、イタリア海軍空母「カブール(ITS Cavour)」とフリゲート「アルピーノ(ITS Alpino)」が海上自衛隊横須賀基地に寄港した。イタリア海軍空母打撃群のインド太平洋展開は今回が初めてであった。さらに8月24日にはフランス海軍フリゲート「ブルターニュ(FS Bretagne)」が在日米軍横須賀基地に寄港した。そして8月25日には、ドイツ海軍IPD24部隊が海上自衛隊横須賀基地に寄港したことで、独仏伊の艦艇が一度に横須賀に結集することになった。
 その後、8月27日から29日まで、これらの艦艇に加えイタリア空母打撃群を構成する哨戒艦「ライモンド・モンテクッコリ(ITS Raimondo Montecuccioli)」、オーストラリア海軍駆逐艦「シドニー(HMAS Sydney)」、海上自衛隊護衛艦「いずも」、同「おおなみ」およびP-1哨戒機と潜水艦が関東南方から沖縄東方の海空域で、共同訓練「ノーブル・レイブン(Noble Raven)24-3」を実施した[119]。訓練終了後、8月下旬から9月上旬にかけて「ライモンド・モンテクッコリ」がイタリア海軍艦艇として初めて日本周辺海域において北朝鮮籍船舶の「瀬取り」警戒監視活動を行った[120]。また同時期、ドイツ海軍のIPD24部隊も同様の活動を行い[121]、その後、9月13日にドイツ海軍艦艇として22年振りに台湾海峡を航行した[122]
 さらに、陸軍種間での連携も進んでいる。9月8日から20日まで、宮城県および岩手県において日仏陸軍種の実動機動訓練「ブリュネ・タカモリ(Brunet Takamori)24」が実施された。これは陸上自衛隊にとって日本国内におけるフランス陸軍との初の2国間共同訓練であった[123]。また、7月下旬にNHKのインタビューに応じたドイツのボリス・ピストリウス(Boris Pistorius)国防相は、2025年に「陸上自衛隊が離島の防衛を想定してアメリカ海兵隊と定期的に行う共同訓練」へのドイツ陸軍の初参加を検討していることを明らかにした[124]。さらに同国は8月2日に朝鮮国連軍司令部(United Nations Command)に参加するなど[125]、北東アジアの安全保障に関与する姿勢を強めている。
 

5-3.日欧の政治的連携

 他方、10月16日から21日にかけて、中谷元防衛相がNATO国防相会合とG7国防相会合に出席のため訪欧した。中国の台頭を警戒していたNATOは2010年代末からインド太平洋と欧州大西洋の安全保障は不可分との認識のもと、日本、韓国、豪州、ニュージーランド等、アジア太平洋4カ国パートナー(AP4〔現在はインド太平洋4カ国パートナー(IP4)〕)との連携を重視しはじめた[126]。とくに、2022年以降、中ロの連携が顕著になったことで、日本はIP4としてNATO首脳会合、外相会合に3年連続で招待され、今回、初めて国防相会合にも招待された。17日の会議で、中谷防衛相は「中露連携や露朝連携の拡大は、ウクライナ情勢の更なる悪化を招くのみならず、我が国を取り巻く地域の安全保障に与える影響の観点からも深刻に憂慮すべき」とした上で、「基本的価値と戦略的利益を共有する同志国との連携を深め、日NATO、NATOとIP4で一層協力を進展させることが重要である」と発言した[127]。また、10月1日に就任して間もないマルク・ルッテ(Mark Rutte)NATO事務総長との会談では「NATOとNATO加盟国を始めとする同志国との協力の重要性が一層高まっており、NATOによるインド太平洋地域への関与を継続していることを心強く思う」と述べた[128]
 10月19日に、議長国イタリアの提案で初開催されたG7国防相会合に出席した中谷防衛相は、中ロの軍事的連携と増大するロ朝間の軍事協力にも懸念を表明し、「欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分である」ことから「同盟国・同志国等との連携を強化することにより、抑止力・対処力をさらに高め、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化していく必要がある」と発言した[129]。また、並行して実施されたピストリウス国防相との日独国防相会談では、7月に発効の日独ACSAを活用した防衛協力・交流を促進することで一致し、ピストリウス国防相もドイツがインド太平洋地域への関与を継続し日独防衛協力を一層強化していくと述べた[130]
 さらに2024年11月1日開催の第1回日EU戦略対話で公表された「日・EU安全保障・防衛パートナーシップ」では、両者は力による一方的な現状変更に対し「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」の維持・強化で協力することが明記された[131]。岸田政権で多用された「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」は、一時期FOIPに代わる外交ビジョンと取り沙汰された。これに対し、墓田桂らは、同ビジョンが少なくとも1980年頃から日本外交の底流にあることを指摘した上で、「(法の支配に基づく)自由で開かれた国際秩序(Free and Open International Order: FOIO)」と概念化することでFOIPを包摂する大戦略になりえると捉えている[132]。中ロがSCOやBRICSを活用し政治的結束と国際政治における影響力を高めるなかで、日本はFOIPとその上位概念であるFOIOに基づき、NATOやG7、そしてEUを活用しながら同志諸国との政治的連携強化を模索しているのである。
 

6.展望と課題

 このように2024年は、2007年3月の「安全保障協力に関する日豪共同宣言」署名以来、日本が、時に国連軍地位協定を活用しながら取り組んできた多国間安全保障協力の帰結として、北東アジアにおける同志国の活動を可能にする機軸国家としての地位を確立した年と評価できる。米軍の前方展開に加え、同志国が「距離の専制(tyranny of distance)」にもかかわらず日本に部隊を展開し連携を誇示することは、日本周辺海空域で常態化している中ロの軍事的連携への牽制として一定の役割を果たしていると考えられる。とはいえ、日本周辺における中ロの軍事的連携は、今後活発化こそすれ衰えることはないだろう。第2章でも論及したように、ロシアは対独・対日戦勝80周年に当たる2025年に向けて中国との連携を強化する方針でいる。そのため2025年の9月初旬には、両国は日本周辺で軍事的連携を誇示する行動をとる可能性が高い。これまでの経緯から9月初旬には、日本海での年次合同海軍演習「北部・連合2025」終了後、「共同海上パトロール」を開始することは間違いなさそうだが、2024年と同じく「オケアン」演習と連動したものになることも想定する必要がある。また、2025年1月に米国でドナルド・トランプ(Donald Trump)新政権が発足することから、北東アジアを含むユーラシア周辺での中ロによる「探り」が活発化することも予想されよう。
 こうした状況を受け、日本もこれまで以上に同志国との連携を強化する必要があろう。まず、2025年3月には陸海空自衛隊を一元的に運用する「統合作戦司令部」が創設される。創設の根拠となる改正自衛隊法成立日の2024年5月10日の記者会見で、木原稔防衛相(当時)が「同盟国・同志国の司令部との情報共有や、運用面での協力を一元化できる」とその意義を強調したように[133]、「統合作戦司令部」を介した同志国との連携強化が期待される。また、2025年には空母「プリンス・オブ・ウェールズ(HMS Prince of Wales)」を旗艦とする英空母打撃群(CSG25)が日本に寄港する予定である。CSG21の日本寄港の際は、主に国連軍地位協定を根拠としたが、CSG25の寄港に際しては日英RAAも適用することで、「筆頭同志国」の英国との連携を改めて誇示し中ロを牽制する機会となる。さらに、2024年4月に、英国防省は2025年からインド太平洋における日米英海軍種合同演習を定例化することを明らかにした[134]。米空母打撃群の日本海展開は十分な実績があることから、海上自衛隊、CSG25、米空母打撃群の日本海での合同演習が実現すれば、中国、ロシア、北朝鮮に対する現状維持勢力の結束を強く誇示することになろう。
 他方、2024年11月28日に、フランス海軍は「クレマンソー(Clemenceau)25」という原子力空母「シャルル・ド・ゴール(FS Charles de Gaulle)」を旗艦とする空母打撃群(Groupe Aéro Naval: GAN)のインド太平洋派遣を開始した。既に2022年7月に、フランス海軍は2021年12月に米仏海軍が署名した「戦略的相互運用性枠組み(Strategic Interoperability Framework: SIF)」に基づき、2025年のGANのインド太平洋展開計画を明らかにしていた[135]。2025年に英仏両国の空母打撃群のインド太平洋展開が実現する見通しとなったことは、欧州諸国間の連携という観点からも重要であろう。英仏は2023年3月の首脳会談で、インド太平洋における欧州のプレゼンス継続のために空母打撃群の運用で補完・協力することで合意しており[136]。2025年の英仏空母打撃群のインド太平洋展開はそれを実証する機会となろう。
 それでは、こうした動きを日本はどのように捉えるべきであろうか。1960年代以来の仏空母の太平洋派遣となる「クレマンソー25」において、GANは日米豪加海軍種との合同演習「パシフィック・ステラー(Pacific Steller)」に参加する予定である[137]。2019年5月にインド洋で日仏米豪海軍種合同演習「ラ・ペルーズ」が実施された際、日本はフランスに「シャルル・ド・ゴール」の日本寄港を打診したが、フランスは日程上の理由としながら、実際は、中国を刺激したくないとの理由で断ったとされる[138]。こうした経緯から、2025年に英仏両国の空母打撃群の日本寄港が実現すれば、本来、これまでにない形で、日本の北東アジアにおける現状維持勢力の機軸国家としての地位を一層高めることになるはずであった。
 しかし、2024年12月17日に日本記者クラブで会見したギヨーム・パンジェ(Guillaume Pinget)仏海軍少将/太平洋管区司令官は2025年2月から3月にかけてGANの一部が沖縄に寄港することを明らかにする一方、日程上の都合から「シャルル・ド・ゴール」の日本寄港を断念したことを明らかにした[139]。この決定の背景には、原子力空母であることに加えフランスの核戦力の一翼を担う「シャルル・ド・ゴール」の日本寄港には、非核三原則に伴う手続き上の複雑さがあったと考えられている[140]。鶴岡路人が指摘するように、今後、同志国との連携が進む中で、同志国の核動力・核兵器搭載艦艇のインド太平洋展開に、日本がどのように対応するのかは長期的な課題として検討する必要があろう[141]
 同志国軍部隊の受けれと共同訓練等の実績が蓄積される一方、その制度的裏付けであるRAAの整備は追いついていない。とくに、自己完結性が高くACSA締結で対応可能な面が多い海軍種と違い[142]、陸空軍種の受け入れにはRAAの整備が不可欠である。さらに、欧州同志国にとって即応性が高い空軍種はインド太平洋との「距離の専制」を克服する重要な戦略ツールであり[143]、今後も日本展開の頻度は増すことが予想される。他方で、2024年7月12日付の『東奥日報』によると、「ライジング・サン24」参加のため三沢基地に展開するイタリア軍の人員は約280人で、そのうち大半が基地外に宿泊する見込みとされた[144]。豪英以外にRAAが未整備な状態で、今後も毎回数百人の同志国の軍人を基地外の施設に受け入れることになれば、様々な法的問題を惹起することになりかねない。『令和6年版防衛白書』にあるように、制度的枠組みによって同志国との連携を実現するのであれば、RAAを始めとする諸協定の締結には一層の迅速さが求められる。
 さらに、制度化に基づく新たな同志国との連携強化も必要になろう。例えば、2020年11月に「インド太平洋:オランダとEUによるアジアのパートナーとの協力強化のガイドライン」を発表したオランダは[145]、翌2021年、英海軍CSG21にフリゲート「エヴァーツェン(HNLMS Evertsen)」を参加させた。同艦はCSG21の日本寄港に伴い2021年9月上旬に海上自衛隊横須賀基地に寄港した。さらに2024年5月下旬から6月上旬にかけて、同級艦「トロンプ(HNLMS Tromp)」がオランダ初の日本周辺海域における北朝鮮籍船舶の「瀬取り」警戒監視活動を行った[146]。その後6月9日に海上自衛隊護衛艦「あけぼの」と九州西方沖で共同訓練を実施し[147]、翌10日には長崎に寄港した[148]。他方、日本とオランダは、2016年12月の日蘭防衛相会談で「防衛協力・交流に関する覚書」に署名して以来[149]、両国の防衛協力制度化には進展がみられない。2024年10月17日のNATO国防相会合と並行して実施された中谷防衛相とルーベン・ブレーケルマンス(Ruben Brekelmans)国防相との日蘭防衛相会談でも、「今後の日オランダの防衛協力・交流のさらなる強化について一致」に留まるのみで制度化への具体的言及はなかった[150]。今後、オランダ艦艇の日本寄港やそれに伴う共同訓練も増えることが想定されることから、日蘭ACSAの締結は急務といえる。
 また、2024年8月6日には、英国は、NATO加盟国であるノルウェーのフリゲートがCSG25に参加することを明らかにした[151]。9月3日に木原防衛相は来日したビョルン・グラム(Bjørn Gram)国防相との日ノルウェー防衛相会談において、ノルウェーの艦艇がCSG25の一員として初めてインド太平洋に派遣されることに加え、両国が「防衛装備品・技術移転協定に関する覚書」に署名したことを歓迎した[152]。また、木原防衛相は同日の記者会見において「地理的に離れているものの、共に海洋国家であり、それぞれロシアの東側と西側に位置していることから、情勢認識や戦略的利益の点で多くの共通点があります」と述べることで、両国の防衛協力・交流が中ロの動向を意識したものであることを示唆した[153]。ノルウェー国防相の来日は40年振りであり、一層の制度化推進への努力が求められる。
 さらに、中国、ロシア、イラン、北朝鮮の連携による「動乱の枢軸」が、2024年6月19日に署名された「ロ朝包括的戦略パートナーシップ条約」(2024年12月4日発効)や10月下旬に確認された北朝鮮軍兵士のロシア派兵、また同時期開催の第16回BRICS首脳会議の成功などによって現実のものとなりつつある。これら4カ国の連携については、2023年10月頃にそれぞれの頭文字からCRINKというアクロニムが登場し[154]、さらに、米国の政治ニュースメディア『ポリティコ』の2024年10月17日付掲載記事「CRINK: 新たな悪の枢軸」は、連携を強化するこれら4カ国に対峙するため、NATOはIP4との関係強化を迫られるとしている[155]。実際、日本の「筆頭同志国」である英国では、2024年7月の総選挙で誕生した労働党政権で、新たな戦略レビュー検討作業の責任者に任命されたジョージ・ロバートソン(George Robertson)元英国防相/NATO事務総長がマスメディアに対し、英国とNATO諸国は協力して、中国、ロシア、イラン、北朝鮮の「危険なカルテット(deadly quartet)」に対峙しなければならないと発言した[156]。おそらく2025年上半期に策定予定の新たな戦略レビューにおいても、「危険なカルテット」と対峙する上で、NATO諸国に加えIP4との協力の在り方も課題として取り上げられよう。
 日本もこうした状況を踏まえながら、同志国との連携の在り方をアップデートする必要に迫られている。台湾有事の現実味や朝鮮半島情勢の不確実性が増す中で、有事における同志国との連携の在り方も検討する必要があろう。また、大戦略として洗練されたFOIPはインド太平洋への関与を強める欧州の同志諸国に訴求力を持つことで、日本がインド太平洋における機軸国家としての地位を確立する基盤となる一方、上述のように2024年11月に公表された「日・EU安全保障・防衛パートナーシップ」ではFOIOの維持・強化での協力が謳われつつ、FOIPについては「日EU定期首脳協議(2023年7月13日、ブリュッセル)の共同声明は……自由で開かれたインド太平洋の重要性を再確認した〔下線引用者〕」と論及するに留まった[157]。日欧関係の戦略的基盤がFOIPからFOIOに移行したことを示唆するものといえる。相澤輝昭が指摘するように、現下の国際安全保障環境に鑑みればFOIPが上位概念であるFOIOに置換されるにしても、日本の外交資産であり対中大戦略として国際社会に訴求力をもつFOIPと整合性を保つことが必要条件となろう[158]。2025年以降、日本海を舞台にした中ロの軍事的連携の活発化が予想されるのに加え、2024年12月3日の韓国の尹錫悦大統領による非常戒厳布告がもたらした政治的混乱は改善傾向にあった日韓関係の行方を不透明なものにした。こうした安全保障環境下で、日本が北東アジアにおける現状維持勢力の機軸国家として同志国と連携を強化していくためにも、FOIPとの整合性を担保しつつFOIOを大戦略として洗練していくことは政治外交上の重要な課題といえる。
 

7.おわりに

 本稿は、東シナ海や日本海を包含する北東アジアにおける大国間競争の展開について、中ロの戦略的連携と、それに「同志国等との連携」によって対応する日本との構図から分析した。日本周辺海空域での中ロの軍事的連携は常態化、活発化しているものの、日本は2007年3月の「安全保障協力に関する日豪共同宣言」署名以来、時に国連軍地位協定を利用しつつ、防衛装備品・技術移転協定、ACSA、RAA等の制度的枠組みの整備を進めながら、さらに大戦略としてのFOIPを標榜することで豪州や欧州諸国等、価値を共有する同志国との連携を深化させてきた。そして2024年には、北東アジアを含むインド太平洋における現状維持勢力の機軸国家としての地位を確立した。
 他方、中ロにとって対独・対日戦勝80周年にあたる2025年には、両国の軍事的連携がさらに活発化することが予想される。それらに対応するためにも、北東アジアにおける現状維持勢力の機軸国家である日本は、既に約束されている英海軍CSG25の日本寄港を機会に日本海での日米英海軍種合同演習を実現するなど現状維持勢力の連携を誇示する必要がある。また、今後の課題として、同志国空軍部隊の航空自衛隊基地への受け入が常態化しているのに対し、RAA等の整備が追いついていない現状がある。2024年現在、RAAの発効は豪州と英国のみであり、協議中のフランスとの早期締約が待たれる。また、オランダやノルウェー等の新たな同志国との防衛交流のためにも各種制度的枠組みの整備は急務である。
 本稿では欧州の同志諸国との連携について多くの紙幅を割いた。欧州(諸国、NATO、EU)は自らの戦略的自律性に基づきインド太平洋への軍事的関与を強化してきた[159]。そうしたトレンドの中で、FOIPを標榜する日本は北東アジアを含むインド太平洋における現状維持勢力の機軸国家としての地位を高めてきた。もちろん、その地位は、地政学的条件や価値の共有に加え、米国の枢要な同盟国、政治的安定、質の高い防衛力・防衛産業等の様々な条件を備える日本だからこそ担えるものである。
 他方、欧州の同志諸国との連携という観点から見れば、これまで日本はどちらかといえば受け身の姿勢であったことは否めない。とくにCRINKによる「動乱の枢軸」が現実味を帯びる中で、日本の欧州の同志諸国との連携の在り方もアップデートする必要があろう。そしてG7間の連携に加えNATOやEUとの連携の戦略的基盤もFOIPからその上位概念であるFOIOに置換されつつあるが、それには日本の外交資産であり対中大戦略として国際社会に訴求力をもつFOIPとの整合性を保つことが必要条件となる。とくに、2025年以降、日本海を舞台にした中ロの軍事的連携の活発化が予想される中で、日本が北東アジアの機軸国家として同志国と連携していくためにも、FOIPとの整合性を保ちながらFOIOを大戦略として洗練することは政治外交上の重要な課題といえる。
 
(付記)本研究はJSPS科研費21K01368の助成を受けたものです。

[1] こうした見解は以下の論考にもみられる。Tomohiko Satake, “Great Power Competition and Japan,” in The National Institute for Defense Studies (ed.), The New Normal of Great Power Competition: The U.S.-China-Russia Relationship and the Indo-Pacific Region (NIDS International Symposium on Security Affairs 2022) (Tokyo: The National Institute for Defense Studies, November 2023), pp. 115-117.
[2] 川崎剛『大戦略論:国際秩序をめぐる戦いと日本』勁草書房、2019年、11-25頁。
[3] 詳細は以下を参照。外務省「自由で開かれたインド太平洋」2024年10月16日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/page25_001766.html(2025年1月7日閲覧)。
[4] 飯田将史「進展する中国とロシアの軍事協力:共同軍事演習の多様化と高度化」『NIDSコメンタリー』第271号(2023年8月29日)、https://www.nids.mod.go.jp/publication/commentary/pdf/commentary271.pdf(2025年1月7日閲覧);飯田将史「既存秩序の変革を目指す中国の戦略」飯田将史・新垣拓・長谷川雄之『中国安全保障レポート2024:中国、ロシア、米国が織りなす新たな戦略環境』防衛省防衛研究所、2023年11月、21-25頁。
[5] 関根大助「海洋国家と大陸国家の戦略的関係:未曽有の危機が迫る日本」『海洋安全保障情報季報』第42号(2024年5月)。
[6] 河上康博「日本海における中国軍の『新常態化戦略』:日本のとるべき対応策を考える」『国際情報ネットワークIINA』2024年5月23日、https://www.spf.org/iina/articles/kawakami_08.html(2025年1月7日閲覧)。
[7] Jacob Stokes, et al, The China-Russia Entente in East Asia: Contending with Authoritarian Partnership in a Critical Region (Washington DC, CNAS, September 2024).
[8] 河上「日本海における中国軍の『新常態化戦略』」。
[9] 「国際秩序維持 分水嶺に」『毎日新聞』2024年7月2日、4面。
[10] 2023年までの動向については以下を参照。Shingo Nagata, “Japan at the Center of Airpower Defense Diplomacy in the Indo-Pacific,” The Diplomat, 18 August 2023, https://thediplomat.com/2023/08/japan-at-the-center-of-airpower-defense-diplomacy-in-the-indo-pacific/ (accessed on 7 January 2025);永田伸吾「大戦略としての『インド太平洋』概念を支える防衛外交:主体としての日・豪・欧の空軍種の役割」永田伸吾・伊藤隆太編著『インド太平洋をめぐる国際関係:理論研究から地域・事例研究まで』芙蓉書房出版、2024年、189-225頁;永田伸吾「『前線国家』となった日本の最前線『小松基地』が持つ重要性」『新潮社 Foresight』2024年3月5日、https://www.fsight.jp/articles/-/50466(2025年1月7日閲覧)。
[11] 例えば、以下を参照。インド太平洋研究会『米中関係を超えて:自由で開かれた地域秩序構築の「機軸国家日本」のインド太平洋戦略(令和4年度外務省外交・安全保障調査研究事業)』日本国際問題研究所、2023 年3月。
[12] 本項第1・2段落の記述は以下の拙稿に大きく依拠する。永田「『前線国家』となった日本の最前線『小松基地』が持つ重要性」。
[13] 本段落の内容は、飯田「進展する中国とロシアの軍事協力」に大きく依拠する。
[14] 本段落の2023年までの内容は、同上論文に大きく依拠する。
[15] Chris Bott, “Okean Returns: A Battered Russian Navy Brings Back a Soviet-Era Exercise,” Proceedings, Vo1. 150/10/1,460, October 2024, https://www.usni.org/magazines/proceedings/2024/october/okean-returns-battered-russian-navy-brings-back-soviet-era (accessed on 7 January 2025).
[16] President of Russia, “Ocean 2024 strategic command-and-staff exercise,” 10 September 2024, http://en.kremlin.ru/events/president/news/75083 (accessed on 7 January 2025).
[17] Dzirhan Mahadzir, “Russia, China Kick off Large Scale Naval Exercise,” USNI News, 11 September 2024, https://news.usni.org/2024/09/11/russia-china-kick-off-large-scale-naval-exercise (accessed on 7 January 2025).
[18] 「ロシア・中国海軍、太平洋を共同パトロール 訓練実施」『Reuters(日本語版)』2024年10月8日、https://jp.reuters.com/world/security/VASI27K2LROP3DSOOUTYN3JOAQ-2024-10-08/2025年1月7日閲覧)。
[19] 統合幕僚監部「ロシア海軍艦艇の動向について」2024年10月23日、https://www.mod.go.jp/js/pdf/2024/p20241023_01.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[20] 統合幕僚監部「ロシア軍機の動向について」2024年10月23日、https://www.mod.go.jp/js/pdf/2024/p20241023_02.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[21] 首相官邸「内閣官房長官記者会見:令和6年9月23日(月)午後」2024年9月23日、https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202409/23_p.html(2025年1月7日閲覧)。
[22] 首相官邸「内閣官房長官記者会見:令和6年9月24日(火)午前」2024年9月24日、https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202409/24_a.html2025年1月7日閲覧)。
[23] Ministry of National Defense of the People's Republic of China, “CMC Vice-Chairman Zhang Youxia Meets Russian Defense Minister,” 15 October 2024, http://eng.mod.gov.cn/xb/News_213114/TopStories/16345590.html (accessed on 7 January 2025).
[24] 飯田将史「視点:連携を強める中国軍とロシア軍」防衛省・自衛隊『令和6年版防衛白書』2024年8月、91頁。
[25] 同上。
[26] Stokes, et al,“The China-Russia Entente in East Asia,” p. 7.
[27] Ibid.
[28] China Coast Guard, “China Coast Guard, Russian Federal Security Service Sign MoU,” 27 April 2023, https://www.ccg.gov.cn/mhenu/international/202405/t20240516_2197.html (accessed on 7 January 2025).
[29] 長谷川雄之「ウクライナ戦争下におけるロシアの国境政策:FSB国境警備局と中露関係」『国際情報ネットワークIINA』2024年9月13日、https://www.spf.org/iina/articles/takeyuki_hasegawa_01.html(2025年1月7日閲覧)。
[30] 中国海警局「中俄海警举行2024年联合演习」2024年9月18日、https://www.ccg.gov.cn/gjhz/202409/t20240918_2468.html (accessed on 7 January 2025).
[31] 中国海警局「中俄海警舰艇编队抵达北冰洋」2024年10月2日、https://www.ccg.gov.cn/gjhz/202410/t20241002_2486.html (accessed on 7 January 2025).
[32] 海上保安庁「日本・米国・韓国による『初』の合同捜索救助訓練について」2024年5月23日、https://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kouhou/r6/k240523/k240523.pdf2025年1月7日閲覧)。
[33] 益尾知佐子「2023年中ロ共同声明と世界の分断」『米中関係を超えて:自由で開かれた 地域秩序構築の「機軸国家日本」のインド太平洋戦略』日本国際問題研究所、2023年、9-1頁。
[34] 同上、9-7~9-8頁。
[35] President of Russia, “Russian-Chinese talks,” 16 May 2024, http://en.kremlin.ru/catalog/persons/351/events/74045 (accessed on 7 January 2025).
[36] President of Russia, “Meeting with President of China Xi Jinping,” 3 July 2024, http://en.kremlin.ru/catalog/persons/351/events/74461 (accessed on 7 January 2025).
[37] Ministry of Foreign Affairs the People’s Republic of China, “Xi Jinping Exchanges Congratulatory Messages with Russian President Vladimir Putin on the 75th Anniversary of the Establishment of Diplomatic Relations Between China and Russia,” 2 October 2024, https://www.fmprc.gov.cn/eng/xw/zyxw/202410/t20241007_11503141.html (accessed on 7 January 2025).
[38] Ministry of Foreign Affairs of the Russian Federation “Foreign Minister Sergey Lavrov’s Article for Rossiyskaya Gazeta on the Occasion of the 75th Anniversary of Diplomatic Relations between the Russian Federation and the People’s Republic of China, October 3, 2024,” 3 October 2024, https://mid.ru/en/foreign_policy/news/1973750/ (accessed on 7 January 2025).
[39] Ibid.
[40] Brics2024Russia, “XVI BRICS Summit Kazan Declaration: strengthening multilateralism for just global development and security, Kazan, Russian Federation 23 October 2024,” 23 October 2024, https://cdn.brics-russia2024.ru/upload/docs/Kazan_Declaration_FINAL.pdf?1729693488349783 (accessed on 7 January 2025).
[41] President of Russia, “Meeting with President of the People’s Republic of China Xi Jinping,” 22 October 2024, http://en.kremlin.ru/catalog/persons/351/events/75370 (accessed on 7 January 2025).
[42] 「解説:露中軍事協力の動向:『戦略的連携』がもたらす波紋」『令和4年版防衛白書』2022年8月、115-116頁。
[43] 内閣官房「国家安全保障戦略」2022年12月16日、3-4頁、https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/nss-j.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[44] 同上、8-9頁。
[45] 同上、9頁。
[46] 同上、10頁。
[47] 関根「海洋国家と大陸国家の戦略的関係」152頁。
[48] 同上、159頁。
[49] Andrea Kendall-Taylor and Richard Fontaine, “The Axis of Upheaval: How America’s Adversaries Are Uniting to Overturn the Global Order,” Foreign Affairs, Vol. 103, No. 3, May/June 2024, pp. 50-63.
[50] Ibid., p. 58.
[51] Ibid.
[52] Ibid., p. 60.
[53] 首相官邸「令和5年6月6日(火)午前:内閣官房長官記者会見」2023年6月6日、
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202306/6_a.html(2025年1月7日閲覧)。;外務省「林外務大臣会見記録」2023年6月6日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken24_000188.html(2025年1月7日閲覧)。
[54] 防衛省・自衛隊『令和6年版防衛白書』2024年8月、356頁。
[55] 同上。
[56] 佐竹知彦『日豪の安全保障協力:距離の専制を超えて』勁草書房、2022年、122-123頁。
[57] 同上、137-139頁。
[58] Jürgen Haacke and John H. Breen, “From Benign Neglect to Effective Re-engagement? Assessing British Strategizing and Policies Towards Southeast Asia Since 2010,” Contemporary Southeast Asia, Vol. 41, No. 3, December 2019, p. 336.
[59] 外務省「安全保障協力に関する日英共同宣言」2017年8月31日、https://www.mofa.go.jp/files/000285661.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[60] 「ガーディアン・ノース16」および「武士道ガーディアン19」の詳細は以下を参照。永田「大戦略としての『インド太平洋』概念を支える防衛外交」198-202頁。
[61] 渡邊啓貴「欧州の戦略的自立と新世界戦略:高まるインド太平洋地域への関心」『金融財政ビジネス』第10979号(2021年4月)、15頁。
[62] 永田伸吾「安全保障化としての英国の対中脅威認識形成過程:2021年英空母打撃群(CSG21)のインド太平洋展開に注目して」『安全保障化の国際政治:理論と現実』有信堂高文社、2023年、82-85頁。
[63] 詳細は以下を参照。飯田将史「『自由で開かれたインド太平洋』をめぐる日本の政策の展」『問題と研究』第50巻第1号(2021年3月)。
[64] 鶴岡路人「日本と欧州:EU、英国、フランス、ドイツ」鶴岡路人編著『地政学時代の日本:外交・安全保障政策の新たな潮流』コンラート・アデナウアー財団、2024年6月、132頁。
[65] 朝鮮国連軍地位協定をめぐる詳細については以下を参照。川名晋史『在日米軍基地:米軍と国連軍、「2つの顔」の80年史』中央公論新社、2024年。
[66] 外務省「日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定」1954年2月19日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000358947.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[67] 外務省「朝鮮国連軍と我が国の関係について」2024年10月18日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/na/fa/page23_001541.html(2025年1月7日閲覧)。
[68] 牧野愛博『沖縄有事:ウクライナ、台湾、そして日本―戦争の世界地図を読み解く』文藝春秋、2023年、65-66頁。
[69] HM Government, Global Britain in a Competitive Age: The Integrated Review of Security, Defence, Development and Foreign Policy, CP 403, March 2021, p. 29.
[70] 外務省「『瀬取り』対処への日英連携」2019年4月6日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000577.html(2025年1月7日閲覧)。
[71] 外務省「王立海軍艦艇が北朝鮮の制裁回避を確認(仮訳)」2019年4月6日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000465715.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[72] 詳細は以下を参照。永田「安全保障化としての英国の対中脅威認識形成過程」。
[73] 川名『在日米軍基地』265頁。
[74] 防衛省・自衛隊「防衛大臣臨時記者会見」2021年9月6日、https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2021/0906a_r.html(2025年1月7日閲覧)。
[75] 外務省「『瀬取り』を含む違法な海上活動に対する英国による警戒監視活動」2021年9月30日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press3_000599.html(2025年1月7日閲覧)。
[76] 中村裕「英艦船、台湾海峡を初めて通過 米と連携し中国へ圧力」『日本経済新聞』2021年9月27日、https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM276BQ0X20C21A9000000/(2025年1月7日閲覧)。
[77] 田中亮佑「欧州のインド太平洋戦略の発展」『外交』第65巻(2021年6月)、38頁。
[78] Ministry for Europe and Foreign affairs, France’s Indo-pacific Strategy, February 2022.
[79] 詳細は以下を参照。永田「大戦略としての『インド太平洋』概念を支える防衛外交」200-201頁。
[80] 海上幕僚監部「日仏豪米共同訓練(ラ・ペルーズ)の実施について」2019年5月16日、https://www.mod.go.jp/msdf/release/201905/20190516.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[81] International Institute for Strategic Studies, “Speech by Florence Parly at the 17th Shangri-La Dialogue:Raising the Bar for Regional Security Cooperation,” 6 June 2018, https://www.iiss.org/globalassets/media-library---content--migration/images/dialogues/sld/sld-2018/documents/florence-parly-sld18.pdf (accessed on 7 January 2025).
[82] エバ・ペショバ「インド太平洋における欧州連合(EU)の海軍プレゼンス、その価値とは」『島嶼研究ジャーナル』第13巻第1号(2023年11月)、112頁。
[83] ドイツ外務省『Leitlinien zum Indo-Pazifikインド太平洋ガイドライン』2020年9月。
[84] 海上幕僚監部「日独共同訓練の実施について」2021年9月25日、https://www.mod.go.jp/msdf/release/202109/20210925.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[85] 外務省「『瀬取り』を含む違法な海上活動に対するドイツによる警戒監視活動」2021年11月5日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press3_000627.html(2025年1月7日閲覧)。
[86] 同国における日米仏の基地がジブチ国際空港内に設置されているのに対し、単独の基地設置は異例である(中国は2017年に単独で「ジブチ保障基地」を設置)。またドイツとスペインは米軍基地「キャンプ・レモニエ(Camp Lemonnier)」に数十名規模の人員を駐留させている。Kanako Masuda, “Competition of Foreign Military Bases and the Survival Strategies of Djibouti,” JICA Ogata Sadako Research Institute for Peace and Development, Knowledge Report, No.8, July 2023, p. 9, https://www.jica.go.jp/english/jica_ri/publication/knowledge/__icsFiles/afieldfile/2023/12/25/knowledge_report_08.pdf (accessed on 7 January 2025).
[87] Gabriele Abbondanza, “Italy’s quiet pivot to the Indo-Pacific: Towards an Italian Indo-Pacific strategy,” International Political Science Review, Vol. 45, No. 5, November 2023, pp. 671-674.
[88] Ibid., p. 672.
[89] The government of Italy, “The Italian Contribution to the EU Strategy for the Indo-Pacific,” 20 January 2022, https://www.esteri.it/wp-content/uploads/2022/02/THE_ITALIAN_CONTRIBUTION_TO_THE_EU_STRATEGY_FOR_THE_INDO_PACIFIC.pdf (accessed on 7 January 2025).
[90] 外務省「安全保障協力に関する日豪共同宣言」2022年10月22日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100410297.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[91] HM Government, Integrated Review Refresh 2023: Responding to a More Contested and Volatile World, CP811, March 2023, p. 6.
[92] Ibid., p. 8. 日本語訳は以下に依拠した。永田「大戦略としての『インド太平洋』概念を支える防衛外交」190頁。
[93] Ibid., p. 2.
[94] Ibid., p. 22.
[95] Ibid. 日本語訳は以下に依拠した。永田「大戦略としての『インド太平洋』概念を支える防衛外交」191頁。
[96] 外務省「強化された日英のグローバルな戦略的パートナーシップに関する広島アコード(仮訳)」2023年5月18日、https://www.mofa.go.jp/files/100505907.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[97] 「ドイツ ショルツ首相 きょう来日 岸田首相と会談 連携強化へ」『NHK』2022年4月28日、https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220428/k10013603791000.html(2025年1月7日閲覧)。
[98] 同上。
[99] 外務省「日独首脳会談」2022年4月29日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/c_see/de/page1_001149.html(2025年1月7日閲覧)。
[100] 「ラピッド・パシフィック2022」の詳細は以下を参照。永田「大戦略としての『インド太平洋』概念を支える防衛外交」202-206頁。
[101] 「ペガーズ2022」および「ペガーズ2023」の詳細は以下を参照。同上、206-209頁。
[102] 同上、214頁。
[103] 詳細は以下を参照。永田「『前線国家』となった日本の最前線『小松基地』が持つ重要性」。
[104] 「米豪機動展開訓練」および「武士道ガーディアン23」の詳細については以下を参照。永田「大戦略としての『インド太平洋』概念を支える防衛外交」211-212頁。
[105] 陸上幕僚監部「令和4年度英陸軍との実動訓練(ヴィジラント・アイルズ22)の概要について」2022年11月4日、https://www.mod.go.jp/gsdf/news/press/2022/pdf/20221104_01.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[106] 陸上幕僚監部「令和6年度英陸軍との実動訓練(ヴィジラント・アイルズ24)の概要について」2024年12月20日、https://www.mod.go.jp/gsdf/news/press/2024/pdf/20241220.pdf(2025年1月7日閲覧);「陸自来月日出生台などで英陸軍と初の日英共同訓練」『NHK』2024年12月20日、https://www3.nhk.or.jp/lnews/oita/20241220/5070020280.html(2025年1月7日閲覧)。
[107] マイケル・J・グリーン[著]、上原裕美子[訳]『安倍晋三と日本の大戦略:21世紀の日本の「利益線」構想』日本経済新聞出版、2023年、231-232頁。
[108] 外務省「G7広島首脳コミュニケ(2023年5月20日)」2023年5月20日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/hiroshima23/documents/pdf/Leaders_Communique_01_jp.pdf?v20231006(2025年1月7日閲覧)。
[109] 外務省「日仏首脳昼食会」2024年5月2日、
https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/we/fr/pageit_000001_00595.html(2025年1月7日閲覧)。
[110] 外務省「日伊首脳による懇談」2024年6月14日、
https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/we/it/pageit_000001_00742.html(2025年1月7日閲覧)。
[111] 統合幕僚監部「欧州各国のインド太平洋地域への関与強化と自衛隊の連携」年月日不明、https://www.mod.go.jp/js/europe/Europe.html(2025年1月7日閲覧)。
[112] Bundeswehr, “Pacific Skies 24 – one Deployment, Five Exercises,” n. d, https://www.bundeswehr.de/en/organization/german-air-force/pacific-skies-24- (accessed on 7 January 2025).
[113] 航空幕僚監部「日独西共同訓練の実施について」2024年6月25日、https://www.mod.go.jp/asdf/news/uploads/docs/20240625_2.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[114] 航空幕僚監部「日仏共同訓練の実施について」2024年6月24日、https://www.mod.go.jp/asdf/news/uploads/docs/20240625_3.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[115] 航空幕僚監部「日独共同訓練(「ニッポン・スカイズ24」)の実施について」2024年6月25日、
https://www.mod.go.jp/asdf/news/uploads/docs/20240625_4.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[116] Ministry of Foreign Affairs of the Russian Federation, “Press release on the protest to the Embassy of Japan in Russia,” 28 June 2024, https://mid.ru/en/foreign_policy/news/1960094/ (accessed on 7 January 2025).
[117] Aeronautica Militare, “Operation ‘Indopacific Jump 2024’” n. d, https://www.aeronautica.difesa.it/campaignindopacificjump2024/ (accessed on 7 January 2025).
[118] 航空幕僚監部「日伊共同訓練(Rising Sun 24)の実施について」2024年8月13日、https://www.mod.go.jp/asdf/news/uploads/docs/20240813j.pdf(2024年1月7日閲覧)。
[119] 海上幕僚監部「日豪伊独仏共同訓練(ノーブル・レイブン24-3)について」2024年8月30日、https://www.mod.go.jp/msdf/release/202408/20240830.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[120] 外務省「『瀬取り』を含む違法な海上活動に対するイタリアによる警戒監視活動」2024年9月9日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_01143.html(2025年1月7日閲覧)。
[121] 外務省「『瀬取り』を含む違法な海上活動に対するドイツによる警戒監視活動」2024年9月13日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_01157.html(2025年1月7日閲覧)。
[122] 「ドイツ艦艇が台湾海峡を通過 中国の軍事的圧力をけん制か」『NHK』2024年9月13日、https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240913/k10014581641000.html(2025年1月7日閲覧)。
[123] 陸上幕僚監部「令和6年度仏陸軍との実動訓練(ブリュネ・タカモリ24)の概要について」2024年8月26日、https://www.pref.miyagi.jp/documents/53749/bt24gaiyou.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[124] 「ドイツ国防相 “来年 陸上自衛隊訓練にドイツ軍の初参加検討”」『NHK』2024年8月1日、https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240801/k10014531711000.html(2025年1月7日閲覧)。該当する訓練は「アイアン・フィスト(Iron Fist)」と「レゾリュート・ドラゴン(Resolute Dragon)」があり、2024年3月の「アイアン・フィスト24」にドイツはオブザーバーを派遣している。
[125] U.S. Indo-Pacific Command, “Germany joins United Nations Command,” https://www.pacom.mil/JTF-Micronesia/Article/3860739/germany-joins-united-nations-command/ (accessed on 15 December 2024).
[126] 鶴岡路人『模索するNATO:米欧同盟の実像』千倉書房、2024年、227-231頁。
[127] 防衛省・自衛隊「中谷防衛大臣のNATO国防相会合出席及び各国国防大臣との会談等について(概要)」2024年10月17日、
https://www.mod.go.jp/j/approach/exchange/area/2024/20241017_nato-j_b.html(2025年1月7日閲覧)。
[128] 防衛省・自衛隊「中谷防衛大臣によるルッテNATO事務総長との会談について(概要)」2024年10月17日、
https://www.mod.go.jp/j/approach/exchange/area/2024/20241017_nato-j_a.html(2025年1月7日閲覧)。
[129] 防衛省・自衛隊「中谷防衛大臣のG7国防相会合への出席及び各国国防大臣との会談等について(概要)」2024年10月20日、
https://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/2024/1019_g7-j_a.html(2025年1月7日閲覧)。
[130] 防衛省・自衛隊「日独防衛相会談について」2024年10月20日、
https://www.mod.go.jp/j/approach/exchange/area/2024/20241019_deu-j.html(2025年1月7日閲覧)。
[131] 外務省「日EU・安全保障・防衛パートナーシップ(仮訳)」2024年11月1日、
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100762627.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[132] Kei Hakata, Teruaki Aizawa, and Brendon J. Cannon, “Japan’s Strategic Messaging for a ‘Free and Open International Order (FOIO)’: Can It Preserve its Indo-Pacific Achievements?” Focus Asia, 14 February 2024, file:///C:/Users/nagat/Downloads/ISDP-Focus-Asia-Hakata-Aizawa-Cannon-Feb-14-2024%20(2).pdf (accessed on 7 January 2025).
[133] 防衛省・自衛隊「防衛大臣記者会見」2024年5月10日、https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2024/0510a.html(2025年1月7日閲覧)。
[134] The Government of The United Kingdom, “UK to Hold Joint Military Exercises with US And Japan to Boost Security and Strengthen Defence Ties,” 11 April 2024, https://www.gov.uk/government/news/uk-to-hold-joint-military-exercises-with-us-and-japan-to-boost-security-and-strengthen-defence-ties (accessed on 7 January 2025).
[135] Xavier Vavasseur, “French Navy Plans Aircraft Carrier Mission to the Pacific in 2025,” Naval News, 22 July 2022, https://www.navalnews.com/naval-news/2022/07/french-navy-aircraft-carrier-mission-pacific-in-2025/ (accessed on 7 January 2025).
[136] The Government of The United Kingdom, “UK-France Joint Leaders' Declaration,” 10 March 2023, https://www.gov.uk/government/publications/uk-france-joint-leaders-declaration/uk-france-joint-leaders-declaration (accessed on 7 January 2025).
[137] 在日フランス大使館「ミッション『クレマンソー25』」2025年1月7日更新版、https://jp.ambafrance.org/article21343(2025年1月7日閲覧)。
[138] 牧野『沖縄有事』68頁。
[139] 永田潤「会見リポート:日本との安保協力を深化」『日本記者クラブ』2024年12月17日、https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/36876/report(2025年1月7日閲覧)。
[140] 同上;鶴岡路人「日本が直面する新たな『核』問題:原子力艦寄港と核兵器『持ち込み』」『新潮社フォーサイト』2024年12月2日、https://www.fsight.jp/articles/-/51035(2025年1月7日閲覧)。
[141] 鶴岡「日本が直面する新たな『核』問題:原子力艦寄港と核兵器『持ち込み』」。
[142] 成蹊大学アジア太平洋研究センター共同研究プロジェクト「中国の挑戦とインド太平洋」2024年度第5回研究会(2024年12月6日、オンライン開催)での筆者報告に対する参加者からのコメント。
[143] 以下を参照。永田「大戦略としての『インド太平洋』概念を支える防衛外交」。
[144] 「三沢で日伊共同訓練 空自来月」『東奥日報』2024年7月12日、24面。
[145] The Government of the Netherlands, “Indo-Pacific: Guidelines for strengthening Dutch and EU cooperation with partners in Asia,” 13 November 2020, https://www.government.nl/documents/publications/2020/11/13/indo-pacific-guidelines (accessed on 7 January 2025).
[146] 外務省「『瀬取り』を含む違法な海上活動に対するオランダによる警戒監視活動」2024年6月10日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_00772.html(2025年1月7日閲覧)。
[147] 海上自衛隊幕僚監部「日蘭共同訓練について」2024年6月10日、https://www.mod.go.jp/msdf/release/202406/20240610_02.pdf (2025年1月7日閲覧)。
[148] 日本寄港に先立つ6月7日に、東シナ海航行中の同艦およびNH90ヘリコプターに対し、中国軍戦闘機が数回にわたり接近した。Netherland Ministry of Defence, “Warship Approached by Chinese Helicopter and Fighter Jets,” 7 June 2024, https://english.defensie.nl/latest/news/2024/06/07/warship-approached-by-chinese-helicopter-and-fighter-jets (accessed on 7 January 2025).
[149] 防衛省・自衛隊「日本国防衛省とオランダ王国国防省との間の防衛協力・交流に関する覚書」2016年12月13日、https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11591426/www.mod.go.jp/j/approach/exchange/area/2016/pdf/20161213_nld-j_memo_j.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[150] 防衛省・自衛隊「日オランダ防衛相会談について」2024年10月18日、https://www.mod.go.jp/j/approach/exchange/area/2024/20241017_nld-j.html
[151] The Government of the United Kingdom, “Norway to join UK Navy deployment to Indo-Pacific next year,” 6 August 2024, https://www.gov.uk/government/news/norway-to-join-uk-navy-deployment-to-indo-pacific-next-year (accessed on 7 January 2025).
[152] 防衛省・自衛隊「日ノルウェー防衛相会談について」2024年9月3日、https://www.mod.go.jp/j/approach/exchange/area/2024/20240903_nor-j.html(2025年1月7日閲覧)。
[153] 防衛省・自衛隊「防衛大臣記者会見」2024年9月3日、https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2024/0903a.html(2025年1月7日閲覧)。
[154] Harriet Marsden, “Crink: the New Autocractic ‘Axis of Evil’,” The Week, 14 May 2024, https://theweek.com/politics/crink-the-new-autocractic-axis-of-evil (accessed on 7 January 2025).
[155] Stuart Lau, “CRINK: It’s the new ‘Axis of Evil’,” Politico, 17 October 2024, https://www.politico.eu/article/crink-new-axis-of-evil-nato-china-russia-iran-north-korea/ (accessed on 7 January 2025).
[156] “UK and Its Allies Face ‘Deadly Quartet’ of Nations, Says Defence Expert,” The Gurdian, 16 July 2024, https://www.theguardian.com/politics/article/2024/jul/16/uk-and-its-allies-face-deadly-quartet-of-nations-says-defence-expert (accessed on 7 January 2025).
[157] 外務省「日EU・安全保障・防衛パートナーシップ(仮訳)」2024年11月1日、
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100762627.pdf(2025年1月7日閲覧)。
[158] 相澤輝昭「『自由で開かれたインド太平洋(FOIP)』と『自由で開かれた国際秩序(FOIO)』」『海洋安全保障情報季報』第44号(2024年5月)、147頁。
[159] 鶴岡路人「欧州のインド太平洋戦略:関与の『真剣度』の高まりと残された課題」『東亜』第685号(2024年7月)、21-22頁。