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2024.02.19

【海洋教育見聞録】君津市立周西の丘小学校

君津市立周西の丘小学校
[ 2023.11.30撮影 ]

 「グラウンドに草ボーボー計画」の是非を問う。二酸化炭素の固定を優先するか、広いグラウンドで思い切り遊ぶことを優先するか…子どもたちにとっては国の施策よりよほど重要だろう、考える姿は真剣そのものだ。

 ここ【君津市立周西の丘小学校】は、製鉄所の巨大な集合住宅が立ち並ぶ丘 ――高度成長期、製鉄所を作るために君津の海を埋め立てた際に山が削られてできた―― の上にあるのだが、急な坂を上って見に来たのは子どもたちの遊び場を脅かす計画の行く末ではない。これも海洋教育の一部なのだ。

焼いた海苔をいただく
[ 2023.11.30撮影 ]

 君津市生涯学習文化課 文化財主事 朝倉 唯さんが、のり養殖と製鉄の歴史を「2つの決断」という切り口で紹介し、次いで千葉県水産総合研究センター 東京湾漁業研究所 所長 石井 光廣さんと研究員 渡邉 晟也さんが、上総海苔のあぶり焼きを食し ――美味しかったです♪―― 、海藻と海草に触ってワカメの種糸つけ体験まで行い、地球温暖化からブルーカーボンまで解説した。そして、製鉄所の取り組みや海のために山を守る取り組みを紹介するのは、この授業を計画した千葉県君津市教育センター 主査 田仲 永和さんだ。

海藻と海草に触る
[ 2023.11.30撮影 ]

 本日の授業のまとめとして、子どもたちが賛成か反対かを議論する「グラウンドに草ボーボー計画」は、地球温暖化を止めるために学校のグラウンドに草を生やすという仮想計画である。子どもたちにとって恐るべきこの計画の首謀者も石井さんと田仲さんだ。「ブルーカーボンも草ボーボー計画同様にモラルジレンマを抱えています。子どもたちが身近なことを材料にして考えることができる活動を入れたかったんです。」なるほど、草ボーボー計画が成功するかどうかはわからないが、子どもたちに考えさせる計画は見事成功していたと言えよう。

グラウンドに草ボーボー計画の是非を議論
[ 2023.11.30撮影 ]

もらったばかりのアマモペーパーでできた「ブルーカーボン特別授業参加認定証授与」を、嬉しそうに眺める子どもたちが、将来「海辺にアマモボーボー計画」を真剣に考え「3つ目の決断」をする姿が、田仲さんにははっきりと見えていることだろう。[赤見朋晃(海洋教育パイオニアスクールプログラム事務局)]


【君津市立周西の丘小学校の活動】
2023年度 地域展開部門「きみつSDGs×つながる山・川・海学習プログラム」

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