広島 教育委員会 地域展開 2025年度
江田島市教育委員会
島っこの特権を生かした江田島市のコアカリキュラム「さとうみ学習」の構築と推進
活動参加校
教育委員会の取り組みの概要
(1) 助成終了後の継続的な実施のための環境整備
・各校で実施する際にかかる体験費や消耗品費等を「ふるさと実感事業費」に加算して配分した。
・教育委員会学校教育課に「さとうみ学習担当指導主事」「里海コーディネーター」を配置した。
・江田島市教育委員会学校教育課とさとうみ科学館の担当者が連携を推進するため定例会議を実施した。
・「さとうみ学習」の授業実施の参考資料として、毎年「さとうみ学習実践事例集」を作成し、学校教員向けに配付する予定である。(24年度事例集には約20事例を掲載し、教員や市議会議員に配付した。)
(2) 学校間の連携推進・発展
・「里海コーディネーター」を活用し、学校が他学校や地域事業者と連携できるよう支援した。
(3) 参加校の合同発表会の開催
・江田島さとうみフェスタ2025 12月5日実施(実施場所:大柿市民センター)
・参加校:リーディンク校5校 中町小学校、鹿川小学校、三高小学校、大古小学校、能美中学校
・各学校の取組を発表し、さとうみへの愛着の深まりについて振り返るワークショップを行った。
・参加したすべての児童生徒が、自分の言葉で「さとうみ学習」を通した学びや江田島市の魅力について表現することができた。
・保護者や地域事業者の方の参加も促し、一般参加者は10名程度だった。
(4) 教員を対象とした海洋教育に関する研修の実施
・8月28日に実施。各校のさとうみ学習担当教員や新しく本市に赴任した教員を対象に、16名が参加した。
・参加教員に対し、三部構成で研修を行った。
第一部:江田島市役所商工観光課職員から「江田島の海の仕事」についての講話を聞いた。
第二部:市内で水産加工業を営む白地水産株式会社と連携し、イワシ漁の様子を船上から観察したり、加工工場を見学したりした。
第三部:本研修の学びを生かした「さとうみ学習」単元づくりワークショップを開催した。
・参加した教員は、講話や施設見学を通して「さとうみ学習」に関連する本市の自然・暮らし・産業・歴史への理解を深めるとともに、地域人材や資源を活用した授業づくりの視点を養うことができた。
(5) 副読本の作成状況や活用(必要に応じた改定の検討)
・児童生徒が海について知り、海への愛着を高めるような副読本を目指して、定例会議にて構成及び内容について議論した。
・副読本作成段階から市内の児童生徒が参加できるよう、8月30日に「えたじま海の絵ワークショップ」を開催し、副読本の挿絵を作成した。
・副読本は、令和7年度には1,000部印刷し、順次、市内小中学生に配付する。
江田島市立中町小学校
実施単元
1. 江田島の海を見つめて[第5学年](総合的な学習の時間)
2. なつがやってきた~いきものとなかよし~[第1学年](生活科)
3. Ns3ハッピートラベル Season2[全学年](特別活動)
取り組みの概要
1. 江田島の海を見つめて
【単元の概要】
江田島の海を楽しみつくそうと、江田島の海でやってみたい体験活動について計画案を作成した。それらを提案→修正→再提案を繰り返すことで、イベントの計画力、発表力、運営力を高めていくことを目指した。カヌー体験や貝殻キーホルダー作り、釣り、海のゴミを使った工作などを通して、海の魅力を知るだけでなく、環境保全や地域の自然との関わり方を学ぶ。子どもたちは「江田島の海をもっと大切にしたい」という思いを育み、体験を通じて「自然とともに生きる力」や「自ら考え行動する力」を身に付け、地域への愛着を深めることができた。
【児童の変容】
○発表と修正を繰り返す中で、イベントを計画する力や、恥ずかしがらずにみんなの前で話す力が身に付いた。
○各グループが計画したものをクラスの全員で実施することで、責任をもってイベントを運営する力が身に付いた。
○海に関わる様々な体験を通して、江田島の海をもっと大切にしていきたいという思いをもった。
【成果○と課題●】
○海に関する様々な体験を通して、江田島の自然や海の魅力を深く理解することができた。
○イベントの計画・実行を通じて、協力して行動する力や責任感が育まれるとともに、イベントを成功させようという思いが、探究活動へとつながった。
●活動時間の配分が難しく、計画段階での準備不足や進行の見通しの甘さが見られた。伝えたいことが正しく伝わるような表現力の幅を広げていく必要がある。
●情報収集が、身内への聞き取りやインターネットに頼ることが多く、もっと地域の人材活用へとつながっていくような働きかけが必要であった。
2. なつがやってきた~いきものとなかよし
【単元の概要】
春の遠足で行った長瀬海岸で、感じたことを生活科の単元として引き継いで設定した。浜辺での観察や水遊び、貝やカニなどの生き物との出会いを通じて、自然に親しみ、友達と協力して活動する力を育てる。見つけたことや感じたことを絵や言葉で表現し、江田島の海の豊かさや美しさを実感しながら、地域の自然を大切にしようとする心を育むとともに、さとうみ科学館との連携や継続的な取組を意識した。
【児童の変容】
○海の風や波の音、砂の感触、生き物の動きなどを五感で感じることで、自然に対する興味や愛着が深まった。
○はじめは、捕まえた生き物を持って帰って飼いたいという児童もいたが、飼育するためにはもっと学習する必要があることを理解し、海に返すことにした。このことにより、命を大切にしようという思いをもった。
○海の生き物に興味をもち、昨年度の5年生(現6年生)がオープンさせた「中町小アクアリウム」に通う子どもが増え、えさやりや水槽の掃除を手伝うようになった。また、飼育の仕方や生き物の生態について6年生によく質問するようになった。
【成果○と課題●】
○身近な自然が校区にある利点を生かし、海をベースにした体験活動を展開することができた。この体験により、季節の変化や環境の豊かさに気付くことができた。
○地域の自然(江田島の海)に親しみをもち、自然や生き物への興味・関心が高まり、自然や命を大切にする気持ちが育った。
●他教科との関連付けを意識して、さらにカリキュラムマネジメントしていく必要がある。江田島市の「ふるさとの自然作品コンクール」にこの体験学習を生かしていきたい。
3. Ns3ハッピートラベル Season2
【単元の概要】
一昨年度発足した「Ns3ハッピートラベル」の続編「Season2」の取組である。普段は陸からしか見ていない江田島を海上から眺めることで、島の形や港の様子、海と人々のくらしの関わりに気付くことをねらいとした。宮島では、みやじマリン(宮島水族館)で瀬戸内海の生き物を観察し、厳島神社や町並みを見学して、江田島との文化や環境の違いを体感した。この活動を通して、児童は「海でつながる地域」という視点から、江田島と宮島の自然・文化・人々のくらしの関係を学び、自分たちの住む地域への誇りと関心を深めた。
【児童の変容】
○集団活動における変容
・係や班の役割を果たしながら活動する中で、友達と協力したり、助け合ったりする場面が見られた。
・お土産を買う際、地元の店で働く人とのふれあいの中で、地域の人々のやさしさや温かさに触れることで、感謝の心が育った。
○学びの側面での変容
・海からの江田島を眺めたり、宮島の海辺や水族館で生き物を観察したりすることで、海の環境や生き物への興味が深まり、江田島、宮島以外の海との比較もしてみたいという思いをもった。
・英語の学習を生かして、外国の観光客とも会話を行い、恥ずかしがらずに異文化交流をすることができた。
【成果○と課題●】
○全校で共通の目的地を社会見学したことで、他学年(縦割り班や兄弟姉妹)とも学びを共有することができた。
○海から江田島を眺める、他の島と文化の違いを比較するなどの新たな視点をもつことで、学習の視野が広がり、より幅広く、より柔軟に地域学習を進めていくことができた。
●全学年での活動であるため、発達段階に応じた学び方や学習課題の設定にさらなる工夫が必要である。
江田島市立大古小学校
実施単元
1. 生きものなかよし大作戦[第2学年](生活科)
2. 未来発見!江田島探検隊! ~江田島の10年後、50年後はどうなっているかな~[第5学年](総合的な学習の時間)
3. 「絆を深めよう会」をしよう[第6学年](学級活動)
取り組みの概要
1.生きものなかよし大作戦
【単元の概要】
これまで児童は幼児期に自然に触れ感動する体験を通して、身近な事象への関心を高めてきている。2年生ではその経験を生かし、江田島の浜辺にいる生き物の採取を通して、生き物を採るときの安全な活動方法を知るとともに、生き物を大切にする気持ちを育てていく単元である。
【児童の変容】
○生き物と触れ合うことを通して生き物に親しみをもつだけでなく、生命の大切さに気付く姿を目指し、生き物を採取した。その結果、生き物の生態を進んで調べる意欲的な児童が増えた。
○生き物の絵を描くときに細かい部分まで見ながらスケッチする姿が見られた。
【成果と課題】
○生き物の生態を講師の方に教えてもらいながら、採取することができたので、目に見えない所や自分では気付かない場所を探すことができた。
●生き物の体の細かい部分まで見ながらスケッチすることをねらいとして取り組んだが、採取してすぐに絵を描かなかったので、次からは採取したら、記憶が新しいうちにスケッチしていくことが大切であると感じた。
2.未来発見!江田島探検隊!~江田島の10年後、50年後はどうなっているかな~
江田島市立三高小学校
実施単元
1. ETAJIMA GURURI~行きたい!住みたい!わたしたち江田島PR隊!~[第3~6学年](総合的な学習の時間)
2. ETAJIMA GURURI~春の遠足 江田島ぐるり一周の旅~[全学年](特別活動)
3. 三高の海でマイ発見!海のいきもの見つけたよ!!
取り組みの概要
1. ETAJIMA GURURI~行きたい!住みたい!わたしたち江田島PR隊!~
【単元の概要】
昨年度に引き続き、異学年縦割り班で「海」や「オリーブ」などの地域資源を生かした体験的・発信的な活動を行った。地域の人や自然との関わりを通して、江田島市の魅力を再認識するとともに、自分と異なる意見を大切にしながら協働的に学ぶ力や主体性、自分の思いや考えを他者に伝える力の育成を図る。
【児童の変容】
○江田島の海や特産物であるオリーブの魅力について理解することができたといった記述が見られ、地域資源への理解と関心が高まった様子が見られた。
○課題をそれぞれ自分達で設定したことで、最後まで主体的に活動する姿が見られた。
【成果○と課題●】
○学校主催の「ETAJIMA GURURI」での振り返りを生かし、ひろしまみなとマルシェ出店へと学びを発展させることができた。また、児童自ら課題を設定したことで、主体的・意欲的に活動することができたので、有意義だった。
●イベント主催、出店が続き、活動が広く浅くなってしまった。もう少し時間をかければ、より深く地域資源について学ぶことができたり、事後の活動も充実させることができたりしたのではないかと考える。
2. ETAJIMA GURURI~春の遠足 江田島ぐるり一周の旅~
【単元の概要】
自分達が住む島に親しみをもつこと、新しい縦割り班での活動を通して、児童同士の交流を深めることをねらいとしている。また、生活科及び総合的な学習の時間における学習テーマの設定に向けて、江田島市の新たな魅力を探究することも目的に、船で江田島を一周する遠足を実施した。
【児童の変容】
○江田島市を外からぐるっと見たことで、自分の住んでいる地域ではあるが、初めて知ったことや、自然豊かな場所であることに改めて気付いたという声があった。
○遠足で学んだことが、総合的な学習の時間や生活科の学習テーマを設定するうえで、ヒントになっていた。
【成果○と課題●】
○総合的な学習の時間と関連させた授業を展開したことで、特に海について調べた児童にとっては、課題、取組、今後の生活の仕方についてイメージしやすく、より学習を深めることができた。
○児童だけでなく、教職員も実際に外側から江田島市を見たり、江田島市の海に関する資源について知ったりすることができた。子どもも大人も「地域を知る」ことができる時間だった。
●ビーチコーミングの予定だったが、天候不良で実施できなかったため、海での活動ができなかった。海や海辺の生き物の興味関心を広げるためにも、海での活動は必要だったと考える。
●安全・安心に活動するために、下見は必須である。
3. 三高の海でマイ発見!海の生き物見つけたよ!!!
【単元の概要】
本単元は、三つの単元「生き物 なかよし 大作せん」「みんなでつかう まちのしせつ」「つながる広がる わたしの生活」を関係付けて構成されている。
第2学年の児童(8名)は、海を身近に感じる地域に住んでいるが、地域の海辺での遊びの経験は少ない。そのため、地域の海辺のどのような場所にどのような生物がいるのかということについて知らない児童が多い。そこで、生活科において、三高の海辺の生物の採集・観察を行い、飼育のための知識や準備の不足から飼育することが叶わない経験をすることを通して、「どうすれば海辺の生物を飼うことができるか。」という問いを引き出すようにする。その問いを解決することを当初の目的にすることで、児童自らが飼育するための情報収集や必要な物品の依頼をせざるを得ない状況をつくる。
一方で、本校の総合的な学習の時間の取組である学習発表会「ETAJIMA GURURI」や「ひろしまみなとマルシェ」における江田島の魅力発信との関連から、2年生が感じた三高の海の様子を表したタッチングプールや三高の海辺の生物の展示による「三高の生物の面白さや楽しさ」を発信し、「三高の生物の面白さや楽しさ」を他者と共有することを新たな目的として学習を進める。最初の発信の場として、学習発表会「ETAJIMA GURURI」を位置付け、取組を振り返り、次の発信の場となる「ひろしまみなとマルシェ」に向けて、取組内容の改善を図るようにする。
このような学習活動を通して、地域の海に愛着をもち、地域の海を大切にしようとする態度を育成するとともに、地域の海と他の地域の海との差異や江田島の海の多様性に気付いていくための素地を養う。
【児童の変容】
○タッチングプール等の準備を自分達で進めながら、ETAJIMA GURURI(学習発表会)で三高の海の生物と触れ合える場を設け、体験してもらえたことで、「来た人に海の生き物で楽しんでほしい。」「海の生き物を好きになってほしい。」といった思いが高まった。
○昨年度や今年度のETAJIMA GURURI(学習発表会)における高学年のブースの展示の仕方や学校の水槽の生物の紹介を参考に、ひろしまみなとマルシェでの出店に向けて、主体的に集客のための工夫を考え、必要な掲示物等を作成するようになった。
○放課後などに水槽で飼育している海の生物を繰り返し観察し、発見したことを自主的にクイズにして掲示するなど、海の生物への関心が高まった。
【成果○と課題●】
○三高の海辺の生物を見付ける活動を複数回位置付けたことで、三高の海辺の生物への興味・関心を高めることができた。
○三高の海辺の生物の大体の特徴を子供たちなりに捉え、今後江田島市における「さとうみ学習」を進めていく上での素地の形成を図ることができた。
●他者との触れ合いや交流がより活発になるように、マイ発見(おもしろい、すごい、知らなかった、どうして?)を振り返り、整理する時間を重視した計画にする必要がある。
●単元を計画する際には、季節により生物の見付けやすさや昼間の潮の引き方が異なることを踏まえておくとともに、時間帯による潮の干満や気温を考慮した上で、活動期間を設定する必要がある。
江田島市立鹿川小学校
実施単元
1. いきものとなかよし[第1学年](生活科)
2. はたらく人と わたしたちのくらし[第3学年](社会科)
3. 江田島の魅力伝え隊
取り組みの概要
1. いきものとなかよし
【単元の概要】
鹿川の海辺にいる生き物を探したり観察したりする活動を通して、それらの育つ場所、動きや特徴に関心をもって働きかけ、身近な生き物の様子や特徴、生命をもっていることに気付くとともに、生き物に対して親しみをもって接する態度を育てることをねらいとした単元である。
【児童の変容】
○さとうみ科学館で生き物と触れ合う際に、初めは怖がる児童も見られたが、他の児童の様子を見て、自分も触ってみようという気持ちが表れ、触ることができるようになった児童がいた。
○生き物がどんなところに棲んでいるのかを知り、見付けたい生き物がいそうな場所の見当をつけて探す姿が見られた。
○生き物によって動きやすみかが異なることに気付く姿が見られた。
○どの児童も、見付けた生き物の観察後は発見した場所に戻し、生き物の生命を大切にしようとする姿があった。
【成果○と課題●】
○海辺での生き物観察において、予めさとうみ科学館で生き物に触れ合っていたため、どの児童も単元の最初よりも、抵抗なく生き物に触れたり、観察したりすることができた。見学と海辺での活動の日程の間隔を近くに設定したこともよかった。
○さとうみ科学館 館長 西原直久 様 をゲストティーチャーとして招くことで、児童の海の生き物に対する興味関心が高まっていた。また、海辺での活動を安全かつスムーズに実施できた。
○カリキュラムマネジメントを行い、国語科「はっけんしたよ」とつなげることで、生き物を観察する意欲が高まっていた。
●海辺での活動は、潮位や天候によって日程や時間帯が左右されるため、調整に配慮が必要だった。一回限りでなく何度か活動を実施することで体験活動の効果が一層高まることが予想されるため、年度当初から、複数回実施するつもりで日程を調整する必要があると感じた。
2. はたらく人と わたしたちのくらし~
【単元の概要】
自分たちの住んでいる場所・遊んでいる場所に海があり、海で獲れたものを加工する工場がたくさんある環境で生活しているが、どのような水産物が獲れているか、また、どのように社会とつながっているのかを実感することは少ない。身近にある工場を見学することで、江田島で獲れるものを知り、ふるさとの海のすばらしさを伝えることができる力を身に付ける。また、見学する中で江田島市のよいところを考えたり、働いている人の工夫に気付いて工場と地域とのつながりについて考えたりする単元である。
【児童の変容】
○学習の導入では、「広島市や呉市のよいところは何個でも言えるけど、江田島市のいいところは思いつかない。」と言っていた児童もいたが、見学後の振り返りでは、「江田島市はすごい。」という感想をもっていた。
○魚は好きだけど、どのように獲られているかはイメージできる児童が少なかった。しかし、見学を通してそれがイメージできるようになったり、いりこができるまでにたくさんの人が関わっていることを知ったりすることができた。
○これまで分かったことを伝える際に、自ら文章を発表する方法のみを用いていたが、動画にまとめたり、クイズを作ったりすることで、伝え方の手段を増やすことができた。
【成果○と課題●】
○実際に見学をすることで、実感を伴った学びにつながった。また、児童たちにとって江田島市という地域について改めて考えるきっかけとなった。
○活動を通して、地元の企業や産業について知ることができた。
●季節によって獲れる魚などの種類が違い、予想していた見学と異なる内容となった。見学した時期が、いりこの漁の解禁日と重なり繁忙期であったため、見学の時期を調整する必要があった。
3. 江田島の魅力伝え隊!
【単元の概要】
周りを海に囲まれた島に住み、海との関わりをもちながら生活をしてきた児童ではあるが、海の環境について考えている児童は少ない。そこで体験活動や教科の学習等との関連を図りながら、江田島の海の環境のよさに気付かせていく。また、海の環境を守ろうとしている人々の活動について知り、自分たちにできることを考え、行動することを通して、自己の生き方を見つめ、よりよい生き方を考えていくための資質・能力を育成する単元である。
【生徒の変容】
○SUP・カヤックや無人島での体験活動を通して、近くに海があることのよさ、海水のきれいさ、波の穏やかさ等、江田島の恵まれた自然環境を実感することができた。
○江田島の海の環境を生かした取組や環境を守る取組をしている人の活動を知ることで、環境の大切さを理解し、自分たちもできることをしようと考えることができた。
○外国人観光客に江田島の魅力を英語で伝える活動を通して、英語によるコミュニケーションの楽しさや難しさに気付くことができた。
【成果○と課題●】
○「SUP・カヤック体験」「無人島体験」を通して、自分たちの住む海の環境について実感を伴う理解につなげることができた。
○国語科の海洋プラスチックごみの学習と関連させることで、地球規模で海の環境保全が大切であることに目を向けることができた。
○大阪万博で、さとうみ科学館職員やフウドの方が江田島の海について発表した動画を視聴することで、世界に向けて情報を発信することの大切さに気付くことができた。
○平和記念公園への社会見学と関連付け、外国人観光客に江田島の海の魅力について英語で伝える活動を仕組むことで、外国語科の学習を生かすとともに、コミュニケーションの大切さに気付くことができた。
●海を生かした体験は、児童の力だけでは難しく、地域の大人の協力と費用面での支援が必要である。また、気象状況に左右されるため、計画の変更にも対応できるようにしておくことも大切である。
●万博の期間中に江田島の海に関っての発表をされた方々がいらっしゃった。そのことについて事前に把握、連携して、児童の見聞を広めるきっかけとすればよかった。
江田島市立能美中学校
実施単元
1. 日常の調理と地域の食文化[第2学年](家庭科)
2. 世界の諸地域~ヨーロッパ州~[第1学年](社会科)
3. 地域を語る[第1学年](総合的な学習の時間)
取り組みの概要
1. 日常の調理と地域の食文化
【単元の概要】
調理実習を行い、江田島地域の郷土料理や魚を使った調理の方法を学ぶ授業である。江田島市の郷土料理である「もぶり飯」を作り、江田島市の郷土の味を受け継ごうとする意欲を高める。生徒は海が近く魚に親しむ機会が多い。そのため魚の捌き方を知り、実際に捌く体験を行うことにより、郷土への関心を高める。また、授業後は、郷土料理がなぜ受け継がれてきているのかを考え、郷土料理を受け継ぐことの大切さや、地産地消を行う利点を考え、地域の食材のよさについて理解できる授業内容である。
【生徒の変容】
○「もぶりご飯を家でも作りたい。」「アジフライなどおいしい料理の作り方を知ることができた。」「郷土料理は受け継いできた人の思いのある料理だから受け継がないといけない。」などの感想があった。このように、地域の方に講話をして頂くことで、教科書や実際の授業の中で学ぶことのできない地域の思いや海との関わりのある郷土に根づく文化に関心をもつことができた。
【成果と課題】
○江田島地域でとれる食材を使って生徒自ら調理し、実食することで、郷土の味を感じることができた。
○アジを捌く姿を近い距離で見ることで、捌き方に関心をもち、海が近い地域に住んでいることを実感することができた。
○本実践を通して、地域の特産品には様々なものがあり、地産地消の取り組みが地域や環境の面でも良い影響があることを理解するとともに、新鮮さや栄養面、価格面など様々な視点での利点があることに気づくことができた。
●実習時間の関係で全員がアジを捌くことができなかった。全員が捌くことでより江田島の海への興味関心が高まると感じた。
2. 世界の諸地域~ヨーロッパ州~
【単元の概要】
本単元は、地理的事象や産業、人々の生活、文化、歴史的背景などと関連付けながら、EUとして統合したメリットやそれに伴う経済格差などのデメリットについて考えることで、国家間の課題やEU特有の課題を捉えるものである。また、「SDGs」の項目と関連付け、キーワードなどを提示しながら課題を考えさせることで、他教科との横断的な学習を行っていく。さらに、江田島市ギリシャ共和国交流事業の一環として、在日ギリシャ人のムスラキス・ジョージ氏から、実際に暮らす人々の視点でギリシャの生活や気候、歴史などの話を聞くことでヨーロッパについて関心を高め、生徒の学ぶ意欲を高める単元内容である。
【生徒の変容】
○授業の導入時では、ヨーロッパ州やギリシャという国がどのような場所で、江田島とどのような関係性があるのかが分からなかった生徒も、ゲストティーチャーの話を聞き、日本との関わりが深いことを理解し、海を通してつながっているヨーロッパが身近に感じられるようになった。そして、その後の学習に、ヨーロッパと日本の関係性に着目しながら、ヨーロッパ州だけの課題だけではなく、他地域との比較や共通点・異なる点などを自ら見つけ、自ら課題を設定する生徒の姿も見られた。
【成果と課題】
○江田島市の姉妹都市を生かしたゲストティーチャーを招聘することで、遠く離れたヨーロッパ州が身近に捉えられ、生徒にとって主体的な単元計画となった。
○社会科で学習したことを総合的な学習の時間に生かすなど、さとうみ学習を通して教科横断的な取組みを行うことができた。そのため、生徒自身が多面的・多角的な見方・考え方で学習課題に取り組むことができた。
●深い学びにしていくために、自身の学びや変容を自覚できる場面や自分の考えを広げる場面を単元のどこに設定するかを教師が意図的に仕組む必要がある。
3. 地域を語る
【単元の概要】
江田島市が消滅可能性自治体となっている現在、ふるさと江田島市の現状を適切に捉え、課題と向き合っていく。1学年では江田島のことを、「知る」「聞く」「体験」を通してさとうみ学習を深める。中学校3年間のさとうみ学習を通して、自分たちが地域に貢献するためにどんなことができるかを考え、行動することで、自己の生き方を見つめ、よりよい生き方を考えていくための資質・能力を育成する単元である。
【生徒の変容】
○マリンアクティビティを授業として行うことができるのは、全国の中学校でも限られていると聞いたとき、生徒が誇らしそうな表情をしていた。海岸の清掃を行った際は、プラスチックゴミが多いことなど、新たな発見をしている生徒が見受けられた。
○地域おこし協力隊、さとうみ科学館、てくてくさつまいも本舗、郷土料理研究会、柳川水産の方々に仕事内容や江田島の魅力について講演していただいた。「ピンチはチャンスに変えられる」や「ふるさとの自然を知る子どもは、ふるさとを語れる大人になる」など、生徒のキャリア教育にもつながるような内容の講話があり、生徒が江田島についてより深く知ることができた。
○様々な体験等を通して、「小学校の時よりもふるさと江田島について考え、自分に何ができるのかを考えた」と振り返っている生徒が多かった。
【成果と課題】
○体験活動や地元の方と触れ合う時間を多く取り入れたことで、生徒がふるさと江田島に愛着をもつとともに、実感を伴った学びにつながった。また、生徒たちにとって「江田島の価値」が高まり、自分事として学習に取り組むことができた。
●教員主導でゲストティーチャーに講師依頼をしたため、生徒自らがアポイントメントを取る体験もできるとよかった。










































































