海洋環境の保全等

「人類と海洋の共生」を目指して、海洋基本法に定められた12の基本的施策の具体化、実施の推進のために、海洋環境についての様々な課題に取り組んでおります。

海洋生物多様性保全と利用・研究

国連海洋法条約において、海洋は各国の基線(領土の外縁を結んだ線)から領海(12海里まで)、接続水域(24海里まで)、排他的経済水域(200海里まで)、大陸棚(大陸棚限界委員会が認める範囲)までが各国の主権的権利が行使できる範囲と定められました。その外は、いわゆる公海(国の管轄区域を超える領域)であり、そこにおける生物多様性(BBNJ: Biodiversity Beyond National Jurisdiction)の保全・利用についての明確なルールがなく、2012年のRio+20の成果文書"The Future We Want"において、国際的法律文書の策定を含めてその重要性が指摘されていました。

温暖化・海洋酸性化の研究と対策

海洋における地球温暖化・海洋酸性化は、深刻かつ早急な対応が必要な問題です。これまで科学的研究は進められてきているものの、国際社会やわが国において、適応策や緩和策について、具体の検討が十分にされていない状況です。
笹川平和財団海洋政策研究所は、海洋・沿岸域の管理と気候変動にかかる活動として、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)に参加し、パリ協定の実施に向けたUNFCCC世界気候行動計画策定の取組の一環として「オーシャンズ・アクション・デー」をIOC/UNESCOはじめ多くの機関・研究所と共催しております。
また、わが国周辺の北西太平洋地域を対象として、迫りくる海洋の危機を監視し、その進行を予測するとともに、関連情報を共有することを目的として『海洋危機ウォッチ(プロトタイプ版)』を公開しております。

海底資源量調査の効率化研究

深さ500〜1000mの海底に賦存するガスハイドレートは、将来的に我々が利用できるエネルギー資源として期待されています。ただし、従来の調査では、評価のために堆積物の掘削コアを海上に回収して分析しており、温度が低く高圧な海底下環境において生成するガスハイドレートは、船上に引き上げると分解してしまうことから、ガスハイドレート量の推定精度には限界があり、調査分析に要する時間や費用も多く必要としていました。

海中観測精度の向上化研究

海洋の観測には様々な手法がありますが、高品位のデータ収集や資料採取を行うには船上からウィンチを用いて観測装置を垂下させて調査する洋上での作業が必須となります。

海洋生物資源の新しい増産方法研究

日本の沿海では、藻場・干潟の減少、磯焼けの増大などの生態系の荒廃と、それに伴う食物連鎖における低次生産力の減少が顕著で、その結果、高次の漁獲量が回復せず、生産性豊かな海が失われつつあります。豊かな海の再生と沿岸漁業の持続的発展のためには、海の低次生産力を積極的に増加させる技術の研究開発の検討が必要となります。

報告書・提言・論考
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