東京 私立 単元開発 2025年度
かえつ有明高等学校
地域(人)と東京湾(海)をつなぐ海洋科学教育
実施単元
1. 宇宙や地球の科学[高校2年生](科学と人間生活)
取り組みの概要
1. 活動テーマ
「人と海を繋ぐ科学とは?」― 葛西臨海公園の干潟における探究学習 ―
2. 活動のねらい
本校近隣に位置する葛西臨海公園をフィールドとし、高校2年生の「科学と人間生活」の授業の一環として実施した。実際に干潟での観測調査を行うことで、生徒自らが問いを立て、科学的な手法で探究するプロセスを体験する。また、外部の専門家との共同研究や対話を通じて、生物多様性への理解を深めるとともに、人間社会と海洋環境の関わり(科学の役割)について考察することを目的とした。
3. 活動内容と実施体制
専門的な知見を取り入れた高度な探究学習を実現するため、以下の2名の講師を招聘し、事前学習からフィールド調査、共同研究までを連携して実施した。フィールド調査と共同研究の実施葛西臨海公園の干潟にて観測調査を実施。生徒たちは専門家の指導のもと、底生生物の採集や環境計測を行い、自分たちの研究テーマを策定した。
<専門講師による指導>
・饗場 空璃 氏(高知大学 3年生)
専門である魚類分類学・魚類系統地理学の観点から、魚類の多様性や系統関係、調査手法について指導を仰いだ。若手研究者としての視点から生徒の探究活動をサポートし、共同研究の質を高めた。
【写真_饗場氏出前授業(1)・(2)】
・柏尾 翔 氏(きしわだ自然資料館 学芸員)
ウミウシ・ナマコ研究の専門家として、また「チリメンモンスター」の発案者として、底生生物学の基礎から観察のポイントまで幅広く講義・実習を担当。特に、一見貝には見えないウミウシが実は巻貝の仲間であり、貝殻を無くす方向に進化した過程や、食性(藻類食や動物食)に応じた多様な歯舌の形態など、生物の進化と多様性について、実物や資料を基に解説を行った。
【写真_柏尾氏出前授業】
4. 外部講師の知見の活用
柏尾氏からは、東京湾におけるウミウシの多様性や外来種の可能性についての知見が提供された。東京湾の生物多様性の理解: 東京湾で見つかった新種(ヤミヨキセワタ等)や、お台場海浜公園などの人工海岸にも多様なウミウシが生息している実態を学び、身近な海の豊かさを再認識した。科学的な検証プロセスの学習: 大阪湾で見つかったクロゴミノウミウシが外来種かどうかを評価する際の4つの観点(分布記録、分類、飼育実験、移入経路の検討)を通じて、科学的な証拠に基づき結論を導き出す手法を学んだ。
5. 成果とまとめ
生徒たちは、専門家と共に実際に手を動かして調査を行うことで、教科書だけでは得られない「生きた科学」を体験した。干潟に息づく多様な生命に触れることで、テーマである「人と海を繋ぐ科学」の重要性を自分事として捉える契機となった。今回の調査データや知見は、今後の事後学習においてさらに分析を進め、探究の成果としてまとめた。
【写真_葛西臨海公園干潟観測(1)・(2)、葛西臨海公園干潟観測生物調査結果】
6.今後の展望
今回の葛西臨海公園での調査では、どのような生物が生息しているかという生物調査であったが、今後は、季節的な変動を中長期的に、そして定量的に観測していくことで、葛西臨海公園の干潟を通して、東京湾の干潟生態系を明らかにしていく。






