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一般事業 平和と安全への努力~安全保障・平和構築

2012年
事業

南タイ市民社会の強化

事業実施者 ジャカルタ法律擁護協会(インドネシア) 年数 1/3
形態 自主助成委託その他 事業費 8,975,900円
事業概要
マレーシアと国境を接する南タイ3県は、タイ国民の9割以上を占める多数派仏教徒と、南タイ3県の多数派であるマレー系イスラム教徒との間の民族対立を背景に、現在も紛争下にあります。かつてこの地域に存在したイスラム王国が、20世紀初頭にタイの領土に編入された歴史と深く関わるこの紛争は、タイ政府からの分離独立を目指すマレー系イスラム教徒の抵抗運動という性格を持ちますが、2004年以降から特に現地情勢が悪化し、それ以降市民を中心に仏教徒・イスラム教徒を合わせて5,300人以上が暴力の犠牲となっています。分離独立を標榜する武装派グループによるテロ事件に加え、当局による人権侵害も事態を複雑化する要因となっています。
一方、人権状況を監視する現地団体の調査・アドボカシ―能力や、平和的手段により問題解決を目指す現地の市民社会の体制は脆弱であり、国際社会の関心を十分に引き付けるに至っていません。さらに、過去数年間の不安定なタイ政治も影響し、紛争を解決する見通しは立っていません。
本事業は、人権擁護団体としてインドネシアで40年にわたる経験を有する実施団体(ジャカルタ法律擁護協会)が、南タイからのインターンの受け入れやワークショップの開催を通じ、南タイ市民社会の発展とインドネシア市民社会との連携強化を推進し、南タイの人権擁護、紛争転換、平和構築に貢献することを目指します。
実施計画
3年継続事業の初年度となる本年度は、以下の3つの柱から成る事業を開始します。
  • 調査活動(2012年6月~10月、於 南タイ、インドネシア) ダダン・トリサソンコ氏(パートナーシップ・アドバイザー)等経験豊かな活動家・研究者から成る調査チームを組織し、南タイ市民社会のニーズと、インドネシア市民社会との連携強化をテーマに調査を行います。2012年6月には南タイを訪問し現地のニーズ調査を行い、結果をインターンシップ事業に反映させます。2012年8月~10月には南タイでの現地調査に加え、インドネシア国内での文献調査も行い、市民社会の連携強化について報告書をまとめます。
  • インターンシップの実施(2012年7月~9月、於 インドネシア)
    人権擁護団体を初めとした南タイ市民社会から5名を選考し、3か月間のインドネシア国内でのインターンシップを実施します。受入機関としては、実施団体とその地方支部のほか、各々の活動分野を考慮した上で、必要があれば他団体も紹介し受け入れの調整を行います。インターンは期間中、人権擁護、紛争転換、平和構築の理論と実践を学びます。
  • ワークショップの実施(2012年11月・2013年1月、於 南タイ・ジャカルタ)
    南タイ市民社会関係者を対象に、インドネシア人専門家による人権擁護や紛争転換に関するワークショップを実施します。
実施内容
  • 調査活動(2012年7月11日~14日、2012年11月16日~21日、2013年1月20日~24日)
    南タイ市民社会のニーズを把握し、インドネシア市民社会との連携を強化することを目的として、3度に渡る南タイ現地調査を実施しました。第1回目は南タイの紛争の理解に力点を置き、第2回目では、今後リーダーシップが期待される団体の特定と南タイ市民社会のSWOT(強み・弱み・機会・脅威)分析を行いました。当初は2013年1月に南タイでワークショップ実施する予定でしたが、2回の調査結果により、第2回目の調査で特定したリーダーシップが期待される団体の認識やビジョンをより深く理解する必要性が感じられたため、それらの団体代表者へのインタビュー調査に切り替えて現地を訪問しました。調査の結果として2本のレポートを作成しました。
  • インターンシップの実施(2012年9月25日~12月24日、於 ジャカルタ、アチェ)
     南タイの人権擁護団体などで活動する活動家5名をインターンとして受け入れました。インターンは、紛争転換、人権、民主化運動、非営利団体の運営などにつき講義を受け、これらの分野で活動する主要NGOを視察しました。また、1ヶ月間はアチェにおいて、同地域の市民団体の経験や運営方法について学ぶ機会を得ました。
  • ワークショップの実施(2012年12月18日~22日、於 ジャカルタ)
    南タイの市民活動家9名に対するワークショップをジャカルタにて実施しました。紛争解決、人権、アドボカシー戦略などに関する実践的講義をインドネシア人専門家から受けました。

上記ワークショップにて

上記ワークショップにて

事業成果
  • 南タイの市民社会を担う人材の育成
    インターンシップ事業に参加した5名の若手活動家、ワークショップに参加した9名が人権や紛争解決に関して知識を得、またインドネシアのNGO関係者とネットワークを構築する機会を提供しました。
  • 実施団体による南タイ市民社会の分析
    南タイとインドネシアの市民社会間の連携については端緒についたばかりですが、実施団体が南タイの各主要団体の課題と、団体間の連携不足といった市民社会全体の問題点を客観的に分析しました。この調査分析から、南タイの紛争分析と今後市民社会が果たしうる役割に関する2本のレポートを作成しました。

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