2011年の海賊行為と船舶に対する武装強盗事案

〜IMB年次報告書から〜


上野英詞

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国際海事局 (IMB) は 2012年 1月 19日、クアラルンプールにある海賊通報センター (Piracy Reporting Centre: PRC) を通じて、2011年に世界で起きた海賊行為と船舶に対する武装強盗事案に関する年次報告書を公表した。以下は、 IMB年次報告書から見た、2011年における海賊行為と船舶に対する武装強盗事案の特徴を取り纏めたものである。

「海賊」(Piracy) と船舶に対する「武装強盗」 (Armed Robbery) の定義については、IMBは、「海賊」については国連海洋法条約( UNCLOS)第 101条「海賊行為の定義」に、「武装強盗」については、国際海事機関(IMO)が 2001年 11月に IMO総会で採択した、「海賊行為及び船舶に対する武装強盗犯罪の捜査のための実務コード」(Code of Practice for the Investigation of the Crimes of Piracy and Armed Robbery against Ships) の定義に、それぞれ準拠している。

(なお、記述の都合上、関連諸表は文末に纏めて掲載した。)

1.発生(未遂を含む)件数と発生海域から見た特徴

通報された 2011年の発生件数は 439件(2010年 445件)であった。その内、既遂が 221件(同 249件)で、その内訳はハイジャック事案が 45件(同 53件)、乗り込み事案が 176件(同 196件)であった。未遂事案は 218件(同 196件)で、その内訳は発砲事案が 113件(同 107件)、乗り込み未遂事案が 105件(89件)であった。しかしながら、IMBは、この他にかなりの未通報事案があると見ており、船主や船長などに通報を呼びかけている。

2011年の発生件数は 2010年比で 6件の減少で、表 1に見るように、最近 5年間で初めての減少だが、2011年の発生件数 439件を発生海域から見れば、75%余の 331件(2010年 330件)が以下の 7カ所の海域で発生している。即ち、ソマリア沖 160件(同 139件)、紅海 39件(同 25件)、アデン湾 37件(同 53件)、インドネシア 46件(同 40件)、マレーシア 16件(同 18件)、南シナ海 13件(同 31件)、ベナン 20件(同 0件)となっている。因みに、2010年の上位 7カ所は、マレーシアとベナンを除いて、上記 5カ所にナイジェリア 19件(2011年 10件)とバングラデシュ 23件(同 10件)が加わる。

表1に見るように、ソマリアの海賊による襲撃件数は 237件(2010年 219件)に達しており、発生件数は 2010年より 18件増加し、全発生件数に占める割合も約 54%で 2010年の約 50%より高くなっている。ソマリアの海賊による襲撃事案の異常ぶりが依然、際立っている。しかも襲撃海域の拡大が続いており、報告書によれば、西は紅海南部から東は東経 76度(2010年 72度)以東まで、更に北はオマーン沖、アラビア海から南は南緯 22度に至っている。これらの襲撃海域は、ケニア沖、タンザニア沖、セイシェル沖、マダガスカル沖、モザンビーク・モザンビーク海峡沖、アラビア海・オマーン沖、インド西岸沖、及びモルディブ西方沖を囲む広大な海域となっている(図 1参照)。報告書が指摘しているように、ソマリアの海賊が広大な海域で活動できるのは、彼らがハイジャックした商船、外航漁船あるいはダウ船を「母船」として利用しているためである。これらの「母船」から高速小型ボート (skiff) を発進させて、目標船を襲撃するわけである。

表2に見るように、 237件の内訳は、アデン湾での襲撃事案が 37件( 2010年 53件)で、乗り込み事案が 1件、ハイジャック事案が 4件で、2010年の 2件と 15件に比して大幅に減少している。未遂事案も発砲事案が 2010年の 22件から 19件に、乗り込み未遂事案も 14件から 13件にそれぞれ減少している。また、紅海については、乗り込み事案が 4件(2010年ゼロ)、ハイジャック事案がゼロ(同 1件)で、未遂事案については発砲事案が 13件(同 4件)、乗り込み未遂事案が 22件(同 20件)となっている。一方、インド洋を含むソマリア沖では、乗り込み事案が 15件(2010年 14件)、ハイジャック事案が 23件(同 33件)で、未遂事案については発砲事案が 78件(同 74件)、乗り込み未遂事案が 44件(同 18件)となっている。これにオマーンのハイジャック事案 1件を加えれば、ソマリアの海賊による襲撃事案 237件中、乗り込み事案が 20件(2010年 16件)、ハイジャック事案が 28件(同 49件)で、既遂事案が 48件(同 65件)となり、 2011年の成功率は 20%に過ぎず、 2010年の約 30%からは大幅に低下している。

図1.ソマリアの海賊による襲撃海域の拡大

Source: Daily Mail, December 11, 2011

報告書によれば、これは、各国の海軍戦闘艦の展開と航行船舶の海賊対処マニュアル、 BMP 4に基づき、乗組員が船内の “citadel”(安全区画)に逃げ込むなどの自衛措置の結果である。各国の海軍戦闘艦の活動について、報告書は、海賊襲撃グループ( Pirate Action Group: PAG)に対する出撃前の攻撃による無力化がハイジャック成功率を下げており、2011年第 4四半期だけで、少なくとも 20の PAGを無力化したことで、この間、 31隻の船舶が襲撃されたが、ハイジャックに成功したのはわずか 4隻に過ぎない、と指摘している。ソマリア沖での海賊対処努力における各国海軍艦艇の役割は不可欠となっている、と報告書は評価している。(参考資料参照)

また、今次報告書は、民間武装警備員の雇用(Privately Contracted Armed security Personnel: PCASP)も、ハイジャック事案減少の要因としてあげている。PCASPについては、例えば、英国のキャメロン首相は 2011年 10月 30日、英国籍船が海賊の襲撃から自衛するために武装警備要員を雇用できるようになることを明らかにし、英国運輸省は 12月 7日、ソマリア沖を航行する英国籍船に民間武装警備員を乗せる場合のガイドラインを公示した。また、インド海運省は 7月に、アデン湾海域の海賊対処のために、インド人船員が乗船する船舶に武装警備員を乗船させることを認める指針を公表した。タイは、7月から再びアデン湾に派遣される海賊対処艦隊から、アデン湾を航行する自国商船に各 4人の武装警備要員を乗船させる計画を明らかにした。ドイツ政府は、民間武装警備員を雇用する船主に関する法的規制を明確にするために、現行の法的枠組みの改正が必要かどうかについて、政府が検討を始めることを明らかにした。更に、イタリアは、自国籍船をソマリアの海賊から護るため、軍警備要員を派遣することを計画している。フィリピンは 2012年 1月、自国籍船への武装警備員の雇用を許可している。

英国の民間警備会社、Protection Vessels International Ltd. (PVI) の幹部が 2011年 10月 18日に明らかにしたところによれば、過去 3年半の間に、PVIの武装警備員が乗船した船舶は 30回海賊に襲撃されたが、同社によれば、警告射撃だけで、死者や負傷者を出すことなく、全て撃退したという (Bloomberg.com, October18, 2011)。PCASPについては今後、自国籍船への民間武装警備員の雇用や、あるいは軍要員の自国籍船への添乗などが増えると見られ、今後、当該国の国内法制の改正や、他国領海や海賊多発海域以外の海域を航行する場合の銃器の規制など、対処すべき法的問題が生じてこよう。

表1、2に見るように、東南アジアでは、インドネシアでの発生件数は 46件で、2年連続の増加となっている。南シナ海のアナンバス、ナトゥーナ、マンカイ及びスビ・ビサール諸島が多発海域となっている。3件のハイジャック事案は、航行中のタグ&バージである。南シナ海における航行中の船舶に対する襲撃事案は 13件であり、2010年の 31件から大幅減となった。ハイジャック事案 1件は、航行中のタグ&バージである。南シナ海の多発海域は、上記インドネシア領諸島の周辺海域である。マラッカ海峡での発生件数は 1件で、2008年以降減少しているが、シンガポール海峡では 11件と、2010年の 3件から大幅増となった。

他方、表2に見るように、西アフリカのギニア湾海域は暴力的な海賊・武装強盗事案の多発海域だが、2011年はベナン沖での襲撃事案が目立っている。報告書によれば、 20件はタンカーに対する襲撃事案で、その内、8件がハイジャック事案である。ギニア湾海域でのハイジャック事案による人質拘束期間は、ソマリアでの平均拘束期間 6カ月に比して約 10日間と短いが、報告書は、この海域の事案が益々暴力的になっているとして、警戒を呼びかけている。

2.態様から見た特徴

表3は、未遂を含む全事案における襲撃された時の船舶の状況について、地域毎に示したものである。これによれば、襲撃された時の船舶の状況については、 2011年の既遂事案 221(2010年 249件)の内、停泊中 (berthed) が 5件(同 15件)、錨泊中 (anchored)が 120 件(同 115件)で、航行中 (steaming) が 96件(同 119件)であった。また、未遂事案 218件(同 196件)の内、停泊中が 2件(同 3件)、錨泊中が 12件(同 16件)、航行中が 204件(同 177件)であった。

表3によれば、ソマリアの海賊による襲撃事案は全て航行中の事案であり、未遂事案が全て「発砲」あるいは「乗り込み未遂」であり(表2)、機関銃やロケット推進擲弾筒で武装し、「母船」や小型高速ボートで航行船舶を襲撃するソマリアの海賊の特徴を示している。一方、アジアの海賊事案の特徴は、錨泊中の乗り込み事案が大部分を占めていることである。ベトナム、バングラデシュ及びインドでは、港や錨地における乗り込み事案が全てである。

また、2011年において、港と錨地において 3回以上の襲撃件数が通報されたのは 17カ所(2010年 16カ所)であった。特に多かったのが、ベナンのコトヌーで 19件(2010年リストになし)となっている。インドネシアでは、ドゥマイ(スマトラ)が 13件(同 3件)で大幅に増え、ジャカルタ・タンジュンプリオクが 6件(同 4件)、ベラワン(スマトラ)が 5件(同リストになし)、サマリンダ(カリマンタン)が 4件(同)、スラバヤ(ジャワ島)が 3件(同)となっている。シンガポール海峡の錨泊地では 11件で、2010年の 3件から大幅に増えている。フィリピンのマニラが 3件(同 3件)、ベトナムのブンタオが 3件(同 7件)であった。他に、バングラデシュのチッタゴンが 10件(同 22件)で半減し、インドのコーチンが 4件(同リストになし)であった。

3.目標船舶の特徴

では、目標となった船舶のタイプではどうか。表4に見るように、2011年に襲撃された(未遂事案を含む)船舶のタイプは 25(2011年 30タイプ)で、最も多かったのが Chemical / Product Tankerと Bulk Carrierで各 100隻(2010年 96隻、80隻)、次いで Containerが 62隻(同 74隻)、Tanker Crude Oilが 61隻(同 43隻)、General Cargoが 35隻(同 63隻)、Tugが 32隻(同 20隻)、Trawler / Fishingが 11隻(同 19隻)などとなっている。この 5年間、これらの 7つのタイプの船舶は、襲撃隻数に多少の上下があっても、目標船舶の大部分を占めている。

襲撃された船舶の船籍を見れば、2011年の 439隻中、最も多かったのはパナマ籍船で 71隻(2010年 82隻)、以下、 10隻以上襲撃された船籍別順位は、リベリア籍船 57隻(同 57隻)、マーシャル諸島籍船 45隻(同 36隻)、シンガポール籍船 32隻(同 40隻)、マルタ籍船 25隻(同 19隻)、香港籍船 21隻(同 18隻)、アンティグア・バーブーダ籍船 16隻(同 24隻)、マレーシア籍船 14隻(同 14隻)、ギリシャ籍船 12隻(同 3隻)、バハマ籍船 11隻(同 10隻)となっている。なお、日本籍船は 1隻で、この 5年間では、2008年 2隻、 2007年 1隻があるのみである。

他方、襲撃された船舶の運用状況を国別に見れば (Countries where victim ships controlled / managed)、最も多かったのはシンガポールで、65隻(2010年 54隻)、次いでドイツが 64隻(同 69隻)、以下、ギリシャ 58隻(同 46隻)、香港 27隻(同 16隻)、日本 19隻(同 23隻)、マレーシア 17隻(同 14隻)、インド 14隻(同 14隻)、アラブ首長国連邦 12隻(同 17隻)、英国 12隻(同 16隻)、中国 12隻(同 9隻)、デンマーク 12隻(同 9隻)、オランダ 10隻(同 10隻)、ノルウェー 10隻(同 10隻)などとなっている。

4.人的被害の状況と使用武器の特徴

人的被害の状況について見れば、表5に示したように、乗組員が人質となる事案が大幅に増え、人的被害のほとんどを占めている。2011年に人質となったのは 802人(2010年 1,181人)で、この 5年間の傾向を見れば、2006年が 188人、2007年が 292人であったのに比べて、2008年が 889人と 3倍増近くになり、2009年が 1,052人と、2010年までは以後毎年 100人以上増えてきたが、2011年は前年比 300人以上の減少となった。一方、人的被害の発生場所から見れば、2011年の人質事案中、ソマリアの海賊による事案がアデン湾 47人(2010年 275人)、ソマリア 402人(同 732人)で、人質事案に占める割合は 2010年の 90%弱に比して約 56%である。死亡事案は 2010年と同じ 8人で、いずれもソマリアの海賊によるものであった。ソマリアの海賊による人質事案の減少は、ハイジャック事案が 2010年の 49件に比して、28件と減少したことによると見られる。なお、ソマリアの海賊による拉致( kidnap)事案は、ハイジャック船内ではなく、陸上の根拠地で拘束されている人質である。

報告書によれば、2011年 12月末現在で、ソマリアの海賊に 11隻が拘留されており、193人が人質となっている。2011年のソマリアの海賊による人質事案で注目されるのは、特定国の船員を、当該船員の乗り組む船舶が解放されても、その国に拘束されているソマリア人海賊容疑者との交換要員として、引き続き拘束する事例が見られたことである。例えば、 2011年 10月 28日付けの Somalia Reportによれば、ソマリアの海賊は、インドで収監されているソマリア人海賊容疑者の釈放をインド政府に強要するため、ハイジャック船や陸上で拘束している 300人近くの船員の中から、インド人船員を捜し出しており、海賊はインド政府が収監している仲間を釈放しない限り、インド人船員を解放しないと言明しているという。この報道によれば、インドは 10月現在、105人のソマリア人海賊容疑者を拘束している。一方、ソマリアの海賊は、少なくとも 53人—ハイジャック船に 46人、陸上に 7人—のインド人船員を拘束している。また、ソマリアの海賊は 11月 30日、シンガポール籍船のケミカルタンカー、MT Geminiを解放したが、該船の乗組員 25人の内、21人が解放されたのみで、韓国人船長と韓国人船員 3人は、韓国海軍が1月21日に精製品タンカー、 MT Samho Jewelryを武力解放した際に 5人を拘束し、韓国で拘留している代償として、未解放となっている。 (Maritime Bulletin, December 2, 2011)

他方、ソマリアの海賊は、ハイジャック船と人質とした乗組員の解放に当たっては、多額の身代金を受け取ることで海賊ビジネスを成り立たせているが、 12月 30日付けの Somalia Reportによれば、2011年中にソマリアの海賊に支払われた身代金の総額は、34隻の解放に際して、約 1億 5,400万米ドルと見られる(図2参照)。なお、 Somalia Reportによれば、12月末現在、少なくとも 15隻(商船 8隻、漁船 7隻)の船舶と推定 268人の乗組員がソマリアの海賊に抑留され、あるいは人質となっている。

表6は、2011年の全発生事案で、海賊が使用した武器のタイプを海域ごとに示したものである。銃器とナイフが海賊の主要武器である傾向は、ここ 5年間ほとんど変化がない。他方、海賊の使用武器を海域ごとに見れば、銃器使用事案 245件(2010年 243件)中、アデン湾 33件(同 48件)、紅海 32件(同 13件)、ソマリア 135件(同 130件)、オマーン 1件(同なし)で、ソマリアの海賊によるものが 201件(同 191件)で、全体の 82%を占めている。ここでも、 AK-47強襲ライフル、RPG-7ロケット推進擲弾筒などで武装する、ソマリアの海賊の危険性が窺える。また、ベナンとナイジェリアでは 29件(同 16件)で、ギニア湾障海域での海賊事案も銃器の使用が多い、暴力的な事案が特徴である。

表 1:最近 5年間のアジア及びその他の多発海域における発生(未遂を含む)件数の推移

出典:2011年年次報告書 5〜6ページの表 1から作成。なお、合計件数は報告書の全ての対象海域を含む。
注:*;アデン湾、**;;紅海、***:アラビア海、****;インド洋、*****;オマーン、いずれの海域もソマリアの海賊による。

表2:アジア及びその他の多発海域における 2011年の襲撃事案の態様

出典: 2011年年次報告書8ページの表 2から作成。なお、合計、総計件数は報告書の全ての対象海域を含む。
注:*;アデン湾、**;紅海、***;オマーン、いずれの海域もソマリアの海賊による。
備考: Boardedは、海賊が乗り込みに成功しても、乗組員の多くは船内の “citadel”(安全区画)に鍵をかけて閉じ籠もるなどの自衛措置をとることによって、乗り込んだ海賊がハイジャックを諦めて逃亡した事案である。その後、該船は付近を哨戒中の各国海軍戦闘艦に救出されている。一方、海賊が逃亡しなかった場合には、武力による解放に繋がるケースもある。

表3:2011年の海域毎に見た未遂事案を含む襲撃された時の船舶の状況

出典:2011年年次報告書 9〜10ページの表 4、表 5から作成。なお、合計、総計件数は報告書の全ての対象海域を含む。
備考:B = Berthed, A = Anchored, S = Steaming.
注:*;アデン湾、**紅海、***;オマーン、いずれの海域もソマリアの海賊による。

表4:2011年の襲撃船舶のタイプ(3隻以上)とそれらの過去 5年間の傾向

出典:2011年年次報告書 13〜14ページの表 11、14ページのチャート Dから作成。

表5:2011年のアジア及びその他の多発海域における人的被害の状況

出典:2011年年次報告書 11〜12ページの表9から作成。なお、合計、総計件数は報告書の全ての対象海域を含む。
注:*;アデン湾、**;オマーン、いずれの海域もソマリアの海賊による。

図2・2011 ransoms as of December 30

Source; Somalia Report, December 30, 2011

表6:2011年のアジア及びその他の多発海域における武器使用の状況

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出典: 2011年年次報告書 12〜13ページの表 10から作成。なお、合計件数は報告書の全ての対象海域を含む。
注:*;アデン湾、**;紅海、***;オマーン、いずれの海域もソマリアの海賊による。

参考資料 海賊襲撃グループ(Pirate Action Group: PAG)に対する出撃前攻撃による無力化事例

1.4月 24日「トルコ海軍戦闘艦、海賊母船を拿捕」 (Bosphorus Naval News, April 25, 2011)
NATO艦隊に所属するトルコ海軍のフリゲート、TCG Giresunは 4月 24日、オマーン沿岸から 300カイリの海域で不審なダウ船を拿捕した。ダウ船はイエメン漁船で、海賊の母船として利用されていた。以下は、押収武器とダウ船である。

2.9月 28日「ドイツ海軍戦闘艦、海賊襲撃グループ阻止」(EU NAVFOR Public Affairs Office, Press Release, September 28 and September 30, 2011)
EU艦隊所属のドイツ海軍戦闘艦、FGS KO¨LNは 28日、ソマリアのモガディシュ南西 70カイリ、ソマリア沿岸から 30カイリの海域で、12人の海賊容疑者が乗る大型ボートと小型ボート各 1隻からなる海賊襲撃グループを発見した。同艦の臨検チームは、2隻のボートとエンジンを破壊し、海賊容疑者をソマリア沿岸近くで解放した。

3.11月 4日「ドイツ海軍戦闘艦、海賊グループを拘束、襲撃ボート破壊」 (EU NAVFOR Public Affairs Office, Press Release, November 5, 2011)
EU艦隊所属のフランス海軍哨戒機とドイツ海軍フリゲート、FGS Kölnは 4日、タンザニア沖 50カイリの海域で海賊襲撃グループ (PAG) を拘束し、襲撃ボートを破壊した。

(2012年2月14日配信【海洋安全保障情報特報】より)