鹿児島 教育委員会 地域展開 2025年度
与論町教育委員会
地域連携型の与論町海洋教育 〜ユンヌの海から世界へ〜
活動参加校
教育委員会の取り組みの概要
(1) 助成終了後の継続的な実施のための環境整備
・中学校・高等学校の年間授業計画について、地域協働型授業を含むフレームを作成した。
・地域サポーターとの連携強化に向けて、取組みを体系化し、持続的に連携できる環境を整備した。
・海洋教育Webサイトは、内容を見直し、授業での活用が進む実用的な教材として改訂した。さらに、副読本およびWebサイトを活用した研修を継続し、与論町海洋教育「ゆんぬ学」の目的・内容・組織体制への理解や共通認識を持てる基盤を整えた。
(2) 学校間の連携推進・発展
・中高連携による一貫した学びの構築
中学校・高等学校の年間授業計画について、地域協働型授業を含む学びのフレームを作成した。また、中高それぞれの地域コーディネーターが連携することで、学びがつながるよう工夫した。高校の発表会に中学生が参加できる機会を設けた。
・小学校の特色を生かした授業の充実
学校教諭を中心に、小学校担当学校コーディネーターのサポートによる各校の特色を活かした授業を計画、実施した。地域人材や島外講師を活用し、小学生が地域を知り、興味・関心を育てる学びを重視した。
・協議会・部会の開催による連携強化
海洋教育推進協議会、役員会、海洋教育部会を継続して開催し、学校・行政・地域の連携体制が安定的に維持された。
(3) 参加校の合同発表会の開催内容
・令和8年1月27日に、島内5校が参加する「第6回ヨロン海洋教育フェア」を開催した。1年間の学びを児童・生徒が発表し、展示スペースでは発表者以外の活動成果も共有された。各学校の発表後には学校種を交えたグループでの意見交換や、発表グループへのフィードバックが実施された。
(4) 教員を対象とした海洋教育に関する研修の実施
・与論中学校(4月4日)、与論高等学校(4月10日)にて職員研修会を実施した。
・「ゆんぬ学研修」:「地域の海を知る」「地域の文化を知る」ことを目的にした島内研修(8月29日)、指導者が合同で研修に参加し、学校間の交流を深めたり、他地域の活動を知ることで、今後の与論町海洋教育の継続・発展に繋げるための島外研修(8月4日~7日)を実施した。
(5) 副読本の作成状況や活用(必要に応じた改定の検討)
・教員対象の研修会において、副読本を活用し、与論町海洋教育の目的・実施内容・組織等、概要について、理解を深めている。与論町教育委員会WEBサイトに副読本を掲載している。
(6) 外部や地域との連携
与論高校ゆんぬ学での活動
・【価値創造ゼミ】与論町が抱える地域課題を題材に、生徒が主体的に課題を探究し、協働的な活動を通じて解決策を構想・実践・発信するプロジェクト型探究活動。
主催:(共同実施)鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター・鹿児島県立与論高等学校・与論町海洋教育推進協議会
・【「海と希望の学校 in 奄美」夏季集中柏サイエンスキャンプ成果発表会】与論高校、大島高校が夏季集中柏サイエンスキャンプにおいて水分析をテーマに実習を行う。あわせて、大学院生・教員との協働・交流の機会を設け、生徒の科学的探究心の醸成を図る。
主催:東京大学大気海洋研究所
その他の活動
・【九州大学?? ゆんぬ学特別講座】地球温暖化の解決策として注目される水素エネルギーについて、島民にわかりやすく紹介し、小学生向けには実験授業を実施。島民が持続可能なエネルギーや環境問題に主体的に関心を持つきっかけとする。
共催:九州大学 水素エネルギー国際研究センター・与論町海洋教育推進協議会
・【鹿児島大学練習船「かごしま丸」寄港記念 船内ツアー】鹿児島大学の練習船「かごしま丸」の寄港を記念し、一般の方々に船内を公開することで、海洋教育への関心を高める。船内ツアーや関連イベントを通じて、「船乗りの仕事」や「水産学」の魅力を伝え、未来を担う人材の育成に貢献する。
主催:与論町海洋教育推進協議会
協力:鹿児島大学水産学部
・【奄美野生生物保護センター 出前授業】与論島では見ることができない野生生物の剥製に触れることで,野生生物の環境を考えるきっかけとする。
主催:奄美野生生物保護センター・与論町海洋教育推進協議会
・【令和7年度拾い箱改修プロジェクト】(活動内容:拾い箱の改修)生徒たちが地域課題に触れ、学校での探究活動をより実践的で具体的なものにすること。
・【ゆんぬ学HPサポーターリスト】指導者(教員)向けページ(閲覧制限付き)※地域サポーターが実施する授業内容や連絡先など閲覧が可能。
(7) 全国に向けた海洋教育の取り組みに関する情報発信
・【与論町教育委員会HP・海洋教育ページ】各学校の授業情報、与論町海洋教育に関する情報の発信
・【与論町海洋教育推進協議会・ゆんぬ学Webサイト】各学校で実施した授業内容、これから実施する企画・イベントなどの情報発信
与論町立茶花小学校
実施単元
1. 教えて,ウプ・パーパー[第3学年](ゆんぬ学)
2. 与論とわたしたち ~特産物から~[第4学年](ゆんぬ学)
3. ユンヌの海とわたしたち[第5学年](ゆんぬ学)
4. ヨロンのタカラ探し[第6学年](ゆんぬ学)
取り組みの概要
3年「教えて,ウプ・パーパー」
自分のおじいさんやおばあさんを学校に招き,昔遊びを一緒にしたり,ユンヌフトゥバを教えていただいたりした。昔遊びでは,お手玉,けん玉やコマまわしを一緒に楽しんでいた。また,ユンヌフトゥバでは,自分が知っているユンヌフトゥバを紹介したり,ユンヌフトゥバでの言い方を学習したりした。お手玉やけん玉,コマまわしを興味をもってする子供もいて,学校行事の発表会でも,観客の前でお手玉やけん玉,コマまわしを披露し,ユンヌフトゥバを紹介することができた。
4年「与論とわたしたち~特産物から~」
保護者の協力のもと,与論の特産品であるサトウキビの栽培に挑戦した。1学期にサトウキビの植え付けや世話をし,3学期にサトウキビの収穫や黒糖作りを行った。島内でよく目にすることがあるサトウキビであるが,実際に体験することで,新たな気づきがあった。収穫では,サトウキビをかじってみたが,初めてかじった子供も多かった。黒糖作りでは,自分たちの刈ったサトウキビをサタグルマでひき,黒糖を作った。
5年「ユンヌの海とわたしたち」
与論の課題を知るために,昔の与論と今の与論を知ることから始めた。風花苑を訪問し,利用者から昔の与論の様子を聞いた。観光協会が制作した昔の様子を収めた映像を観ることでイメージ化することができた。また,役場環境課の杉田恭宣さんやB&Gの池田剛さんをお招きし,昔の与論の様子や今の与論での取組を紹介していただいた。そこから,与論の観光に興味を示し,自分たちでSDGsの視点から,観光業を盛り上げるための提案の考え,発表することができた。
6年「ヨロンのタカラ探し」
これまで与論に関連する音楽といえば,3のつく日に「サヨサ節」を歌うことや運動会でエイサーを披露することだった。これまで関わってきた音楽をもっと知り,自分たちで奏でてみたいということで,本校保護者で音楽活動をされている小髙明日香さん,有馬瞳さんに御協力いただいた。「サヨサ節班」「ラッパ節班」「オリジナル曲班」に分かれて活動を始めた。三線の弾き方,太鼓の叩き方や演舞を教えていただき,発表をすることができた。
与論町立那間小学校
実施単元
1. 調べよう 知ろう ユンヌの作物[4年生](ゆんぬ学)
2. ユンヌの海と環境問題[5年生](ゆんぬ学)
3. ユンヌの魅力発信(景観学習)[6年生](ゆんぬ学)
取り組みの概要
海洋教育科「ゆんぬ学」では,「海と人との共生」に迫ることはもちろん,島だちの力を身に付けさせることをねらいとしている。このねらいを達成するために,学年ごとにテーマを設定し,地域と連携した協働的な探究学習を展開してきた。
【4年 サトウキビの栽培体験と黒糖づくり】
4年生は,学校農園を利用してサトウキビ栽培に取り組んだ。4月から継続的にキビ畑の草取りやキビの生長観察を行ってきた。そして1月末に保護者と協力してキビ刈りを実施した。キビ用の鎌を上手に使い,葉を落とすことができた。刈ったキビを使用して民俗村で黒糖作り体験をした。砂糖車を使って昔ながらのやり方でキビを絞ることで、楽しさや大変さを実感することができた。与論の地場産業である黒糖づくりの歴史や過程を知る貴重な体験となった。
【5年 与論の海の環境を守るためのアイディアコンテスト】
5年生は,与論の海の環境がごみなどによって脅かされている現状を講話や体験から学んだ。そこから「自分たちにできることはないか」と海の環境を守るアイディアを出し合った。「ペットボトルキャップの回収率を上げる取り組み」「ゴミ拾い大会の開催」「不法投棄をなくす看板制作」「海の現状を知ってもらう新聞作り」の4つのアイディアのもと,一年間活動した。成果は,児童の興味・関心に合わせてやってみたいことを実践する時間になったことだ。児童が企画・運営して休日に「ゴミ拾い大会」を開催できたことも大きい。自分たちでも行動すれば多くの人が協力してくれることやどんなに小さな一歩でも環境を守る活動は大切なことだということを学んでいた。
【6年生 与論・那間の魅力を発見して伝えよう~景観学習~】
6年生は,「ふるさと与論・那間の魅力に改めて気付き,その魅力を島の内外の人々へ発信しよう!」をテーマに「歴史・環境・産業・自然」のグループを作り,身の回りの景観から与論・那間の魅力について調べ学習を行った。まず,第一工科大学の西嶋教授を講師として招き,「景観」の意味や「景観学習」の意義について学んだ。また与論牛を育てる牛舎見学をしたり,サンゴ礁の保全活動に取り組んでいる地域の方と海岸観察を行ったりした。このような活動を通して自分たちが当たり前だと思っていた景色(景観)にはいろんな方の思いがあり,素晴らしいものなのだということを再発見することができた。更に学習の成果を,保護者・地域の方々や景観学習講師に向けて発表した。
鹿児島県立与論高等学校
実施単元
1. 地域の課題を通して課題研究の素地を身につける[1年生](総合的な探究の時間)
2. 各自で見つけた課題を解決することで研究を進化させる[2年生](総合的な探究の時間)
3. これまでの研究内容を研究概要としてまとめる[3年生](総合的な探究の時間)
取り組みの概要
与論高等学校では総合的な探究の時間「ゆんぬ」を中心に,全学年がそれぞれ探究活動に取り組んだ。地域サポーターの協力の下,与論独自の文化や環境について,学びを深めながら研究活動を行った。1学年はグループ,2学年は個人での活動を通して,地域の課題を考え,フィールドワークやアンケート等を実施しながら探究活動に取り組んだ。
また,与論町海洋教育推進協議会と適宜連絡を取り,事業を円滑に進めた。本年度も与論高校全体の取り組みとして次のような活動を実施した。
(1) 探究シンポジウム
年度初めの探究導入として,様々な領域で活動している地域住民の方々と意見交換を行う「探究シンポジウム」を開催した。前半は探究の進め方及びフィールドワークの方法について地域コーディネーターの方々から具体的な事例を交えて説明していただいた。生徒も質疑応答を通して内容を深めることができた。後半はワールドカフェ形式で議論を行った。
ワールドカフェのテーマ一覧
(1)誰かに「ありがとう」と言いたくなる与論の瞬間って?
(2)「与論で育ってよかったな」と思うときって,どんなとき?
(3)未来に残したい「与論の良さ・風景」は?
(4)「もっとこうなったらいいのに」と思う与論の姿は?
(5)与論で「自分にもできそう」と思えることってある?
(2) 中間ワークショップ
夏休みに行ったフィールドワークの実践内容やこれまでの研究について,地域の方々をお招きし,9月に中間報告会を行った。地域の視点からいただいた具体的なアドバイスは生徒にとって新たな気づきとなり,課題や研究の方向性を見直すきっかけとなった。大人との対話を通して,自分たちの探究を実社会と結びつけて考える意識が高まり,研究をさらに深めようとする意欲につながった。
(3) 校内発表会
12月に今年の探究活動のまとめの場として実施した。1年生はスライドを利用した発表,2年生はポスターセッション形式の発表を行った。地域サポーターの方々だけではなく,保護者や地域の方々にも自由に来ていただき,ご意見をいただいた。中学2年生も聴講し,他学年の生徒同士が互いの発表を聞き合うことで,多様なテーマやアプローチに触れ,自身の探究を振り返るとともに,次年度への意欲を高める機会となった。
(4) 外部での活動への参加
今年度も,1月に行われたヨロン海洋教育フェアにて3グループがスライドでの研究発表を行った。また,2年生は校内発表会で作成したポスターを会場内に掲示し,小中学生や地域の方々にも見ていただいた。3月に行われる「高校生サミットin奄美」においても,代表の1グループが研究発表を行う予定で研究を進めている。
(5) 東京大学サイエンスキャンプ
東京大学大気海洋研究所が主催した7月のサイエンスキャンプ夏季集中講座に,今年度も2年生が6名参加した。採水にあたっては与論町役場の方々にも協力をいただき,与論島内各地で行うことができた。柏キャンパスでの研究も実施することができた。研究活動についての報告も,9月の文化祭,11月の東京大学大気海洋研究所・医科学研究所合同奄美シンポジウム,1月の海洋教育フェアで発表を行い,また,壁新聞も発行している。
また,今後さらに研究を深め,5月に行われる日本地球惑星科学連合2026年大会に参加する予定である。
(6) 価値創造ゼミ
今年度から新たに鹿児島大学と連携して価値創造ゼミがスタートし,1年生6名が参加した。「創無活有:無いものを創り,有るものをもっと活用する」を大きなテーマとし,身近な問題を取り上げて課題解決への方法を探究した。8月には鹿児島大学での実習に参加,2月には九州大学でのPARKS主催MEET UP2026に参加した。
※PARKS(Platform for All Regions of Kyushu & Okinawa for Startup-ecosystem)
与論町立与論小学校
実施単元
1. 与論島の昔のくらしを調べよう[3年](ゆんぬ学)
2. 与論の文化や行事について調べよう[4年](ゆんぬ学)
3. 与論の恵みの味[5年](ゆんぬ学)
4. ユンヌフトゥバに親しもう[3~6年](ゆんぬ学)
取り組みの概要
○「与論島の昔のくらしを調べよう」3年
おじいさんやおばあさんが子供だったころの与論の暮らしについて調べ,新聞にまとめた。今のくらしと昔のくらしがどのように変化したのかを詳しく調べてみると,昔のくらしには様々な工夫が凝らされていたことに気付くことができた。また,民俗村を訪れ,昔の道具や昔の住居を実際に目で見て調べることができた。
○「与論の文化や行事について調べよう」4年
与論の伝統的な文化や行事の中で,十五夜踊り,芭蕉布,ぷちむっちゃーについて調べた。それぞれゲストティーチャーを招いたり,施設に行ったりして体験活動を行うことができた。存在は知っていたけど,十五夜踊りを見に行ったり芭蕉布を織ったり,ぷちむっちゃーを作ったりしたことがない児童がほとんどで,よい体験となった。また,自分たちにできることを考えるきっかけとなった。
○「与論の恵みの味」5年
与論の特産物であるさとうきびを栽培し,黒糖を昔ながらの方法で作ることで,先人の知恵や苦労を体験した。さとうきびの植え付け後は除草の作業を行い,成長を見守った。きびかりのやり方については,保護者の方に教えていただいた。民俗村での黒糖作りは大変であったが,与論の伝統的な方法で黒糖を作り,苦労と共にそれを味わうことができた。
○「ユンヌフトゥバに親しもう」3年~6年
月に1回与論民俗村の菊さんに来てもらい,与論のことわざカレンダーやゆんぬふとぅばカルタの言葉を読んだり,ゆんぬ劇(方言劇)を創り上げたりする活動などを行った。児童にとっては,身近な場で使われなくなってきた地元の方言であるが,身近な言葉を通して方言に親しんだり,昔話を演じたりする等で,表現することができた。
与論町立与論中学校
実施単元
1. 課題解決「ボードゲーム」[1年生](ゆんぬ学)
2. ミニレポート発表会&ヨロン海洋教育フェア[2年生](ゆんぬ学)
3. 職場体験学習&職業図鑑作成[3年生](ゆんぬ学)
取り組みの概要
○「課題解決 ボードゲーム」1年
与論町の「課題」と「あったらいいな」を例に、オリジナルボードゲームの作成に取り組んだ。ゲームを作成する中で、与論の「良さ」や「課題」について考える機会となり、今後取り組む探究学習の中で自身のテーマ設定やアイディア、また実践へ繋げることができた。
○「ミニレポート発表会&ヨロン海洋教育フェア」2年
様々な分野の大人との対話を通して与論の「良さ」「課題」を考え、対話から、現状の理解を深め、探究活動の「問い」へと繋げる興味・関心のある 分野を見つけた。また、設定した「探究学習のテーマ」に対して地域の大人からフィードバックをもらいより自分らしい、具体的な探究テーマへと繋げる活動を行った。自分なりの考えやアイディアをプレゼンにまとめて、調べたことを海洋教育フェア等で発表した。探求学習で設定したテーマや問い、自分なりの答えを、町長や議員などの地域の方々に発信する機会を設けた。
○「職場体験学習&職業図鑑作成」3年
グループワークを行い、職場体験学習で収集した情報を,整理・分析し、気付きや発見,自分の考えなどをまとめ,表現する活動を行った。アウトプットを通して,「達成できたこと」「解決できなかったこと」「上手くいかなかったこと」など学習体験を自分なりに振り返り、アウトプットを通し,興味・関心や問題意識を具体化・明確化した。まとめた内容を職業図鑑として、地域サポーターの協力を得てデザイン製本し、地域の大人や職業をまとめた本を作成した。






































