2020年台湾総統選挙と米台関係
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渡辺 将人
ハーバード大学国際問題研究所客員研究員
筆者は昨年、台湾の国立政治大学の招聘を受け、台北で訪問学者として在外研究を行った。アメリカ政治専門の筆者に先方から期待された課題は、トランプ外交の台湾への影響分析の他、台湾総統選挙の現地調査による米台の選挙比較であったため、投票1年近く前から総統選挙を定点観察した(途中研究拠点をアメリカに移し台湾を離れたが、投票月の1月に台湾で再び観察や聞き取りを行った)。※関連連論考「【特別シリーズ】台湾の選挙キャンペーン:米台比較の視座から(①前編)」
2020年台湾総統選挙
選挙に勝利する3要素を「候補者」「外部要因」「キャンペーン」に分類し、順に「玉」(玉の善し悪し)、「風」(追い風、向かい風)、「技」(組織、資金)と比喩的に表現したことがある(拙著「アメリカ政治の壁」岩波新書2016年)。大統領選挙にもなれば「風」も実力のうちである。オバマはイラク戦争の混乱とリーマン・ショック、トランプはブッシュ兄弟不人気の敵失のほか、サンダース旋風(反TPP、反ヒラリー)にも間接的に利益を得た。カーターはウォーターゲート事件、レーガンは在イラン米大使館人質事件が勝利の追い風となった。第三候補も風になる。1992年にペローはクリントンを、2000年のネーダーはW・ブッシュを部分的に利してきた。現政権評価、相手候補、突発的事象に相対的に勝敗は定義される。
2020年1月の総統選における蔡英文再選が、香港デモ、脆弱な国民党候補による敵失などの、外部要因が風になったとの見方は元々存在したが、新型コロナウイルス発生で国民党系の評論家から「風」に救われた勝利との批判が一部再燃した。たしかに新型コロナウイルスの世界的な拡大が選挙前に起きていれば、蔡英文を後押しした香港デモの存在感は相対的に低下しただろう。選挙キャンペンーンの実施にも影響が出たはずだ。
現にアメリカ大統領選挙の民主党予備選挙では感染予防で「バーチャル集会」に切り替えている動きも出ており、戸別訪問など「地上戦」全般が困難になる気配もある(本稿執筆2020年3月15日時点)。台湾の選挙戦でも参加者が肩を寄せ合うほど密着する大規模集会は定番のイベントで、候補者がトラックに乗って街路を走る「掃街」というキャンペンーンも目玉だが、人を一カ所に集める行為や対人接触ができないと選挙戦が激変する。直前集会で熱狂を共感することを投票率に繋げる選挙文化の台湾で、メディア戦限定になれば、選挙の空気感や興奮は異質のものになっていたに違いない。
現職候補の場合、選挙戦中の突発的な危機は吉か凶に振れる。対応に張り付きで身動きは取れなくなり、判断を誤れば失墜は取り戻せない。だが、対戦相手だった韓國瑜も現職の高雄市長であり、双方「休戦」で対策の実績勝負となれば、蔡英文の迅速な指導力はむしろ追い風になった可能性もある。
2020年総統選を総合的に振り返り、あえて蔡英文陣営を擁護すれば、蔡英文の候補者資質の高さ、予備選挙の乗り切り方や若年層対策に見られた戦略的キャンペーンの巧妙さなど、玉と技に優れた選挙戦であり、勝利は外部要因だけでは説明できない。しかし、「風」が相当に後押しした選挙であったことは事実だ。思い起こせば1年前の2019年3月時点で、蔡英文総統再選を自信をもって予測する民進党インサイダーは皆無だった。蔡英文に近い人物の間でも「頼清徳のほうが蔡英文より人気はある。しかし蔡英文も再選を諦めていない」「蔡英文の強さは外交だが、如何せん有権者は関心がなく、外交は票にならない。立法委員選挙で民進党は負ける」という悲観論や慎重論が渦巻いていた。
選挙戦を通じて、蔡英文は2つの不安定要素に晒されていた。第1の不安定要素は、民進党内での反乱、すなわち頼清徳前行政院長の予備選挙での挑戦であった。頼の出馬は蔡英文には本当に寝耳に水だった。蔡英文側は激しい党内争いを望んでいなかった。仲が殊更良いわけではないが、内部争いをしている場合ではない、という現実認識があった。本心では頼清徳を潰したくないが、突然喧嘩を売られたことで、確実にねじ伏せる必要が生じた。
頼の電撃出馬が民進党に与えるマイナスはおよそ3点あった。まず、民進党のほうが予備選挙の順番が先で、国民党に攻撃の糸口を提供しかねない問題だった(尚、台湾の「予備選挙」については拙著別稿「【特別シリーズ】台湾の選挙キャンペーン:米台比較の視座から(④補論)」参照)。そして、独立派の支援を受ける頼の参戦は、経済重視の有権者を遠ざける可能性があった。香港情勢の深刻化以前は、経済を最優先議題として期待する中道的選挙民が多かった。「統一か独立か」の古典的な論点が表面化すれば、国民党に「民進党は経済を軽視」と批判の隙を与える。さらに、頼が勝利してしまうと、党内で敗北した総統が残り1年求心力を維持できるのか未知数だった。選挙年に政権政党のパフォーマンスが低下すれば、国民党の攻撃材料になる。プラスの点をあえて掘り起こせば、予備選挙を通して民進党の結束を固められる点であった。予備選挙を経て勝敗の白黒をつければ独立派のガス抜きにもなり、不満を封印して無風で蔡英文への支援を依頼するよりも、民進党各層が「割り切り結束」できるという見立てだ。また、内部競争があることで、冷めている有権者を刺激する意味でも民進党再起の起爆剤になる。
第2の不安定要素は、柯文哲台北市長と、国民党の予備選挙に出馬した実業家の郭台銘の動向(無所属での出馬の可能性)が結果に与える不透明さであった。郭台銘は国民党の予備選挙で韓国瑜に敗北するも、政治の素人が正式な出馬から短期間で一定の得票率を獲得した底力が、民進党に恐怖感を与えた。柯文哲・郭台銘がコンビで総統候補・副総統候補として出馬することを恐れる声もあった。柯は民進党寄りの中道、郭は国民党寄りの中道で、真ん中の40%を掴めば理論的には勝てるとの推測と、柯文哲が若者、都市部、無党派に強く、蔡英文の虎の子の若者票を奪いかねない、との懸念だった。柯文哲・郭台銘共に相手に総統候補を譲ることはできず幻に終わったが、柯文哲は次回出馬を睨んでいる。現職総統を差し置いて、トランプ大統領と面会した郭台銘のVIP扱いも印象を残した(クシュナー補佐官のパイプで実現したとも噂された)。同会談はアメリカの親台湾派議会筋もざわつかせ、野党の予備選挙候補者の実業家に会うのなら、先に現職総統に会うべきだ、というトランプ政権批判も吹き出した。
国民党幹部にとって、韓國瑜が2020年の公認候補になることは想定外だった気配がある。そもそも2018年に民進党勢力圏の高雄で市長選に勝利したこと自体が、国民党内で不思議がられていた。「韓ファン」という支持基盤は退役軍人、退職者、商店主、労働者などで、蔡英文政権下で経済的な苦境が増した、という怒りを焚き付けるアピールをしていた。韓国瑜は国民党エリートから外れたアウトサイダーでもある。共和党を白人労働者の支援で乗っ取ったトランプと共和党エリートの関係性に、構図が類似している。「韓ファン」が国民党支持ではなく韓国瑜個人への情熱で動いたのも、トランプ支持層と同じだ。他方、トランプのような政策の具体性は韓国瑜にはなく、大きなアイデアを広げるだけで、カリスマの類型は毛沢東にむしろ近い、との分析も民進党内にあった。ブルーのワイシャツの腕まくり姿でめったにネクタイもせず、服装も変えなかった。支持基盤を引き寄せる影のランニングメイトは、雲林の富裕な地元建設業者として土着政治に根を張る家系の夫人だった。台湾語を応援演説で駆使して本省人の市民の心を掴む夫人の存在がなければ、韓国瑜の高雄市長就任はなかった。ここが伝統的な国民党エリートではないアウトサイダーの韓国瑜の強みでもあったが、結果として817万票という過去最多得票の蔡英文に敗北した。
香港デモで「護台」がスローガン化する前の蔡英文再選戦略は、アイデンティティ問題とキッチンテーブルイシューの二層構造だった。有権者は反中・親中の戦いよりも生活が関心事だと見ていたからだ。台湾アイデンティティは強く堅持しつつ、党内結束重視で若者、高齢者、労働者という重要票田ごとに住宅手当、年金の埋め合わせなど「手厚い」経済政策を行うことを念頭に置いていた。また、蔡英文政権の税制改革で、複数子どもがいるミドルクラスは減税になったことも強調点であった。
香港デモが「ゲームチェンジャー」になったのは事実だ。デモは逃亡犯条例改正案と天安門事件30周年(式典数日後にデモ勃発)が相まって噴出したが、長期化は想定外で、香港情勢に詳しい関係者ほど法案の粛々通過を悲観的に予測する者も多かった。台湾との関係で、香港がトリガーとして化学反応を引き起こした底流にある、2つの変化の文脈を指摘しておきたい。
第1に、外部環境の変化である。とりわけ「1992年コンセンサス」(九二共識)当時とは異なる、経済発展や覇権主義などに象徴される中国の変容である。当時は顔認証技術やソーシャルメディアどころかインターネットも普及していなかった。米中貿易技術戦争まで勃発する中で、国民党は変化した中国を前提にした「九二共識」の整合性や妥当性の説明に窮するようになっていた。
第2に、個別の政党を強く支持する有権者の減少である。総統選では大差がついたが、政党支持票では両党共に30%程度だった。個人として蔡英文を好むが、民進党支持ではない若者が増えている。彼らは立法委員選挙では小さな新興政党に入れる選択もする。「台湾史上はじめての、本当の意味での無党派層の誕生」と形容する民進党幹部もいるが、なるほど1,900万の有権者のうち20-30代の若年層660万の影響は大きい。総統選では候補者個人の魅力をアピールし、立法委員選挙では多数派維持のために選挙区向けの土着政治を維持する、ある種の両睨みの時代に突入している。蔡英文の人気はたしかに凄まじいが、民進党は必ずしも安泰ではない。
トランプ評価をめぐる微妙なねじれ
アメリカの外交エリートは蔡英文政権を望ましい選択肢だと考えてきた。中国に距離を保ち、しかし独立派に絡めとられることなく現状維持を守る「安定感」が、ワシントンにおける蔡英文の好評価の根底にある。昨年の訪米でさらに各地で評判を高めた。
他方、2016年のトランプの大統領選勝利以後、米台間における米大統領評価が奇妙なねじれを示している。アメリカでは共和党親台湾派の中にもトランプを否定的に評価する向きがある一方で、台湾ではトランプ評価が高い。おそらく世界で最もトランプ評価、トランプ期待値が高いのが台湾であろう。無論、2020年の民主党大統領候補の顔ぶれを見る限り、日米首脳関係が良いトランプのままのほうがよい、という外交の現場感覚は日本にもある。しかし、台湾でのトランプ評価の高さには、訪台する日米の研究者は驚かされることが少なくない。
ワシントンで強く台湾を支援するグループは、共和党内ネオコン、伝統的な反共的議員、民主党内人権派など横断的であるが、彼らはいずれもトランプを嫌っている。台湾寄りであるほど反トランプですらある。親台湾派の共和党議会補佐官やロビイストの多くが、2016年大統領選の本選では棄権かクリントン投票を選んだほどである。
もちろん台湾のトランプへの高い期待には合理的な理由がある。第1にトランプ・蔡英文の電話会談の印象だ。対中バーゲニングチップ懸念はありながらも、歴史的電話であったのは事実だ。第2にランドール・シュライバー元国防次官補(事実上政権の対台湾政策を主導していた)、対中強硬派のペンス副大統領など政権内の顔ぶれだ。第3にトランプ政権下での武器輸出や台湾旅行法などの具体的成果、第4にトランプ政権の全方位的な厳しい対中姿勢、そして第5に前大統領のオバマとの相対評価もある。台湾でのオバマ評価は極めて厳しく、オバマは台湾に何の利益ももたらさなかったという理解は、超党派のコンセンサスになっている。アメリカが生存上の生命線である台湾では、アメリカの大統領を文化的、歴史的に評価することは二の次であり、やはり台湾と中国への姿勢が主要な評価基準になりやすい。
こうした台湾のトランプ評価の根拠は台湾目線からは妥当であるし、アメリカの親台湾派も認識を共有する。「トランプはアジア政策と外交全般に混乱をもたらしたし、自由貿易にも逆行している。しかし、台湾にはトランプがいい。ことトランプに関しては、台湾とそれ以外を分けて考えないといけない」とは、共和党議会筋でも指折りの親台湾派の実力者の発言だ。
しかし、彼らアメリカの親台湾派はその一方で「消去法としてのトランプ選択とトランプへの過大評価は別」だとして、水面下で台湾に対してトランプを警戒するよう発信し続けてもいる。
曰く、「トランプは人権、民主主義に本心では関心がない。人権に言及するのを敢えて避け、そこをペンスが埋めさせられている。アジア外交で一番いいのはペンスだが、ペンスはポピュリストではなく、トランプ的な大衆的人気がないので、ペンスが大統領候補では選挙に勝てない」
曰く、「今、アジア外交に限定すれば、ましなのは自由貿易寄り民主党穏健派。トランプは台湾やサイバーでは評価できるが、関税や保護貿易は共和党として容認できる姿勢ではなく、TPPに戻る気もない」
曰く、「民主党大統領候補でましなのはバイデンかブデジェッジ。バイデンは対中融和懸念があるが、外交安保の現実を知っており、アドバイザーに現実的な国防派も多い。ブデジェッジはウイグルに言及していて、LGBTとして蔡英文政権の同性婚法にも親和性がある(筆者注:ブデジェッジは撤退)。サンダースは外交には関心を持たない。トランプは土壇場で親中にひっくり返る可能性もある」
台湾をめぐるワシントンの地殻変動には2つのシフトがある。1つは大統領府よりも議会という決定的アクターのシフト、もう1つは共和党一辺倒から超党派へのシフトだ。なるほど、武器輸出にしても旅行法にしても、台湾関係の立法成果は大統領ではなく議会主導で決まっている。これは香港人権・民主主義法案でも同じだ。香港デモの若者たちは同法成立でトランプ大統領に感謝して星条旗を振った。しかし実際には、雨傘運動で活躍した活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)と面会し公聴会の実現に尽力したのは、反共派のマルコ・ルビオ上院議員、かつて天安門事件後に現地に乗り込んだ筋金入りの人権派のナンシー・ペローシ下院議長らの超党派議員である。大統領自身は、拒否権発動も示唆することで署名を渋る時間稼ぎの態度を北京にアピールし尽くした上での署名だった。
また、議会の親台湾派はかつて共和党一色だったが、現在は超党派に様変わりしている。台湾への武器輸出をトランプ政権に一貫して迫ってきたのは、共和党上院議員のマケイン、ルビオ、コーニン、インホフの他は民主党上院議員であり、カーディン、メネンデス、マーキー、ワイデンらが立ち回った。台湾ロビーに協力している元重鎮議員団も、共和党のドール、ニクルスらのほか、民主党も少なくなく、ダシュル、ゲッパートにまで台湾への協力者が広がっている。中国の経済成長で、民主党の労組寄りの元議員の仮想敵にも変化が生じている。
ある共和党台湾派の議会筋は「アメリカは台湾に責任がある。ニクソンとキッシンジャーのせいで台湾を現在の状態に陥れることになった。しかし、カーターが台湾関係法で台湾を救った。李登輝のアメリカ入国を認め、両岸危機で海峡に軍隊を送ったのはクリントン政権。ヒラリーは1995年に北京で開かれた世界女性会議の演説で中国共産党を半永久的に敵に回す中、台湾からの会議参加者を北京に入れるように訴えた」と述べる。オバマについても「トランプ勝利まではオバマも実は台湾で評価されていた。オバマは台湾に悪い事はしなかった。中立を保ち、中国に過剰に塩を送ることもしなかった。しかし、トランプが台湾の期待を高め、あっという間に前任のオバマ評価は地に落ちた」と相対性を強調する。
たしかに対中包囲網が含意だったTPPを推進したのはオバマ政権だった。当時のオバマ大統領とTPPについて会談したサンダースは「彼(オバマ大統領)は、TPPを地政学的な争点だと見ている」「彼の主張は、TPPを諦めたら、アジアを中国の影響の手中におさめさせてしまう、というものだ」と証言する。オバマ政権内の穏健自由貿易派と対中警戒色が強い安保専門家が手を携え、民主党内で反対する労組、環境保護団体、消費者団体などを押さえ込んで設計したのがTPPだった。その対中包囲網のTPPを潰したのは、皮肉にもサンダースとトランプだった。
しかし、台湾の外交政策専門家は、こうした台湾をめぐるワシントンの状況も親台湾派からの忠告も、包括的に理解している。それでもあえてトランプ政権の存続を望むのは、やはり民主党大統領候補に関して、対中政策や台湾認識で不確定要素が否定できないからだ。なるほど今回の民主党予備選挙でも、中国は主要な議題から抜け落ちている。民主党の政策エリートも積極的には台湾に言及しない。その点でトランプのほうがまだいい、という相対評価がある。重要なことは「台湾と大陸のニュアンスの違い」を理解している人が政権にいるかだ、と台湾の政策現場は考えている。民主党政治家にはそれが比較的欠けがちである、という悲観的評価が底流にある。
今後の米台関係の注目点はどこになるだろうか。民進党の蔡英文政権の2期目と共に、アメリカの政策関係者が注目するのは国民党の世代交代である。オルタナティブな選択肢がある状態のほうが健全だと考えているからだ。アメリカ側にとって民進党政権は分かりやすい、と考えられてきた。国民党は、どこまでが中国の意向の反映か見えにくい部分もあるからだ。しかし、国民党寄りの台湾の若手中堅の政策専門家は、彼らの世代は上の世代とは思考が違う、と考えている。重鎮世代は両岸関係の緊密化を重視したが、新世代の穏健な国民党エリートは、両岸の安定関係も必要としながらも、米台関係を最重視している。日本とも良好な関係を維持し、台湾の対中接近にブレーキをかける意向を持っている。
彼らの多くは国民党政権になれば政権入りすると目されていたが、外交で実務的な指導力を発揮する前に、政党再生という内なる課題を抱え込んだ。国民党のヒエラルキー型組織の伝統に鑑みれば、彼らの新路線が国民党で主流化するには一定の時間を要するだろう。また、研究者を中心にした政策エリートの層の厚さに対して、若手政治家の発掘は途上段階にある。その間隙を突いたのがポピュリスト韓國瑜の台頭でもあった。当面アメリカは民進党の蔡英文総統の安定感への期待感を維持しつつ、国民党の若手の動きも両睨みで注目している。
(了)