アジア太平洋4か国における違法・無報告・無規制漁業の監視・管理・取締

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藤井 巌,笹川平和財団海洋政策研究所 研究員

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1.はじめに

 違法・無報告・無規制(IUU)漁業の議論が世界的に高まる中、各国はIUU漁業を自国の「海洋安全保障上」の問題と認識しつつある[1]。IUU漁業は「伝統的安全保障」と「非伝統的安全保障」の2つの問題に関連し得る。前者の伝統的安全保障とは、一国の領土・領海や独立性を脅かす軍事的脅威に対して軍事力を用いて対抗することを指す 。一方、後者の非伝統的安全保障とは、気候変動や海賊行為、テロリズム、感染症等の非軍事的脅威に対して政治、経済、社会的側面から対処することを指す[2]
 中国漁船の南シナ海における違法操業は、IUU漁業が伝統的安全保障に関連する一例である。中国は同海域において、東南アジア各国が自国の領海と主張する海域の実行支配を強めている[3]。これを背景に、各国の排他的経済水域(EEZ)における中国漁船の違法操業が頻繁に生じている[3]。例えば、これまでに中国漁船とそれらを警備する中国海警局艦艇が、インドネシア北側に位置するナツナ海の同国のEEZ内で無許可操業を行っていることが確認されている[4]。これに対してインドネシア政府は、同海域の海軍艦艇等を増派し、警備活動を強化した[5]。しかし、両国の艦艇の接近は度々生じ、南シナ海における緊張状態の一因となっている。中国海警局を伴う中国漁船の違法操業は、フィリピン沖合のスカボロー礁周辺を含む南シナ海各地でも確認されている[6]。しかし、この問題に対する有効な解決策は見出されておらず、南シナ海の緊張緩和はASEAN諸国の喫緊の課題となっている。
 一方で、IUU漁業と非伝統的安全保障との関連であるが、第一に食糧安全保障の問題が挙げられる。国連食糧農業機関の最新の発表によると、世界の漁獲量は96,400,000tに達した(2018年時点)[7]。しかし、非持続可能に漁獲されている水産資源は全漁獲量の34.2%に達し、増加傾向にある(2017年時点)7。一方で、IUU漁業による漁獲は11,000,000tから26,000,000tに上ると推定されており、水産資源減少に拍車をかけている[8]。しかし、IUU漁業による漁獲は統計データに明確に反映されないことから[9]、水産資源の適切な管理を妨げる一因となっている。また、IUU漁業はしばしば海洋犯罪の温床となっている。これには「フィッシュロンダンリング」(違法に漁獲された水産物への表示の付け替え)等の水産物に関連するものだけでなく[10]、人身売買や違法薬物の売買、強制労働などが含まれる[11]。広い洋上で行われる海洋犯罪は発見が困難であり、より効果的かつ包括的な監視・管理・取締(Monitoring, Control, and Surveillance:MCS)が必要である。
 IUU漁業のMCSを目的に、国際社会では様々な取組みがなされている。2001年に国連食糧農業機関(FAO)水産委員会で採択された「IUU漁業を防止、抑止、及び廃絶するための国際行動計画(IPOA-IUU)」は、IUU漁業に関する代表的な国際枠組みである。IPOA-IUUは旗国、沿岸国、寄港国、および市場国がIUU漁業に対してとるべき措置の内容について規定している[12]。しかし、IPOA-IUUは法的拘束力を備えない自主的な約束と位置付けられている。一方で、2009年にFAO水産委員会で採択された「違法な漁業,報告されていない漁業及び規制されていない漁業を防止,抑止,及び排除するための寄港国の措置に関する協定(略称:違法漁業防止寄港国措置協定:PSMA)」は、IUU漁業に関して法的な拘束力を持つ唯一の国際枠組みである。PSMAは寄港国が入港を希望する漁船から漁獲情報取得を義務付けるとともに、IUU漁業実施の疑いがある漁船への臨検、IUU漁業が発覚した漁船への入港拒否や取調べ、旗国への通知を規定している[13]。2021年2月現在67か国がPSMAに批准しており[14]、批准国は今後も増えていくことが期待される。
 IUU漁業に関する地域レベルでの取組みには、地域漁業管理機関(RFMO)による様々な対策が挙げられる。RFMOは中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)やインド洋まぐろ類委員会(IOTC)のような「Tuna RFMO」や、北太平洋漁業委員会(NPFC)や南太平洋漁業委員会(SPRFMO)のようなマグロ類以外の魚種を扱うRFMOに類別され、主に公海の水産資源に関する様々な保存管理措置を定めている。これらのRFMOが実施するIUU漁業対策には、IUU漁業船舶リスト作成による、RFMOの漁業管理規則に遵守しない漁船の情報公開、船舶監視システム(VMS)の義務化による漁船の位置情報把握が、代表的なものとして挙げられる 。また、公海での乗船検査の実施、漁船へのオブザーバーの配置、公海での転載規則の規定、港湾における漁船検査の実施等が、重要なIUU漁業対策に含まれる[15]。これらの対策は、主に漁船の旗国に対するIUU漁業のMCSのための規定である。
地域レベルにおけるその他の取組みには、南太平洋フォーラム漁業機関(FFA)が挙げられる。FFAは太平洋島嶼国、オーストラリア、ニュージーランドの計45か国およびトケラウから構成されている[16]。FFA加盟国は1992年に締結された南太平洋地域における漁業監視と法執行の協力に関するニウエ協定のもと、共同で巡視船や偵察機を用いた洋上パトロールを実施している[17]。また、FFA事務局(ホニアラ・ソロモン諸島)に設置されている地域漁業監視センターは、FFA加盟国水域内の外国漁船に対してVMSを用いた監視を実施している。しかし、共同パトロールを除く、個々の領海やEEZ内におけるパトロールについては、各国の努力に委ねられる。
 IUU漁業に関するその他の取組みには、各国・地域による漁獲証明制度が挙げられる。EUによるIUU漁業規則は、その代表例である。本規則は漁船の旗国がEUへ輸出する全ての水産物(養殖魚や淡水魚は除く)に対して、正当に漁獲されたものであることを証明することを義務付けている[18]。また、IUU漁業対策が不十分な国に対してイエローカード勧告を発出し、なおも状況が改善しない国にはレッドカードの発出によりEUへの水産物輸出を禁止する措置を取っている。漁獲証明制度はASEANによっても導入されている。本制度ではASEAN加盟国の漁船によって漁獲された水産物を輸出する際、ならびにASEAN非加盟国から輸入された水産物を再輸出する際に、漁獲証明書の添付を義務付けている[19]。国レベルでの漁獲証明制度には、アメリカの水産物輸入監視制度(SIMP)や日本のマグロ類およびマジェランアイナメ(メロ)に対する漁獲証明制度が挙げられる。なお、日本では2020年に「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」が成立し、漁獲証明制度の対象となる魚種の拡大が予定されている[20]
 上述の通り、IUU漁業のMCSに関する取組みには様々なものがあるが、違法な操業は未だ各海域で生じており、その問題はしばしば複数か国に跨る。このことからも、IUU漁業問題の対処には、多国間の連携がより一層求められる[21]。また、連携強化の在り方を検証するうえで、各国のIUU漁業の現状やMCSの現状および課題に関する情報を整理する必要がある。しかし、これらに関する情報を網羅的に整理し、複数か国を対象に比較分析を行った例がない。本稿は水産資源に大きく依存する国が多いアジア太平洋の4か国(台湾、タイ、スリランカ、およびパラオ)を対象に、各国のIUU漁業の現状やMCSの現状および課題を把握することを目的とする[22]。さらに、IUU漁業をするための、同地域における国家間の連携の在り方を検証する。なお、監視・管理・取締にはそれぞれに定義があるものの、「漁業や海洋管理に関する同意された政策や計画を成し遂げるための業務の実施」を総称してMCSとする場合がある[23]。なお、本稿におけるMCSとは、主に洋上の漁船に対する巡視船等を用いた洋上からの監視・取締、VMSや船舶自動識別装置(AIS)等の衛星技術を用いた監視を指す他、港湾検査や乗船オブザーバー等の幅広い措置を含む。

2.調査方法

 本稿では、アジア太平洋のIUU漁業やそのMCSに関する全体的な傾向を把握するため、東アジア、東南アジア、南アジア、太平洋地域からそれぞれ1か国を選択した(台湾、タイ、スリランカ、パラオ)。これらは、インド太平洋の漁業における重要性に加え、情報量の豊富さから選択した。なお、台湾、タイ、スリランカについては、EUからイエローカード勧告を受けた経緯があることから、自国のIUU漁業対策を対外的に発信するための情報が比較的多く得られた。また、パラオについては諸外国の政府や民間機関による支援受け入れ実績が多く、それらに関する情報が多く得られた。
本稿では、はじめにオンラインで得られる資料・文献から情報を収集した。収集した情報は主に:(1)IUU漁業の現状;(2)IUU漁業のMCSを実施するための体制(3)IUU漁業のMCSにおける課題である。資料・文献調査では、政府のホームページや、それらから得られる文書・資料から情報を収集した後、論文から情報を収集した。また、IUU漁業のMCSに直接関わる関連機関(国連機関や民間機関)のホームページや、それらから得られる文書・資料から情報を収集した。さらに情報が必要と判断された場合には、関連する報道記事を情報源として利用した。次に、各国(タイ、スリランカ、パラオ)の政府関連機関の担当者に半構造化インタビュー方式の聞取りを行い、資料・文献調査を通して得た情報の正確性を確認するとともに、オンラインでは得られなかった情報の有無を確認した。タイについは農業協同組合省水産局、スリランカについては漁業省漁業水産資源局、パラオについては自然資源環境観光省海洋資源局の担当者に対してヒアリングを行った。台湾については、笹川平和財団海洋政策研究所、台湾海洋委員会、および台湾国家海洋研究院との合同カンファレンスにて、台湾の行政院農業委員会漁業署の元担当官、まぐろ延縄協会、かつお・まぐろ旋網協会、いか釣り・さんま棒受網協会の各協会長、および国立中山大学の海洋問題専門家との討論内容をヒアリング情報として取りまとめた。

3.各国におけるIUU漁業およびMCSの状況

(1)台湾におけるIUU漁業のMCS

 台湾は世界有数の遠洋漁業大国であり、AISを用いた漁船の運行情報によると、世界で2番目(21.5%)の漁獲努力量を有する(1番目は中国の37.8%)[24]。台湾漁船は太平洋、大西洋、インド洋の各海域(公海および他国のEEZ内で操業)で操業しており、直近5年間(2015-2019)の年間の生産量は約70~80万t、生産額は約430億元(約1,505億円)に上る[25]。遠洋漁業による水産物輸出額(約280億元(約980億円))は水産物輸出額全体の70%近くを占めており、主な輸出先は日本、アメリカ、EUである。かつお・まぐろ旋網漁業、まぐろ延縄漁業、いか釣り漁業、およびさんま棒受網漁業が主な遠洋漁業である。
 台湾におけるIUU漁業の特徴は、自国の遠洋漁船による違法操業が多数を占めることである。台湾は長らく環境NGOから「Flag of Non-Compliance」として批判を受けてきた 。その主な理由は、同国の便宜置籍船である。2005年には24m以上の便宜置籍船の数が世界で最も多く(11.2%)[26]、2019年においてもその数は遠洋漁船約1,200隻のうち、全体の2割以上を占めている[27]。便宜置籍船は当局による規制を受けないため、これらによる規制逃れが報告されてきた。2004年の大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)第14回特別会合では、台湾の便宜置籍船が同国の漁獲枠を超過して漁獲を行っていることが各国より非難された[28]。漁獲枠を超過して漁獲された水産物は、違法な洋上転載後に「正規品」として輸出された(台湾による「フィッシュロンダンリング」の問題)。2015年には台湾船籍のShuen De Ching No. 888による報告量を超えたまぐろ類の漁獲および違法なフカヒレ漁がグリーンピースによって告発された[29]。同年、EUは台湾の自国船籍に対する消極的な取締に対してイエローカード勧告を発令し、IUU漁業対策強化を求めた[30]
 台湾における主なMCS実施機関は、行政院農業委員会漁業署および海洋委員会海巡署である。漁業署は2017年に24時間漁業監視センターを設置し、VMSによる遠洋漁業の監視を行っている。また、海巡署は台湾のEEZ内における洋上パトロールを実施するとともに、中西部太平洋の公海における指定海域に巡視船を派遣し、パトロールを実施している。同国におけるMCS関連法には遠洋漁業三法と呼ばれる「遠洋漁業条例」「改正非中華民国船籍漁船の経営・投資管理条例」「改正漁業法」がある。さらに、IPOA-IUUに基づいて作成された「IUU漁業を防止、抑止、及び廃絶するための国家行動計画(NPOA-IUU)」がある。NPOA-IUUはイエローカード勧告発令前の2013年に制定された。
 台湾のIUU漁業対策強化における最大の特徴は、遠洋漁業条例の制定である。同国はイエローカードの勧告を受けて、同法を2017年に制定した。従来の漁業法にはVMSによる監視等、遠洋漁業に関する規定が含まれていなかった。同時に中華民国(台湾)船籍でない漁船の経営・投資管理条例を改正し、自国の便宜置籍船に関する規制を強化するとともに、漁業法の改正により、遠洋漁業法との整合性を図った。新法制定の目的は主に:1)違反者に対する罰則の強化;2)MCS体制の改善;3) 水産物のトレーサビリティ改善;および4)国際協力の強化である。はじめに罰則の強化についてだが、遠洋漁業法は漁船の総トン数に応じて罰金額を規定している[31]。漁船が500t以上の場合、罰金額は6百万~30百万台湾元となる。同様に、100t以上500t未満の漁船に対する罰金額は4百万~20百万台湾元、50t以上100t未満の漁船に対する罰金額は2百万~10百万台湾元、50t未満の漁船に対する罰金額は1百万~5百万台湾元としている。また、罰金は従業員が違反を犯した場合も、経営者または操業者に求められる。次にMCS体制の改善だが、同法ははじめてVMSおよび電子漁獲記録システム(E-logbook)の導入とともに、24時間漁業監視センターの設立を規定した。なお、遠洋漁業法のもとで制定された「船舶位置情報、漁獲報告、公海図、監視・取締センターの管理およびガイダンス規則」では、操業する漁船は1時間毎に位置情報を発信しなければならないと規定している[32]。さらに台湾政府は遠洋漁業法のもと、漁獲物水揚げ申告制度の運用、乗船オブザーバーの増員、国内外の港湾における漁船検査官の増員、外国における港湾基地の削減を実施した。最後に水産物のトレーサビリティ改善および国際協力の強化について同法は、輸出業者に事前許可の取得や行動規範・輸出過程の制定、遠洋漁業者にRFMOの保存管理措置遵守等を求めている。これらの内容は主に台湾国籍の漁業者および漁船に適用される。さらに、同法は外国籍の漁船に対して、台湾国内の港湾に入港する際に入港許可の取得を規定している(寄港国措置の適用)。台湾が講じたこれらの措置により、EUは2019年にイエローカード勧告を解除した。
 遠洋漁業三法によるIUU漁業の規制強化は一定の効果を示しているものの、多くの課題が指摘されている。遠洋漁業法制定後、高額な罰金と法の厳格な執行に多くの漁業者が台湾政府に対する不満の声を上げた。また、遠洋漁業三法はEUのイエローカード勧告の懸念から生じたものであり、それらの立法プロセスは漁業者の意向を必ずしも反映していないとする意見がある。特に新法の制定による漁業者の義務の拡大は、人材が不足し漁業の経営状態が悪化する現状において、非常に厳しい措置であるとされている。さらに、短期間で制定・改正された遠洋漁業三法には漁業者への支援策が明記されていないとともに、関係省庁間の協力関係構築が伴っていないことが指摘されている。

(2)タイにおけるIUU漁業のMCS

 タイの海面漁業における生産量は世界で12番目、ASEAN諸国では4番目の規模である(2018年時点の漁獲量による算出)[7]。しかし、同国は世界で7番目に大きい水産物輸出国であり、ASEAN諸国ではベトナムに次ぐ規模を誇る(2018年時点)[7] [33]。タイの輸出向け水産物の多くはマグロ類の缶詰食品(21億米ドル)および加工えび(18億米ドル)であり、これらの合計輸出額は同国の水産物の総輸出額の約2/3を占める(2017年時点)[34]。これらは主にEU、アメリカ、日本等の先進国に輸出される。タイにおける漁業の半数以上が小規模零細漁業を占めており、その漁船数は2015年時点で約33,000隻[35]、ヒアリング調査では約50,000隻と報告された(総トン数10t未満の漁船)。一方、大規模商業漁業の漁船数は2015年時点で約9,300隻35、ヒアリング調査では約10,100隻と報告された(総トン数10t以上の漁船)。これらは主にタイ国内水域(領海およびEEZ)で操業する漁船である。一方、公海および国外水域で操業する漁船は約240隻である(2015年時点)[35]。大規模商業漁業における主な漁法は底曳網および旋網である。一方、小規模零細漁業における漁法は多岐にわたり、刺網や掩(かぶせ)網等が含まれる。
 タイでは、同国水域においてタイ国籍および外国籍の漁船による違法操業が報告されている(小規模零細漁業および大規模商業漁業を含む)。違法操業の主な形態には禁漁区・禁漁期での操業、違法漁具の使用、禁漁種の漁獲(希少種等)、船員数に関する虚偽の報告等が含まれている。また、タイ国籍による公海および外国水域における違法操業が報告されている。さらに、タイのIUU漁業においてEUから特に問題視されたのが、強制労働、児童労働、および人身売買である[36]。これらの問題は互いに関連しており、ミャンマー、カンボジア、ラオス等の周辺国からの移民が斡旋業者を通じて漁船所有者に売買される。彼らの多くは漁船所有者から暴力や過酷な労働環境を強いられ、その数は200,000人に上ると報告されている[37]。また、彼らにより漁獲された水産物がEUやアメリカ、日本等の先進国をはじめとする世界各地に輸出されるが、水産物のサプライチェーンの不透明性が問題視されている[38] [39]。このような問題を受けて2015年にEUは、タイに対してイエローカード勧告を発令し、同国のIUU漁業関連問題の是正を求めた。
 タイにおける主なMCS実施機関は農業協同組合省水産局であるが、タイ海洋法執行指令センター(TAHI-MECC)が同国の漁業関連法を含む海洋法執行担当機関である。THAI-MECCは2019年に設立され、水産局、海軍、海上警察、沿岸海洋資源局、海洋局、および税関から構成される省庁横断型の機関である。同国における主なMCS関連法には漁業王令(Royal Ordinance on Fisheries B.E.2558 (2015))があり、VMSに関する規定等が定められている[40]。さらに、IUU漁業の撲滅に関する国家行動計画(NPOA-IUU)が制定されている。
 タイはIUU漁業撲滅に向けて様々な取組みを実施している。同国はEUによるイエローカード勧告を受けて、7つの分野における改革を行った。1つ目は、法制度の整備である。国家平和規律委員会は首相直属の違法漁業撲滅指令センター(CCCIF)を立ち上げるともともに、タイ政府は上述の漁業王令、NPOA-IUU、および漁業管理計画を制定した。漁業王令は違法操業に対する罰金額の引上げおよび行政処分・刑事処分を規定している。また、漁業管理計画はVMSに関する規則の詳細を定めており、総トン数30t以上の漁船に対するVMSの搭載義務を規定している[35]。その他に政府は、船舶法の改正による港湾局への登録漁船無効化の権限の付与、海事法のもと発令した海軍法令による漁船登録の再更新、およびタイ国内水域における外国漁船のAIS作動の義務化を定めた。2つ目は、水産資源管理制度および漁船管理制度の改善である。水産局は漁業管理計画を通して漁業操業日数や漁船数、漁業許可証発行の手順を定めるとともに、電子漁業管理情報システム(E-License)の導入による許可証の電子化を行った。3つ目は、漁船の監視および管理である。水産局はVMSを利用した漁船監視を担う漁業監視センターを設立するとともに、全国30か所に入港出港制御センター(PIPO)を設置し、国内の港湾を出入港する漁船の監視強化を行った。PIPO制度のもと、港湾検査官は漁業者の操業日誌と検査結果の整合性を確認するとともに、水産局や港湾局等の複数の関係機関が連携し、洋上検査の実施を開始した。さらに、国外水域で操業するタイ国籍の漁船に対する電子報告システムおよび電子監視システム搭載の確認や乗船オブザーバーによる漁船監視を開始するとともに、タイ沖合で操業する外国籍の漁船に対する監視システムを設立した。4つ目は、法執行の強化である。政府は行政処分委員会を立ち上げ、明確な時間枠の設定による違法操業の立件プロセスの迅速化を図った。また、漁業王令を通して違法操業の罰金額の引上げを行った。5つ目は、水産物トレーサビリティの改善である。政府は同国籍漁船に対する漁獲証明制度および輸入水産物に対する処理ステートメントシステムの導入により、水産物に関する情報の電子化および関連省庁の情報共有化を進めた。6つ目は、漁業従事者の労働環境改善である。タイは水産局と労働省との協力関係強化および国際労働機関(ILO)の加盟による国内労働法規の改善を行った。7つ目は、国際連携の強化である。政府はPSMAおよび国連公海漁業協定に批准するとともに、IOTCおよび南インド洋漁業協定(SIOFA)に加盟した。また、ASEAN諸国が東南アジア漁業開発センター(SEAFDEC)の枠組みのもと、関連国とPSMAに関する能力開発や電子漁獲証明制度等を実施している。なお、PSMAの批准に伴い、タイ政府は英国の非政府組織OceanMindから港湾検査に関する能力開発支援を受けている。同国のこれらの取組みにより、EUは2019年にタイに対するイエローカード勧告を解除した。また、それと同時にCCCIFが廃止された。CCCIFが担った海洋法執行機能は2019年に設立されたTHAI-MECCに移管された。
 タイは漁船に対するMCS強化をはじめ、IUU漁業撲滅に向けた様々な取組みを開始したが、それらに伴う複数の課題が存在する。はじめにVMSによる漁船監視であるが、この対象は総トン数30t以上の漁船であり、それ未満の漁船に関しては管理がなされていない。しかし、同国においては小規模零細漁業の漁船が大半を占めていることから、これらに対する監視制度の整備が急がれている。また、小規模零細漁業者によるVMS導入には、同システムの低価格化が必要である。さらに、30t以上の漁船であっても、VMSが故障した際に漁業監視センターと即座にコミュニケーションが取れる体制を整備する必要がある。寄港国措置を講ずる際にも課題が生じている。例えば、外国漁船の旗国である周辺国では漁船管理能力にばらつきがあることから、検査対象となっている漁船の情報を旗国から得ることが出来ないケースがある。したがって、PSMAの効果的な施行には、周辺国との漁船管理に関する協力が必要であることが指摘されている。その他の課題には、外国籍漁船に対するタイ国内水域への違法侵入の阻止や、MCSに従事する職員の検査能力や意識の向上、漁業者(特に小規模零細漁業者)によるIUU漁業撲滅に関する新規則の遵守状況改善がある。

(3)スリランカにおけるIUU漁業のMCS

 スリランカの水産業における総生産量は約50.6万tであるが、海面漁業の生産量は総生産量のうちの82%を占め、約41.5万tである 。海面漁業のうち、沿岸漁業および沖合・遠洋漁業の生産量はそれぞれ約24.3万t、17.3万tである。総生産量のうちの約29,000tは輸出され、輸出額は約300百万米ドルに相当する[41]。輸出される主な水産物はマグロ類、エビ類、ロブスター、カニ類、ナマコ類等である[42]。このうち、マグロ類の輸出量、輸出額はそれぞれで全体の49.5%、45.5%を占める[41]。また、同国最大の水産物輸出先はEUであり、輸出量、輸出額はそれぞれで全体の31.2%、38.0%を占める。同国における漁船数はおよそ49,000隻に上るが、沖合および遠洋で操業する漁船はそれぞれ約4,900隻、1,200隻である。一方、モーター付きグラスファイバーボートが約23,000隻、モーターのない伝統的ボートが約16,000隻と、総漁船数の多くを小型漁船が占める(各統計は2019年時点の統計から引用)。
 タイと同様にスリランカでも、同国水域内におけるスリランカ国籍および外国籍の漁船による違法操業が報告されている。特に沿岸漁業者によるサンゴ礁における禁止漁具の使用(プッシュネット(さで網)、モキシネット、刺網、トランメルネット(三層網))の使用が顕著である[43]。また、沖合・遠洋漁業者による海上境界線を越えた無許可操業が発生しているが、これは彼らによって位置情報が明確に認識されていないことが理由の一つとして指摘されている[44]。上述の通りスリランカではマグロ類の輸出が盛んであり、かつ、EUが最大の輸出先であったが、VMSによる漁船監視がなされていない等、漁船に対するMCSが手薄であった[45]。これを受けてEUは同国に対して2012年にイエローカード勧告を、2014年にはレッドカード勧告を発令し、スリランカからEUへの水産物の輸出を禁じた。
スリランカにおいてさらに深刻な問題が、外国籍の漁船による違法操業である。特にインド国籍のトロール漁船による無許可操業は、同国で深刻な問題として議論されている[43]。これらの漁船は、インド南部に位置するタミルナドゥ州からスリランカ北西側のスリランカ-インド両国間の海上境界線を越境し、操業を実施している。これらの漁船はエビ類やイカ類を含むあらゆる種をサイズに関係なく漁獲するとともに、スリランカ人漁業者の漁具や漁船に損傷を与える等、同国漁業者に深刻な被害をもたらしている。
スリランカにおける主なMCS実施機関は漁業省漁業水産資源局漁業操業部、沿岸警備隊、および海軍である。漁業操業部は公海漁業ユニット、船舶監視ユニット(VMSセンター)、および検査ユニットから構成される。同国における主なMCS関連法は漁業水産資源法(Fisheries and Aquatic Resources Act, No. 2 of 1996)および漁業法(外国籍漁船の規制に関する)(Fisheries (Regulation of Foreign Fishing Boats) Act, No. 59 of 1979)である。漁業水産資源法のもと、漁船登録規則(1980年制定、2011年改正)、漁業操業規則(1996年制定)、公海漁業操業規則(2014年制定)、漁獲データ収集規則(2014制定)、公海操業漁船に対するサテライトベースVMS実施規則(2015年規定)が定められている[46]。これらの法令に加えてスリランカは、IUU漁業の撲滅に関する国家行動計画(NPOA-IUU)を制定した。
スリランカにおけるIUU漁業のMCSに対する主な取組みは、公海漁業の規制強化である。同国は2014年にEUからレッドカード勧告が発令されたことを受け、公海で操業する漁船に対するVMS搭載の義務化および普及を行った。これらの漁船はVMSの搭載および4時間毎の漁船関連情報(位置情報、国際呼出番号、船舶名、国際海事機関番号、IOTC番号)、速度、航海経路等の発信が義務付けられている[47]。また、VMSの搭載義務は、全長10.3m以上のスリランカ国籍漁船に加え、公海で操業する外国漁船のうち同国漁港で水揚げを行う漁船全てに適用される[48]。同時に漁獲記録システム(ログブックシステム)のシステム強化に取組んだ。同システムは公海で操業する漁船を含め、全ての沖合・遠洋漁船を対象に2011年に開始され、VMS搭載の義務化とともにシステム強化がなされた。漁業者から申告を受けた情報は、VMSデータの漁獲位置情報と照合される。また、漁獲記録シートに記載された漁獲量は、水揚時に検査官によって確認を受ける。さらにスリランカは、漁船の航海情報を自動で記録する電子漁獲記録システムの普及を進めている。
 その他の取組みには港湾検査、漁港データサンプリングプログラム、および漁業水産資源局の組織改革の実施がある。はじめに港湾検査についてだが、全ての沖合・遠洋漁船はスリランカ国内で指定を受けた21の漁港で出入港毎に出入港記録を提出するとともに、上述の通り水揚げ時には検査官による漁獲量の確認を受ける。また、外国籍の漁船が指定を受けた5つの漁港で水揚げを行う際には、検査官によって各種規則の遵守状況に関する検査を受ける。次に漁港サンプリングプログラムであるが、主な漁港で水揚げされた遠洋大型種を中心に、魚種ごとの量、使用された漁具、体長に関するデータが記録される。同プログラムでは、全体水揚げ量の15-18%がカバーされる[45]。次に漁業水産資源局の組織改変であるが、IUU漁業に対するMCS強化のため2015年に、漁業操業部船舶監視ユニットに、航海で操業を行う漁船を24時間監視するVMSセンターが設立された。漁業操業部はこの他に公海漁業ユニットおよび検査ユニットから構成される。公海漁業ユニットは漁獲記録システムの管理およびVMS情報の分析を行うユニットである。さらに検査ユニットは、VMSの分析結果や港湾での検査結果を受けて、違法操業の疑いのある漁船に対してさらなる検査を実施するとともに、違法操業が発覚した場合には、法的措置を講ずる手続きを取る。
 FAOはスリランカのMCS強化を目的とし、「IUU漁業を防止、抑止、及び廃絶するための能力構築プログラム」を開始した。本プログラムで実施されたMCSに係るコストベネフィット分析は、「同国によるMCSがもたらす利益は、コストを上回っている」と評価している[45]。しかし同時に、多くの課題が指摘されている。1つ目は、小規模零細漁業の管理である。現在の体制では、VMSおよび漁獲記録システムを用いた漁船の管理は沖合・遠洋漁船のみが対象である。特に、VMSは公海に操業する漁船に対象範囲が限られる。したがって、同国の大部分を占める小型漁船については同様の管理がなされていない。2つ目は、MCSのコストおよび煩雑さである。多くの漁業者にとってVMSは高価である。また、字の読み書きに不慣れな漁業者が多いため、効率的に漁獲記録を収集することが難しいうえに、VMSデータと漁獲記録は手動で照合が行われている。したがって、電子漁獲記録システムの普及によるMCSの低コスト化および効率化が急務とされている。3つ目は、オブザーバープログラムの導入である。スリランカは2014年に公海、特にIOTC管理水域内で操業する漁船を対象に乗船オブザーバーの養成をパイロットプロジェクトとして実施した。しかし、オブザーバーの安全確保等の基準が設定されておらず、かつその数が不足していることから、オブザーバーによる漁船の監視は実施に至っていない。4つ目は、行政と漁業者とのコミュニケーション不足あるいは認識の違いである。そのため、水産資源局は漁業者との集会を開催しコミュニケーションを図るとともに、彼らの漁業関連法に対するコンプライアンス意識を高めるため、啓発プログラムを実施している。5つ目は、周辺諸国、特にインドとの連携である[49] [50]。スリランカ北西側の海域はタミルナドゥ州の漁業者にとって伝統的漁場であったことから、これがインド側から海上境界を越えて操業する漁船が多い原因となっている。このような違法操業は、スリランカの漁業者にとって水産資源管理上の大きな脅威となっている。そのため、スリランカ沿岸警備隊とインド海軍および沿岸警備隊は共同でパトロールを実施している。しかし、漁船の多さから、その完全な監視・取締には至っていない。

(4)パラオにおけるIUU漁業のMCS

 パラオにおける漁業は沿岸のリーフ漁業が主であり、これは自給自足的側面が強い。近年実施された調査では、国内の漁業者数約1,700人のうち、1,400人が自家消費を目的とした兼業漁業者であることが明らかにされた[51]。一方、沖合漁業においては、漁船数の多くを外国籍のものが占めた。2018年時点でパラオが入漁許可をした漁船は計121隻(主にマグロ類を対象とした延縄または旋網漁船)であるが、漁業会社Palau Tunaを除くその他の漁船は日本船籍、台湾船籍、あるいはフィリピン船籍であった。また、これらの漁船による総漁獲量は約4,300tであり、うち約1900tはパラオ国内で水揚げされた。水揚げ量の約96%は日本や台湾などの国外に輸出された。しかし、2015年10月にパラオ国家海洋保護区法(Palau National Marine Sanctuary Act)が成立し、2015年12月より段階的に同国EEZ内で操業する漁船数が削減された[52]。また、2020年1月より同法のもと、同国EEZの80 %を占める海域が禁漁区となった。これを受け、許可を受けた一部の日本漁船を除き、多くの外国籍漁船による操業が停止された[53] [54]
 パラオにおいては他3か国と異なり、外国籍の漁船による違法操業が大きな懸念となっている[55]。違法操業の1つ目が、ベトナムやインドネシア、フィリピン等のアジア船籍の漁船による沖合またはリーフ内における無許可操業である。沖合漁業については許可を受けていない延縄または旋網漁船がまぐろ類を違法に漁獲している。リーフ漁業については、小型ボートを用いて貝類やナマコ類を密漁している。2つ目が違法な集魚装置を用いた操業である。外国籍の漁船はパラオ沖合または同国EEZ近辺において集魚装置を設置し、まぐろ類等を漁獲している。3つ目が違法な漁獲物の洋上転載である。違法に獲らたてフカヒレがパラオ沖で洋上転載されていることが報告されている。また、これらの違法操業に付随する形で違法薬物の売買や人身売買等の海上犯罪が横行している。これらの違法操業は、海洋資源に依存するパラオにとって大きな経済的損失をもたらしている[56]
 パラオにおける主なMCS機関は、自然資源環境観光省海洋資源局および法務省海洋法施行局である。海洋資源局は国内における漁業に関する規定を定めるとともに、港湾における船舶検査を実施する。一方で海洋法執行局は洋上パトロールを実施するとともに、VMS等を用いて漁船を含む船舶全般の監視を実施している。同国における主なMCS関連法はパラオ国家法典(Palau National Code)の第7編海事(Admiralty and Maritime)および第27編漁業(Title 27 Fishing)である。本法典第7編には船舶の登録や検査、第27編にはVMSデータの扱いに関する規定等が記載されている。なお、2015年に成立した国家海洋保護区法では、国家法典の第7編および第27編が改正され、VMSやAIS、その他のサテライトデータを用いて違法操業を立証すること、また、RFMO、特にパラオが加盟するWCPFCやFFAの保存管理措置に従い全ての船舶にVMSの搭載を義務付けることが規定された[52]。さらに、国家海洋保護区法のもとでは、公海のみならずパラオのEEZ内で操業する全ての漁船でVMSおよびAISが必要となる。
 海洋資源に大きく依存するパラオにおいてIUU漁業の撲滅による国益の確保は、同国の喫緊の課題である。しかし、人口が2万人に満たないパラオにとって、自国でEEZや周辺海域の広大な海洋面積を全て監視するための体制を構築することは困難である。そのため、パラオのMCSは諸外国による支援に大きく依存する。はじめに国内のMCS体制であるが、海洋法執行局には現在計2隻の大型巡視船および3隻の小型パトロール船がある。大型巡視船は領海の沖合域やEEZ、小型パトロール船は沿岸域のパトロールを実施する。大型巡視船の1隻および小型パトロール船3隻は公益財団法人日本財団、また、大型巡視船のもう1隻はオーストラリア政府によって供与されたものである[57]。日本の公益社団法人日本海難防止協会からは海上保安アドバイザーが、また、オーストラリア海軍からも同様のアドバイザーが現地にて海上パトロールの支援にあたっている。また、日本財団は海洋法執行局庁舎や埠頭の建設、燃油費補助等の支援を実施している。寄港国措置の実施については、海洋資源局が税関や入国管理局と連携し漁船の検査を実施している。
 諸外国による支援とともに、周辺国との協力体制が、パラオのMCSの重要な要素となっている。これは、その他の太平洋島嶼国においても同様である。特にFFAに加盟する太平洋島嶼国およびオーストラリア、ニュージーランドがニウエ協定およびニウエ協定の内容をさらに具体化した包括的ニウエ協定補助合意のもと実施する船舶の監視および海洋法執行活動は、パラオのMCSの中心的な役割を果たす。主な活動内容には、FFAに設置さている地域漁業監視センターによるVMSを用いた船舶の24時間監視、共同海上パトロール、FFA加盟国が共同で所有する航空機を用いたパトロール、および漁船のオブザーバープログラム等がある。共同海上パトロールには、アメリカ海軍および沿岸警備隊が参加する場合もある。パラオはFFA加盟国との協力の他にアメリカ沿岸警備隊とシップライダー協定を結んでいる。これはパラオの海洋法執行局取締官がアメリカ沿岸警備隊の巡視艇に乗船し、同警備隊がパラオを代表し、同国内の水域をパトロールする制度である。
 これまでにMCSにおけるパラオと諸外国との協力関係を述べたが、同国には他国と同様に複数の課題がある。課題の一つが、全ての漁船を監視するための体制構築である。IUU漁業のMCSにおいて最も問題となるのが、VMSおよびAISによって検知することができない漁船である。パラオ沖合ではインドネシアやフィリピンから来る、VMSおよびAISを搭載していない漁船による違法操業が生じている。そのため、合成開口レーダーによる画像を用いた監視が検討されている。また、その一環としてアメリカの非政府組織ピュー慈善財団およびイギリスの民間企業Catapultが開発し、イギリスの非政府組織OceanMindが管理する「Oversea Ocean Monitor」の導入が、これらの団体によりパラオに提案されている[58]。しかし、コスト等の問題から、その導入には至っていない。外国籍の漁船による違法操業に関連したもう一つの課題が、旗国、特に東南アジア諸国との連携である。パラオにおける違法操業船の多くがこれらの国々から来るにも関わらず、情報交換や取締の面で未だ十分な協力関係が構築されていない。その他の課題には、海上パトロールにおける予算や人材、巡視船等のアセットの不足、寄港国措置を講ずる際の体制不足が挙げられる。広大な海域をパトロールするための巡視船数が限られていることの他、海洋法執行局における人材の確保は、様々な支援を受ける同局にとって大きな課題となっている。また、寄港国措置を講ずる際の体制についても、港湾局の設置が議論されているが、その実現には至っていない。

4.MCSの効果的な実施に向けて

 インド太平洋におけるIUU漁業の現状は各国で大きく異なっており、それぞれの国が個々の状況に見合ったMCSを実施している。本調査では、自国の漁船による違法操業が問題となっている台湾、自国および外国籍の漁船による違法操業が生じているタイおよびスリランカ、そして外国籍の漁船による違法操業が深刻なパラオと、各国を取巻くIUU漁業の状況には3パターンあることが確認された。ここで重要となる点は、第一に旗国と沿岸国の責任および役割である[59]。遠洋漁業が盛んな台湾では、必然的に自国の漁船による違法操業がIUU漁業における第一の課題となる。このような国(その他に中国や韓国等[24])では、漁船の旗国としての責任がより問われる。一方でパラオは、自国の水産資源(特に沖合・遠洋資源)の多くが外国により利用されていることから、沿岸国としての機能強化が必要である。これは、同国と同じ状況にある他の太平洋島嶼国でも同様である。また、遠洋漁船のIUU漁業に対する効果的なMCSには、旗国と沿岸国の協力関係をより強化し、違法操業の発生原因を断つこと、発生した違法操業を見逃さないことが求められる[59]
 第二に重要な点は、IUU漁業の実施者および背景の違いである。IUU漁業の実施者は大まかに小規模零細漁業者および大規模商業漁業者に分類される。また、それぞれでIUU漁業の状況や背景が大きく異なる。状況の違いについては、例えば、小規模漁業における漁船数は商業漁業におけるそれと比較して圧倒的に多く、その全容を明らかにすることは困難である。背景の違いについては、例えば、途上国の零細漁業者は、漁業者自身あるいは家族の生計を維持するために、やむを得ず違法操業を実施する場合がある[60]。一方で、商業漁業におけるIUU漁業の目的には、規制逃れによるコストの最小化および利益の最大化のような、経済的なインセンティブが大きく関連する[61]。このような違いは、自国の沖合・遠洋漁業および小規模漁業によるIUU漁業が共に大きな問題とされているタイやスリランカでは、より包括的な課題解決が求められることを示唆している。
両国ではそれぞれEUのイエローカード、レッドカード勧告を受けて、自国の沖合・遠洋漁船に対するMCSを強化した。特に、VMSの搭載義務化による漁船の監視は、その一例である。このような措置は、IUU漁業に対するインセンティブを抑えるうえで有効であろう[61]。一方で、小規模漁業におけるIUU漁業に対しては、MCSの強化と共に、その社会的な背景を明らかにし、根本的な原因を解決する必要がある[62]。しかし、予算や人的資源が限られるタイやスリランカでは、数多く存在する小型漁船を全て監視し、管理することは困難である。これは漁業が盛んであり、かつ小規模漁業者を多く抱えるその他の国(インドネシアやフィリピン、バングラディシュ等)でも同様であろう。このような状況では、より安価に運用可能なMCSを構築するとともに[63]、スリランカ政府が漁業者に対して実施するような水産資源管理に関する啓発が必要であろう。これと同時に、小規模漁業におけるIUU漁業の社会的背景を明らかにし、根本的な原因にアプローチをする必要がある。例えば、東南アジアやタンザニア等ではダイナマイトを使用した違法漁業が絶えない[64]。しかし、貧困にある漁業者にとってダイナマイトは安価で生産性の高い漁法である[65]。このような場合、貧困への対処ととともに、ダイナマイトを使用しなくても漁獲が望める資源環境を立て直す等の、MCS以外の複合的な措置が必要である。しかし、これらの問題は一国で対処するには難しく、他国による能力開発や技術移転等の支援が必須であろう。
 各国を取巻くIUU漁業の状況が異なる中、調査を実施した4か国は共通して本問題に対する意識が高く、包括的な取組みがなされている。これは、パラオを除き、EUが各国に対して講じたIUU漁業規則による成果であろう[66]。本調査では各国の取組みにそれぞれ特徴があることが確認された。台湾で特に強調されたのは、遠洋漁業に関する新法(遠洋漁業条例)の設立及び罰則の強化である。タイやスリランカでも法の改正により罰則が強化されたが、タイでは特に省庁横断型のMCS体制の構築(THAI-MECCの設立)に重点が置かれた。一方、パラオは他国の支援や周辺国との連携がMCSの重要な要素を占めている。本調査では、4か国のMCSにおける様々な課題も抽出された。台湾では、制定された新法が必ずしも漁業者の意向や漁業の実状に即したものでないことが指摘された。これは、短期間でMCSの強化に取組んだタイやスリランカにおいても共通の問題と考えられる。したがって、漁業者とのコミュニケーションがますます求められる。また、上述の通り、タイやスリランカでは数多く存在する小型漁船のMCS体制構築が課題となっている。さらに、タイでは旗国として異なる漁船管理能力を有する周辺国との連携、スリランカでは隣国インドとの漁業者間の認識の違いが課題としてある。一方、島嶼国のパラオにおける課題は、絶対的な人材および巡視船等のアセット不足である。これらの課題を解決し、各国が推し進めるMCS強化を持続的に発展させるためにも、包括的な連携が必須である。
IUU漁業のMCSにおける連携は主に2つの要素から構成されると考えられる。これらは、国内における連携および関連国との連携である[21]。国内における連携は、関連省庁の連携および関連ステークホルダーの連携に整理される。関連省庁の連携は、タイのTHAI-MECCに見られるように、MCS強化の必要性を受けて推進されてきた。MCSの中心となる機関は水産局あるいはそれに相当する機関であるが、洋上の漁船の監視・取締には沿岸警備隊や海軍、港湾における漁船の監視には港湾局や税関等が関連する。したがって、これら省庁間の「シームレス」な連携による多重的なMCSが必要である。これはつまり、水産局の漁船管理によるIUU漁業の未然の防止およびVMS等を用いた監視、沿岸警備隊・海軍による洋上で生じるIUU漁業の監視・取締、港湾局・税関による洋上監視から逃れた違法操業船の寄港の阻止のように、関係省庁が一連の流れで各段階のMCSを担うというものである。関連省庁の連携と共に、関連ステークホルダーの連携が重要である。例えば、上述の通りスリランカでは漁業者の水産資源管理に対する意識向上のための研修が、国内のMCS体制の構築と共に実施されてきた。しかし、MCSの対象としての漁業者ではなく、彼ら自らがMCSの実施主体となるよう、このような研修を開催するとともに、MCS関連省庁との連携を図るべきである。また、タイではOceanMind、パラオでは日本財団のような非政府組織がそれぞれの国におけるMCSの能力向上に重要な役割を果たしている。一方、フィリピンでは民間セクターがMCSの重要な実施主体として位置付けられている[67]。さらに、安価な衛星技術が民間セクターで開発されるなか、これらの技術を洋上監視に取り入れる試みが活発化しつつある[68]。政府関連省庁では持ち得ないMCSのノウハウや技術を補完するためにも、政府と民間組織のネットワーク構築はますます重要となろう。
 国内における連携と共に、関連国との連携が効果的なMCSの実施に求められるが、台湾の遠洋漁業条例においても、その重要性が強調されている[31]。関連国との連携は、二国間連携等のバイラテラルな連携、周辺国同士の連携(地域内連携)、地域間の連携、および全球的な連携に整理される。例えば、オーストラリア政府によるパラオへのMCS支援は、バイラテラルな連携の一例である。また、国際機関(FAOによるスリランカへの支援)および民間機関(OceanMindによるタイへの支援および日本財団によるパラオへの支援)等の多様なセクターによる連携もある。さらに、政府開発援助(ODA)を通じたMCSの能力開発は、バイラテラルな連携の重要な要素である[69]。地域内連携については、パラオがFFAの枠組みのもとで実施する共同パトロールが挙げられる。その他に、ASEAN諸国がSEAFDECの枠組みのもとで実施するPSMAに関する能力開発や電子漁獲証明制度がある。地域間の連携については、台湾、タイ、スリランカ、およびパラオが所属する地域漁業管理機関が挙げられる。より具体的な例に、旗国であるアジア諸国と沿岸国である太平洋諸国が、公海におけるマグロ類資源の保存管理措置について議論を行っているWCPFCが挙げられる。全球的な連携の代表例には、タイ、スリランカ、およびパラオが批准するPSMAがある。また、台湾はPSMAに準じた寄港国措置を実施している。一方で、パラオを含め、太平洋島嶼国では個々の国でMCSに向けた予算や人的資源が限られている。また、RFMOの保存管理措置対象は特定の海域・魚種に限られていたり、PSMAの実施能力には加盟国間に差があったりという課題がある[70]。このようなMCSにおける不足や課題が、洋上で未だにIUU漁業が確認される理由の一つであると考えられる。また、洋上の漁船に対する監視・取締に関しては、FFAの他、東南アジアや南アジアの他地域でも二国間・多国間の共同パトロールが実施されている[45] [71]。しかし、FFAにおける共同パトロールは頻繁なものではなく、また、他地域における共同パトロールも限定的である。
 各国のMCSの取組みを持続的に発展させるためにも、国内および関連国との多層的な連携強化が求められる[72]。連携強化の一例として、MCSに関する情報共有のための多国間プラットフォームが挙げられる。既存の取組みには、民間が主導し、70近くの政府がメンバーとなっている国際MCSネットワークがある。しかし、国が主導するこのような協力関係は構築されていない。国によるイニシアチブを高めるためにも、アジア太平洋では国による指導力を発揮し、このようなネットワークが構築されるべきである。ネットワークは対話の場として定期的に開催されるカンファレンス等の方法から、地域協定等のより公式的な方法まで、様々な形態が考えられる。その適切な在り方については別途検証が求められる。いずれの形態にしろ、アジア太平洋諸国間でVMS情報を共有したり、共同で洋上パトロールを実施したりするのは、情報機密や予算・人的資源等の様々な理由から困難であろう。しかし、日本やアメリカ等の先進国を取り込んで、MCSの先進的なノウハウに関する情報共有を実施したり、各国のMCSにおける経験や課題、知見を共有し、国同士のMCSに関連する能力向上を図ったりすることは有効であると考えられる。また、このような包括的な国家間協力を補完する形で、ODA等のバイラテラルな枠組みで、海上保安能力に対する中長期的な支援を実施すべきである。さらに、アジア太平洋においては、地域間の協力が必要であると考えられる。例えば、東アジアあるいは東南アジア地域からの漁船が自国の水域で操業する太平洋島嶼国では、他地域との地域間協力が必要である。しかし、コミュニケーション等を含めたこのような枠組みは、現在のところ構築されていない。したがって、このような地域間連携の強化は、アジア太平洋においてより包括的なMCSを実施するための基盤と成り得る。さらに、このような連携においては、特に他国との協力が求められる洋上の船舶の監視に重点が置かれるべきである(洋上パトロールおよび宇宙からの監視等)。

5.おわりに

 海洋の伝統的・非伝統的安全保障に対してIUU漁業の脅威が増大するなか、海洋に大きく依存するアジア太平洋諸国間の連携がますます重要となる。本稿では台湾、タイ、スリランカ、およびパラオにおけるIUU漁業の現状やMCS体制の課題を概観した後、アジア太平洋においてどのような連携がさらに求められるかを論じた。上述した通り、IUU漁業のMCSをめぐっては、既に様々な枠組みが存在する。また、MCS強化を目的に、国内外で多層的な協力関係(国内における連携および関連国との連携)が構築されてきた。しかし、MCSの取組みには、解決すべき課題点や不足が存在する。IUU漁業に対するMCSをより効果的なものにするためにも、また、これらの課題を解決するためにも、既存の枠組みを補完する形で、より包括的な連携が求められる。その方法の一つとして、MCSに関する情報共有のための多国間プラットフォームを挙げた。このようなプラットフォームではMCS関連技術の情報交換や能力開発・技術移転の促進が期待される。さらに、MCSの国際連携においては、特に予算や人的資源、巡視船等のアセットが要求される洋上の船舶に対する監視・取締に、より重点が置かれるべきである。今後は、アジア太平洋におけるその他の国についても情報収集を行い、どのようなプラットフォームの在り方が適切であるのか、あるいはその他により効果的な方法があるのかを検証すべきである。特に、水産物に対する需要が高まり、かつ、海洋安全保障に対する影響がとりわけ強いと考えられる日本や中国、インドネシアやインド等について調査を実施すべきである。また、IUU漁業に対して脆弱なその他の途上国を網羅することも重要である[73]。IUU漁業問題の解決は、平和で持続可能な海洋の利用を実現するうえでの喫緊の課題である。アジア太平洋が果たす役割は大きい。

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