北海道 教育委員会 地域展開 2025年度
羅臼町教育委員会
知床学(海洋教育)「地域の海を守るために私たちができること」
活動参加校
教育委員会の取り組みの概要
1 助成終了後の継続的な実施のための環境整備
次年度の継続的実施のため、町から各校に約10万円ずつ、総合的な学習の時間用に助成金を支出する。
2 学校間の連携推進
推進協議会において、小中高の繋がりある教育課程の見直しを進めた。また、令和8年4月の統合に向けた小学校の教育課程の編成を進めた。
3 参加校の合同発表会の開催
令和7年12月4日に、羅臼町立春松小学校において、「第14回海洋教育成果発表会(ユネスコスクール研究発表会)」を開催した。2幼稚園、2小学校、1中学校、1高校が、それぞれの取組について発表・交流した。
また、地域住民にも公開したとともに、パイオニアスクールプログラム事務局のご協力のもと、YouTubeにて全国に向けて発信することができた。
4 教員を対象とした海洋教育に関する研修の実施
令和7年4月23日の羅臼町幼小中高一貫教育推進協議会全体会時に、羅臼町教育委員会横澤教育指導主幹による「羅臼版海洋リテラシー」についての説明と羅臼町副読本「知床学」の活用に係わる研修を実施した。
令和7年7月28日に、町内全幼小中高教員と根室管内教職員希望者を対象とした知床ダイビング企画社長 関勝則氏による「知床の海の魅力」についての研修会を実施した。
5 副読本の作成状況や活用
本年度は3年前に作成した知床学の副読本に、小学生用には北方領土に係わる内容とゼロカーボンに係わる内容を、中学生・高校生用にはゼロカーボンに係わる内容を追記した。
6 地域版海洋教育リテラシーの理解・普及の促進
羅臼町副読本「知床学」を町のホームページにアップするとともに、町の広報誌でも情報提供を行った。
7 その他教育委員会としての取組
1. 宮古島交流会の実施
令和8年1月12日から15日に、羅臼小学校、春松小学校、知床未来中学校、羅臼高校の児童・生徒代表1名、各校引率者及び教育委員会職員で、世界自然遺産地域に登録を目指している沖縄県宮古島を訪問し、パイオニアスクールプログラム宮古島交流会を実施した。
(1)宮古島市立鏡原小学校との交流会
昨年度、オンラインで「おむすび交流会」を実施した宮古島市立鏡原小学校を訪問し、小学生が海洋教育で学んだ成果を発表した。
春松小学校が、「羅臼町について」「知床学について」の発表を、羅臼小学校が、「知床学で学んだこと~羅臼昆布について・羅臼の将来について考える」の発表を行った。
鏡原小学校からは、学校の紹介について3つのグループから発表があった。
宮古島や羅臼の魅力、気候や特産物、行事など、お互いがこれまで知らなかった内容を知ることができたとともに、日本の北と南の地域の相違点や共通点を学ぶ貴重な機会となった。
(2)宮古島市立久松中学校との交流会
知床未来中学校より、「羅臼町と北方領土、知床未来中学校の知床学」についての発表を行った後、質疑応答を行い、「北海道では野菜が凍らないために冷蔵庫に入れると聞いたが本当か?」「知床学は教科か?」などの質問を受けた。
その後、久松中学校の池間教諭による「宮古島で100年先も残る企業とは?」の授業に参加した。グループワークの中で、宮古島と羅臼の違いを述べたり、羅臼での経験をもとに、積極的に意見を述べた。
(3)沖縄県立宮古高等学校との交流
2年生の地理の授業を受講した。まず,羅臼高校より「羅臼町の紹介」についての発表を行った後、宮古高校の生徒よりの質問を受け付けた。
「寒いときの服装はどうするのか?」「シマエナガはいるか?」「冬は何時くらいに暗くなるか?」など、積極的に質問が寄せられた。特に「シマエナガはいるか?」という質問に対して、「高校の窓から見える」と回答したときは、うらやましがる声があがっていた。
その後、宮古高校教諭による「エコアイランド宮古島~千年先の未来へ~」の授業に参加し積極的に意見を述べた。
(4)渡口の浜散策
伊良部島にある白くやわらかい砂と青い海が広がっているビーチ。
海の水は1月といえど温かく、子どもたちは足を海に浸し、南の海を堪能した。
羅臼の海との色の違いや温度の違いを肌で感じることができ、非常に貴重な体験となった。なお、子どもたちには、一番印象に残った場所でになったようである。
2. 美ら海水族館での研修
宮古島からの帰路、1月14日に沖縄本島にある美ら海水族館を訪問した。
児童・生徒は、初めてジンベイザメを見て、「羅臼で見られるマッコウクジラとどちらが大きいだろう」と感想を述べていた。
また、南の海に住む生き物のカラフルさに驚くとともに、羅臼の海に棲む寒流系の生き物との違いを実感した。
3. 宮古島交流発表会の開催
宮古島での研修成果の発表会を、令和8年3月3日に羅臼小学校、10日に春松小学校と知床未来中学校、3月24日に羅臼高校で開催した。
それぞれの学校で当該校の交流会参加者が、プレゼンテーション形式で、各校の児童生徒に宮古島での学びを報告した。
交流会参加者から、Web上の交流では感じることができない「空気感」についての発表や、羅臼と宮古島の相違点と共通点についての発表があり、有意義なものとなった。
4. オンライン交流
2月12日に西表島竹富町立上原小学校と春松小学校のオンライン交流授業が行われた。西表島上原小学校と春松小学校は4年連続の交流となった。
お互いの海洋学習の成果を発表しあった。北と南の地域の交流となり、様々な違いはもとより、共通点にも気づくことができた有意義な交流となった。
羅臼町立羅臼小学校
実施単元
1. きせつとともだち(はるなつ/ふゆ)[1年](知床学)
2. まちが大すきたんけんたい、えがおのひみつたんけんたい[2年](知床学)
3. 「羅臼の生き物を伝えよう。」[3年](知床学)
4. 「羅臼の漁業を伝えよう」[4年](知床学)
5. 「発見!発信!らうすこん部」[5年](知床学)
6. 「持続可能な社会~100年続く羅臼を目指して~」[6年](知床学)
取り組みの概要
本校は、海・川・山に囲まれた「世界自然遺産・知床」にあり、教育過程特例校の指定を受けて町独自の教科「知床学(海洋教育)」を編成し、自然・産業・町作り等の視点から「ふるさと羅臼」について学ぶ学習を行っている。今年度もこれまでの取組を継承しながら、探究的・体験的な活動を柱に学習を進めてきた。
第1・2学年では、幼稚園からの学びをつなぎ、主に地域の自然について活動を通して学んでいる。第2学年ではCSコーディネーターや漁協の協力を得て、サケ稚魚への餌やり体験や稚魚放流式などの体験活動を行った。また、例年サケの羅臼川回帰の様子を見学するとともに、国語「サケが大きくなるまで」と関連付けて学習を展開することで、地域の自然や生き物について興味・関心を高められるよう活動を展開した。これらの学びをきっかけとし、羅臼の自然の豊かさや地域の方の取組について知り、「ふるさと羅臼」に対する思いを強くもつことができた。また、第4学年での漁業に関する学習や第5学年での昆布学習に繋げている
第3・4学年では、地域の自然や漁業について課題を設定し、地域の方へのインタビューやフィールドワーク、実習等の体験的な活動を通して学びを深めた。第3学年では、知床の自然や動物について、課題を設定し、探究活動を展開した。また、知床財団や日本野鳥の会による出前講座やインタビュー、町作成の副読本から情報を収集、整理・分析し、海や山の生き物について学びを深めた。第4学年では、羅臼の基幹産業である漁業について探究活動を行った。町の料理サークルや漁業青年部の協力のもと、ホッケのかまぼこ作りやサケフレーク作り体験を通して、地域の漁業資源の豊かさを実感するとともに、羅臼の漁業を守り発展させていくためにはどのようなことが必要かを考えた。
第5学年では、羅臼昆布を題材として地域の産業について学ぶ学習を行った。昆布漁師の方を講師に招き、昆布が製品になるまでの工程を学んだ後、実際に昆布番屋を訪問し昆布が製品になるまでの工程を体験したりするなど、体験活動を通して昆布漁について理解を深めた。その後、体験活動から生まれた疑問や課題をもとに個人テーマを設定し、探究活動を行った。探究活動の成果は、12月に行われたユネスコスクール発表会の中で発表した。学習を通し、地域の人々の漁業に対する考えに直接触れ、改めて「羅臼の海のすばらしさや地域の人たちが守ってきた海や産業を自分たちもしっかりと守りたい。」という考えをもった。
第6学年では、「100年続く羅臼を目指して」というテーマを設定し、これまでに学習してきた自然や産業という視点から「町作り」について考えた。海の豊かさ、自然の豊かさとともに生きてきた「ふるさと羅臼」が今後100年継続していくためには、やはり、海の豊かさ、自然の豊かさを守っていくことが必要である。そのために、これまで学習してきたことや新たに調べたことをもとに課題を焦点化し、自分達にできることを考えた。まとめた成果は、代表者が参加した宮古島との交流会で発表するとともに、「町づくり提案会」として町議会議員や役場職員等に向けて発表した。
また、今年度は根室振興局の協力の下、第4~6学年で「ブルーカーボン」について学習した。ゲームや体験的な学習を通して、ブルーカーボンに関する基礎的な内容について知るともに、これまで学習してきた「知床学(海洋教育)」について、その意義を再確認することができた。
このような地域の人・物・自然から体験を通して学ぶことを、6年間を通じて系統的に構成することで、ふるさとを愛し、ふるさとに貢献しようとする気持ちを高めることができた。
羅臼町立春松小学校
実施単元
1. きせつといきものとなかよし[1年](知床学)
2. さけが大きくなるまで[2年](知床学)
3. 発見!羅臼の良いとこすごいとこ[3年](知床学)
4. 羅臼のいいとこ再発見
5. 知床の自然を守る~意見文を書こう
6. より良いまちづくり~わたしたちができること[6年](知床学)
取り組みの概要
本校は、世界自然遺産に登録された知床半島に立地し、海を含め豊かな自然に囲まれた環境のもと教育活動を展開した。特に、「知床学(海洋教育)」を中心として、総合的な学習の時間や生活科と関連付けた教科横断的な指導計画に基づき、豊かな自然、動植物、水産業、海を活用した観光など郷土の特性を学ぶ教育活動を行うことで、ふるさとに対しての誇りと愛着を育み,郷土の発展に役立つ社会人となるための資質・能力を育むことを目指し学習活動を実施した。
実施内容
■1・2年生 【知床学(海洋教育)「めざせいきものはかせ」】
学校周辺や羅臼町郷土資料館周辺の前庭・裏山で虫を捕まえたりするなどの活動を通して、羅臼町の動植物について考えたり、自然の素晴らしさや生命の大切さを学んだりする活動を実施した。
■2年生 【知床学(海洋教育)】
国語「さけがおおきくなるまで」と関連付けながら漁業関係者の協力を得て、サケの稚魚の餌まき体験や放流体験を通して豊かな海を持続する大切さについて学ぶ活動を実施した。
■3年生【知床学(海洋教育)「ふるさと探険隊」】
羅臼町の基幹産業である「漁業の仕事」について調べる社会科の学習と関連付けながら、市場やお店の見学を通して、実際に働いている人にインタビューするなど情報収集の方法について学ぶ活動を実施した。
■4年生【知床学(海洋教育)「羅臼の魅力再発見」】
ゼロカーボン学習から学んだことをもとに、羅臼町の自然を守る取組について考え、「食べ物、漁業の様子、動物等」に関する課題等から、自ら調べたいテーマを設定し、調査など学習を通して学んだことを羅臼の魅力としてユネスコスクール発表会で発信した。また、昆布学習を行い、海と山のつながりについて理解を深めた。
■5年生【知床学(海洋教育)「自然とともに生きる」】
漁業協同組合、地元の漁業者などを講師に招き、昆布に関する学習、サケ(鮭)学習をロープワーク(漁の方法)などの体験学習を通して学ぶ活動を実施するとともに国語「自然とともに生きる」と関連付けながら知床の自然の価値を理解し、将来にわたり知床の自然の関わり方について考える学習を実施した。また、羅臼町の特産物「鮭」を使った「鮭フレーク作り」を実施し、産業についての興味・関心を高め、自分達の住む地域への愛着を深めた。
■5・6年生【地域学習交流(沖縄島県竹富町立上原小学校との交流)】
竹富町立上原小学校の5・6年生とオンラインで交流を行った。自分たちの住んでいるところの「産業や自然」などについて伝え合い、お互いの取組内容や地域の特色を比較することでふるさと羅臼についての理解を深めた。
■6年生【知床学(海洋教育)「自分の考えを発信しよう」】
ブルーカーボン学習を行い、羅臼の海に生息している昆布によって二酸化炭素がおさえられていることや津波学習など、環境問題について関心を高める学習を実施した。
また、2月に行われた「まちづくり提案会」では、これまでの海洋教育で学んだことを踏まえ、これからの羅臼町発展に向けてグループごとに調べたり自分たちの考えをまとめたりした。またそれらを保護者や地域の方々に発信した。
成果と課題
多様な他者と児童が様々な体験を通じた学習を展開することにより、豊かな海洋資源に支えられているふるさとをより深く理解し、羅臼町の魅力を再発見することができた。また、地域と自然のつながりを理解し、未来の羅臼町の町づくりについて提案することにより、郷土に対する誇りや愛着を持ち、さらには未来の羅臼の発展について考えを深めることができた。
今後は、調べたことから更なる課題意識をもつなど、探究活動のサイクルを確立し、児童の探求心を高めていきたい。
羅臼町立知床未来中学校
実施単元
1. クルージング体験[1年生](海洋教育(知床学))
2. 羅臼町と他地域の自然・文化の比較[2年生](海洋教育(知床学))
3. 羅臼町PRパンフレットの作成・配布[3年生](海洋教育(知床学))
取り組みの概要
■第1学年
・クマ学習Ⅰ:現在の知床半島のヒグマの生息について、海洋資源との関係を学んだ。
・クルージング体験:観光船に乗り、羅臼町の海洋動物の生息域と生育条件、観光利用について理解を深めた。
・探究活動:特に動植物をテーマとして各自が課題を設定し、羅臼町の海洋生物等について調べた内容をまとめた。
・郷土資料館・ビジターセンター見学:海洋生物等を調べるために地域の資料館を訪問し探究活動を行った。その際に多くの助言をいただいたり、質問を行ったりしている。
■第2学年
・生態系学習:羅臼昆布の生育条件と漁獲、加工方法について学んだ。外来種であるアメリカオニアザミの実態を学び、駆除作業を行った。
・探求学習:羅臼町と他地域の海生生物について比較し、自然環境による影響を考察した。
■第3学年
・クマ学習Ⅱ:ヒグマと共存する社会の在り方について、知床半島全体を俯瞰して自然に与える人間の暮らしの影響について学んだ。
・修学旅行:羅臼町のPRパンフレットを作成し、羅臼昆布と塩を一緒に新千歳空港で配布し海洋学習の成果の発表を行った。また、学校祭において「流氷」「漁業」について地域に向けた発表を行った。
上記の学習を行ったうえで、12月に羅臼町内のすべての幼稚園・小学校・中学校・高校が参加する場において学習の成果をプレゼンテーションにより発表を行った。
北海道羅臼高等学校
実施単元
1. SDGsプログラム[第1学年](知床学Ⅰ)
2. 知床半島の哺乳類(8-4)海獣類[第1学年](知床学Ⅰ)
3. 知床半島の動物(8-2)知床の海洋生物[第2学年](知床学Ⅱ)
4. 根室海峡の環境[第3学年](海洋生物)
5. 根室海峡の生物[第3学年](海洋生物)
6. 海洋資源の利用[第3学年](海洋生物)
7. 海洋資源の保全[第3学年](海洋生物)
8. 漁業の未来[第3学年](海洋生物)
取り組みの概要
1 野外活動
羅臼町の水産業の現状を体験的に理解するとともに、1年間をとおして海について総合的に学習する。
(1) 羅臼町漁業協同組合ウニ種苗センター見学
(2) 羅臼町漁業協同組合市場・加工場・販売店舗見学
(3) 鮭採卵・受精等学習
(4) 鮭トバ加工
2 校内での授業
根室海峡や北方領土周辺海域の地理的な特徴や生物相全般への理解を深め、この海域の環境保全のあるべき姿について考える。
(1) SDGsプログラム
(2) 開級式・閉級式記念講演会
(3) 海洋生物の分類・食物連鎖
(4) 根室海峡の鯨類・海獣類
(5) 海に生息する無脊椎動物
(6) 海鳥類をめぐる食物連鎖
(7) 知床の海洋生物や海獣類(副読本「知床学」を使用)


























