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一般事業 平和と安全への努力~安全保障・平和構築

2012年
事業

海洋安全保障の新秩序構築

事業実施者 笹川平和財団 年数 3/3
形態 自主助成委託その他 事業費 6,150,514円
事業概要
海洋の秩序については、1994年発効の国連海洋法条約(UNCLOS)が基本的枠組みを提供し、また国際海事機関(IMO)策定の諸条約が海洋のSafety、Security、環境保全に関わる実効的措置を定めています。しかし、近年、麻薬の輸送、人身売買、違法漁業、海洋汚染などの伝統的違法行為に加え、海賊事件、テロ組織や武装勢力による海洋利用が深刻化し、また一部の国々による制海権の急速な拡大志向に伴い、領海に関わる国際的な緊張関係が高まっています。これらの問題が軍事衝突に発展しないよう、紛争回避のための関係国の信頼醸成メカニズムや国際的セーフガード機能が求められています。
本事業は、海洋安全保障の秩序強化における、海上保安機関(コーストガード)による非軍事的アプローチの意義を積極的に位置づけることを目指し、「海洋安全保障秩序の強化に必要な新たな国際法海洋法上の枠組み作り」と「各国海上保安機関による地域的かつ実効的な協力体制の強化」の2つの研究課題を中心に研究を進め、最終的に国際的な政策提言にまとめます。
実施計画
3年継続事業の最終年度である本年度は、以下の活動を行います。
  • 国内研究会の開催(2012年4月~2013年3月)
    過去2年間の国内研究会の研究成果を踏まえ、国内委員(10名程度の国際法、海洋政策、安全保障の専門家:東京大学大学院 中谷和弘教授、防衛大学校 山内由梨佳講師を予定)を集めて研究会を開催し、本事業の主要な研究課題につき議論を深めます。
  • 委託研究(2012年4月~2013年3月)
    「海洋権益をめぐる紛争解決における海上保安機関の役割」等のテーマについて、シンガポール南洋工科大学RSIS等海洋政策分野で実績のある研究者・研究機関に委託し、研究を進めます。
  • ロンドンにおける国際セミナーの開催(2012年5月)
    2012年5月に国際海事機関(IMO)海上安全委員会(Maritime Security Committee)が開催される機会に合わせ、ロンドンにてセミナーを開催し、本事業の議論の成果を取りまとめた政策提言書を発表し、関係国、専門家の関心を喚起します。
  • 事務局の運営(2012年4月~2013年3月)
    事業の遂行に必要な調整業務、情報収集業務を行います。
実施内容
ロンドンにおける国際セミナーの開催(2012年5月15日)
3年間実施した本事業を通じ積み重ねた議論の集大成として、国際海事機関(IMO/International Maritime Organization)の海上安全委員会(MSC/Maritime Safety Committee)の開催に際し、政府代表団がロンドン入りする機会をとらえ、同委員会の開催の前日にIMO会議室にてセミナーを開催しました。MSCメンバー国代表団やロンドン在住の研究者、ビジネス関係者など70名ほどが出席しました。
同セミナーにおいて、現行の法的枠組みを強化する手段、特にポート・ステート・コントロール(PSC)強化の具体的な方法を中心に政策提言を行ったほか、国際的な関心が高まっている海賊対策、特に民間武装警備員の扱いなどをめぐり問題提起も行いました。これまで本事業の国内研究、国際委員会への出席等の協力を得てきた防衛大学校講師の石井由梨佳氏、東京大学教授の中谷和弘氏、ANCROS (Australian National Center for Ocean Resources and Security)フェローのSam Bateman氏、UCL講師のDouglas Guilfoyle氏、IMOの海上安全部次長のChris Trelawny氏などが登壇しました。
事業成果
海洋安全保障の脅威と秩序強化の必要性について国内外の専門家と問題意識を共有するとともに、特にポート・ステート・コントロールなど現行の海洋法の法的枠組みを強化するための具体的取り組みについて、国際的な問題提起を行いました。

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