プログラム概要

プログラム概要

兵庫 公立 単元開発 2025年度

兵庫県立芦屋国際中等教育学校

海を学び、防災を学ぶ

実施単元

1.「海と社会の関わり;防災について考える」[第5年次](総合探究 地理探究)
2.「海と社会の関わり;海と社会の多様なつながり」[第4年次](総合探究 地理総合)
3.「海と社会の関わり;海は社会とどのようにつながっているのか」[1年~5年](総合学習 総合探究)

取り組みの概要

1 実施内容(目的)
本校ではボランティア部を企画の主体として広く生徒に参加を呼び掛け、今年度も8月に宮城県名取市閖上地区、石巻市などで東日本大震災被災地支援活動、2月には石川県輪島市で能登半島地震被災地支援活動を実施した。さらに定期的に学校近辺の芦屋浜における海岸清掃活動を行っており、3月には豊岡市竹野浜海岸での海岸漂着物撤去の活動など、さまざまなボランティア活動を実施ししている。
こうしたボランティア活動を通じて、生徒のなかにも海への関心、特に被災地支援や海岸清掃などの活動を通じた環境問題などの社会的課題への関心、さらに臨海部に存在する地理的条件もあり、近い将来に想定される南海トラフ地震に対しての関心も高くなっており、海について学ぶことで、防災への意識を高めていきたいという生徒も多く、一連の教育活動を生徒主体で実施し、海や防災についての知見を確保するだけでなく、主体的な社会参画意識の醸成につなげていくことを目的として、今年度のプログラムをスタートした。
そのために、ボランティア部を中心とした後期課程(高校1~3年)の生徒が運営チームを結成し、8月の東日本大震災被災地支援活動を実施するなどの活動を行った。被災地などで実際に経験を重ね、海と社会の関わりや海と防災について学んだ知見をもとに、生徒主体の授業実践に取り組み、主体的な意識にもとづいた海と防災の関わりについて1年間を通じて学びを深めた。

2 活動実践の背景について
東日本大震災では約2万人が海から押し寄せた津波により命を失い、その被害は福島第一原子力発電所の崩壊など、大きな社会的影響をもたらした。近い将来に発生が予測される南海トラフ地震においても津波による深刻な被害が予想され、現実に臨海地区にあって津波被害が想定される本校生が、海と社会のかかわりを深く理解し、特に津波による災害を防ぐためのアクションプランの実施につなげるために、「海を学び、防災を学ぶ」という単元を設定し、今後はさらに海と社会のかかわりを多面的、複合的に捉えたテーマで学びを進める予定である。
こうした単元設定の背景としておこなわれた被災地支援活動、さらに海岸清掃活動や募金活動の経験が生徒主体の教育活動実践のバックボーンである。
生徒約30名が8月に東日本大震災の被災地支援活動に参加し、石巻市の旧大川小が校での清掃活動、名取市閖上地区での清掃活動と夏祭りのイベントにスタッフとして参加し、旧大川小学校や閖上地区の語り部の方の講話、地域の被災者の方々との交流、東北大学学生ボランティアチームSCRUMとの交流活動等を行い、津波の脅威や防災の重要性、災害後の環境面や社会面の課題などについて、深い知見を獲得することができた。
この知見をもとに生徒主体でテーマ学習が推進され、広く全校的に取り組むことができた。定期的に行った芦屋浜と竹野浜での海岸清掃活動、さらに2月の能登半島地震被災地支援活動では、港町である石川県輪島市で支援活動を行い、ここでも災害と海の関わり、海は港町に恵みをもたらすと共に、津波や内水氾濫による社会生活への大きな被害をもたらす存在でもある。これらを知識として得るだけでなく、現地を体験し、被災者との絆を深めて獲得した知見の伝承・共有を活かしたプログラムを実践することができた。

3 各単元における活動内容
(1)「海と社会の関わり;防災について考える」
東日本大震災被災地支援活動に参加した生徒の主体である第5年次(高校2年)の生徒を中心に実施し、同年時の生徒が今後のテーマにおけるリーダーシップを発揮することができる下地を築く。

〔地理探究(5時間)〕
・(全体)日本列島の地理的条件と地震発生のメカニズム、防災についての基本知識についての学習
・(班別)能登半島地震(2024年)、東日本大震災(2011年)、阪神淡路大震災(1995年)、スマトラ島沖地震(2004年)、チリ地震(1960年)、関東大震災(1923年)における被害の現状、特に海と地震の被害の関連性についてを探究し、発表準備を行う。

〔総合的な探究の時間(1時間)〕
・東日本大震災被災地支援活動の報告と、それによる知見の報告会開催、各班での調査と発表を地理総合を受講する第4年次を対象に実施。

(2)「海と社会の関わり;海と社会の多様な関り」
〔地理総合(6時間)〕
・4年次の地理総合でも同様に日本の地理的条件などについて学習を行い、特に交通面や産業面での海と社会の関わり、さらにSDGsに関わる学習の一環として、海を取り巻く資源・環境問題についての班別学習を実施。
・地理総合の班別学習の結果報告会を行って、互いの知見を交換した。

(3)「海と社会の関わり;海と社会はどのようにつながっているか」
〔総合的な学習の時間(1時間)〕2・3年(前期課程)を対象とした4・5年次による学習発表会
・被災地支援活動の報告会を兼ねて、上記(1)(2)の発表内容を前期課程(中学生)の2・3年を対象に発表し、発表終了後はそれぞれの学習内容を総括する。4年次は海と社会のつながり、5年次は特に海を巡る防災についての知見を前期課程の後輩に伝える。さらに海に学び、防災を学んだ結果としての知見を共有し、この後予定される生徒会主催の「小さな地球交流会」でのテーマ学習の準備を深める。

〔総合的な学習の時間、総合的な探究の時間(1時間)〕1~5年による共同学習
・「津波による被害をなくすために、私たちができること」をテーマに、本校の取り組みを全校的に共有し、海と社会の関係についてを深く考察すると共に、近い将来に起こりうる南海トラフ地震に対する防災意識の涵養を図る。
・そのため、例年実施されている生徒会主催行事「小さな地球交流会」を総合的な学習(探究)の授業の一環として3月17日に行い、津波が発生した時に実際にどのような対応をするのか、クロスロードの技法を用いた全校での学習会を設定し、今年度の一連のプログラムの内容を総括とした。

本校は外国籍、帰国生徒が大多数を占める学校で、その文化的バックボーンも、地震・津波に対する意識も多様であり、「もし、下校時に地震・津波が発生した場合、どうするか?」というテーマで1~5年が混在したチームを作成してディスカッションと意見発表を行い、海と防災の相関性や、防災についての意識の涵養、さらに海を巡る様々な課題についての意見を交換した。

01 東日本大震災被災地支援活動(旧大川小学校)
02 東日本大震災被災地支援活動(名取夏まつり支援1)
03 東日本大震災被災地支援活動(名取夏まつり支援2)
04 東日本大震災支援活動(閖上地区語り部訪問)
05 (5年次)授業
06 (4年次)授業
07 (2・3年次)授業
08 (1~5年)授業
09 能登半島被災地訪問(子ども食堂支援)
10 環境活動(芦屋浜清掃活動)
11 環境活動(竹野浜海岸清掃)
 

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