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一般事業 平和と安全への努力~安全保障・平和構築

2010年
事業

海洋安全保障の新秩序構築

事業実施者 笹川平和財団 年数 1/3
形態 自主助成委託その他 事業費 6,888,545円
事業概要
海洋の秩序については、1994年発効の国連海洋法条約(UNCLOS)が基本的枠組みを提供し、また国際海事機関(IMO)策定の諸条約が海洋のSafety、Security、環境保全に関わる実効的措置を定めている。しかし、近年、麻薬の輸送、人身売買、違法漁業、海洋汚染などの違法行為に加え、海賊事件、テロ組織や武装勢力による海洋利用が深刻化し、また一部の国々による制海権の急速な拡大志向が相まって、従来以上に島嶼部の領有権や、EEZおよび大陸棚の線引きに対する関係国の関心が高まり、国際的な緊張関係が新たに発生している。これらの問題が軍事衝突に発展しないよう、紛争回避のための関係国の信頼醸成メカニズムや国際的セーフガード機能が求められている。
 
本事業は海上保安機関(コーストガード)による非軍事的アプローチの意義を積極的に位置づけることを目指し、「海洋安全保障秩序の強化に必要な新たな国際法海洋法上の枠組み作り」と「各国海上保安機関による地域的かつ実効的な協力体制の強化」を中心に研究を進め、国際的な政策提言を提示することを目的とする。
実施計画
3年継続事業の初年度として、以下の活動を行う。
  • 国内研究会の開催(2010年10月~2011年3月)
    新潟県立大学の猪口孝学長、早稲田大学法学部河野真理子教授を初め、日本国内の海洋政策、安全保障、国際法分野の専門家10名程度を集めて国内研究会を組織し研究を進める。研究会は主に東京で開催する。
  • 委託研究(2010年10月~2011年3月)
    時間をかけて専門的な検証を行う必要があるテーマについては、外部機関に研究を委託する。今年度は、「公海を中心とした海域における不法行為の取り締まりに関する新たな取り組み」にかかわる研究を早稲田大学法学部河野真理子教授に委託する。
  • 国際委員会の開催(2011年2~3月)
    日本国内の委員に加え、米国、豪州を中心に計5名程度の海外研究委員を招き、主要研究課題に関する討議を行うため、東京で国際委員会を開催する。
  • 事務局の活動(2010年10月~2011年3月)
    事業の遂行に必要な調整業務や情報収集を行う。
実施内容・事業成果
本年度は、新潟県立大学の猪口孝学長を座長として、早稲田大学法学部河野真理子教授、立命館アジア太平洋大学佐藤洋一郎教授を初めとする計9名の海洋政策、安全保障、国際法分野の専門家から成る研究会を2010年10月と2011年1月に開催し、秩序強化に向けた政策の可能性について議論を深めました。

2011年3月には、日本国内の委員に加え、米・豪から海洋安全保障の専門家を東京に招いて国際委員会を開催し、本事業の主要な研究課題である、(1)法執行機関などによる地域的かつ実効的な協力体制の強化、(2)海洋安全保障秩序の強化に必要な新たな国際法・海洋法上の枠組み作り、(3)UNCLOS発効以降の世界における海洋権益をめぐる紛争と法執行機関の役割、の3つの主要研究課題について意見交換を行いました。

次年度は、本年度の活動で得た成果をもとに、国際的な政策提言のとりまとめに向けて、さらなる討議や研究を進めていく予定です。
 

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