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一般事業 特定地域の理解促進~米国との交流事業

2010年
事業

日本の戦略的水平線の拡大と日米対話

事業実施者 笹川平和財団 年数 2/2
形態 自主助成委託その他 事業費 9,734,205円
事業内容
本事業は、日本の新進気鋭の若手研究者らが米国の専門家と交流しつつ、向こう20年間を見据えた国際情勢と米国の対アジア戦略を分析し、日本の安全保障政策の指針について提言するための共同研究を行うものである。具体的には、日本の安全保障政策を米国が定義する「脅威」からではなく、日本の「利益」から再定義した上で、その地理的分布をアジア太平洋に留まらず、西太平洋・インド洋に至る「戦略的水平線」として検証する。また、研究成果は政策ペーパーとして発表し、日米双方の政策コミュニティへのアウトリーチを図る。
実施計画
2年継続事業の最終年度として、以下の活動を実施する。
  • 定例研究会の開催:
    森聡法政大学准教授を主査とする日本の若手研究者5-7名をコアメンバーとする研究チームが主体となり、海洋政策や戦略研究、地政学研究等の米国人エキスパートを始めとする国内外の専門家と協力しながら、従来型の安全保障観に捉われない日本の対外政策の指針を示すための共同研究を行う。共同研究推進基盤として、1か月に1回、計10回、東京において定例研究会を行う。
  • 国内外の専門家招へいとヒアリング:
    定例研究会において、米国の若手、中堅の専門家、日本国内の政策立案に携わる実務家(外交、通商、エネルギー政策等)を招へいし、ヒアリング、意見交換を行う。
  • 専門家セミナーの開催(2010年7月、12月頃):
    研究会で招へいする米国の専門家2名を講師に迎え、日本国内の政策研究者、実務家を対象としたセミナーを開催するとともに、調査研究の経過報告を行う。
  • 現地調査(2010年4月-2010年12月):
    アジア太平洋における米国の戦略拠点等について情報収集を行う。1年目の成果に基づき、韓国、タイ、豪州、東南アジア等、アジア太平洋地域を中心に日米両国にとって戦略的拠点となる地域を、メンバーが分担して訪問し、調査を行う。
  • 成果発表会の開催(2011年2月):
    研究の成果を政策提言として発表する。メンバーが各専門に基づきつつ政策ペーパーを執筆し、2010年9月に中間発表を行う。修正後2011年2月に最終版の政策ペーパーを印刷製本し、米国専門家等を招いた成果発表会を開催する。
  • 事務局活動:
    (1)海外出張、(2)関係者からのヒアリング、(3)情報収集を行う。
実施内容・事業成果
本事業は、日本の新進気鋭の若手研究者達が、米国の専門家と交流しつつ、15~20年先を見据えた長期的国際情勢と米国の外交戦略などを共同研究し、日本の安全保障政策の指針について提言するとともに、グローバルな課題に取り組む日米両国の新世代の知的対話基盤の強化に資することを目的として実施されました。
 
初年度は、日本国内の実務家、米国の戦略研究や地政学研究の専門家らを定例研究会に講師として迎え、講義の聴講や討議を行ったほか、招へいした米国人専門家を報告者に迎え、日本国内の実務家や研究者を招待して議論を行う専門家セミナーなどを行いました。また関係者がインドやシンガポールへ出張し、現地専門家との間で幅広い意見交換を行いました。こうした活動を通じて、日本の安全保障環境にかかわる事実調査、諸問題が整理され、研究の土台が形成されました。

最終年度である本年度は、研究合宿を含めた定例研究会合、専門家招へい、専門家セミナーなどを初年度に引き続き行いました。また研究成果を日本の実務家や研究者と議論するための中間報告会を行ったほか、米国出張を通して多くの関係者と意見交換を行いました。これら一連の取り組みを通じて、日本にとっての安全保障上の利益やその利益に対する脅威とは何かを特定し、今後の世界の安全保障上の潮流はどうなっていくのかを考察しました。その結果は報告書にまとめられたほか、付属資料として日本の安全保障上の利益の地理的分布を表した地図を作成するとともに、研究会のホームページ (http://www.spf.org/horizon/) も開設されました。

1年半の活動を通じて、日本の外交、防衛、日米同盟を有機的に組み合わせた、日本の安全保障政策のあるべき姿について、シナリオなどの意欲的な手法を使いながら、従来の視点に囚われない若手研究チームならではの研究成果をあげることができました。また、内外の専門家との交流を通じて、将来の日米対話強化につながる知的ネットワークを構築することもできました。本事業の成果は2011年度中に報告書として出版され、報告会が行われる予定です。

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