プログラム概要

プログラム概要

長崎 附属 単元開発 2025年度

長崎総合科学大学附属高等学校

「海洋県ながさき」で目指せ海洋エンジニア

実施単元

1. 啓蒙学習「船舶と海洋に親しみを持つ」[1年77名](コース科目)
2. 体験学習「工場見学、乗船体験」[1年77名 2年51名](コース科目)
3. 創造学習「コンテスト、競技会への参加」[1年13名 2年51名 3年1名](総合的な学習 科学技術部)

取り組みの概要

本活動では、以下の3つの学習段階を実施することで、海洋教育のアクティブ・ラーニングを実施した。また同法人の長崎総合科学大学船舶工学コースの支援も得て、水中ロボットや3Dプリンター活用といったデジタル教育も併せて学習することを企画した。

(1) 啓蒙教育「船舶と海洋に親しみを持つ」(2コマ)
同法人の長崎総合科学大学船舶工学コースから2名の講師を招き、「海を知り、海に親しみ、造船や海洋産業への関心を高める」ことをテーマに講話を実施した。講話では、船舶の役割や海洋産業の現状、さらには海洋環境問題との関わりについて具体的な事例を交えながら解説が行われ、参加者は普段の生活では触れる機会の少ない海洋分野への理解を深めることができた。特に、船舶工学が私たちの暮らしや国際物流を支える重要な基盤技術であることを学ぶことで、海や船に対する興味・関心が一層高まった様子が見受けられた。

(2) 体験学習「工場見学、乗船体験」(工場見学 半日4コマ、乗船体験 2コマ)
長崎県造船協同組合の協力を得て、本県の基盤産業である造船業への理解を深める目的で、工場見学を実施した。長崎造船株式会社および株式会社ふくおか渡辺造船所の見学を実施した。見学では、鋼材の加工から組立、溶接、艤装に至るまでの一連の建造工程を間近で観察することができた。造船業が高度な技術と多くの専門職の連携によって成り立っていることを実感する機会となった。また当該の工場では、本校の卒業生も働いており、将来の進路選択における視野の拡大にもつながる有意義な体験学習となった。

次に乗船体験は、長崎総合科学大学船舶工学コースの支援を得て実施した。今回の乗船体験では、通常のディーゼルエンジン船に加えて、脱炭素の社会情勢を踏まえて研究開発中のバッテリー電動船にも乗船した。乗船体験では、推進機関の異なる船舶双方に乗船することで、それぞれの推進方式の違いや特徴を体感的に学ぶことができた。特にバッテリー電動船では、静粛性の高さや振動の少なさを実際に体験し、環境負荷低減に資する新たな船舶技術への理解を深める機会となった。

(3) 創造学習「コンテスト、競技会への参加」(総合的な学習 水中ロボット 2コマ×3回、水中ロボットサッカー競技会 2コマ)
啓蒙教育や体験学習で学んだ成果を活かし、生徒の創造力を高める学習として、コンテストや競技会への参加を実施した。

まず比較的に難易度の低い目標として、昨年より長崎総合科学大学が開催している「高校対抗水中ロボットサッカー競技会」に参加した(7月)。この大会は本年が2回目である。1回目は長崎市内の4校、本年2回目は、2校+1校(オープン参加)となった。生徒が製作したROV型の水中ロボットで競技に参加した。残念ながら今年度は完成度に優った長崎工業高校に昨年度の雪辱を果たされた結果となった。

次に本活動の主軸としている「水中ロボットコンベンション in JAMSTEC 2025」に継続して参加した(8月)。本大会は、自作の水中ロボット(ROVやAUV)を用いて技術力やミッション達成度を競う国内有数の競技会である。海洋研究開発機構(JAMSTEC)のプールで開催されており、専門家や次世代の海洋技術者との交流を通して、海洋探査技術や水中通信、複雑な防水構造に関する専門的な知見を深める貴重な機会となった。本年度のジュニア部門の課題は「缶拾い競争」で、学生は機体制御に関するプログラム技術などを学んだ。

また「第10回ロボットフェスティバル」にも参加(8月)。水中ロボットのデモンストレーションおよび競技に参加し、デジタル技術を駆使した機体制御の実践を通して、「ものづくり」での課題解決能力を養った。

本年度の新しい取組として初開催された、高校生が独創的なボートを製作し競技を行う「大村湾ワンダーボート大会」に参加した(7月)。本大会には、本校の他に島原工業高校、長崎鶴洋高校、長崎工業高校の計四校が参加。それぞれの製作した個性豊かなボートがレースを繰り広げた。本校チームは、3Dプリンターで「二重反転プロペラ」を製造。残念ながらレース中盤でトラブルが発生し、あえなくリタイアし成績は振るわなかったが、その技術力を評価され、「技術賞」を獲得することができた。「技術賞」の受賞は、挑戦的な設計と製作過程が高く評価された結果であり、生徒の自信と達成感の醸成につながった。本活動を通じて、知識の習得にとどまらず、それを実践的に活用し新たな価値を創出する力、すなわち創造的思考力とものづくりへの意欲を高める有意義な教育効果が得られた。

総合的な学習では、水中ロボットの仕組みと操縦を学ぶ「水中ロボット競技会」を実施した(11月)。長崎総合科学大学船舶工学コースの講師から「水中ロボットの歴史と基本構造」について講義を受け、その上で、海洋試験水槽での競技会に臨んだ。競技会では、2年生エンジニアコースの生徒が4~5名の班毎に1台のROV型水中ロボットを操作し、水槽に沈めたターゲットを回収する競技を実施した。班毎の対抗戦として実施したので、たいへんな盛り上がりとなった。現在、長崎の海で行われている洋上風力発電といった海洋エネルギー開発での水中ロボットの役割に思いをめぐらせながら、海洋産業に関して学びを深めた。

これらの成果を活かし、「第3回 日見まつり」に水中ドローン操縦体験の出展参加を行った(11月)。来場者に分かりやすく説明するための工夫や安全に配慮した運営が求められ、学生は自らの理解を深めるとともに、他者へ伝える力の重要性を実感することができた。また地域住民との交流を通じて、海洋技術やものづくりの魅力を広く伝えるとともに、地域社会とのつながりを実感することができた。

なお開発した水中ロボットに関しては、様々な利活用が出来ないか検討した。一つはeスポーツへの利用である。これまで海に興味関心がない子供達に、水中ロボットの操縦体験や水中ロボットを使った競技を通して、海に関心を持ってもらう・・ということを試みた。また本校の位置する長崎県日見地区は、養殖業をはじめとした水産業が盛んな地域である。同法人の長崎総合科学大学船舶工学コースの先生方からのアドバイスも受け、養殖生簀の観察、食害をもたらすウニの駆除、海藻類の観察や採集といった利用法が出来ないか検討を行った。

これらの活動を通じ、生徒達は単なる技術習得に留まらず、将来、「海洋県ながさき」で活躍する海洋エンジニアとしての素養を確かなものとしている。

1 工場見学(1)
2 工場見学(2)
3 水中ロボットサッカー競技会
4 大村湾ワンダーボート大会
5 二重反転プロペラ
 

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